年末調整は、例年10月頃から翌年1月にかけて行われる、給与所得者のその年の所得税額と、給与等から天引きされた源泉徴収税額との差額を精算する手続きです。
一般的に従業員が勤務先に年末調整に関する必要書類を提出するのはその年の11月頃で、年末調整後、翌年1月31日までに会社は関係書類を税務署などへ提出します。
本記事では、年末調整の手続きの流れや提出期限に遅れた場合の対応、提出後の修正方法などについて詳しく解説します。
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【2024年最新】年末調整の書き方まとめ!書類別にわかりやすく解説(記入例つき)
令和6年最新 住宅借入金等特別控除申告書の書き方まとめ!住宅ローン控除などを解説
年末調整とは?概要・目的・手順から必要書類までわかりやすく解説
目次
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年末調整の期限はいつからいつまで?
年末調整の手続きは、その年の10月頃から翌年1月にかけて行われるのが一般的です。この期間中、会社側と従業員側のそれぞれに対応すべきことがあります。
年末調整の主なスケジュールは以下のとおりです。
会社の対応 | 従業員の対応 | |
---|---|---|
10月中旬〜 | ・従業員に申告書を配布する | |
11月 | ・中途入社の従業員の源泉徴収票を提出する ・従業員が記入した各種申告書や証明書などを回収する | ・源泉徴収票を会社へ提出する ・各種申告書に必要事項を記入し、会社へ提出する ・申告に必要な各種証明書を会社へ提出する |
12月 | ・従業員ごとに、源泉徴収税額と確定した所得税額の差額を計算する ・差額を精算(還付または徴収)する ※会社によっては1月に行う場合も ・源泉徴収票を作成する | |
翌年1月 | ・1月10日(納期の特例の場合1月20日)までに年末調整後の源泉徴収税額を納付する ・各種法定調書を作成し、1月31日までに規定の提出先へ提出する |
年末調整は、その年の毎月の給与から天引きされた源泉徴収税額の合計と、本来支払うべき所得税額を比較し、その過不足を精算するための手続きです。
年末調整では「1月1日から12月31日までのその年1年間で支払われた給与」が対象となります。
対象となる給与は12月31日までに従業員に支払われている必要があるため、12月分の給与が翌年1月に支払われた場合、12月分の給与が対象となるのは翌年の年末調整です。
年末調整の結果、本来納めるべき所得税額より源泉徴収税額のほうが多ければ従業員に差額分が還付され、源泉徴収税額のほうが少なければ不足分が徴収されます。還付や徴収は、12月または1月の給与支払い時に行われることが一般的です。
年末調整の書類の書き方について詳しく知りたい方は、別記事「【2024年最新】年末調整の書き方まとめ!書類別にわかりやすく解説(記入例つき)」をあわせてご確認ください。
年末調整の書類の提出期限はいつ?
年末調整の作業はその年の10月から翌年の1月までにかけて行われ、一般的に従業員が勤務先へ申告書等の書類を提出する期限は、その年の11月上旬です。ただし、会社によって書類の提出期限が異なる場合があるため、正確な提出期日は経理担当者等に確認しましょう。
その後、従業員から提出された書類をもとに会社側で年末調整を行います。
会社は、11月中旬〜12月下旬の約1ヶ月半ですべての従業員の年末調整および精算手続きをする必要があります。そのため、作業に遅れが発生しないよう、担当者から通達された提出期限は必ず守りましょう。
なお、従業員が会社に提出する書類は以下のとおりです。
年末調整で従業員が会社に提出する書類 | |
---|---|
すべての給与所得者が提出 | ・給与所得者の扶養控除等(異動)申告書 |
対象者のみ提出 | ・給与所得者の保険料控除申告書 ・給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 年末調整に係る定額減税のための申告書 兼 所得金額調整控除申告書 ・給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書 兼 (特定増改築等)住宅借入金等特別控除計算明細書 |
このうち、控除適用を申告するには、控除証明書などの添付が必要です。たとえば、生命保険や地震保険、小規模企業共済などに加入している場合は、例年10月頃に加入する保険会社から控除証明書が登録している住所(自宅等)に届きます。書類を受け取ったあとは、年末調整の時期まで失くさずに保管しておきましょう。
出典:国税庁「給与所得者(従業員)の方へ(令和6年分)」
年末調整の書類の提出が遅れた場合
控除証明書の紛失などのトラブルが原因で書類の提出が遅れる場合でも、翌年1月31日までに会社が各種法定調書を税務署へ提出できれば問題ありません。控除証明書を紛失した場合、基本的には発行元に問い合わせることで再発行が可能です。
しかし、年末調整の時期は再発行の申請が集中するため、申請が遅れると提出期限に間に合わなくなる可能性があります。また、会社への書類提出があまりにも遅れると、年末調整で控除が適用されないリスクも生じてしまうでしょう。
従業員自身の書類提出の遅れが原因で年末調整で控除が適用されなかった場合は、翌年、従業員自らが確定申告を行うことで控除を受けられます。確定申告の申告書提出期間は、例年2月16日〜3月15日です。
出典:国税庁「年末残高等証明書が年末調整に間に合わない場合」
申告書提出後の修正はいつまで可能?
