人事管理の基礎知識

フィードバックとは?効果や具体的なやり方をわかりやすく解説

フィードバックとは?効果や具体的なやり方をわかりやすく解説

フィードバックとは、成長やスキルアップのきっかけとなる重要なコミュニケーション手法のことです。

本記事では、フィードバックの種類や目的、そして効果的なやり方を詳しく解説し、わかりやすいよう実践的な例文も紹介しています。

ぜひ本記事を参考に、より良いフィードバックの技術を身につけ、職場や日常生活での人間関係を向上させてください。

目次

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フィードバックとは

フィードバックとは、相手の行動や成果、パフォーマンスに対して、具体的な改善点や評価を伝え、さらなる成長や軌道修正を促す取り組みです。フィードバックによって、相手は自分の現状を客観的につかみ、変化のきっかけを掴みます。

フィードバックは、評価面談・1on1ミーティング・日常の業務フローの中で、多くは上司から部下に対しておこなわれます。

フィードバックは、批判や指摘を行うことではありません。相手の成長をサポートし、よりよい結果を達成するための建設的なアドバイスの提供が目的です。

そのため、明確で具体的な情報を伝えるとともに、相手の感情や受け取り方へ配慮したフィードバックが求められます。

フィードバックの種類|2つの方向性

フィードバックの種類は、その方向性によって大きくポジティブフィードバックとネガティブフィードバックに分けられます。

相手の反応や性格によって両者を組み合わせれば、より成果の上がるフィードバックが期待できます。

ポジティブフィードバック

ポジティブフィードバックは、相手の良い点に対してフィードバックを行う方法です。努力した部分や成果に焦点を当てることで、モチベーションを高め、自己肯定感が高い状態で業務に向き合えるようになります。

ポジティブフィードバックを行う際には、「資料がよくまとまってわかりやすかった」「お客様へ声かけるタイミングがよかった」など、成果や強みに関して具体的な例を挙げるのがいいでしょう。

ネガティブフィードバック

ネガティブフィードバックは、相手の行動の問題点を指摘し、改善に向けてアドバイスを伝える方法です。ネガティブフィードバックを使えば、相手は現状の問題点を正確に理解し、適切な改善策を講じられるようになります。

効果的なネガティブフィードバックは、批判ではなく本人の成長と改善を促すことを目的とします。状況によっては、基本的な手法やフレームワークを利用し、ポジティブフィードバックと組み合わせ攻撃されていると感じさせない配慮が必要です。

フィードバックを行う目的【5つの効果を解説】

フィードバックには、育成やモチベーションアップなどさまざまな目的があります。

フィードバックを行う目的

  • 行動の方向性を修正する
  • 仕事のクオリティやスキルアップ
  • モチベーションの向上
  • 信頼関係の構築
  • 社員の自己認識力向上

ここからは、フィードバックを行う目的や得られる効果を5つ解説します。

行動の方向性を修正する

フィードバックを行う目的の1つは、行動や努力の間違いを修正し、目標達成に向けて無駄のない道筋を歩めるようサポートすることです。フィードバックによって、より効率的に目標に向かって業務を進められるようになります。

行動の方向性を修正すれば、結果として仕事の効率を向上させ、より高い生産性を生み出せるようになるでしょう。

仕事のクオリティやスキルアップ

フィードバックは、仕事のクオリティやスキルに大きく影響します。適切なフィードバックを行えば、自分の仕事の進め方を見直すことができ、より良い方法を見つけるチャンスにもなります。

成果を出す方法が理解できれば、仕事のクオリティアップやスキルアップにも近づくでしょう。

また、具体的なアドバイスやノウハウを共有すれば、新しいスキルを習得することも可能です。個人の成長は、部署や会社全体の業績アップのためにも欠かせません。

モチベーションの向上

フィードバックは、個人のモチベーションを高める効果的な手段です。周囲に関心を持たれていると感じれば、今後も努力を続けていこうと思えるでしょう。

特に「さっきのトラブルへの対応は迅速で適切だった」など、具体的な成果や行動に対してポジティブフィードバックを行えば、やる気が高まり、続けて成果を上げようと努力しやすいです。

