監修 前田 昂平 前田昂平公認会計士・税理士事務所
白色申告における経費の計上は、自営業者やフリーランスにとって重要なポイントです。経費の種類や範囲、そして上限についてはわかりづらい点が多く、確定申告の際には認識が誤っていないか確認する必要があるでしょう。
本記事では、経費になるものとならないものの境界線や経費の上限、勘定項目の考え方をご紹介します。確定申告前に改めてチェックしてみてください。
目次
freee会計で電子申告をカンタンに!
freee会計は〇✕形式の質問で確定申告に必要な書類作成をやさしくサポート!口座とのデータ連携によって転記作業も不要になり、入力ミスも大幅に削減します。
白色申告の経費に上限はない
白色申告を行う際、事業に直接関連する支出は経費として認められますが、これには上限が設定されていません。事業運営に必要な支出であれば、どれだけの金額でも経費として計上できます。
ただし、すべての支出を無制限に経費として計上できるわけではありません。経費として計上するためには、支出が事業運営に妥当であるかどうかが重要です。
たとえば、年間売上が300万円の事業主が200万円もの接待交際費を経費として計上した場合、その支出の妥当性に疑問が生じ、税務調査の対象になる可能性があります。
つまり、白色申告における経費計上に上限はありませんが、その支出が事業に関連し、かつ妥当であることが必要です。経費計上する際には、その支出が事業にどのように関連しているかを明確に説明できることが重要となります。
10万円以上の備品、機器は一括で経費計上できない
白色申告の場合、10万円以上する備品や機器は国税庁で定められている耐用年数にしたがって取得価額を分割して経費にする必要があります。このような経費処理を減価償却といい、勘定科目は「減価償却費」になります。
出典:国税庁「No.2106 定額法と定率法による減価償却(平成19年4月1日以後に取得する場合)」
白色申告できる経費の種類
白色申告で確定申告する際に、提出が必要な経費の項目をまとめました。
経費 (勘定科目) | 具体例 | |
---|---|---|
給与賃金 | 従業員に支払う給与 ※親族従業員に支払う専従者給与は経費ではなく、控除枠が定められています。 | |
外注工費 | 仕事を外部に委託した費用 例:電気工事費、システム開発、店舗ロゴデザイン費用など | |
減価償却費 | 固定資産(10万円以上の備品や機器)を法令が定めた耐用年数にしたがって分割し、計上する費用 例:パソコン、自動車、オフィスチェア、デスクなど | |
貸倒損失 | 売掛金・貸付金・未収入金などが得意先の経営悪化や倒産により回収不能となった損害金額 | |
地代家賃 | 事業で使っている事務所や店舗にかかる賃料や使用料 ※自宅兼事務所の場合は事業で使う割合を家事按分して計上する必要があります | |
利子割引料 | 借入の支払利息やリボ・分割払いの手数料 | |
租税公課 | 税金や公共料金として支払った費用 例:固定資産税、事業税・行政サービスの手数料など | |
荷造運賃 | 商品や製品を発送するのにかかった費用 例:梱包材料、配送費など | |
水道光熱費 | 事業を運営する上で必要な電気代・ガス代・水道料金 ※自宅兼事務所の場合は事業で使う割合を家事按分をして計上する必要があります | |
旅費交通費 | 事業に関わる移動費用、宿泊費用 例:電車賃、タクシー代、飛行機代、ホテル宿泊費など | |
通信費 | 事業で使う通信費用 例:切手、はがき代、電話料金、インターネット回線使用料など | |
広告宣伝費 | 事業や商品の広告に関わる費用 例:インターネット広告、チラシ、DMなど | |
接待交際費 | 得意先や仕入先など特定の範囲に対する接待、供応、慰安、贈答にかかる費用 例:取引先との飲食代、贈答品代、冠婚葬祭の祝儀など | |
損害保険料 | 事故や火災といった損害から事業を守るための保険料 例:火災保険、自動車保険、損害保険など | |
修繕費 | 事業に関わる建物や機械などの資産を回復、維持するためにかかる費用 ※業者を手配して修理した場合も修繕費となります | |
消耗品費 | 使用可能期間が1年未満か取得価額が10万円未満の什器備品の購入費用 例:文房具、ガソリン代、名刺、電球など | |
福利厚生費 | 従業員の慰安、医療、衛生、保健などのために事業主が支出した費用 例:社員旅行代、お祝金、健康診断費用など | |
雑費 | 事業上の費用で他の経費に当てはまらない経費 |
【関連記事】
