給料の振り込み時間の決まりや、給料日が休日の場合はいつ振り込まれるかを本記事では解説しています。また、振り込み額が正しくなかった場合の対処法も紹介します。
給料の振り込みに疑問がある方はもちろん、企業で給料の支払いに関わる人事労務や経理担当者、経営者の方も参考にしてください。
目次
給料の振り込みが行われるのはいつ?
労働基準法では給料の支払方法に対する原則は定められていますが、振り込み時間までは明確に定められていません。
ここでは、給料振り込みの時間や日にちについて、労働基準法で定められている賃金支払いの原則をもとに解説します。
振り込まれる時間はいつ?
給料の振り込みは原則、所定支払日(給料日)の午前10時までに引き出せる状態にするとされていますが、時間を過ぎても罰則はありません。
また、時間を過ぎてから振り込まれたり、時間になっても引き出せない状態だったりしても、お勤め先の対応に問題があるとは言い切れません。
金融機関側のトラブルが原因で、振り込みが反映されるまでに時間を要する場合も考えられます。
従業員の多い企業なら、給料の振り込みをまとめて依頼できる、銀行のサービスを使うケースもあります。
まとめて振り込み依頼をすれば、従業員ごとに異なる銀行口座に対して1件ずつ振り込みの手続きをせずに済み、振込日を指定して事前に処理が可能です。事前に手続きをしておくと、金融機関によっては給料日0時の時点でお金が振り込まれます。
従業員の少ない企業では、経営者や経理担当者などが金融機関まで足を運び、給料日に振り込むケースも想定できます。
その場合は給料日当日に担当者が対応する必要があるため、金融機関の営業開始と同時に手続きを始めても午前10時までに間にあわないことが想定されます。
給料日が土日祝日だといつ振り込まれる?
給料日が土日や祝日だった場合は、前倒しして直近の平日に振り込まれるケースが多いでしょう。
ただし、厳格にルール化されているわけではないため、お勤め先によっては休み明けに振り込みとなる場合もあります。給料日が土日祝日であれば、休み明けに支払っても違法にはあたらないためです。
ただし、給料支払い日が月末日に設定されている場合は、翌営業日の支払いにはできません。
給料日が休日だった場合の振り込みは前倒しされるのか、休み明けになるのかが気になる場合は、就業規則や給与支払規定、労働条件通知書や雇用契約書などで確認できます。
また、給料の振り込み日がいつになるか、従業員を不安にさせないためにも、事前の周知が大切です。
給料の振り込みが正しく行われなかった場合の対処法
給料が正しく振り込まれていないケースを想定し、ケースごとの対処方法を解説します。
給料日に振り込まれていなかった場合
給料日に給料が振り込まれていなかった場合、まずは人事労務や経理、経営者などの担当者への確認が大切です。
お勤め先のミスで振り込まれない場合だけではなく、システム障害や金融機関に何らかのトラブルがあって、振り込みが反映されていない場合も考えられます。
なお、指定された給料日に給料を支払わなかった場合、労働基準法に違反します。特別な理由なく、給料の支払い遅延が常態化しているなど、悪質な場合は労働基準監督署への相談も検討してください。
また、給料日に振り込みできなかった企業は早急に改善するとともに、原因を突き止めて再発させない取り組みが重要です。
振り込まれた金額に相違がある場合
振り込まれた給料の金額に相違がある場合も、振り込まれていなかった場合と同様に、経理担当者や経営者への確認が必要です。
振り込まれる給料の金額が間違っている場合もありますが、昇給・昇進による給料アップや手当の有無、残業時間の増減、天引きされる税金・社会保険料の変動によっても振込額は変わるため、毎月振り込まれる金額は同じとは限りません。
もし、お勤め先の不備で振り込み金額が多かった場合、過剰に受け取った分は返還する必要があるため、勝手に使ってはいけません。
民法では、他者の誤りによって得た利益を不当利益であるとし、返還義務を定めています。そのため、従業員には多く受け取ってしまった給料を返還する義務が生じます。さらに、多いと知りながらも使ってしまった場合には、利息を付けて返還しなければならない旨も定められています。
お勤め先の誤りで振り込まれた金額が不当に少なかった場合は、不足分を請求できます。労働基準法では、賃金は全額一定の期日を定めて支払わなければならないとされ、翌月の給料を支払う際に補填する方法では法令が守られません。お勤め先と話し合い、速やかに不足分の支払いをしてもらう必要があります。
給与計算は複雑な計算を伴うため、人為的なミスも起こりやすい業務です。企業側は支払うべき給料の金額を間違わないよう、労務管理や給与計算システムの導入も検討が必要です。
