
BPOサービスとは、企業の業務の一部を外部に委託するサービスを提供する企業、およびそのサービスを指します。
本記事では、BPOサービスのメリットやデメリット、BPOサービスの選び方について詳しく解説します。
目次
BPOとは
BPOとは、ビジネス・プロセス・アウトソーシングの略称で、企業の業務の一部を外部の専門事業者に委託することです。総務、人事、経理などの管理部門から、コールセンターやデータ入力などの業務まで、幅広い業務が対象となります。
BPOの主な目的は、業務の効率化とコスト削減です。専門性の高い事業者に業務を委託することで、自社で人員を抱えるよりも効率的に業務を遂行でき、コストを抑えることが可能となります。また、自社の社員はコア業務に専念できるようになり、生産性の向上にもつながるでしょう。
近年では、単なるコスト削減だけでなく、業務プロセスの見直しや品質向上を目的としたBPO活用も増えています。さらに、専門事業者の持つ高度な技術やノウハウを活用することで、自社の競争力強化につなげることも可能です。
BPOサービスとは
BPOサービスとは、企業の業務プロセスの一部を外部の専門企業が請け負い、代行するサービスのことです。業務効率化やコスト削減、専門性の活用などを目的に利用されます。
BPOサービスで委託可能な業務は、経理、人事、総務などのバックオフィス業務から、コールセンターやヘルプデスク、データ入力、営業支援など、多岐にわたります。また、近年ではIT関連業務を委託するITアウトソーシングもBPOの一環として捉えられることが多くなりました。
BPOサービス事業者は、単に業務を代行するだけでなく、業務プロセスの分析や改善提案を行うことで、クライアント企業の業務効率化を支援しています。委託側は、自社のリソースをコア業務に集中させることで、生産性向上や競争力強化を図ることが可能です。
サービスの利用形態としては、業務の一部を委託する「個別型」と、複数の業務を包括的に委託する「包括型」があります。
BPOサービスのメリット
BPOサービスを利用するメリットは主に以下4点です。
BPOサービスのメリット
- コスト削減
- 業務品質の向上
- コア業務への集中
- 最新技術や専門知識の活用
コスト削減
BPOサービスを導入することで、人件費や設備投資などのコストを削減できます。
自社で業務を行う場合、人材の採用や育成、給与、社会保険料、オフィス賃料、設備の維持管理など、さまざまな費用が発生します。BPOサービスを利用すれば、これらの費用を大幅に削減することが可能です。たとえば、新たに人員を採用する必要がなくなり、教育コストも削減できます。また、オフィススペースの縮小も可能になるでしょう。さらに、変動費として費用計上できるため、経営の柔軟性を高めることも期待できます。
一方で、BPOはデジタル化の基盤が整っていない企業にとっても、DX推進を可能にするという点で、コスト削減に寄与しています。AIやIoT、ビッグデータなどのデジタル技術やそれを扱う人材が豊富なBPO企業を活用することで、デジタル化を推進できるだけでなく、人材不足の解消にもつながります。
業務品質の向上
BPOサービスを提供する企業は、特定の業務に特化し、豊富な経験とノウハウを蓄積しています。 たとえば、カスタマーサポート業務を専門とするBPO企業であれば、顧客対応に関する高度なスキルやノウハウを有しています。そのため、高い専門性と品質管理能力を有しており、自社で業務を行うよりも質の高いサービス提供が期待できます。
また、最新の技術やシステムを導入することで、業務の効率化と正確性の向上を図っている企業も多いです。 データ入力業務をBPOに委託する場合、OCRなどの最新技術を活用することで、入力ミスを減らし、正確性を高めることができます。
コア業務への集中
ノンコア業務をBPOサービスに委託することで、コア業務に集中できるようになります。
コア業務とは、企業の競争力に直結する、収益を生み出すための重要な業務です。たとえば、新製品の開発や営業活動などが挙げられます。一方で、ノンコア業務とは、コア業務を支える間接的な業務で、経理処理や人事管理などがあります。
コア業務は、利益の創出に直結し、事業活動の中核となる業務であるのに対し、ノンコア業務は直接的な利益を生み出さない補助的な業務です。BPOサービスを活用することで、コア業務に人材や時間などの経営資源を集中投下し、競争優位性を築くことが可能になります。 コア業務に集中することで、業績向上や、市場における競争優位性の獲得などが期待できます。
最新技術や専門知識の活用
BPOサービスを提供する企業は、常に最新の技術や専門知識を導入し、業務の効率化や品質向上に努めています。そのため、自社で最新技術を導入するよりも、コストを抑えながら高度な技術や専門知識を活用することができます。
たとえば、AIを活用したデータ分析や、RPAによる業務の自動化など、最新の技術を導入することで、業務効率を大幅に向上させることができます。また、専門性の高い人材を確保することが難しい場合でも、BPOサービスを利用することで、高度な専門知識を必要とする業務を効率的に遂行することが可能になります。