個人事業主が経費にできるものは?確定申告に役立つ判断基準や具体例を解説
【2024年最新】確定申告書の書き方を記入項目別にわかりやすく解説
広告宣伝費と接待交際費の違い
広告宣伝費と接待交際費の大きな違いは、対象とする範囲です。得意先や取引先との会食、贈答品の代金など、特定の範囲に対してかかる費用は「接待交際費」となります。
反対に、不特定多数の人に向けて宣伝したい場合に使った費用は、「広告宣伝費」として計上します。インターネット広告や街の看板だけでなく、試供品などの宣伝を目的として作成した品物も対象となります。
また、宣伝目的で作成した試供品などを得意先や取引先に渡した場合もこの費用は「広告宣伝費」に分類されます。
出典:国税庁「No.5260 交際費等と広告宣伝費との区分」
自宅兼事務所の場合は家事按分で申告する
自宅を事務所としても使用している場合、家賃や水道光熱費などの経費をすべて事業経費として計上できません。事業用として利用している部分のみを経費として計上する必要があります。これを「家事按分」といいます。
具体的には、自宅の床面積や使用時間など客観的な基準に基づき、事業に関連する割合を算出します。たとえば、自宅の20%のスペースを事務所として使用している場合、事業経費として家賃の20%を計上可能です。
白色申告で経費として認められないもの
白色申告において、以下の費用は経費として認められないので注意しましょう。
事業主自身にかかる費用
以下のような事業主自身にかかる費用は、経費として認められません。
- 事業主の給与
- 健康診断費などの健康管理費
- 所得税、住民税などの税金
親族従業員(事業専従者)への給与
白色申告では、親族従業員(事業専従者)に支払う給与を経費として計上することはできません。ただし、専従者給与として特定の控除枠が設けられています。以下の条件をすべて満たす場合、控除が適用されます。
- 白色申告者と生計を一にする配偶者またはその他の親族であること
- その年の12月31日時点で15歳以上であること
- その年を通じて6ヶ月以上、事業に専ら従事していること
控除額は、以下のいずれか低い金額になります。
白色申告では領収書とレシートはどちらを提出すべきか
白色申告で経費を証明する際、「領収書がなければならない」という誤解がありますが、実際にはレシートも有効です。事業に関連する明確な支出であれば、レシートでも経費として認められます。
たとえば、但し書きに「品代」とだけ記載された領収書では、購入した物品やサービスが不明確で、事業関連の支出かどうかを客観的に判断するのが難しいでしょう。その点、購入内容が詳細に記載されているレシートのほうが、経費の証明に適しているケースもあります。
ただし、取引先との個別性の高い取引に関しては、宛名が記載された領収書が有効な場合もあります。また、高価な物品の購入の際に推奨されているのは、誰が購入したかを証明するために領収書をもらうことです。領収書とレシートは、状況に応じて使い分けましょう。
白色申告を簡単に終わらせる方法
確定申告は個人事業主・フリーランスの人だけでなく、副業で収入を得た会社員の方など、多くの人に関わりが深い一大イベントです。
確定申告には青色申告と白色申告の2種類があり、対象者は期限までに書類を作成し納税をすることが義務づけられています。青色申告するには事前に税務署への届出が必要になるため、その手続きをしていない場合は自動的に白色申告となります。
青色申告に比べると簡単と言われる白色申告ですが、書類作成に不安をお持ちの方は少なくありません。はじめての確定申告で不安な人にはfreee会計がおすすめです。
freee会計は、〇✕形式の質問に答えることで簡単に白色申告に必要な書類を作成できます。
ここからはfreee会計を使って書類完成までの3ステップを紹介します。
STEP1: 基本情報を入力する
自身の情報や仕事(事業)の内容について入力し、青色申告・白色申告のいずれかを選択します。各項目の横には「?」マークがついており、カーソルを当てると詳しい説明を見ることもできます。
自身の仕事(事業)内容などの基本情報を入力!
STEP2: 申告書作成に必要な情報を◯✕形式で回答
次に、白色申告書を作成する際に必要な情報を入力していきます。1年間の収支に関して画面の指示に沿って○✕形式で15の質問に答えていきます。
月額980円(※年払いで契約した場合)から利用できる有料プランでは、チャットサポートがついているので、わからないことがあったらすぐに質問ができます。
STEP3: 白色申告に必要な書類が完成!