このように、フィードバックは個人成長を促すと同時に、モチベーションをアップさせる役割を果たします。

信頼関係の構築

フィードバックは、お互いの信頼関係を構築し、強化する貴重なチャンスでもあります。フィードバックを通じて定期的にコミュニケーションを取っていれば、お互いの性格や人間性への理解が深まるでしょう。

信頼関係の構築には時間がかかりますが、関係性の基盤を強化するためには必要なステップです。

また、信頼関係が強くなると、エンゲージメント(貢献意欲)も高まります。結果的に職場への満足度が高まり、離職率も低下しやすくなります。

社員の自己認識力向上

フィードバックは、自分の強みや弱みを客観的に把握し、自己認識力を高めるためにも重要な取り組みです。

適切なフィードバックを受けていれば、自分自身を客観的にとらえる機会が増え、強みと弱みをより客観的に把握できるようになります。このことが本人のスキルアップにもつながり、部署や会社内でより大きな成果に繋がるでしょう。

また、自己認識の向上は、本人にとっては将来進むべき道を判断する手助けにもなります。

フィードバックのやり方|基本的な5つの手法・フレームワーク

フィードバックの方法はさまざまありますが、代表的な手法・フレームワークとして下記の5つが知られています。

フィードバックの手法

  • SBI型
  • サンドイッチ型
  • FEED型
  • KPT型
  • ペンドルトンルール

それぞれの実施方法を、具体的な例とともに順に解説します。

SBI型

「状況(Situation)」「行動(Behavior)」「影響(Impact)」の3つの要素から相手にフィードバックをしていく方法です。

この手法では、まずフィードバックの対象となる「相手の状況」を明確にし、そこで行われた「相手の行動」を具体的に指摘した後、その行動が周囲にどのような「影響」を与えたかを説明します。

この手法では、受け手は自分の行動が具体的にどのような結果をもたらしたかを理解し、必要に応じて行動を修正できるようになります。

【SBI型フィードバックの例】

  • 状況:今朝のプロジェクトミーティングでのことです。
  • 行動:あなたは、最近のプロジェクトの進捗と今後の方針について熱意を持って報告してくれました。
  • 影響:チーム全体がプロジェクトの現状を明確に理解し、次の段階について具体的な計画を立てられるようになりました。また、チームのモチベーションも高まり、プロジェクトに対して一致団結できました。

サンドイッチ型

ポジティブなコメントで始まり、ネガティブな内容を挟み、再びポジティブなコメントで締めくくる手法です。

この手法は、批判的なフィードバックを受け入れやすくするために、肯定的なフィードバックで「挟む」のが特徴です。こうすることで受け取る側が否定的なフィードバックに対して反発心を持ちにくくなり、好意的に内容を受け取りやすくなります。

【サンドイッチ型フィードバックの例】

  • ポジティブなコメント:私はあなたがミーティングでいつも的確なプレゼンをしてくれることを高く評価しています。あなたの意見はチームにとって大きな刺激になっています。
  • ネガティブなコメント:ただ、先日のプレゼンでは、準備不足からか内容がまとまっていませんでした。資料を作り込んでいるときは本当にすばらしい分、残念でした。
  • ポジティブなコメント:十分な準備をしているときのプレゼンは本当にすばらしく、メンバーを引きつける力があります。次回からは事前に資料をしっかり用意し、より一層実力を発揮してください。

FEED型

相手の具体的な「行動(Fact)」「その行動を取り上げる理由(Example)」「行動がもたらした影響(Effect)」「今後の改善策や代替案(Different)」の4点を明確に伝えて、相手の変化を促します。

原因から結果の流れに沿ってフィードバックをおこなえるため、相手が理解しやすいのが特徴です。

【フィードバックの例】

  • 相手の具体的な行動:昨日のチームミーティングで、あなたは新しいプロジェクト提案を行いました。
  • その行動を取り上げる理由:この提案は、過去のプロジェクトのデータを基に考察し、具体的な改善策を提示していたため、非常に効果的でした。
  • 行動がもたらした影響:提案を聞いたメンバーにも、新しいアプローチに対する理解が深まり、プロジェクトに対する意欲が明らかに向上したと思います。
  • 今後の改善策や代替案:次回の提案では、さらにリスク評価や潜在的な障害についての分析を加えることで、提案の完全性を高めることができるでしょう。また、他部署との協力を促すための具体的なステップも検討してみてください。

