VUCA(ブーカ)とは、ビジネス環境の不透明さと複雑さのことです。
Volatility(変動性)・Uncertainty(不確実性)・Complexity(複雑性)・Ambiguity(曖昧性)のそれぞれの頭文字を取っています。
本記事では、中小企業の経営者が直面するVUCAの状況を理解し、その対策について詳しく解説します。
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目次
- VUCA(ブーカ)とは
- Volatility(変動性)
- Uncertainty(不確実性)
- Complexity(複雑性)
- Ambiguity(曖昧性)
- VUCAが注目される理由
- VUCAに対応できる組織作りのポイント
- 明確なビジョンをもつ
- 常に情報収集する
- 臨機応変に対応できるよう備える
- 多様な人材を採用・育成する
- 迅速な意思決定を行う
- VUCA時代のリーダー・マネージャーに必要なスキル
- 迅速に判断する力
- メンバーとの対話能力
- 最新テクノロジーへの理解
- VUCA時代に対応できる社員の育て方
- 社員の対話を促進する
- ロジカルシンキング研修を実施する
- 社員のリスキリングを促進する
- まとめ
- よくある質問
VUCA(ブーカ)とは
VUCA(ブーカ)とは、ビジネス環境の不透明さと複雑さのことで、Volatility(変動性)・Uncertainty(不確実性)・Complexity(複雑性)・Ambiguity(曖昧性)の頭文字をつなげた言葉です。
もともと1990年代に軍事用語として生まれた言葉ですが、移り変わりが激しく不透明な現代の社会情勢から、ビジネス界でも使われるようになりました。
では、それぞれの単語の意味について詳しく説明します。
Volatility(変動性)
Volatility(変動性)とは、テクノロジーの進化によって私たちの生活スタイルや価値観、社会のあり方など、さまざまな事柄に変化が起きることを示しています。
たとえば、スマホやSNSの普及による市場環境の変化や、顧客ニーズの多様化です。変動が激しくなるほど予測が困難になるため、企業もその変化にすぐ対応できる力を備えておかなければなりません。
特に、ビジネスシーンでは時代の変化や流れを瞬時に察知し、迅速に的確な判断を下す必要があります。
Uncertainty(不確実性)
Uncertainty(不確実性)とは、新型コロナウイルス感染症の流行や地球温暖化による自然災害など、不確実な事柄によって予測できない環境変化を示しています。
地球温暖化による気候変動だけでなく、小・中学校の減少や高齢者の雇用促進といった少子高齢化に伴う取り組みも不確実性の一例です。
予測できない環境変化ですが、過去の事例とその対策を照らし合わせ検証し、備えておくことは有効です。
緊急事態に遭遇した際の対策として、BCPも上手く取り入れておきましょう。
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Complexity(複雑性)
Complexity(複雑性)とは、さまざまな要因や要素が複雑に絡み合い、ビジネスが複雑化されている状況を示しています。
近年はビジネスのグローバル化が進んでいますが、複数の国が関連することでサプライチェーンが複雑化し、内部不正や不正アクセスによる被害も増加している状態です。
特に、海外で日本のサービスや商品を展開する際は、その国の文化や法律を理解し、最適なビジネスモデルを見つける必要があります。
Ambiguity(曖昧性)
Ambiguity(曖昧性)とは、Volatility(変動性)・Uncertainty(不確実性)・Complexity(複雑性)が絡み合うことで解決策が曖昧になっている状況を指しています。
たとえば、現在はSNSの普及により、消費者側からさまざまな情報が入手できるため、従来のマーケティング手法では通用しない場合もあります。
特に、ビジネスシーンでは常に変化する価値観に対応しながら、あらゆる方向から消費者のニーズをつかめるかが大切です。
VUCAが注目される理由
VUCAが注目されている理由は、ビジネス業界において最新のテクノロジーやデジタルツールの活用が当たり前になってきているからです。
AIを用いたチャットツールや製造現場を支えるAIロボット、さまざまなモノとインターネットがつながるloT(Internet of Things)が注目されています。
