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源泉徴収票とは?見方や発行時期、いつ届くのかについてわかりやすく解説

源泉徴収票とは?見方や発行時期、いつ届くのかについてわかりやすく解説

源泉徴収票とは、1年間の「給与収入」「納付した所得税額」「控除額」などが記載された書類のことです。収入の証明としても使われることが多いです。

本記事では、源泉徴収票の見方や、源泉徴収の仕組み、いつ発行されるのかなど、わかりやすく解説します。

▶︎ 源泉徴収票の書き方については、まずはこちらの記事!

源泉徴収票の書き方・作り方をわかりやすく解説!正しく作成する方法

目次

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源泉徴収票とは

源泉徴収票とは、1月1日〜12月31日の1年間に、会社が従業員に「支払った給与額」「源泉徴収した税額」「控除額」などを記載した書類のことです。

つまり源泉徴収票を見ると、1年間に会社から支払われた金額・納税した金額が分かります。

おさらい:源泉徴収の仕組み

そもそも「源泉徴収」とは、給与・賞与から税金・保険料を徴収して、従業員の代わりに会社が納税する仕組みのことです。

「毎月の給与から源泉徴収した所得税の金額」と「本来徴収すべき1年分の所得税額」との、差分を調整する仕組みを、年末調整といいます。

なお、会社員の場合は会社が年末調整を行いますが、個人事業主の場合は自分自身で計算して納める税金額を報告します。これを確定申告といいます。

【関連記事】
源泉徴収とは?制度の基本や対象者・対象期間について解説

源泉徴収票はいつ発行される?

源泉徴収票は、必要なタイミングでいつでも発行することが可能です。一般的には、従業員に源泉徴収票が発行・交付されるタイミングがあります。

源泉徴収票が発行されるタイミング

  1. 年末調整の計算後
  2. 退職時
  3. 確定申告時
  4. 収入証明が必要なとき

(1)年末調整の計算後

多くの方はこのタイミングで源泉徴収票をもらうでしょう。年末調整の計算後、12月後半から1月末の間に発行されます。

源泉徴収票は従業員に対する年末調整の「最終報告書」になるため、会社は年末調整の計算が完了したら、源泉徴収票を従業員に発行しなくてはなりません。
また、源泉徴収票は従業員と税務署に1部ずつ、市区町村には2部提出する必要があります。そのため会社は従業員1人に対して、合計で4部の源泉徴収票を発行します。

源泉徴収票の提出先と提出する部数

  • 従業員:1部
  • 税務署:1部
  • 市区町村(給与支払報告書として):2部

税務署に提出する源泉徴収票は、前述の「従業員交付提出用の源泉徴収票」の書式に、マイナンバー(個人番号)を記載する項目が追加されています。

(2)退職時

会社は、退職した従業員に源泉徴収票を発行する義務があります。最後の給与や税金等の金額が決まってから発行になるため、退職から1ヶ月を目安に見ておくとよいでしょう。

このとき源泉徴収票に記載される金額は、退職する年の1月1日から、退職時点までに支払った給与や賞与、納付した所得税に基づきます。
なお、前職の源泉徴収票は、転職先の会社で行われる年末調整に必要です。保管しておき、転職先に自身で提出しましょう。

(3)確定申告時

退職した後に個人事業主になる人もいます。個人事業主は自分で所得を計算し、所得にかかる税金を計算・納税する必要があります。

支払う税額を算出したら、税務署に報告する確定申告を行います。確定申告の際は、前職で交付された源泉徴収票が必要なので大切に保管しましょう。

ちなみに、会社員の場合でも年収が2,000万円を超える場合や、本業以外の副業で所得が20万円超になる場合は、会社員でも確定申告をしなければなりません。

(4)収入証明が必要なとき

自動車や住宅の購入時に高額なローンを組む場合(金融機関などの審査)や、子どもを保育園に入園させる場合には収入証明が必要で、源泉徴収票が収入証明として有効な書類になります。

このように源泉徴収票が必要な際は、その都度会社に交付を依頼しましょう。また、会社を退職した後に再発行を依頼する場合、発行したい年度を伝えるとスムーズにやりとりができるでしょう。

源泉徴収票の見方

ここでは、源泉徴収票の見方について分かりやすく説明します。具体的には「支払金額」「給与所得控除後の金額」「所得控除の額の合計額」「源泉徴収税額」に関して、それぞれ解説していきます。