年末調整の申告書を会社に提出したあとに修正をしたい場合、一般的には翌年1月31日までであれば、会社の担当部署を通して修正できます。
ただし、会社側は翌年1月10日(特例の場合は20日)までに源泉徴収税額の納付を行う必要があり、1月31日より前に源泉徴収票が発行されるかもしれません。源泉徴収票が発行されてしまうと修正が難しいため、修正が必要だと判明した際には、すみやかに勤務先の担当部署へ修正可能かどうか確認しましょう。
なお、以下のいずれかの場合で年末調整の書類修正が発生したら、従業員自身が確定申告をして申告内容の修正をする必要があります。
- 翌年2月1日以降
- 源泉徴収票の発行後
年末調整の還付や追加徴収はいつ?
毎月給与から天引きされていた源泉徴収税額が本来支払うべき所得税額よりも多かった場合、年末調整によって差額分が還付されます。一方で、源泉徴収税額が納めるべき所得税額よりも少なかった場合は、差額分の追加徴収があります。
年末調整の還付は、年末調整後の最初の給与支給時(その年の12月)に給与と一緒に支給されるケースが一般的です。不足分を追加徴収される場合も、還付金と同様に基本的には年末調整後に支給される最初の給与支給時に、給与から差し引かれます。
ただし会社によっては給与支給時とは別のタイミングで振り込まれたり、現金で直接手渡しされたりするケースもあるので、還付金がいつ受け取れるか正確な時期を知りたい場合は勤務先に確認しましょう。
なお、年末調整により還付・徴収された金額を知りたい場合は、還付または徴収がなされた月の給与明細の「年末調整還付金・徴収金」欄や、年末調整完了後に会社から配布される源泉徴収票で確認可能です。
なお、年末調整の追加徴収について詳しく知りたい方は、別記事「年末調整で追加徴収があるケースとは?計算方法や支払い方法を解説【2024年(令和6年)最新】」をあわせてご確認ください。
還付金を受け取れる主なケース
年末調整で還付金が発生するのは、その年に徴収された源泉徴収税額の合計額が本来支払うべき所得税額を上回っていた場合です。
基本的には、「年の途中で扶養対象者の数が減った」などの例外を除いて、本体納めるべき所得税は源泉徴収額よりも少なくなることが多いため、ほとんどの方が還付を受けることになります。
さらに、年末調整で所得控除・税額控除を申告し適用されると、さらに還付金が発生しやすくなります。所得控除・税額控除が適用できる主なケースは、以下のとおりです。
年末調整で還付金が受け取れる主なケース
- 生命保険や医療保険に加入している(生命保険料控除)
- 扶養家族が増えた(扶養控除)
- 個人型確定拠出年金(iDeCo)に加入している(小規模企業共済等掛金控除)
- 住宅ローンを返済している(住宅借入金等特別控除)
生命保険や医療保険に加入している
生命保険や医療保険の加入者には、生命保険料控除が適用されます。控除額は掛金によって異なりますが、一般の生命保険料・介護医療保険料・個人年金保険料の3つに関する控除額を合計して、所得税の最大控除額は12万円です。
出典:国税庁「生命保険料控除の限度額計算」
なお、生命保険料控除について詳しく知りたい方は、別記事「【年末調整】生命保険料控除の書き方(記入例つき)」をあわせてご確認ください。
扶養家族が増えた
所得税法上の控除対象扶養家族がいる場合は、扶養家族の人数に応じて一定金額の控除が適用されます。また、年末調整の対象となる期間に扶養家族(扶養親族)が増えた場合、その分の控除も適用可能です。
控除額は、扶養親族の年齢や同居の有無などによって異なり、38万円〜63万円となっています。
出典:国税庁「No.1180 扶養控除」
なお、扶養控除について詳しく知りたい方は、別記事「年末調整の扶養控除申告書(マル扶)とは?書き方や注意すべきポイントを解説」をあわせてご確認ください。
個人型確定拠出年金(iDeCo)に加入している