上記の2ステップで白色申告に必要な確定申告書が自動で作成されます。有料プランでは、プリントアウトも可能なので、印刷して税務署に郵送すれば確定申告が完了です。※無料プランでは申告書作成まで可能。
また、マイナンバーカードとカードリーダがあれば自宅からでもすぐに提出が完了するので、税務署に行ったり郵送したりする手間も削減されます。
税務署に行かずに確定申告を終わらせるなら、e-tax(電子申告)がおすすめです。e-tax(電子申告)を検討している人はこちらをご覧ください。
STEP2で入力した内容を元に確定申告書が完成!
freee会計を使うとどれくらいお得?
freee会計は、会計初心者の方からも「本当に簡単に終わった!」というたくさんの声をいただいています。
税理士などの専門家に代行依頼をすると、確定申告書類の作成に5万円〜10万円程度かかってしまいます。freee会計なら月額980円(※年払いで契約した場合)から利用でき、自分でも簡単に確定申告書の作成・提出までを完了できます。
余裕をもって確定申告を迎えるためにも、ぜひfreee会計の活用をご検討ください。
まとめ
経費は必ず「事業に関連する支出か否か」で判断し、それを証明できるように準備しておくことが大切です。確定申告の際に慌てないよう、日頃から対応しておきましょう。
確定申告を簡単に終わらせる方法
確定申告には青色申告と白色申告の2種類があります。どちらを選択するにしても、期限までに正確な内容の書類を作成し申告しなければいけません。
確定申告書を作成する方法は手書きのほかにも、国税庁の「確定申告等作成コーナー」を利用するなどさまざまですが、会計知識がないと記入内容に悩む場面も出てくるでしょう。
そこでおすすめしたいのが、確定申告ソフト「freee会計」の活用です。
freee会計は、〇✕形式の質問で確定申告に必要な書類作成をやさしくサポートします。必要な計算は自動で行ってくれるため、計算ミスや入力ミスを軽減できます。
ここからは、freee会計を利用するメリットについて紹介します。
1.銀行口座やクレジットカードは同期して自動入力が可能!
1年分の経費の入力は時間がかかる作業のひとつです。freee会計に銀行口座やクレジットカードを同期すると、利用した内容が自動で入力されます。
また、freee会計は日付や金額だけでなく、勘定科目も予測して入力します。
溜め込んだ経費も自動入力でカンタン!
2.現金取引の入力もカンタン!
freee会計は、現金での支払いも「いつ」「どこで」「何に使ったか」を家計簿感覚で入力できるので、毎日手軽に帳簿づけが可能です。自動的に複式簿記の形に変換してくれるため、初心者の方でも安心できます。
さらに有料プランでは、チャットで確定申告について質問ができるようになります。オプションサービスに申し込めば、電話での質問も可能です。
freee会計の価格・プランについて確認したい方はこちらをご覧ください。
3.〇✕形式の質問に答えると、各種控除や所得税の金額を自動で算出できる!
各種保険やふるさと納税、住宅ローンなどを利用している場合は控除の対象となり、確定申告することで節税につながる場合があります。控除の種類によって控除額や計算方法、条件は異なるため、事前に調べなければなりません。
freee会計なら、質問に答えることで控除額を自動で算出できるので、自身で調べたり、計算したりする手間も省略できます。
4.確定申告書を自動作成!
freee会計は取引内容や質問の回答をもとに確定申告書を自動で作成できます。自動作成した確定申告書に抜け漏れがないことを確認したら、税務署へ郵送もしくは電子申告などで提出して、納税をすれば確定申告は完了です。
また、freee会計はe-tax(電子申告)にも対応しています。e-taxからの申告は24時間可能で、税務署へ行く必要もありません。青色申告であれば控除額が10万円分上乗せされるので、節税効果がさらに高くなります。
e-tax(電子申告)を検討されている方はこちらをご覧ください。
完成した確定申告書を提出・納税して確定申告が完了!
freee会計を使うとどれくらいお得?
freee会計には、会計初心者の方からも「本当に簡単に終わった!」というたくさんの声をいただいています。
税理士などの専門家に代行依頼をすると、確定申告書類の作成に5万円〜10万円程度かかってしまいます。freee会計なら月額980円(※年払いで契約した場合)から利用でき、自分でも簡単に確定申告書の作成・提出までを完了できます。
余裕をもって確定申告を迎えるためにも、ぜひfreee会計の利用をご検討ください。
よくある質問
白色申告で経費にできるものは?
白色申告において経費として計上できるのは、事業運営に直接関連する合理的な支出です。これには、旅費交通費、通信費、広告宣伝費、消耗品費などが含まれます。
詳しくは記事内の「白色申告できる経費の種類」をご覧ください。
自宅兼事務所では白色経費にできる?
事務所として自宅を使う場合には、家賃の一部を経費に計上できます。ただし、この計算には客観的な基準が必要です。
詳しくは記事内の「自宅兼事務所の場合は家事按分で申告する」をご覧ください。
監修 前田 昂平
2013年公認会計士試験合格後、新日本有限責任監査法人に入所し、法定監査やIPO支援業務に従事。2018年より会計事務所で法人・個人への税務顧問業務に従事。2020年9月より非営利法人専門の監査法人で公益法人・一般法人の会計監査、コンサルティング業務に従事。2022年9月に独立開業し現在に至る。