このようなデジタルツールを活用する現場が増えてきていることから、マーケティング手法も変化し、既存のビジネスモデルだけでは難しくなってきました。
よって、VUCA時代を生き抜くためには、その時代ならではの深い理解と考え方が必要になるといえます。
VUCAに対応できる組織作りのポイント
では、VUCAに対応できる組織を作るには、一体どのような取り組みを始めればよいのでしょうか。VUCAに対応できる組織作りのポイントは、主に以下の5つです。
VUCAに対応できる組織作りのポイント
- 明確なビジョンをもつ
- 常に情報収集する
- 臨機応変に対応できるよう備える
- 多様な人材を採用・育成する
- 迅速な意思決定を行う
それぞれ具体的にどういうことなのか、詳しく説明します。
明確なビジョンをもつ
将来を予測できないVUCA時代に対応し続けるためには、企業が目指すべき姿となるビジョンを明確にもつことが大切です。
明確なビジョンをもつことで、常に変化する環境に対して一貫した対応が取れるようになるほか、ビジョンの実現に向けて共通の目標ができるため結束力や団結力も強まります。
常に情報収集する
市場環境や顧客のニーズが常に変化しているからこそ、こまめな情報収集もVUCAに対応する組織作りのポイントです。
あらゆる方向にアンテナを張り巡らせ、どのような変化が起こっているのかをチェックしましょう。
ただし、インターネット上には情報があふれているため、何が正しく何が間違っているのか、情報のソースを見極める必要があります。
臨機応変に対応できるよう備える
予想外の出来事が起きたとしても、臨機応変に対応できるよう備えておくことも大切なポイントです。
たとえば、起こりうるリスクを洗い出し、計画的に対応するためのリスクマネジメントなどがあります。あらかじめ発生しやすいリスクを明確にしておけば、臨機応変に対応できる力が備えられます。
もしリスクに対応ができなかったとしても、「今何が起きているのか」「どうすれば問題を解決できるのか」を冷静に分析し、最適な解決策を見つけることが大切です。
多様な人材を採用・育成する
価値観・経歴・経験など、多様な人材を採用し育成することも、企業がVUCA時代を生き抜くためのポイントです。
前述したように、VUCA時代は変化の激しい時代だからこそ、さまざまな考え方や価値観をもった人たちによる意見交換やアイデアが重要です。
多様な人材を採用し、それぞれの個性を十分に活かすために、組織全体で受け入れる体制や環境を整えましょう。
迅速な意思決定を行う
臨機応変に対応するためには迅速な意思決定が必要です。その行動を取るための取り組みとして、「OODA(ウーダ)ループ」と呼ばれる枠組みがあります。
OODAループとは、Observe(観察)・Orient(状況判断・方向づけ)・Decide(意思決定)・Act(行動)の頭文字を取った意思決定モデルです。
ビジネスシーンでよく活用される「PDCAサイクル」は、計画を主体に評価と改善の繰り返しで業務を最適化する手法です。一方OODAループは行動を主体としているため、状況に合わせて臨機応変に行動できるメリットがあります。
ただし、迅速な意思決定を行うには、優秀なマネージャー・リーダーが必要です。
VUCA時代のリーダー・マネージャーに必要なスキル
VUCA時代のリーダーやマネージャーに必要なスキルは、主に以下の3つです。
VUCA時代のリーダー・マネージャーに必要なスキル
- 迅速に判断する力
- メンバーとの対話能力
- 最新テクノロジーへの理解
各スキルについて詳しく説明します。
迅速に判断する力
変化していく環境に即対応できる判断力は、VUCA時代のリーダー・マネージャーに必要不可欠なスキルです。迅速に判断する力のある人ほど、意思決定がスピーディーに行えるようになります。
VUCA時代では意思決定が遅くなるほど、状況がどんどん変わっていき、さらに判断が難しくなります。そのため、今の状況を冷静に判断し、分析と同時に的確な判断で解決策を導き出す力が必要です。
メンバーとの対話能力
VUCA時代を生き抜くために、多様な人材を採用・育成するのが重要であるように、リーダーやマネージャーも多様性を受け入れメンバーと対話する姿勢が必要です。
一方的に自分の意見を押し付ける考え方や指導では、VUCA時代を生き抜くことはできません。一人ひとりの意見に耳を傾け、理解しようとする対話能力を大切にしましょう。
