ほとんどの会社で必要な年末調整。従業員が増えるほど、労務担当者の書類の申告(提出)作業は大変になります。
しかし、給与支払報告書・法定調書などの書類は、電子申告というオンラインでの一括提出が可能です。
今回は意外と知られていない年末調整の電子申告のメリットや方法をわかりやすく解説します。
▶︎ 2025年の年末調整については、まずはこちらの3記事!
年末調整の還付金はいつ、いくら戻ってくる?計算方法や受取時期を解説(控除別シミュレーション付き)
源泉徴収票とは?見方や発行時期、いつ届くのかについてわかりやすく解説
法定調書合計表とは?書き方、提出期限や作成方法をわかりやすく解説
目次
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年末調整の電子申告とは?
年末調整の申告手続き
年末調整とは毎月の給与から徴収(源泉徴収)されている所得税を正しく計算して確定させ、最終的な帳尻合わせを行うための手続きです。「帳尻合わせ」を正確に行うために、会社は必要な情報をまとめ、税務署と市区町村の2つの窓口に報告する必要があります。この報告が年末調整の書類作成と申告手続きです。
電子申告では書類の郵送が不要
年末調整での申告手続きは、多くの場合紙の書類を郵送する形で行われます。書類の郵送の代わりに、電子データをe-Tax・eLTAXというWeb上のシステムを通して送付するのが電子申告です。
e-Tax:国税の電子申告・納税システム
eLTAX:地方税ポータルシステム
紙での申告 | 電子申告 | |
提出するもの | 印刷した紙 | 電子データ |
提出方法 | 郵送が一般的 | e-Tax、eLTAX (申告システム) |
年末調整電子申告のメリット
年末調整の電子申告のメリットは、書類を印刷する必要がないこと、市町村別に提出書類を分け・封入する手間を減らせることです。
年末調整で最終的に提出する必要がある書類は複数あります。源泉徴収票や給与支払報告書の個人別明細書といった書類は従業員ごとに作成する必要があり、従業員数が増えるほど書類の枚数が膨大になります。
さらに、前述の通り年末調整の申告書類の提出先は税務署・市区町村の2つです。この市区町村とは、従業員の住民票がある市区町村であるため、従業員の住んでいる市区町村の数だけ提出先があります。例えば従業員が20名いてそれぞれ異なる市区町村に住んでいた場合、書類を20の市区町村宛に分けて封入・郵送する必要があります。
電子申告の場合、書類を印刷して封入する必要がありません。
大量の書類を印刷・分類・封入する手間がなくなることが最大のメリットと言えます。
年末調整の電子申告の方法
年末調整の電子申告の方法を説明します。大まかな流れは以下のようになります。
- 代表者のマイナンバーカードの取得やe-Tax/eLTAX利用手続きなどの事前準備
- 書類の電子データの準備
- 書類の電子データをオンラインのシステムで提出
それぞれについて詳しく解説します。
電子申告に必要なものと手続き
年末調整の電子申告のために必要なもの・事前手続きは以下の4つです。
(2)カードリーダーの購入
(3)e-Tax(イータックス)の利用者識別番号手続き(国税)、
(4)eLTAX(エルタックス)の利用者ID手続き(地方税)
(1)マイナンバーカードの取得
電子申告に必要なのが代表者のマイナンバーカード(署名用電子証明書付き)です。事業所の代表(社長など)の代わりに、労務担当者などのマイナンバーカード利用も可能ですが、その場合委任状が必要になります。また、個人のマイナンバーカードの取得・利用が難しい場合は法人の電子証明書も使用可能です。
マイナンバーカードに関して何点か注意があります。
- マイナンバーカードはマイナンバーの告知カードとは異なります。告知カードでは電子申告ができないのでマイナンバーカードを取得しましょう。
- 電子申告のためには、マイナンバーカードに署名用電子証明書をつける必要があります。 マイナンバーカード取得手続きの際に署名用電子証明書が必要かを尋ねられたら、必要である旨を伝えましょう。
- マイナンバーの取得には最長1か月程度かかることがあります。まだ取得していない場合は早めに取得することをおすすめします。
(2)カードリーダーの購入
カードリーダーも予め購入しておきましょう。約2000~3000円で、家電量販店やECサイトなどで手に入ります。カードリーダーはこの後e-TaxやeLTAXで手続きを行う際に必要になります。
(3)e-Tax(イータックス)の利用者識別番号手続き(国税)
マイナンバーカード(もしくは電子証明書)とカードリーダーが手に入ったら、e-Tax(イータックス)の利用者識別番号手続きを行いましょう。
国税庁のe-Taxページから手続きができます。「e-Taxの開始(変更等)届出書作成・提出コーナー」より開始届出書をオンラインで提出します。このとき利用者識別番号と暗証番号が入手できるので保存しておきましょう。入手しておいたマイナンバーカード(もしくは電子証明書)と上記で取得した利用者識別番号をカードリーダーを利用してWeb上で紐づけます。
利用推奨環境はwindows7以後、ブラウザはInternet Explorer 11です。
なお、eTAXを利用するための事前準備に関しては、国税庁が提供している以下の動画やfreeeのヘルプページが参考になります。
参考ページ:freeeヘルプページ 年末調整をfreeeで電子申告する(準備編)
(4)eLTAX(エルタックス)の利用者ID手続き(地方税)
eLTAXへアクセスし、利用届出の開始を行いましょう。利用者IDと仮暗証番号が入手出来ますので、保存しておきます。
次に専用のソフトウェア(PCdesk)をインストールし、仮暗証番号を本暗証番号に変更します。
最後に、マイナンバーカード(もしくは電子証明書)と上記で取得した利用者IDをカードリーダーを利用して紐づけます。
eTaxが国税の申告であるのに対し、このeLTAXは地方税の申告に対応しています。年末調整では税務署(国税)と市町村どちらにも申告が必要なため、eTaxとeLTAX両方での手続きが必要になります。
eTaxと同様、利用推奨環境はwindows7以後、ブラウザはInternet Explorer 11です。
年末調整書類の電子データの準備
年末調整で最終的に提出が必要なのは以下の書類です。
- 給与所得の源泉徴収票
- 給与支払報告書
- 所得税徴収高計算書
- 法定調書合計表
- *支払調書(必要な場合)
これらが申告できる電子データを作成するため、上記書類に必要な情報を適切な方法で収集・計算します。従業員の情報が収集できたら、上記の書類データ作成を行います。
従業員から収集が必要な情報や、2018年分の年末調整の変更点に関しては以下の記事もご覧ください。
令和6年分の年末調整の変更点とは?定額減税や注意点について解説【2024年最新】
ソフトで電子申告用データを作成しe-Tax・eLTAXで提出
最後に、書類データを電子申告用データに加工しオンラインで提出します。申告ソフトをインストールし、ソフト指定の手順に沿って、進めましょう。
手元に準備しておくものは以下です。これらは、申告ソフトを通してe-Tax、eLTAXにデータを送信する際に必要となります。
- eTaxの利用者識別番号とeLTAXの利用者ID
- マイナンバーカード
- カードリーダー
申告ソフトで、書類データを税務署(eTax)・市区町村(eLTAX)に送付すれば申告作業は完了です。
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まとめ
年末調整の電子申告とは、税務署と市区町村に申請が必要な書類を、郵送ではなくWebシステムを通して提出することです。メリットは紙を大量に印刷し、市区町村別に分けて郵送する必要がないことでした。電子申告を行う場合は、代表者のマイナンバーカードなどを事前に用意する必要がありますので早めに準備を始めましょう。