2014年1月以降、白色申告者にも帳簿付けが義務付けられています。
2014年1月より以前は、少額の所得しかない白色申告者には記帳義務が免除されていました。しかし2014年以降の帳簿付けが義務付けされたことで、白色申告書が会計帳簿を正確に管理することが求められるようになりました。
本記事では、白色申告者が正しく帳簿を処理し適切に申告できるよう、白色申告の帳簿の付け方や帳簿の保存義務などについて解説します。
目次
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白色申告なら帳簿を付けなくても良いのか
以前は少額の所得しかない白色申告者については記帳義務が免除されていましたが、2014年1月以降、白色申告者にも記帳義務が課されることになりました。
これにより、現在は事業規模の大きさや申告の種類にかかわらず、すべての事業者が記帳付けをしなければなりません。
出典:国税庁「無記帳者の重加算税について」
白色申告の帳簿の付け方
白色申告の帳簿付けは複式簿記ではなく、単式簿記で行います。単式簿記は簿記の手法のひとつで、ひとつの取引について、ひとつの科目のみ記録・集計する記帳法です。単式帳簿と複式帳簿の詳細や違いについては、以下の記事もあわせてご覧ください。
【関連記事】
単式簿記とは
複式簿記とは?複式簿記の記帳方法や単式簿記との違いをわかりやすく解説
なお、帳簿の種類や様式に特に規定はありませんが、以下の項目を記載するのが一般的です。
- 取引年月日
- 摘要
- 売上
- 雑収入等
- 仕入
- 経費
所得の金額を正確に計算できるように、収入金額や必要経費を記帳することが重要です。たとえば、収入金額は「売上」や「雑収入等」、必要経費は「仕入」や「経費」に区分します。
ここでは、帳簿に記載する各項目について解説します。
1.取引年月日
その取引がいつ行われたかをすぐに把握できるように、一般的に一番左に取引年月日を記載します。年は西暦と和暦のどちらでも問題ありませんが、統一するとわかりやすくなります。
2.摘要
摘要の欄には、取引の具体的な内容を記載します。帳簿の勘定科目は取引をおおまかに分類する目的で使われます。勘定科目だけでは取引内容の詳細が把握できないため、摘要を記載しないと取引内容の理解がしづらくなります。
そのため摘要の欄に具体的な取引内容を記載し、後から帳簿を見返したときに、「何に対していくら使ったか」を明確にすることが重要です。
3.売上
売上の欄には、売上の合計金額を記帳します。売上とは、商品やサービスの提供によって得られた収入の計上に使用する勘定科目です。具体的には、企業の主力事業(本業)で得た収入が売上に該当します。
また、小売業などで発生する現金売上については、1日の合計額で記帳することが認められています。現金売上以外でも、納品書や請求書などの控えがあれば、1日の合計金額での記帳が可能です。
出典:国税庁「帳簿の記帳のしかた-事業所得者用-」
そのほか、掛け売り(後払い)での取引も売上に当てはまります。掛け売りによる売上を計上する際は、「売上」ではなく「売掛金」という勘定科目の欄を作り、記帳します。
なお、本業以外で得た利益は売上に該当せず、別の勘定科目で帳簿を付けます。その勘定科目のひとつが、次の項目で紹介する「雑収入等」です。
4.雑収入等
雑収入等の欄には、企業の主力事業(本業)以外で得た収入の合計金額を記帳します。雑収入は、本業に付随して得た収入を示す勘定科目です。
「雑収入等」に計上する具体例としては、家賃収入や給付金・助成金などが当てはまります。
なお、「雑収入等」という勘定科目は法人特有のもので、個人事業主が本業に付随して得た収入の勘定科目は「事業主借」を使います。
5.仕入
仕入の欄には、売上にかかる商品などの購入費を記載します。仕入は、販売目的で購入した商品や原材料の費用を示す勘定科目です。
物を購入した場合、金額が少なければ、売上と同様に項目ごとに1日の合計額で記帳することが認められています。
仕入については、以下の記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
