NPO法人の設立を考えている方、そもそもNPO法人とはどのような法人なのか、ご存知でしょうか。例えば、ボランティア団体とどう違うのでしょうか。この記事ではNPO法人と任意団体との違い、NPO法人の設立要件、そのメリットや気を付けるべきことについて説明しましょう。
目次
NPO法人とは
本来「NPO」とは、ボランティア活動や社会貢献活動などだけでなく、生活協同組合、労働組合、学校法人、共済、互助会、自治会、町内会、PTA、業界団体、宗教団体、同好会なども含まれる幅広い概念です。
その中で、特定分野の活動(特定非営利活動)を実施する組織に対して、一定の条件で法人格を得ることができるようにした制度がNPO法人制度です。
そもそもNPO活動を行う場合に法人格は必須ではありません。法人格を持つことで、柔軟性や迅速性を削いでしまうといったケースもあります。実際、多くのNPOが法人格を持たない任意団体として活動しています。
NPOが法人格を持つことによって、個人ではなく法人の名の下に取引等を行うことができるようになり、団体そのものに対する信頼性が高まるのです。増えつつある「特定非営利活動法人(NPO法人)」が市民の身近な存在として、多様化する社会ニーズに応えていくことがますます期待されています。
NPO法人の設立要件
特定非営利活動促進法により法人格を取得できる団体は、「特定非営利活動」を行うことを主な目的とし、活動目的として次の要件を満たす団体です。
- 営利を目的としないこと。
- 宗教活動や政治活動を主目的としないこと。
- 特定の公職の候補者若しくは公職にある者又は政党を推薦、支持、反対することを目的としないこと。
- 特定の個人又は法人その他の団体の利益を目的として、事業を行わないこと。
- 特定の政党のために利用しないこと。
- 特定非営利活動に係る事業に支障が生じるほど「その他事業」を行わないこと。その他事業の会計については、特定非営利活動に係る事業の会計から区分して経理することが必要であり、その利益は、特定非営利活動に係る事業に充てること。
- 暴力団、暴力団又はその構成員若しくはその構成員でなくなった日から5年を経過しない者の統制下にある団体でないこと。
NPO法人設立のメリット
社会的信頼性が高まります。
まずは、営利目的の団体ではないということが社会的に認められます。団体の活動を行うにあたって事務所の賃貸やネット回線などのほか、行政や企業などと団体として契約することが必要になる場面は少なからず出てきます。
任意団体と比べて、法人格があると団体名義で契約ができますし、団体名義で資産等を保有することができます。助成金や行政などからの委託事業など「法人格」が応募条件になっている場合も多くあります。
また、NPO法人は、他の任意団体や、一般社団法人・一般財団法人といった非営利企業と比べても、地名度や社会的な信頼性は高いといえます。団体として法的なルールに則って活動することが促進されますし、広く一般に情報が公開され、参加者・会員も集めやすくなります。また、従業員を雇用しやすくなるでしょう。
少額の費用で設立できます。
法律上、NPO法人取得には、最低資本金や出資金のような決まりがありません。すなわち、法人の資金や財産がなくても設立が可能です。また、一般的な会社を設立登記するには、登録免許税が数万円以上かかりますが、NPO法人は登録免許税法の対象外ですので、きわめて少額の費用で設立手続きを行うことができます。
必要な費用と言えば、法人の印鑑を作る代金や役員となる人の住民票を請求する費用、手続きにかかわる交通費や通信費などといった程度です。
税制面での優遇があります。
NPO法人には、税制面でもメリットがあります。例えば、収益事業を行っていないNPO法人に対しては、法人住民税などが免除される場合があります。任意団体の場合は、活動や運営状況によっては団体の所得が代表者個人の所得とみなされて課税されるケースもあります。
また、認定NPO法人または特例認定NPO法人になると、寄付した方や企業に所得税の優遇があるほか、自治体の中には、指定されたNPO法人に寄付した人が住民税控除を受けられる制度などもあります。
NPO法人設立において気を付けるべきこと
設立に時間がかかります。
一般的な営利企業の設立手続きは1~2週間程度で完了しますが、NPO法人の設立手続きには、最低でも3か月以上の時間がかかります。
申請書類等を揃えて所轄庁(都道府県・市区町村等)に申請した後、所轄庁が「縦覧」(公開)を行います。これは、申請を市民の目で点検する機会として法律で一ヶ月間と決められています。
