組織図とは、企業をはじめとする組織の内部構造を図式化し、客観的に可視化したものです。

組織図には階層型やフラット型などの種類があり、従業員や部門・部署同士の相互理解を深めたり、指揮・命令系統を明確にしたりする目的があります。また、企業の信頼を高めるために、組織の外部に向けて内部構造を明示する際にも組織図が役立ちます。

本記事では、組織図の種類や作り方に加え、作成に使えるツールや具体例なども解説します。

• 組織図とは
• 組織図の目的
• 組織図を作成するメリット
• 指揮・命令系統を明確にできる
• 集中しすぎた権限の適切な分配ができる
• 従業員同士の相互理解を深める
• 株主や投資先に会社の健全性をアピールできる
• 組織図の種類と特徴
• 階層型（ピラミッド型）組織図
• フラット型組織図
• マトリックス型組織図
• 組織図の作り方
• STEP1：目的と対象範囲を定義する
• STEP2：必要な情報を収集する
• STEP3：組織図の種類を決定し作成する
• STEP4：更新・管理を仕組み化
• 組織図の作成におすすめのツール
• MicrosoftのSmartArt機能
• Googleスプレッドシート
• 人材管理システム
• Canvaでデザインして作成する
• 組織図の具体例
• MicrosoftのSmartArt機能
• Googleスプレッドシートで作成した組織図
• 組織図を作成する際の注意点
• 活用の目的を明確にする
• 変更時に対応しやすいレイアウトにする
• 更新の担当者と時期を定める
• まとめ
• freee人事労務では組織図を無料で作成することができます
• 誰でも簡単！ 自動で組織図を作成
• 入退社情報と連携し、常に最新の状態を保てる
• よくある質問

組織図とは、企業をはじめとする組織の内部構造を体系的に図式化したものです。部署や部門の相互関係や、指揮・命令系統がひと目でわかるように構成されています。

組織図は、企業内の部署配置や部署同士の関係のみを示すものもあれば、従業員の氏名や連絡先・顔写真といったパーソナルな情報が含まれる場合もあります。

組織図は目的に応じて、内部向けと外部向けに分けられます。内部向けの役割は、従業員に組織内で自身が所属する部署の役割や指示体系を認識・確認してもらうことです。

外部向けは、関係者（投資家・株主・取引先）に会社組織の骨組み・経営の健全性を示せます。外部向けの組織図は、部署・部門単位で記載することが一般的です。

組織図は組織構造を把握するためだけのものではありません。作成することで以下のようなさまざまなメリットが得られます。

組織図の作成によって業務における指揮・命令系統を明示することで、責任者を客観的に判断できます。

プロジェクトで問題が起きた際、誰に指示を仰げばよいのかがすぐに確認できるため、現場の混乱を防げるでしょう。組織構造が複雑であるほど、組織図があると大きなメリットを感じられます。

組織図を作成する過程では、指揮・命令系統を具体的に記載することになり、権限の集中を把握して適切に分散することが可能です。

また「部署ごとに業務の偏りが生じていないか」「似たような業務を行う部署が複数できていないか」など、社内の状況を把握しやすくなります。

組織図は、部署や従業員の担当業務の把握に利用できます。そのため、従業員同士で役割の理解が深まり、コミュニケーションを取りやすくなります。

これにより、部署や部門間の情報共有がスムーズになり、問題の早期発見や早期解決につながることもあるでしょう。

外部向けの組織図のメリットとして、株主や投資先に会社の健全性をアピールできることが挙げられます。

この理由から、一部の上場企業ではコーポレートサイトなどで組織図を掲載しています。たとえば、監査役・監査等委員会を組織図に明記すれば、社内の不正に関してチェック機能を有していると外部に示すことが可能です。

組織図には、大きく分けて以下の3つの種類があります。

どの組織図を作成するかは、組織体制によって判断します。組織図の作成にあわせて組織編成そのものを見直す場合には、それぞれのメリットやデメリット、特徴を理解しておくことが大切です。

階層型（ピラミッド型）組織図とは、ひとつの組織やグループを頂点に置き、その配下に各組織・グループを配置するように構成したものです。

通常、頂点には取締役会や株主総会、代表取締役などを置き、その配下に営業・マーケティング・人事などの事業部を記載します。この場合の組織図を「事業部制型」とも呼びます。

階層型の組織は指揮命令系統が縦割りであるため、責任の所在が明確になりやすい点がメリットです。

一方で、階層が増えると情報伝達に時間がかかるだけでなく、現場レベルの意見が上層部に伝わりにくいといったデメリットもあります。

フラット型組織図は、上下に多くの階層を持たない組織図です。

多くの階層を持つピラミッド型と対比する形でフラット型組織図と呼ばれ、営業部や製造部、総務部など機能別に編成されていると「機能別型」とも呼ばれます。指示体系を細かく定めず、グループや従業員ごとに裁量権を与えている小規模な組織に適しています。

