アウトソースの基礎知識

BPOとは?アウトソーシングとの違いや導入メリット、注意点をわかりやすく解説

BPOとは?アウトソーシングとの違いや導入メリット、注意点をわかりやすく解説

BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)とは、業務の一部を外部に委託することで効率化を図る手法です。アウトソーシングと混同されがちですが、異なる特徴があります。

本記事では、BPOの詳細から導入メリットや注意すべきポイントまで、わかりやすく解説します。

目次

BPOとは

BPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)とは、業務プロセスの一部または全部を外部の専門企業に委託することです。単なる作業の外注ではなく、業務プロセス全体の改善や効率化、企業の課題解決を目的としています。

アウトソーシングとの違い

アウトソーシングは、特定の業務を外部に委託することを指し、人材不足の解消やコスト削減などを目的とすることが多いです。

一方で、BPOは業務プロセス全体を対象とし、業務の設計や改善、戦略的な視点での課題解決を目指します。

アウトソーシングは部分的な業務委託であるのに対し、BPOはより包括的で戦略的な業務委託を指します。

外注との違い

外注は、企業が外部の業者に業務の一部を依頼することを意味し、BPOやアウトソーシングよりも広い意味を持ちます。

たとえば、商品の製造を外部の工場に依頼する場合や、ウェブサイトのデザインを外部のデザイナーに依頼する場合なども外注に含まれます。BPOは外注の一種と言えますが、業務プロセス全体を対象とし、継続的な改善を目的とする点で、単発的な業務依頼が多い外注とは異なります。

BPOは、業務の効率化や専門性の活用を通じて、企業の競争力強化に寄与する戦略的な手法と言えるでしょう。

BPOの対象となる業務

BPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)の対象となる業務は、企業のノンコア業務を中心に多岐にわたります。

たとえば、経理、人事、総務などの管理部門の業務が代表的です。具体的には、給与計算、社会保険手続き、年末調整、請求書処理、データ入力などが挙げられます。また、コールセンターやヘルプデスクなどのカスタマーサポート業務も、BPOの対象としてよく選ばれます。

近年では、IT関連業務を外部委託するITアウトソーシングもBPOの一環として捉えられており、システム開発、運用・保守、インフラ構築なども対象となっています。

これらの業務に共通しているのは、定型化しやすく、専門知識を要する点です。BPOを活用することで、企業はコア業務に集中し、業務効率化やコスト削減を実現できます。

BPOのメリット

BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)のメリットとして主に以下4点が挙げられます。

BPOのメリット

  • コスト削減
  • 業務効率化
  • リソースの最適化
  • 品質向上

コスト削減

BPO導入によるコスト削減は、人件費、設備費、採用費、教育費など、多方面に及びます。

自社で業務を行う場合、これらの費用は固定費として発生しますが、BPOを利用することで変動費化できます。専門企業は、規模の経済性を活かして業務を効率的に運営しているため、個々の企業が同様の体制を構築するよりもコストを抑えることが可能です。

また、海外のBPOサービスを利用することで、人件費を大幅に削減できる場合もあります。

業務効率化

専門の会社は、特定の仕事に詳しい知識、経験、新しい技術、効率的なノウハウを持っています。BPOを活用することで、仕事のスピードが速くなったり、ミスが少なくなったり、仕事のやり方が一番良い形になったりすることが期待できます。

また、仕事の流れを見直したり、改善の提案を受けたりすることで、さらに効率を上げられます。企業は短い時間と少ない労力で、より多くの成果を上げられるようになります。

リソースの最適化

ノンコア業務を外部に委託することで、社内の人材、時間、設備といった経営資源をコア業務に集中させることができます。企業の競争力強化、新規事業への投資、イノベーションの創出など、より戦略的な活動に経営資源を効果的に配分することが可能です。

従業員はより付加価値の高い業務に集中できるようになり、モチベーション向上にもつながります。

品質向上

品質向上もBPO導入によって期待できる効果です。専門業者は高度な専門知識や豊富な経験を有しており、高品質なサービスを提供することが可能です。

また、継続的な改善や品質管理の仕組みが整っている場合が多く、安定した品質を維持することができます。

BPOのデメリット

BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)のデメリットとして主に以下4点が挙げられます。

BPOのデメリット

  • 初期のコミュニケーションコスト
  • 情報漏えいリスク
  • 業務の再内製化が難しい
  • ノウハウの蓄積が困難

初期のコミュニケーションコスト

BPO導入初期には、コミュニケーションコストが高くなる可能性があります。委託先企業との間で、業務内容や手順、ルールなどを詳細にすり合わせる必要があるためです。特に、これまで社内で行っていた業務を外部に委託する場合、業務の引き継ぎに時間と手間がかかります。また、委託先企業の担当者との間で、認識の違いが生じることもあります。

このような事態を避けるためには、業務マニュアルの整備や、定期的なミーティングの実施など、円滑なコミュニケーションを図るための工夫が必要です。

情報漏えいリスク

BPOでは、自社の機密情報や顧客情報などを外部業者に共有する必要があるため、情報漏えいのリスクは常に考慮しなければなりません。委託先の情報セキュリティ体制が十分かどうかを事前に確認することが重要です。