【関連記事】
仕入れとは?商品を仕入れた際の仕訳方法や勘定項目について解説
6.経費
経費の欄には、事業を行ううえでかかった費用をそれぞれ適切な勘定科目に割り振って記載します。
経費に該当する勘定科目の具体例は以下のとおりです。
- 給料賃金
- 外注工賃
- 減価償却費
- 貸倒金
- 地代家賃
- 利子割引料
なお、仕入の代金をクレジットカードなどを使わずに現金で支払った場合は、1日に複数の支払いが発生することがあります。この支払いが少額の場合は、納品書や請求書の控えなどがあれば、売上や仕入と同様に1日分の合計金額をまとめて記帳しても問題ありません。
白色申告の帳簿の保存義務
会計帳簿などは一定の期間、適切に保管することが義務付けられています。これは白色申告の帳簿についても当てはまります。
なお、この保管義務に違反して保管しなかったとしても、それだけで罰則が科されることはありません。しかし帳簿を保存しなければ、申告の正当性を疑われるリスクを負うことになります。
白色申告の帳簿を保存しなかった(付けなかった)場合に科される罰則については、「白色申告で帳簿を付けなかった場合のリスク」にて後述します。
ここでは、白色申告の帳簿の保存期間について解説します。
白色申告の帳簿の保存期間
白色申告の帳簿の保存期間は、帳簿の種類によって異なります。
帳簿の種類 | 保存期間 |
---|---|
帳簿:法定帳簿 | 7年間 |
帳簿:任意帳簿 | 5年間 |
書類:任意帳簿、棚卸表、請求書、納品書、送り状、領収書など | 5年間 |
保存期間は、確定申告期限日の翌日から起算されます。具体的には、法定帳簿の保存期間はその年の翌年3月16日から7年間もしくは5年間です。任意帳簿および書類については、作成または受領日が属する年の翌年3月16日から5年間保存する必要があります。
白色申告で帳簿を付けなかった場合のリスク
白色申告で帳簿を付けなかった、もしくは帳簿を付けてもそれを保存しなかった場合には、さまざまなリスクが生じます。
税務調査が入った場合に、申告の根拠となる資料として帳簿を提示できなければ、全面的に申告し直さなければならないことが考えられます。本来なら計上できていたはずの経費が認められなければ、大きな損失になりかねません。
同時に、多額の罰金の支払いを求められる可能性もあります。この場合の罰金は、税務調査において、「保存しておくべき帳簿などに不備があり、所得を正しく証明できない」と判断された場合に行われる推計課税というものです。
白色申告における推計課税は、加算税や延滞税といった形で課されます。課税される税額は、以下のような状況から推計します。
- 同業他社との比較や損益
- 資産状況
- 従業員数
- 生活状況など
場合によっては、実際の所得以上の金額を徴収される恐れもあります。こうしたリスクを回避するためにも、会計帳簿の作成と保管は適切に行う必要があるのです。
まとめ
白色申告においても帳簿付けは義務化されており、作成した帳簿は一定期間保管しなければなりません。法定帳簿は7年間、任意帳簿と関連書類は5年間の保存が必要です。
帳簿を適切に作成・保存しないと、税務調査時に申告の根拠資料を提示できないため、最悪の場合は申告のやり直しや罰金の支払いなどが生じるリスクがあります。面倒だからといって帳簿付けの手間を惜しむことなく、正しい申告と納税を行いましょう。
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よくある質問
白色申告なら帳簿を付けなくても良いの?
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詳しくは「白色申告なら帳簿を付けなくても良いのか」をご覧ください。
白色申告で帳簿を付けないとどうなる?
白色申告で帳簿を付けなかった、もしくは帳簿を付けてもそれを保存しなかった場合、税務調査の際に申告の根拠として帳簿を提示できなくなり、申告のやり直しや罰金の支払いを求められる可能性があります。
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