フラット型の組織は上層部から現場レベルまでの階層が少ないため、迅速で正確な意思決定・情報伝達が可能です。一方で、一人あたりの責任の範囲が広く、負担も大きくなる点に注意しましょう。

マトリックス型組織図とは、職能・部門・エリア・プロダクトなど複数の要素を組み合わせて構成されたものです。

たとえば、事業ごとに営業担当やマーケティング担当が異なる場合であれば、マトリックス型の組織図を採用するのが望ましいでしょう。

仮に縦軸に部門、横軸にプロダクトを配置した場合、特定の個人・グループは2つの系列に属することになります（Aプロダクト担当の営業、Cプロダクト担当のマーケティングなど）。

マトリックス型の組織は職能や部門をまたいでプロジェクトを進行するため、新たな発想が生まれやすく、従業員同士のコミュニケーション促進につながる点がメリットです。ただし、指揮命令系統がひとつではないため、責任の所在が不明確になりやすい点に気をつけましょう。

組織図の作成手順は以下のとおりです。

組織図の作成そのものは、ツールを用いることで簡単に作成できます。しかし、目的に合った組織図を作成するためには、具体的な目的の把握や丁寧な計画が必要です。

まず、作成する組織図が内部向けなのか、外部向けなのかを明確にします。前述した内部向け・外部向けの役割を理解したうえで、組織図を作る目的を決定しましょう。

次に「組織図に含める対象は自社のみ、もしくはグループ会社も含めるのか」「部署・部門ごとに作成するのか、従業員単位の情報も含めるのか」など、組織図に含める情報の範囲を定義します。

組織図に従業員の個人情報を含める場合には、目的に応じて必要な範囲の従業員の写真・連絡先情報などを収集します。

この際、組織外の顧問など外部の個人情報を掲載する場合には、トラブルを防ぐために事前に個人情報の取り扱いに関する同意を得ることが必要です。

「組織図の種類と特徴」で紹介した「階層型（ピラミッド型）組織図」「フラット型組織図」「マトリックス型組織図」のうち、どの形式を選択するか決定します。自社の組織体制に合ったものを選びましょう。

その後、決定した組織図の種類を作成ツールにて選択し、人事データを落とし込んで完成させます。

組織図作成ツールについての詳細は記事内「組織図の作成におすすめのツール」をご覧ください。

組織図を作成した後も体制変更や人事異動に対応するため、定期的な情報の更新が必要です。そのため、組織図を継続的に更新するための仕組み作りが重要です。

「誰が・どのタイミングで・どのような変更を加えるか」といった更新フローを明確にすることで、常に組織図を最新の状態に保てます。

共同編集機能やクラウド上で変更ができるツール・システムを活用すれば、必要に応じて更新作業ができます。しかし、管理者・担当者以外の過失または故意による変更を防止するため、管理者や担当者以外が編集できないように編集権限を設定しておきましょう。

組織図作成に活用できるおすすめのツールを紹介します。

無料ツールを使って組織図を作成することも可能ですが、機能や表示方法に制限があるケースもあるため、作成前に必要な機能を確認しておきましょう。

Microsoft Officeのソフト「PowerPoint」「Word」「Excel」に搭載されている「SmartArt（スマートアート）」という機能を利用することで、組織図を作成できます。

「SmartArt（スマートアート）」はビジネスシーンで使われる図を作成するのに適したツールです。図形に文字を追加したり、デザインや色を変更したりすることができます。

組織図の作成手順は以下のとおりです。

組織図の項目が多い場合は作成業務が煩雑になる可能性があるため、後述の人材管理システムを使用することが望ましいでしょう。

Googleスプレッドシートは、ブラウザ上で利用できるGoogleの表計算ソフトです。Googleアカウントを持っていれば無料で利用することができます。また、離れた場所にいても複数のユーザーが同時にアクセスして編集できることも特徴のひとつです。

このソフトに搭載されているグラフ機能を使用して組織図を作成することができます。

作成手順は以下のとおりです。

Googleスプレッドシート上で表を作成しておけば、組織図そのものは表を反映させるだけで作成できます。人事情報を作成している表があれば、それらを流用することも可能です。

人材管理システムも組織図の作成において便利なツールです。

人材管理システムとは、従業員の名簿管理業務の自動化や、人材情報をデータベースで一括管理し、人材管理を効率的に行うためのシステムを指します。

組織図の作成も人材管理システムで自動化することで、今まで人材管理の業務にかけていた時間を短縮できます。

組織図の作成方法はそのシステムによって異なります。一般的には、組織図作成機能を持つ人材管理システムで「組織図」の項目を選択し、希望する項目や種類を選択するだけで簡単に作成できます。