振り込みに関する間違いに対応してもらえない場合
給料日に振り込みがない場合や、振り込まれた金額が少ないにもかかわらず対応してもらえない場合は、労働基準監督署へ相談しましょう。
給料未払いなどの法令違反をしている会社に対して、行政指導を行なって是正を促す働きかけをしてくれます。
相談時にはタイムカードや入金記録、給与明細など、給料が正しく支払われていない根拠となる資料を添えると、話を進めやすくなります。
また、お勤め先へ内容証明郵便を送り、未払分の請求をする方法も有効です。通常の郵便ではいつ届いたか、誰が受け取ったかが証明できず、文書を送ってもうやむやになる可能性があります。
しかし、内容証明郵便はいつ・どんな内容で・誰から誰に出したかが記録され、送付した事実を証明できる手段のため、「届いていない」「請求された事実がない」などの言い逃れができません。
未払分を請求した事実の証明になり、お勤め先が対応しなければ、適切に対処されなかったと主張できます。
こんなときどうなる?給料振り込みで知っておきたいこと
給料振り込みに関して知っておきたい事柄をケース別に解説します。
給料の振り込みを早めてほしい
非常時に該当する場合は、給料の振り込みを早められます。労働基準法では、非常時に該当する場合、雇用者は労働者に対し給料日前でも給料を支払わなければならないとされているためです。
ただし、単純にお金のやり繰りに失敗した場合などは非常時にあたらないので注意しましょう。
非常時に該当するのは出産、疾病、災害、その他の非常時とされ、詳細は労働基準法施行規則第9条に定義されています。
給料を受け取る口座を変えたい
給料を受け取る銀行口座は任意で選択ます。労働基準法施行規則において労働者が指定する銀行への振り込みが可能と定められているため、お勤め先が指定する口座からの変更も可能です。
同じ金融機関・支店の口座なら支払処理を簡略化したり、振込手数料を節約したりできます。そのため給料の振り込み先口座の金融機関や支店が指定されている場合がありますが、あくまでもお勤め先の都合であり、給料の振り込み先口座を変更できないわけではありません。
ただし、給料日直前では振り込み手続きが終わっていて、口座を変えられない場合があります。口座を変更したい場合は、給料の支払いを担当する部署に確認し、早めに必要な手続きを行いましょう。
給料が振り込まれる前に退職した
給料が振り込まれる前に退職日を迎えても、勤務していた期間分の給料は支払われます。
たとえば、月末締め翌10日払いの企業を月末退職の場合、特に何もしなければ翌月10日に最後の給料が振り込まれます。
ただし、労働基準法では退職した従業員から請求された場合は7日以内に給料を支払わなければならないと定められているため、すぐに請求すれば翌月7日までに最後の給料を受け取れます。
10日締め20日払いの企業を15日に退職した場合、締め日を過ぎてからの11日~15日までの給料は、月給制の場合、日割り計算されて振り込まれます。
なお、月の給料をその月の暦日数で割って退職日までの在籍日数を掛けるのか、該当月の所定労働日に対する実際の勤務割合で計算するかなど、日割り計算する方法はお勤め先ごとに異なります。
この場合も、特に何もしなければ翌月20日に最後の給料が振り込まれますが、すぐに請求すれば月をまたがずに受け取りできる場合があります。
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まとめ
給料は「給料日当日の午前10時までに引き出せる状態にする」と推奨されていますが、時間を過ぎても罰則はありません。厳格なルールが定められているわけではないため、当日0時時点で振り込まれる場合もあれば、午前10時を過ぎる場合もあり、お勤め先によって対応が異なります。
給料日が休日になる場合は、前倒しして振り込まれるケースが多いですが、お勤め先によっては休み明けになることも考えられます。
もしも給料日に振り込まれなかったり、金額が間違っていたりした場合、まずはお勤め先へ確認してください。確認しても適切に対処してもらえないなら、労働基準監督署へ相談するなど、しかるべき対応を取りましょう。
また、企業側も給料の振り込みに関する従業員の疑問や不安を解消するため、規則の周知やミスの起きない管理体制、システム作りが重要です。
よくある質問
給料の振り込み時間はいつ?
給料の振り込みは原則、「所定支払日(給料日)の午前10時までに引き出せる状態にする」と推奨されていますが、実態はお勤め先の体制により異なります。
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