委託先のセキュリティ認証取得状況や過去の事故例などを確認し、契約書で機密保持義務を明確に定めることが必要です。また、業者に提供する情報へのアクセス権限を適切に管理することも必須です。

業務の再内製化が難しい

一度外部に委託した業務を再び社内で行う場合、業務の手順やノウハウが社内に蓄積されていないため、スムーズに移行できない点に注意が必要です。また、委託先企業独自のシステムや業務フローに依存してしまうと、自社で業務を再開することが困難になる場合もあります。

将来的に業務を内製化する可能性がある場合は、委託先企業との契約内容を慎重に検討する必要があります。たとえば、契約期間を限定したり、業務マニュアルの提供を義務付けたりするなどの対策が考えられます。

ノウハウの蓄積が困難

ノウハウの蓄積が困難になるという点も重要なデメリットです。

業務を外部に委託することで、その業務に関する知識や経験が社内に蓄積されにくくなります。これは、長期的に見ると企業の競争力低下につながる可能性もあります。特に、コア業務に近い業務を外部委託する場合は、将来的に自社で業務を行う能力を失ってしまう可能性も考慮する必要があります。

委託先との定期的な情報交換や研修などを通じて、ある程度のノウハウを社内に取り込む工夫も必要でしょう。

BPOの導入手順

BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)の導入手順を解説します。大きく分けて8つのステップがあります。


  1. 目的の明確化: なぜBPOを導入するのか、課題と目標を具体的に定義します(例:コスト削減、業務効率化)。
  2. 委託業務の選定: どの業務を外部に委託するかを決めます(例:ノンコア業務、標準化可能な業務)。
  3. 委託範囲と内容の明確化: 委託する業務の範囲、内容、成果指標(KPI)を詳細に定義します。
  4. RFP(提案依頼書)の作成: 業者に提案を依頼するための文書を作成します(業務内容、要件、評価基準などを記載)。
  5. 業者選定: 複数の業者から提案を受け、実績、サービス、セキュリティ、費用などを比較検討して最適な業者を選定します。
  6. 契約締結: 業者と契約を締結します(業務内容、責任範囲、費用、機密保持などを明確に記載)。
  7. 導入準備と移行: 業務移行計画の策定、情報共有、研修、テスト運用などを行います。
  8. 運用とモニタリング: 業務開始後も定期的にモニタリングを行い、必要に応じて改善を行います。

これらのステップを踏むことで、BPO導入をスムーズに進めることができます。

BPOの導入のポイント

BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)導入時のポイントを4つ解説します。

BPOの導入のポイント

  • 導入目的・目標の明確化
  • 委託範囲の明確化
  • 適切なBPO業者の選定
  • フィードバックとコミュニケーション

導入目的・目標の明確化

なぜBPOを導入するのか、何を達成したいのかを具体的に定めることで、その後のプロセスがスムーズに進みます。単にコスト削減だけでなく、業務効率の改善、コア業務への集中、専門知識の活用など、具体的な目的を設定しましょう。

また、目標は数値で示すことが望ましいです。たとえば、「業務処理時間を20%短縮する」「コストを15%削減する」といった具体的な目標を設定することで、効果測定が容易になります。

目的と目標が明確でないと、業者選定や契約内容の検討が曖昧になり、期待した効果を得られない可能性があるので注意が必要です。

委託範囲の明確化

どの業務を外部に委託するのか、どこまでを委託するのかを明確に定義することで、業者との認識のずれを防ぎます。

また、委託しない業務範囲も明確にしておくことで、責任分担が明確になります。曖昧な委託範囲は、業務の重複や抜け漏れを引き起こし、かえって業務効率を低下させる原因となります。

適切なBPO業者の選定

適切なBPO業者の選定も非常に重要です。業者の選定は、BPOの成否を左右すると言っても過言ではありません。

安易に費用だけで業者を選んでしまうと、品質やセキュリティ面で問題が発生する可能性があります。業者の実績、専門性、提供サービス、セキュリティ体制、費用などを総合的に評価し、自社のニーズに最適な業者を選びましょう。複数の業者から提案を受け、比較検討することをおすすめします。

フィードバックとコミュニケーション

フィードバックとコミュニケーションも欠かせません。BPO導入後も、業者との定期的なコミュニケーションを取り、業務の進捗状況や課題を共有することが大切です。

また、社内関係者への情報共有も怠らないようにしましょう。適切なフィードバックとコミュニケーションを通じて、業者との良好な関係を構築し、継続的な業務改善を図ることが重要です。

まとめ

BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)は、企業の業務プロセス全体を外部に委託する手法です。これにより、コスト削減や業務効率化、リソースの最適化、品質向上が期待できます。

一方で、社内にノウハウが蓄積されない、情報漏洩のリスクがあるなどの注意点も存在します。導入に際しては、委託する業務の適性や委託先の専門性、セキュリティ対策、費用対効果を慎重に検討することが重要です。

これらを踏まえ、BPOを活用して事業拡大を目指しましょう。