人事管理の基礎知識

人事管理とは?目的や仕事内容、実施方法をわかりやすく解説

人事管理とは?目的や仕事内容、実施方法をわかりやすく解説

人事管理とは、企業成長や目標達成のために、従業員を効果的に管理する活動のことです。

本記事では、人事管理の目的や仕事内容、具体的な実施方法について、わかりやすく解説しています。

人事管理システムの利点やエクセルを使用した人事管理方法にも触れているので、実際に人事管理を行う際の参考にしてください。

目次

人事労務のすべてをfreeeひとつでシンプルに

freee人事労務は、入社手続きで取得した従業員ごとの保険料・税金と、打刻情報とを紐づけて自動で給与計算し、給与明細も自動で発行します!

ぜひ一度ご覧ください!

人事管理とは

人事管理とは、企業成長や目標達成のために、従業員を効果的に管理する活動のことを指します。

人事管理には、人材の採用・育成、給与・福利厚生の決定、安全衛生管理など、さまざまな業務が含まれています。

人事管理の目的

人事管理の目的は「人材の能力が最大限に発揮できるようにすること」にあります。人材は、企業の最も重要な経営資源です。人材の能力を最大限に発揮できれば、企業の業績向上や競争力強化につながります。

人事管理は、人材の採用・育成・評価・配置・退職など、人材に関するすべての業務を包括して管理するものです。これらの管理を効果的に実施すれば、人材の能力を最大限に発揮できる環境を整備できます。

人事管理の重要性

近年、人事管理は企業経営においてますます重要視されています。その背景には、人材不足・働き方改革・グローバル化という課題があります。

これらを克服するためには、企業は常に最新の人事トレンドに目を向け、積極的に人事制度・管理方法を改革しなければなりません。そのために、現状が把握できるよう適切な人事管理が行われている必要があります。

また、テレワークやフレックスタイム制など、働き方のニーズも変化しています。優秀な人材の流出を防ぐためには、働き続けやすい環境を整える必要があり、人事管理制度は時代に合わせて柔軟に改定していくのが大切です。

人事管理と労務管理・人事管理・勤怠管理の違い

人事管理・労務管理・勤怠管理は、すべて組織の人的資源を扱いますが、それぞれ重点や領域、機能に違いがあります。

詳しい内容や違いを解説します。

人事管理と労務管理の違い

人事管理と労務管理は、企業や組織における従業員に関わる管理業務を指しますが、それぞれの目的と業務内容には違いがあります。

人事管理は、従業員の採用・育成・評価・昇進など、キャリアパスに関わる戦略的な活動を行います。

一方で労務管理は、労働法規に基づいた適正な労働環境の整備や、従業員の健康と安全の確保、労使関係の調整などを通じて、日常運営を円滑にするのが目的です。

つまり人事管理は「人材の戦略的活用」に注力し、労務管理は「労働環境の適正化」に注力する点で異なっています。

人事管理とタレントマネジメントの違い

タレントマネジメントは、人事管理のひとつです。タレントマネジメントも、組織における人材の管理と開発に関連していますが、目的とアプローチが限定されます。

人事管理は組織全体の従業員管理に関わる広範な活動であるのに対し、タレントマネジメントは組織の長期的な成功に不可欠なキーパーソンやハイポテンシャル(高い役職で成功するための能力を持った)な従業員に焦点を当てた、より狭い範囲を対象とした戦略的な取り組みです。

タレントマネジメントは、人事管理の中でも特に経営層と密接に関連している部分といえます。

人事管理と勤怠管理の違い

人事管理と勤怠管理は、どちらも従業員に関わる業務ですが、視点・目的・具体的な取り組みが違います。

人事管理は、従業員の採用・育成・昇進・給与・福利厚生などの管理を行うことです。一方勤怠管理は、従業員の出勤・退勤・休暇・遅刻・早退などの勤務時間の管理を行います。

つまり、人事管理は従業員の組織における役割やキャリアパス、勤怠管理は従業員の勤務時間を管理することに焦点を当てています。

人事管理の業務内容

人事管理には、大きく分けて以下の6つの業務内容があります。

人事管理の業務内容

  • 人材採用
  • 人材育成
  • 人材評価
  • 人材配置
  • 人事計画の立案
  • モチベーション管理

それぞれの業務内容について、具体的に見ていきましょう。

人材採用

企業に必要な人材を獲得するための活動です。求人広告の掲載・面接・選考などを行い、組織に合致する人材を採用します。

他にも、採用計画の策定、内定・入社手続きなども人材採用業務に含まれます。

人材育成

人材育成は、従業員の業績や能力を評価するための活動です。評価制度を運用し、公平な評価を行ったうえでフィードバックを提供することで、従業員の成長を促します。

人材育成のために、社内外の研修プログラムやメンタリング、キャリア開発計画の策定なども用いましょう。従業員は研修への参加やプロジェクトへの参入などでキャリアパスを築きながら、組織の成長に貢献できます。