最新テクノロジーへの理解
VUCA時代のリーダー・マネージャーは、最新テクノロジーへの理解も必要になります。
ビジネス業界では次々と新しいテクノロジーが登場していますが、「自分には関係ないから」「必要ないから」と受け入れずにいると、変化していく環境に対応できません。
最新テクノロジーの情報収集はもちろんのこと、セミナーや勉強会などにも積極的に参加しましょう。
また、最新テクノロジーを導入する際は、どのようなメリットが生まれるのか、顧客が求めているものに対応できるのかなど、さまざまな視点から考えて検討する必要があります。
VUCA時代に対応できる社員の育て方
VUCA時代に対応できる社員を育てるには、主に以下の3つのポイントに注目しましょう。
VUCA時代に対応できる社員の育て方
- 社員の対話を促進する
- ロジカルシンキング研修を実施する
- 社員のリスキリングを促進する
それぞれのポイントについて詳しく説明します。
社員の対話を促進する
どのような変化が訪れても対応できるように、社員同士の対話を促進させる取り組みが重要です。
社員の対話を促進させることで、一人ひとりの視野が広がり、多様性を受け入れる環境が整います。これにより社員同士の摩擦防止にもつながるでしょう。
社員間で衝突が起きてしまうと各々の個性が活かされず、新しい切り口も生まれないため、対話の促進はとても有効です。
なお、社員の対話を促進させる方法としては、フリーアドレスの導入や対話ツールの活用、人材育成制度にコミュニケーション研修を取り入れる方法などがあります。
ロジカルシンキング研修を実施する
自ら考えて行動できる社員を増やすために、ロジカルシンキング研修を実施することも有効です。
論理的思考を鍛えるロジカルシンキング研修を行うことで、主体性・コミュニケーション力・説得力といったスキルも得られるでしょう。
ロジカルシンキング研修のプログラム例としては、具体的なフレームワークや事例研究を通じて、論理的思考を発展させるプログラムがあげられます。
社員のリスキリングを促進する
社員のリスキリング促進も、デジタル人材の育成に重要です。デジタル人材とは、AIやビックデータ解析などの最新技術に長けている人のことで、VUCA時代には必要不可欠な存在となります。
そのデジタル人材の育成に大きく関係するのが、新たな業務や技術に対応するスキルや知識の再習得、デジタルスキルの再開発を意味する「リスキリング」です。
DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進するデジタル人材の育成も、社員のリスキリング促進に含まれます。
【関連記事】
リスキリングとは?注目される背景や具体的な進め方を解説
まとめ
従来よりもビジネス環境が不安定で、未来が予測困難なVUCA時代を生き抜くために、企業は柔軟性や迅速な対応力を強化する必要があります。
対話の促進やロジカルシンキング研修、リスキリングといった社員の育成も重要ですが、特にリーダーやマネージャーには素早い判断力やメンバーとの対話能力が求められるでしょう。
また、最新テクノロジーへの理解と情報収集力も必要になるため、常にアンテナを張り巡らせ、デジタル人材の育成に努めることもVUCA時代を生き抜く大切なポイントです。
よくある質問
VUCAに関するよくある質問に回答します。ぜひ参考にしてください。
- VUCAとはどういう意味?
- VUCAの事例は?
- VUCAを日本語でいうと?
VUCAとはどういう意味?
VUCAとは、Volatility(変動性)・Uncertainty(不確実性)・Complexity(複雑性)・Ambiguity(曖昧性)の頭文字を取った言葉です。変動が激しく、不確実性が高まり、複雑さと曖昧さが同時に存在する社会状況を示しています。
詳しくは本記事の「VUCA(ブーカ)とは」をご覧ください。
VUCAの事例は?
VUCAの主な事例として、新型コロナウイルスの流行があります。新型コロナウイルス感染症によって働き方がテレワークへと変動し、社会に大きな影響を与えました。
そのほか、国家間の紛争や英国のEU離脱なども挙げられます。
VUCAを日本語でいうと?
読みは「ブーカ」で、先行きが見えず、未来が予測できない状況のことです。
前述したように、不安定性や揺らぎを示す「変動性」、不確定性を含めた「不確実性」、複雑な状況を示す「複雑性」、曖昧さを示す「曖昧性」の4つの言葉から構成された造語です。