国民年金の保険料は原則20歳~60歳まで支払いますが、厚生年金は60歳以降も支払います。本記事では保険料の支払いや支給額を解説します。
また、国民年金の納付期間延長が検討され、厚生年金保険の適用範囲も拡大されました。公的年金制度を今後も継続させるべく制度の見直しがされているため、現在の制度からどのように変わるのか動向に注意しましょう。
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目次
年金制度の仕組み
日本の年金制度は、国民年金、厚生年金、私的年金の3階建て構造です。
被保険者は第1号~第3号被保険者に分けられています。
年金制度の被保険者の種別
● 第1号被保険者:自営業(フリーランス)や学生● 第2号被保険者:会社員や公務員など
● 第3号被保険者:第2号被保険者の被扶養配偶者
年金制度の3階部分は、私的年金保険としてiDeCo(個人型確定拠出年金)・企業型確定拠出年金・確定給付年金・厚生年金基金があります。
第1号被保険者は3階部分で、年金の上乗せを準備することも可能です。
国民年金の保険料と支給額
国民年金の保険料は原則として、20歳~60歳まで支払わなくてはならず、2024年度の保険料は月16,980円です。また、2024年度の新規裁定者(68歳到達年度前の受給権者)が受け取れる老齢基礎年金は、満額で月額68,000円です。
国民年金の保険料はいつまで支払う?
国民年金の保険料は第1号被保険者・第3号被保険者の場合、原則20歳~60歳までの40年間、支払いが義務づけられています。
また受給額の増額や受給資格が得られる保険料の支払期間を満たすため、60歳以降~65歳未満までは任意加入での支払継続も可能です。
国民年金の保険料はいくら支払う?
国民年金の保険料は年度ごとに調整されているため、一律の金額ではありません。2023年度の保険料は月16,520円でしたが、2024年度は月16,980円です。
なお国民年金の保険料に月額400円の付加保険料を上乗せして納付すると、将来受け取れる金額を増やせます。
保険料は納付書を使って金融機関やコンビニなどから支払う以外に、口座振替やクレジットカード払いも可能です。一定期間分をまとめて前納すると、保険料が割引されます。
国民年金はいくらもらえる?
国民年金の老齢年金で受け取れる金額は、人口や所得水準などから調整されるため、一律で将来いくらもらえるとは決まっていません。
2023年度の新規裁定者(68歳到達年度前の受給権者)が受け取れる老齢基礎年金は、満額で月額66,250円です。
年度 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | 2024年度 |
国民年金受給額(満額) | 65,075円/月 | 64,816円/月 | 66,250円/月 | 68,000円/月 |
受給額は保険料を納めた期間も反映されるため、納付していない期間がある場合、受給額は減少します。
第1号被保険者と任意加入被保険者であれば、付加年金が利用可能です。毎月400円の付加保険料を納めると、老齢基礎年金の年額に上乗せされた金額が受け取れます。
ただし付加年金に加入している人は、国民年金基金に加入できません。
厚生年金の保険料と支給額
厚生年金の保険料は、60歳を過ぎても企業に勤めていて加入資格があるなら、70歳到達まで支払います。ただし、保険料と支給額は、収入によって異なります。
厚生年金の保険料はいつまで支払う?
厚生年金の保険料は、60歳を過ぎても企業に勤めていて加入資格があるなら、70歳到達まで支払います。70歳になると加入資格を失うため、保険料の支払いはありません。
ただし、要件を満たす人が70歳を過ぎても企業で勤める場合は、任意で厚生年金保険への加入が可能です。
厚生年金の加入資格や保険料などについて詳しく知りたい方は、「厚生年金とは?総まとめ!制度と計算方法を分かりやすく解説」をご覧ください。
厚生年金の保険料はいくら支払う?
厚生年金の保険料は、収入によって支払う金額が変化します。
厚生年金保険料の計算式は以下の通りです。
厚生年金はいくらもらえる?
老齢厚生年金がもらえるのは原則65歳からです。受給額は厚生年金に加入していた期間と報酬額に応じて、支払っていた保険料の金額で変化します。また、厚生年金へ加入していた期間がないと受け取れません。
国民年金を含めた老齢厚生年金の平均受給月額は、以下の通りです。
年度 | 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 |
厚生年金平均受給額(※) | 144,268円/月 | 144,366円/月 | 143,965円/月 |
なお厚生年金の受給額は、以下の計算式で算出します。
平均標準報酬月額(※1) × 7.125 ÷ 1000 × 2003年3月以前の加入期間月数
【B:報酬比例部分(2003年4月以降の加入期間分)】
平均標準報酬額(※2) × 5.481 ÷ 1000 × 2003年4月以降の加入期間月数
※2平均標準報酬額:各月の標準報酬月額と標準賞与額の総額を2003年4月以降の加入期間で割って算出した額
就業をやめる年齢によって厚生年金はどう変わる?