個人型確定拠出年金(iDeCo)に加入している場合は、「小規模企業共済等掛金控除」の対象です。掛金の全額が控除の対象となるため、毎月の掛金が多くなるほど控除額も多くなります。
なお、小規模企業共済等掛金控除には、iDeCoのほか企業型年金加入者掛金や地方公共団体が実施する心身障害者扶養共済制度の掛金も対象です。
出典:国税庁「No.1135 小規模企業共済等掛金控除」
住宅ローンを返済している
住宅ローンの返済をしている人は、「住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)」が適用されます。控除額は住宅ローンの年末残高の0.7%分で、住宅ローン控除は所得控除ではなく税額控除の対象です。税額控除は、所得税額から直接控除額を差し引く仕組みとなっています。
なお、住宅ローンの借入1年目に控除を受けるには確定申告が必須で、年末調整での申告で控除を受けられるのは返済2年目以降に限られます。
出典:国税庁「No.1200 税額控除」
出典:国税庁「No.1212 一般住宅の新築等をした場合(住宅借入金等特別控除)」
住宅ローン控除について詳しく知りたい方は、別記事「【年末調整】2年目からの住宅ローン控除申請の書類の書き方(記入例つき)」をあわせてご確認ください。
中途入社で定額減税が適用されていない
定額減税とは、令和6年分の所得税納税者で合計所得金額が1,805 万円以下である人に対して、3万円(同一生計配偶者もしくは扶養親族がいる場合は1名につきプラス3万円)の控除が受けられる制度です。
しかし、定額減税の対象者を決める判断基準日は令和6年度において6月1日であるため、令和6年6月2日以降に中途入社して定額減税が適用されていない場合は、還付金を受け取れる可能性があります。
適用対象から外れた場合の定額減税は、年末調整時に年末調整時点の定額減税額に基づいて清算される仕組みです。これを、年調減税とよびます。
出典:国税庁「令和6年分所得税の定額減税Q&A」
このほか、個人で社会保険料を支払った場合(社会保険料控除)や、年の途中で夫と離婚・死別した場合(寡婦控除)などは、還付金が受け取れる可能性があります。年末調整で還付金が受け取れるケースについて詳しく知りたい方は、別記事「年末調整の還付金はいつ、いくら戻ってくる?計算方法や受取時期を解説【令和6年(2024年)版】」をあわせてご確認ください。
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まとめ
年末調整の手続きは、一般的に10月頃から翌年1月にかけて行われ、従業員が勤務先に年末調整の申告書を提出する期限はその年の11月頃です。
年末調整において従業員は、会社から配布された関係書類に必要事項を記入し、必要な添付書類と一緒に決められた期限内に会社へ提出する必要があります。
なお、万が一申告書を提出した後に内容のミスに気が付いた場合は、早期であれば会社の担当部署に修正依頼ができます。修正が間に合わなかった場合には、自身で改めて確定申告を行わなければなりません。
よくある質問
年末調整はいつ行われる?
年末調整の手続きは、その年の10月頃から翌年1月にかけて行われるのが一般的です。10月中旬〜下旬に勤務先から各種申告書が従業員に配布され、従業員は申告書に必要事項を記入し、11月上旬に勤務先に提出します。なお、会社によって書類の提出期限が異なる場合があるため、正確な提出期日は担当者に確認しましょう。詳しくは記事内「年末調整の書類の提出期限はいつ?」をご覧ください。
年末調整はいつからいつまでの給料が対象?
年末調整の対象となるのは「1月1日から12月31日までの1年間で支払われた給与」です。ただし、12月31日までに支払いが済んでいることが要件であるため、12月分の給与が翌年の1月に支払われた場合は、12月分の給与は対象外となります。その分は、翌年の年末調整で精算します。詳しくは記事内「年末調整の手続きはいつからいつまで?」をご覧ください。