縦覧終了後、2か月以内に、所轄庁(都道府県・市町村等)による審査が行われます。審査終了後に所轄庁から認定された後に、法務局へ登記申請します。書類作成から設立登記完了まで、4ヶ月程度はかかります。
十分な人員の確保が必要です。
NPO活動は、数人の仲間だけでもすぐに始めることができます。しかし、NPO法人として認証を受けるには、10名以上の社員が必要です。
基本的には、活動の趣旨に賛同する人誰もが社員になる(入会する)ことができ、また、いつでも退会することができる開かれた組織である必要があります。
また、役員要件として、3名以上の理事と、1名以上の監事を置かなければなりません。ちなみに、解散した場合、法人の残余財産は構成員には戻ってこないので注意しましょう。
活動する分野が決められています。
法律で決められた分野以外の活動ではNPO法人にはなれません。その分野は、定款に記さねばならず、また、法人は定款に則った運営をしなければなりません。活動分野の変更などを行う際は、再度認証手続きが必要になる場合があります。
- ①保健、医療又は福祉の増進を図る活動
- ②社会教育の推進を図る活動
- ③まちづくりの推進を図る活動
- ④観光の振興を図る活動
- ⑤農山漁村又は中山間地域の振興を図る活動
- ⑥学術、文化、芸術又はスポーツの振興を図る活動
- ⑦環境の保全を図る活動
- ⑧災害救援活動
- ⑨地域安全活動
- ⑩人権の擁護又は平和の推進を図る活動
- ⑪国際協力の活動
- ⑫男女共同参画社会の形成の促進を図る活動
- ⑬子どもの健全育成を図る活動
- ⑭情報化社会の発展を図る活動
- ⑮科学技術の振興を図る活動
- ⑯経済活動の活性化を図る活動
- ⑰職業能力の開発又は雇用機会の拡充を支援する活動
- ⑱消費者の保護を図る活動
- ⑲前各号に掲げる活動を行う団体の運営又は活動に関する連絡、助言又は援助の活動
- ⑳前各号に掲げる活動に準ずる活動として都道府県又は指定都市の条例で定める活動
独特な会計や税務処理など事務作業が増えます。
NPO法人が収益事業を行う場合、収益事業とそれ以外の事業を区分した会計が必要になるなど、一般的な企業会計とは異なる対応が必要になります。
また、利益が残れば法人税がかかる場合がありますし、法人住民税がかかる場合もあります。免除制度などもありますが、さらに申請作業が必要となります。
情報公開と透明性が求められます。
NPO法人は、事業報告書や活動計算書類などを、年度ごとに所轄の都道府県庁、市役所等に提出する義務があります。また、財産目録や役員名簿、社員名簿などの情報公開が義務付けられています。
しっかりした組織の運営体制を作ると共に、第三者から見ても問題のない透明性を確保しておきましょう。
まとめ
NPO法人の設立には留意点や、設立後にやるべきことも増えますが、その分個人ではなく公益的な法人として信頼性を飛躍的に高めて、活動を推進してくことができます。またメンバーが変わったとしても、法人として存続できることになります。多様化する社会ニーズに対し、持続的に応えていくためにも、NPO法人の法人設立を検討してみてもよいでしょう。
NPOの事務を効率化する方法
NPO法人は情報開示の義務がある分、事務作業に追われて大変という声を多くききます。またNPOの管理部門に特化した専門家も数が限られているため、相談できないという悩みも。
特に会計領域はNPO独自の会計基準に沿うために苦労されている方も多いのでは?
そんなときはfreee会計を使うことで、NPO会計基準に準拠した書類作成はもちろん、日々の経理を効率よく行えます。
「自動で経理」で日々の帳簿付けを手軽に
銀行口座やクレジットカードを同期することにより、利用履歴を取り込めます。
取り込んだ明細は、「自動で経理」という機能を使ってカンタンに帳簿付けできます。収入・支出の登録はもちろん、売掛金や買掛金の消し込み、資金の移動なども記帳できます。
経営層にもわかりやすく伝わるレポートもかんたんに
「資金繰りレポート」では、今後のお金の出入りを踏まえた上で、資金ショートを起こさないか確認できます。直接法のキャッシュ・フロー計算書作成にも活用できます。
「損益レポート」を使えば、
- ある部門の損益状況を時系列で確認する
- 費用・収益の発生状況をグラフから確認する
- 利益水準が高い月は何月だったのか
などを確認できます。
ほかにも効率的な経理を実現するために数多くの機能があります。
- 仕訳帳・総勘定元帳のCSV/PDF出力
- 見積書/請求書/納品書の発行
- 入金確認や消込、帳簿への反映
- 支払管理や振込ファイルの自動作成
- 証憑管理(電子帳簿保存対応)etc...
今すぐfreee会計を使ってみたい方は、freee会計アカウントの新規作成(無料)ページからお試しください。