BPOサービスのデメリット
BPOサービスを利用するデメリットは主に以下3点です。
BPOサービスのデメリット
- イニシャルコスト
- 品質のばらつき
- 情報漏えいのリスク
イニシャルコスト
BPOサービス導入時には、初期費用が発生するケースがあります。これは、システムの導入やカスタマイズ、従業員のトレーニング、業務の移行などに必要な費用です。初期費用は、委託する業務内容や規模、BPOサービス提供企業によって異なります。場合によっては、既存システムとの連携や、新たなシステムの導入が必要になることもあります。
また、セキュリティ対策ソフトの導入や従業員へのセキュリティ教育など、情報漏えい対策のための費用も発生する可能性があります。これらの費用を事前に見積もり、予算と照らし合わせて検討することが重要です。
品質のばらつき
BPOサービスは、外部の企業に業務を委託するため、品質のばらつきが生じる可能性があります。 特に、担当者によって業務の質に差が出やすい業務や、高度な専門知識を必要とする業務では、品質の維持が難しい場合があります。また、BPOサービス提供企業の社内体制や教育制度が整っていない場合、品質が安定しない可能性も考えられます。
品質のばらつきによるトラブルを避けるためには、BPOサービス提供企業の選定を慎重に行う必要があります。実績や評判などを参考に、信頼できる企業を選びましょう。
情報漏えいのリスク
BPOサービスを利用する際には、顧客情報や社内情報など、重要な情報を委託先に提供する必要があります。委託先の企業が適切なセキュリティ対策を講じていない場合、情報の漏えいがリスクがあるでしょう。
情報漏えいのリスクを低減するためには、委託先の企業の情報の取り扱いについて確認することが重要です。また、機密情報の取り扱いに関する契約を締結し、情報セキュリティ対策を徹底させることも必要です。
BPOサービスの選び方
BPOサービスは以下のポイントを抑えて選ぶようにしましょう
BPOサービスの選ぶ際のポイント
- コスト
- 業務範囲の確認
- 支援実績
- 担当者との相性
コスト
BPOサービスを選ぶ上で、コストは最も重要な要素の一つです。
まず、自社で業務を行う場合の人件費や設備投資費と、BPOサービス利用料を比較検討します。その際、単純な金額比較だけでなく、業務効率化による生産性向上やコア業務へのリソース集中による売上向上など、費用対効果を総合的に判断することが重要です。
また、サービス内容によって料金体系は異なるため、複数の事業者から見積もりを取得し、サービス内容と料金のバランスを見極めることが大切です。初期費用、月額費用、オプション料金など、料金体系を詳細に確認し、想定外のコストが発生しないように注意しましょう。
業務範囲の確認
BPOサービスを選ぶ際は、委託したい業務範囲を明確にし、それがサービス内容に含まれているか確認することが不可欠です。
まず、委託を検討している業務を洗い出し、それぞれの業務プロセスを詳細に定義します。その上で、BPO事業者が提供するサービス内容と照らし合わせ、必要な業務が網羅されているかを確認することが重要です。
一部の業務のみを委託する場合、自社で行う業務との連携方法や責任範囲を明確にしておく必要があります。将来的に業務範囲を拡大する可能性がある場合は、柔軟に対応できる事業者を選ぶこともポイントです。
支援実績
信頼できるBPOサービスを選ぶためには、事業者の支援実績を確認することが重要です。同業他社や類似業務での実績は、事業者の専門性やノウハウを判断する上で大きな指標となります。
まず、事業者のホームページなどで導入事例や顧客の声を確認し、自社の課題と類似した事例があるか確認します。可能であれば、実際にサービスを利用している企業に直接話を聞くことも有効です。
また、業界特有の規制やコンプライアンスへの対応実績も確認しましょう。豊富な実績を持つ事業者は、業務の効率化や品質向上に関する知見も豊富である可能性が高いです。
担当者との相性
円滑な業務遂行のためには、BPO事業者の担当者との相性も重要な要素です。担当者は、自社とBPO事業者をつなぐ窓口となるため、コミュニケーション能力や問題解決能力が高いか見極めましょう。
選定段階では、複数回の打ち合わせを通じて、担当者の対応力や提案力を確認します。自社の要望を的確に理解し、適切な提案ができるか、質問に対して迅速かつ丁寧に回答できるかなどが判断基準です。
また、担当者の業界知識や経験も確認しましょう。長期的なパートナーシップを築ける、信頼できる担当者を選ぶことが大切です。
BPOサービスの例を紹介
最後に、例としてBPOサービスの提供会社をいくつか紹介します。
BPOサービスを提供している会社
- 株式会社パソナ
- トランス・コスモス株式会社
- 凸版印刷株式会社
- NECフィールディング株式会社
- 株式会社日立システムズ
まとめ
BPOサービスは、企業の業務効率化とコスト削減に有効な手段です。導入検討の際は、委託する業務範囲、費用対効果、実績、担当者との相性などを総合的に判断する必要があります。
適切なBPOサービスを活用し、業務の効率化やコスト削減に繋げましょう。