人事労務の基礎知識

雇用形態ごとの就業規則(アルバイト・パートタイマー・派遣・契約社員)

雇用形態ごとの就業規則(アルバイト・パートタイマー・派遣・契約社員)

常時10人以上働く事業所では、就業規則の作成の義務があり、アルバイトやパートタイマーも例外ではありません。就業規則を雇用形態別に設ける理由や、アルバイトやパート、契約社員などの就業規則作成のポイントを解説していきます。

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アルバイトやパートタイマー、契約社員用の就業規則は必要?

正社員だけの人数ではなく、アルバイトやパートタイマー、契約社員を含めて、常時10人以上の従業員を雇用している事業所では、就業規則を作成したうえで、労働基準監督署に届け出る義務があります。

正社員以外にアルバイトやパートタイマー、契約社員として雇用している人がいても、就業規則が一種類の場合、すべての労働条件について、正社員と同じものが適用されます。たとえば、アルバイトの雇用契約書で「退職金は支給しない」と規定していても、労働契約よりも就業規則が優先されるため、就業規則の退職金に関する規定が適用されるのです。

そのため、雇用形態に応じて労働条件が異なる場合には、アルバイトやパートタイマー用、契約社員用といったように雇用形態別に就業規則を作成する必要があります。

あるいは就業規則は一種類とし、「退職金に関する規定は、アルバイトやパートタイマー、契約社員には適用しない」といった文言を入れる方法もとれます。ただし、労働条件の違いが大きい場合には、一種類の就業規則で網羅するとわかりづらくなるため、雇用形態別に就業規則をつくることが望まれます。

アルバイト・パートタイマーを雇った場合の就業規則

アルバイトやパートタイマーの就業規則も、絶対的記載事項や相対的記載事項は正社員と同じです。アルバイトやパートタイマーも、労働日数によっては有給休暇を付与しますので、有給の算出方法について、就業規則で定めておくことが必要です。1日8時間、週40時間の法定労働時間を超えたときには、割増賃金で時間外手当を支給し、休日手当や深夜手当も対象となります。

短時間労働であっても、週に1回は法定休日を設けることが必要であり、休日手当の対象となるだけではなく、労働者の過半数の代表者と協定を結ばなければ、働かせることができません。

他方、アルバイトやパートタイマーでは、無断欠勤が問題になることが多く、減給といった処置がとられることもあります。欠勤分の賃金を控除することは問題ありませんが、無断で休んだことのペナルティとして減給を行う場合には、就業規則に「減給の制裁」として規定を設けておくことが必要です。

減給は1回あたり1日の賃金の半分以下で、減給の総額は支払額の10分の1を超えない範囲内と限度額が定められています。

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契約社員を雇った場合の就業規則

契約社員という名称は法律上にはありませんが、フルタイム有期契約者という位置づけになります。契約社員も絶対的記載事項や相対的記載事項は同じですが、5年以上経過後の無期契約への転換に留意するとともに、正社員と比較して不合理な労働条件とならないように配慮する必要があります。

無期契約への転換を就業規則に盛り込む

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引用元:厚生労働省


平成25年4月の改正労働契約法の施行後から、契約の更新が5年を超えて繰り返された場合、労働者からの申し込みによって、無期契約に転換することが義務付けられました。平成30年4月以降は、法律の規定に沿って無期契約に転換する契約社員が現れることになります。
希望者は5年を超えて契約が更新された場合、無期契約に転換できるためので、その旨を就業規則に明記することが望まれます。また、有期の契約社員から無期契約に切り替わった後に適用される就業規則を明らかにしておきましょう。

正社員への転換制度

平成25年4月の労働契約法の改正によって、5年以上契約を更新した有期契約の社員は、労働条件は変わらない状態で労働契約を無期契約に転換できるようになりました。法改正は平成25年でしたが、法改正前から契約社員から正社員への転換制度を設けていた企業もあります。
また、5年経過する時点で、優秀な人材は正社員や限定社員に転換できる制度をつくるケースもあります。契約社員から正社員への転換制度を設ける場合は、どの時点を対象としたものか、また、転換基準を明確にしておきましょう。

不利益な労働条件の禁止

労働契約法第20条では、有期契約者に対して、正社員などの無期契約者と不合理に労働条件に差をつけることを禁止しています。仕事の内容や責任の度合いに差がない場合には、正社員と同等の賃金水準にする必要があります。

派遣社員を雇う場合は派遣元の就業規則が適用

派遣社員は派遣先企業の指揮命令下にありますが、雇用関係はないため、就業規則は適用されません。雇用主である派遣元企業の就業規則が適用されることになります。派遣先企業では、業務上の指導や注意は行えますが、就業規則で懲戒処分の規定を設けていても、派遣社員を処分することはできません。

しかし、派遣社員に対しても、服務規律規定の順守を促し、秘密漏洩の防止するための策を講じる必要があります。そこで、派遣元企業との派遣契約内容に服務規律規定や秘密漏洩防止に関する条項を入れて、契約違反にあたる行為があったときには、派遣社員の交代を求めることができるようにしておく方法などが有効です。
また、派遣元会社側も就業条件明示書にも、こうした規定を入れて派遣社員に提示しておくことが望まれます。

まとめ

就業規則は雇用形態別に設けておくことで、雇用契約書との相違からトラブルに発展する可能性を防ぐことができます。平成30年4月以降は無期契約に転換した契約社員が誕生する可能性があることも念頭においておきましょう。

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