65歳・70歳まで勤務を続けて厚生年金へ加入した場合、60歳で定年退職するよりも5年(60ヶ月)~10年(120ヶ月)長く保険料を支払います。
加入期間が長くなる分、老齢厚生年金を計算する際の報酬比例部分が増え、受け取れる年金額が増加します。
仮に平均標準報酬額が30万円で、65歳・70歳まで厚生年金へ加入した場合、増額する金額は以下です。
30万円 × 5.481 ÷ 1,000 × 60ヶ月 = 98,658円
【70歳まで加入した場合の報酬比例部分の増額分】
30万円 × 5.481 ÷ 1,000 × 120ヶ月 = 197,316円
職老齢年金が停止されるケース
● 年金を受け取りながら70歳未満で企業に勤めて厚生年金へ加入する場合● 70歳以上で厚生年金の適用事業所に勤める場合
基本月額は、加給年金額を除いた老齢厚生年金の月額です。総報酬月額相当額は、その月の標準報酬額に、その月以前1年間の標準賞与額の合計を12で割った金額を足して求めます。
(その月の標準報酬月額)+(その月以前1年間の標準賞与額の合計)÷ 12
基本月額 -(基本月額 + 総報酬月額相当額 - 48万円)÷ 2
国民年金保険料の納付期間延長が検討されている
国民年金の保険料を納める期間は、現在20歳から60歳までの40年間です。
公的年金制度の財源は5年ごとに、今後予想される物価や人口推移、平均寿命などから検証されています。そのなかで現在の制度から納付期間を5年延長し、65歳までの45年間とするかの検討もなされています。
少子高齢化が進行し、労働人口が減少するなかでは高齢者も重要な働き手です。健康寿命も延び、以前よりも長く働ける社会に変化している観点からも、従来の制度の見直しが必要です。
年金制度の財源を確保しながら制度を継続させるため、国民年金保険料の納付期間の延長が検討されています。
厚生年金保険の適用範囲も拡大される
国民年金保険料の納付期間延長が検討されているだけでなく、厚生年金保険の適用範囲も拡大されています。
2016年から従業員数501人以上の企業では正社員だけでなく、要件を満たすパート・アルバイト従業員も、厚生年金保険の加入対象になりました。
また、2024年10月からは従業員数51人以上の企業でも、要件を満たすパート・アルバイトが適用対象になりました。
適用対象に該当するパート・アルバイト従業員の条件は、以下の通りです。
パート・アルバイト 厚生年金保険の適用要件
● 2ヶ月を超える雇用期間が見込まれる● 週20時間以上の所定労働に就く
● 月額賃金88,000円以上(年収換算約106万円以上)受け取る
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まとめ
国民年金の保険料は原則、20歳~60歳までの40年間支払い、会社員や公務員などで厚生年金に加入する場合は、70歳まで保険料を支払います。
国民年金は任意加入で65歳まで支払い続けることができ、保険料を支払う期間が長いほど、受給額も多くなります。
一方で、保険料を納付していない期間がある場合などは、受給額も少なくなるため注意しましょう。
国民年金の保険料は年度ごとに納付額が決まり、支払義務のある人は一律の金額を納めます。
少子高齢化や労働人口の減少により、国民年金保険の納付期間延長が検討され、社会保険の適用範囲は拡大されました。
制度が変われば、年金保険料や受給額なども変わる可能性があります。今後どのように変わっていくのか注目しましょう。
よくある質問
国民年金保険料はいつまで支払う?
国民年金保険料の支払いは、原則60歳までです。
国民健康保険料をいつまで支払うか、詳しく知りたい方は「国民年金の保険料はいつまで支払う?」をご覧下さい。
厚生年金保険料はいつまで支払う?
厚生年金保険料の支払いは、加入資格があるなら70歳までです。
厚生年金保険料をいつまで支払うか、詳しく知りたい方は「厚生年金の保険料はいつまで支払う?」をご覧下さい。