人材評価

人材評価は、従業員のパフォーマンスを測定し、強みと改善点を特定するプロセスです。

定期的な業績評価会議・360度フィードバック・目標達成度の評価などの方法が使われます。人事評価の際は、個々の貢献を公正に評価し、適切な報酬や昇進の機会を提供することが重要です。

人材配置

人材配置は、従業員を組織内の適切なポジションに割り当てることで、能力を最大限に活用する活動です。

配置変更やプロジェクトへのアサインメントは、従業員のキャリア成長と組織のニーズの両方を満たすために行われます。

人事計画の立案

人事計画は、企業の目標達成に向けて、必要な人材を計画的に確保するために実施されます。将来の人材需要を予測し、採用計画や育成計画を策定しましょう。

人材需給予測に基づく後継者育成などが実施されている企業は、変化する市場環境に柔軟に対応し、成長を持続できます。

モチベーション管理

モチベーション管理は、従業員の意欲や向上心を維持するための活動です。良好な労働環境の整備やキャリア開発支援などを行い、従業員のモチベーションを高めます。

労働環境の整備・キャリア開発支援・報酬制度などが、モチベーション管理に含まれます。モチベーション管理は、組織全体のパフォーマンスの向上に直接影響を与えるため非常に重要です。

人事管理を効率的に実施するなら「人事管理システム」

人事管理のような煩雑なタスクを手作業で行うと、ヒューマンエラーが発生するリスクが高まるうえ、データを常に最新の状態に維持するために大幅な時間と労力が必要です。

そのため、人事管理の効率化と精度向上を目指して導入されているのが「人事管理システム」です。

人事管理システムを導入するメリット

人事管理システムの導入には多くのメリットがあります。

◆時間節約

手作業による業務を自動化すれば、時間の節約になります。

たとえば、給与計算・勤怠管理・休暇承認などのプロセスの自動化で、人事チームは手間のかかる繰り返し業務から解放され、これらのタスクにかかる時間が大幅に削減されるでしょう。

◆データの一元化
従業員情報を1ヶ所で管理すれば、情報が散在することなく、必要なデータに迅速かつ簡単にアクセスできるようになります。

また、情報更新の際は、1回の変更でシステム全体のデータに反映されるため、情報の一貫性と正確性が保たれます。

◆エラーの減少
手作業のデータ入力や処理では、どうしてもミスが発生する確率が高くなります。

人事管理システムではデータ入力が自動化され、ミスが大幅に削減されます。正確なデータは業務の分析精度を上げ、データの信頼性も高められるでしょう。

人事管理システムを導入するデメリット

人事管理システムには多くのメリットがある一方で、いくつかデメリットや懸念点もあります。

システムの導入前に理解しておき、対策を考慮しておきましょう。以下に主なデメリットを3つ挙げて解説します。

◆導入コストがかかる
人事システムの導入には、初期費用とランニングコストがかかります。特に中小企業にとっては、この初期コストが負担となる場合があるでしょう。

また、システムのアップグレードやメンテナンスにも追加費用がかかることがあります。

◆導入・運用負荷がかかる
新しいシステムの導入の際には、技術的な障害やバグが伴うことがあります。

また、従来使っていた管理シートやシステムが使えなくなるため、データの移行や更新、システムのアップデートなどに多くの時間と労力が必要です。

◆従業員の抵抗
テクノロジーに不慣れだったり従来の方法に熟練していたりすると、新しいシステムへの適応に苦労することがあります。

そのため、従業員のトレーニングやサポート、変化への準備を十分に行うことが必要です。その際には、導入・運用に加えてサポートするための時間とリソースの用意が必要になります。

人事管理システムを導入するときの注意点

人事管理システムを導入する際には、以下のような点に注意しましょう。

目的を明確化してから導入する

人事管理システムは、さまざまな機能をもつ多様なシステムです。導入前に、業務の効率化・コスト削減・データ管理の改善・コンプライアンス確保など、自社が抱えている課題や目的を明確化し、それに合致したシステムを選びましょう。

目的が明確であれば、必要な機能や予算を検討しやすくなります。また、導入後の効果測定も比較的ラクになります。

システム導入難易度が高め

人事管理システムは、単なる事務処理ツールではなく、企業の人事戦略を支える重要なシステムです。

システム選定・要件定義・データ移行・運用管理など多くの作業が必要となり、導入の難易度が高い場合があります。また既存データの移行やシステムのカスタマイズなども、専門知識がなければ複雑です。