源泉徴収票の金額
出典:国税庁「令和 年分 給与所得の源泉徴収票」

(1)支払金額

支払金額には、給与や残業代、ボーナス(賞与)のほかにも、各種手当を含めた額面の総額が記載されます。

1月からの1年間に支給された給与の合計額が記載されるので、副業などをしていない場合、記載金額は年収とほぼ等しくなります。ただし以下の2点に注意点しましょう。

非課税扱いの手当に注意

非課税扱いの手当は、支払金額の中に算入してはいけません。非課税扱いとなる手当の中には、通勤費や、出張などで発生した交通滞在費などが含まれます。

前職の源泉徴収票の注意点

会社は年の途中で、他の会社から転職してきた従業員から、前職が発行した源泉徴収票を回収する必要があります。

前職が発行した源泉徴収票から、支払金額や徴収額の情報を得て、その年の支払金額を確定します。もし前職の源泉徴収票を受け取っていない場合は、その従業員に発行してもらうよう依頼する必要があります。

(2)給与所得控除後の金額(調整控除後)

給与所得控除には、控除された金額を記載します。

個人事業主の場合、事業に必要な文房具などの事務用品や交際費などの経費を収入から差し引くことができます。しかし、会社員をはじめとする給与をもらっている人たちの中には、経費が発生しないケースもあります。

これでは不公平となるため、給与所得控除は「会社だけでなく従業員にも必要経費はある」という考えのもと、一定額を経費として年収から差し引くことで、本来支払うべき税金の納付額を安くするという制度です。


給与所得控除の金額はそれぞれの年収(支払金額)によって変動します。

給与所得控除額

給与などの収入金額給与所得控除額
1,625,000円以下550,000円
1,625,000円超1,800,000円以下収入金額×40%-100,000円
1,800,000円超3,600,000円以下収入金額×30%+80,000円
3,600,000円超6,600,000円以下収入金額×20%+440,000円
6,600,000円超8,500,000円以下収入金額×10%+1,100,000円
8,500,000円超1,950,000円(上限)
出典:国税庁「源泉徴収のしかた 令和6年版」

「給与所得控除後の金額」の項目には、収入金額に対して上記の控除額を差し引いた金額が記載されます。

(3)所得控除の額の合計額

「所得控除の額の合計額」には、給与所得控除以外の以下2つの控除の合計額が記載されます。

計算対象期間における毎月の給与計算で控除してきた金額

毎月の給与から天引きされた社会保険料(健康保険料・厚生年金保険料・雇用保険料・企業共済掛金など)の年間合計額が含まれます。年内で転職した場合など、計算対象期間内に前職分が含まれればそちらも合算されます。

年末調整で初めて控除される金額

配偶者控除や基礎控除など、年末調整で初めて記載する控除の合計額です。源泉徴収票の下部には、その内訳が記載されているので確認しましょう。

所得控除の額の合計額に含まれる控除には、以下のようなものがあります。

所得控除一覧

控除の種類概要控除額
雑損控除災害や盗難、横領によって損害を受けた時に適用される以下のいずれか多い方

・(差引損失額)-(総所得金額等)×10%
・(差引損失額のうち災害関連支出の金額)-5万円
医療費控除一定額以上の医療費を支払った場合に適用される
※生計を同じくする配偶者やその他の親族も含まれる
(支払った医療費-保険金などで補填される金額)-10万円