システムやサービスによっては、STEP2で紹介した従業員の個人情報の調査・収集、管理機能を持つものもあります。

freee人事労務では、部門・役職設定が適切に行われていれば、自動的に組織図を作成することが可能です。

Canvaはオンラインで簡単にグラフィックデザインやビジュアルコンテンツを作成できる無料でも使えるツールです。デザイン性の高いテンプレートが豊富に用意されており、自由に画像やテキストを追加・編集できます。

また、前述したGoogleスプレッドシート同様、複数のユーザーが同時にデザインを編集できる機能もあります。

Canvaで組織図を作成する手順は以下のとおりです。

Canvaでは簡単に画像やイラストを挿入できます。従業員の顔写真やアイコンを追加すると、わかりやすい組織図を作成できるでしょう。

実際にMicrosoftのSmartArt機能とGoogleスプレッドシートで作成した組織図を紹介します。

SmartArt機能には「組織図」というテンプレートが用意されているため、効率的に作成できます。選択した色味で表示が統一され、色の組み合わせを考える必要もありません。

また「氏名/役職名付き組織図」や枠の形が異なるテンプレートがあり、目的に沿った組織図を手軽に作成できるのも嬉しいポイントです。

Googleスプレッドシートで組織図を作成する場合は、上司と部下の関係を明確に示すため、階層が一目で理解できるようにしましょう。組織の上層部にあたる役職を上から順に記載し、並列の役職などは並列に記載するなど、工夫をすると誤解が生まれません。

また、各部門の役割を記載する場合は簡潔な記述にします。見やすさを損なわずに必要な情報を提供することが重要です。

その他、図形や色を統一することも見やすい組織図を作るポイントです。

作成してもうまく活用できないという事態を避けるために、組織図を作る際の注意点を3つ紹介します。

組織図を作成する際は、目的を明確にしましょう。目的が定まっていない状態で作成すると、組織図の活用の仕方がわからず作って終わりになってしまいます。

たとえば、内部向けに従業員同士の相互理解を目的とするならば顔写真を載せた方が効果的です。一方で外部向けに組織構造を示すことが目的であれば、部署単位で作成する方が見やすくなるでしょう。

組織図の目的によって最適な仕様は変わるため、最初に明確にすることがおすすめです。

作成時点のみならず、将来的な組織構造の変化も考慮したレイアウトで作りましょう。

特に組織が成長段階にある場合、部や課などの追加が考えられます。また、ピラミッド型からフラット型のように大きく構造が変わる可能性もあります。どの場合にも対応できるレイアウトで組織図を作成しておくと安心です。

せっかく組織図を作成しても、定期的に更新しなければ、実際の組織構造と作成した組織図に差異が生じる可能性があります。

もし外部向けに組織図を作成していた場合、情報にずれがあると株主や投資家からの信頼に影響を与えるかもしれません。内部向けであっても、余計なコミュニケーションコストがかかることが考えられるでしょう。

組織図を作成したら「誰が・どの頻度で」更新するのかも決めておくことが大切です。

組織図は、内部向けに従業員や部門・部署同士の相互理解を深めたり、指揮・命令系統を明確にしたりといった役割を担っています。

また、外部向けに組織の内部構造を発信することで、自社の健全性をアピールすることにもつながります。このようなメリットを得るためには、自社の組織構造を正確に把握し、適切な種類の組織図を作成しておくことが必要です。

PowerPointやGoogleスプレッドシートなどで手軽に作成できる一方、扱う情報が多い場合は管理・更新に手間がかかります。手入力での作成や管理にかかる負担が大きい場合は、人材管理システムを活用して効率的に組織図を作成しましょう。

freee人事労務は、税金や社会保険の知識がなくても簡単に扱うことができる給与計算ソフトですが、組織図の作成にも対応しています（組織図の作成機能は無料です）。

freee人事労務で、部門や役職を設定し、各従業員に部門を付与していると、自動で組織図を作成できます。また、組織図は顔写真も合わせて確認することが可能です。組織図の作成は、無料プランを含む全てのプランで利用が可能です。（※ツリー表示はエンタープライズプランのみ有効）

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組織図とは、企業をはじめとする組織の内部構造を体系的に図式化したものです。企業内の部署配置や部署同士の関係のみを示すものもあれば、従業員の氏名や連絡先・顔写真といったパーソナルな情報が含まれるものもあります。

詳しくは記事内「組織図とは」で解説しています。

組織図は次の手順で作成します。

1. 目的と対象範囲を定義する
2. 必要な情報を収集する
3. 作図に使用するツールと表示方法を決定し、作成する
4. 更新・管理を仕組み化

詳しくは記事内「組織図の作り方」で解説しています。