場合によっては専門家の力を借りるのも、業務をスムーズに進めるためには必要でしょう。

システムは2種類ある

人事管理システムには、オンプレミス型とクラウド型の2種類があります。それぞれメリット・デメリットがあり、自社の環境やニーズに合ったものを選ぶ必要があります

◆オンプレミス型

システムを企業内のサーバーに直接インストールし、自社で全ての管理とメンテナンスを行います。

オンプレミス型のメリットは拡張性の高さで、アクセス制限や外部サービスとの連携など、自社の要件に合わせてカスタマイズできます。一方で初期費用が高かったり、メンテナンス等に専門知識が必要な点がデメリットです。

◆クラウド型
クラウド型は、インターネットを通じてサービスを提供するモデルです。

初期コストが低く、メンテナンスやアップデートはシステムの販売元(ベンダー)によって自動で行われるため、運用が簡単です。しかし、カスタマイズの自由度は低く、データのセキュリティやプライバシーへの信頼はベンダー依存となります。

人事管理はエクセルでもできる?

マイクロソフトのエクセルは、その柔軟性と普及度から、初期段階での人事管理ツールとして選ばれることがあります。

人事管理システムを導入する企業が増えている一方で、エクセルで人事管理を行う企業も依然として多く存在します。

エクセルで対応可能な人事管理内容

エクセルでは、従業員の個人情報管理・勤怠記録・給与計算・パフォーマンス追跡といった基本的な人事管理タスクを管理することができます。

エクセルで人事管理を行う際のメリット・デメリットなどを、具体的に見ていきましょう。

人事管理をエクセルで行うメリット

人事管理をエクセルで行う最大のメリットは、コストが安いことです。

人事管理システムの導入には、初期費用やランニングコストがかかります。一方、エクセルは多くの企業ですでに導入済みの表計算ソフトであり、追加費用なしで人事管理に活用できます。

特に、予算が限られている中小企業にとって、コストを抑えられる点は大きなメリットでしょう。

また、柔軟性もエクセルの大きなメリットのひとつです。組織のニーズや業務の変化に合わせて、エクセルのスプレッドシートは簡単にカスタマイズしたり、他のシステムと連携したりできます。

人事管理をエクセルで行うデメリット

エクセルは手作業でのデータ入力や管理が必要です。入力ミスや計算ミスなどのヒューマンエラーが発生しやすい点はデメリットでしょう。

特に、従業員数が多い企業では、データ管理が煩雑になり、ミスが多発する可能性が高くなります。

また、エクセルはあくまでも表計算ソフトであり、複雑な分析や自動化には不向きです。高度な人事評価や人材育成など、複雑な業務には対応できない場合があり、そのような機能を求める場合は、専門の人事システムの活用を検討したほうがいいでしょう。

人事管理をエクセルで行うときのポイント

人事管理をエクセルで行うときのポイントは、ヒューマンエラーを防ぐために、データ入力や編集ルールを明確に定め徹底することです。

具体的には、誰がどのデータを入力・編集できるのか、データの保存場所やデータ入力時の注意点などを明確に文書化しておくとよいでしょう。

また、エクセルにはさまざまな機能がありますが、必要な機能だけを事前に洗い出し、それ以外の機能は削除すれば、データ管理や操作をシンプルにすることができます。

人事管理に関するよくある質問

この章では、人事管理に関してよくある質問に答えていきます。

人事管理にはどんな分類がありますか?

人事管理は大きく分けて、以下の5つの種類に分類できます。

  • 勤怠管理(人事・給与関係):従業員の出勤・退勤時間や休憩時間などを記録し、労働時間の管理を行う業務
  • 労務管理(人事・給与関係):労働基準法などの法令に基づき、従業員の労働環境を整備する業務
  • 給与計算(人事・給与関係):従業員の勤怠情報や基本給、各種手当などを基に、給与を計算する業務
  • 採用管理(人材マネジメント):企業に必要な人材を採用する業務
  • 人事評価(人材マネジメント):従業員の能力や業績を評価し、フィードバックを行う業務

人事管理はなぜ必要なのですか?

人事管理は企業運営の根幹をなす重要な業務であり、その必要性は多岐にわたります。特にモチベーション向上という観点から見ると、人事管理によって企業全体の業績向上に直接的な良い影響をもたらすと期待されています。

たとえば、効果的な人事管理によって自分たちの働きが適切に評価されていると感じれば、従業員の満足度は上がります。

これにより、従業員のエンゲージメントの向上が期待でき、結果として生産性の向上に繋がるでしょう。

まとめ

人事管理システムの導入には多くのメリットがあり、これらは企業の運営効率の向上に直接的な影響を及ぼしています。また、従業員の満足度の向上にも繋がるため、組織全体のパフォーマンスと競争力の強化に寄与するでしょう。

エクセルで人事管理を行う方法もありますが、企業規模や目的によっては専門のシステムを導入するほうがいい場合もあります。これらのポイントを念頭に置きながら、慎重に自社にあった人事管理の方法について検討を進めましょう。