※その年の総所得金額等が200万円未満の人は総所得金額等×5%
社会保険料控除健康保険料や国民年金保険料などの社会保険料を支払った場合に適用される
※生計を同じくする配偶者やその他の親族も含まれる
支払った保険料の合計
小規模企業共済等掛金控除小規模企業共済の掛金を支払った場合に適用される支払った掛金の合計額
生命保険料控除生命保険や介護医療保険、 個人年金保険で、支払った保険料がある場合に適用される一定の方法で計算した金額
(最大12万円)
地震保険料控除地震保険料を支払った場合に適用される一定の方法で計算した金額
(最大5万円)
寄附金控除ふるさと納税や認定NPO法人等に対して寄附をした場合に適用される「寄附金支出合計額」と
「総所得金額等 ×40%」
のいずれか少ない方-2,000円
障害者控除納税者や控除対象配偶者、扶養親族が障害者である場合に適用される一人につき、
・障害者27万円
・特別障害者40万円
・同居特別障害者75万円
寡婦控除その年の12月31日時点で「ひとり親」に該当しない寡婦に適用される
※寡夫控除は、2020年度分より、ひとり親控除に変更
27万円
ひとり親控除納税者がひとり親であるときに適用される
※ひとり親控除は2020年分の所得税から適用
35万円
勤労学生控除学校に行きながら働いている場合に適用される
※ただし、合計所得金額が75万円以下
27万円
配偶者控除配偶者の合計所得金額が48万円以下の場合に適用される
(給与のみの場合は給与収入が103万円以下)
・一般控除対象配偶者は最大38万円
・老人控除対象配偶者は最大48万円
(控除対象配偶者のうち年齢が70歳以上)
配偶者特別控除納税者の合計所得金額が1,000万円以下で、配偶者の合計所得が48万円超133万円以下である場合に適用される配偶者の所得金額によって
最大48万円
※令和2019年分以前は38万円
扶養控除16歳以上の子どもや両親などを扶養している場合に適用される・一般控除対象扶養親族は38万円
・特定扶養親族は63万円
(扶養親族が19歳以上23歳未満)
・老人扶養親族は最大58万円
基礎控除全ての人に適用される所得金額によって最大48万円

出典:国税庁『No.1100 所得控除のあらまし

(4)源泉徴収税額

源泉徴収税額には、1年間で徴収した所得税の合計額が記載されます。源泉徴収税額は「(2)給与所得控除後の金額 -(3)所得控除の合計額」で算出できます。差し引かれた金額が課税対象となる金額となり、この金額に税率を掛けることで所得税の合計額が算出できます。

所得税額の計算式

所得税額 = 所得金額 × 税率 -控除額

源泉徴収税額の税率と控除額は以下を参照してください。

所得税率の速算表

課税対象の所得金額税率控除額
1,000円〜1,949,000円5%0円
1,950,000円〜3,299,000円10%97,500円
3,300,000円〜6,949,000円20%427,500円
6,950,000円〜8,999,000円23%636,000円
9,000,000円〜17,999,000円33%1,536,000円
18,000,000円〜39,999,000円40%2,796,000円
40,000,000円以上45%4,796,000円
出典:国税庁「No.2260 所得税の税率」

源泉徴収税額の合計額を算出する計算式は、下記のようになります。


源泉徴収税額の合計額を算出する計算式

なお、年内に退職した場合、前職の会社から交付される源泉徴収票では②と③が空欄になっています。これは年末調整が行われる前の源泉徴収票のためです。

所得税について詳しく知りたい方は、別記事「所得税の計算方法は?税率・控除についてわかりやすく解説」をご確認ください。

源泉徴収票と給与支払報告書の違い

源泉徴収票は従業員と税務署のほかに、市区町村に2部提出する必要があります。この市区町村に提出する2部の書類を「給与支払報告書」といいます。源泉徴収票は納めた所得税を証明するため税務署へ提出し、給与支払報告書は住民税の計算のために市区町村へ提出する書類です。

源泉徴収票給与支払報告書
提出先税務署市区町村
税金の種類所得税住民税
電子申告サイトe-Tax
(国税電子申告・納税システム)
eLTAX
(地方税ポータルシステム)

給与支払報告書と源泉徴収票のフォーマットはほぼ同じですが、給与支払報告書には「普通徴収」と「特別徴収」を選択する項目があります。住民税は、給与支払報告書に基づいて計算されるようになります。

【関連記事】
給与計算における住民税の計算・更新・納付について解説

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まとめ

改めて源泉徴収票とは、1年間の収入・控除額・納付した所得税額が記載された書類です。確定申告やローンの審査など、源泉徴収票が必要な場面は多いため、大切に保管してください。

また、会社側としても、従業員に代わって納めた所得税の金額が分かる書類です。金額や内訳にミスのないよう注意して源泉徴収票を作成・交付しましょう。

よくある質問

源泉徴収票とは?

源泉徴収票とは、1年間の収入・控除額・納付した所得税額が記載された書類のことです。

給与や賞与、各種手当に加えて、会社が代わりに納めた所得税額、配偶者控除や扶養控除・各種保険料なども記載されています。

詳しい見方については源泉徴収票の見方をご確認ください。

源泉徴収票はいつ届く?

源泉徴収票は主に以下4つのタイミングで交付されます

(1)年末調整の計算後
(2)退職時
(3)確定申告時
(4)収入証明が必要なとき

それぞれの詳細については、源泉徴収票はいつ届く?をご覧ください。

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