KPT型

KPT型フィードバックは、「Keep(継続)」「Problem(問題)」「Try(改善)」の3つの流れで行うフィードバックです。良い点はそのまま維持を推奨し、問題点は認識させ改善を促します。

具体的で実践的な改善策の提案が含まれるため、フィードバックを受けた側が改善に向けて前向きな行動を起こしやすい方法です。

【フィードバックの例】

  • 継続:あなたが毎週行っているプロジェクト進捗の報告会は、チーム全員が現状を把握し、次のステップについて意見交換をするよい機会となっています。ぜひ引き続き続けてください。
  • 問題:ただ、報告書の中で具体的なデータや成果物に基づいた評価が不足していることがあります。そのためプロジェクトの具体的な進捗状況や成果を正確に把握することが難しくなっています。
  • 改善:次回からは、プロジェクトの進捗状況を報告書に含めるようにしてみてください。また、問題が発生した際の対策や解決策の提案も加えれば、より実践的な議論ができるようになるはずです。

ペンドルトンルール

ペンドルトンルールは、相手自身に自分の改善点を考えさせるフィードバックの方法です。

この方法では、良かった点と改善が必要な点の両方について、相手が自分で内容を考えた後に、その内容を踏まえて追加のフィードバックを行います。自分自身の振り返りができるため、改善点を見つけられれば成長につながりやすくなります。

【フィードバックの例】

  • 相手:先週のプレゼンでは、情報をはっきりと伝え、参加者の注意を引くことができた点がよかったと思います。一方、データの作り込みが甘い点がありました。
  • フィードバック者:私もあなたの意見と同じです。データの理解に少し誤りがあったように見えましたが、事前の準備をもう少し詳しくすれば改善できると思います。

フィードバックの効果を高める8つの方法

フィードバックを行う際は、限りある時間を最大限に活かし、相手にとっても自分にとっても有意義な時間となるように意識する必要があります。

ここでは、フィードバックの効果を高める方法を8つ紹介します。

フィードバックの効果を高める方法

  • なるべく具体的に伝える
  • なるべくタイムリーに行う
  • 実現性の高いフィードバックを行う
  • 行動に対してフィードバックを行う
  • 相手の気持ちを度々確認する
  • リラックスできる場所で行う
  • 日常的に信頼関係を築く

なるべく具体的に伝える

フィードバックの効果を高めるには、抽象的なコメントを避け、できるだけ具体的に伝えるのが重要です。抽象的な内容だと、今後の改善点をイメージしにくくなり、フィードバックの効果が薄まります。

  • 抽象的なフィードバックの具体例:プロジェクトの管理をもう少し改善してほしい。
  • 具体的なフィードバックの具体例:プロジェクトの進行が遅れているため、各タスクの責任の所在を明確にしてはどうか。チーム全員がプロジェクトの進行状況をより詳細に追跡できるようにしよう。

具体的なフィードバックを提供すれば、問題点が理解しやすくなり、改善策も実行に移しやすいでしょう。

なるべくタイムリーに行う

フィードバックの効果を高めるためには、なるべくその行動の直後に実施しましょう。

相手が自分の行動を明確に覚えているうちに、具体的なフィードバックを受け取れば、自身の行動や成果と関連付けやすくなります。

タイムリーなフィードバックは相手が状況を鮮明に覚えているため、理解しやすく効果が高まります。

実現性の高いフィードバックを行う

フィードバックを受けた人が実際に行動を改善しやすくするために、実現可能性が高い、具体的な提案を含むフィードバックを行いましょう。

フィードバックが実現可能であるほど、相手も理解しやすいです。あまりにも抽象的なフィードバックをしたり、現実離れした高い目標を設定したりすると、相手は行動を起こしにくくなるでしょう。

行動に対してフィードバックを行う

フィードバックを有効に行うには、相手の行動に焦点を当てましょう。行動に対してフィードバックを行えば、具体的で実行可能な内容になりやすく修正が的確に実施され改善が早くなります。

個人の性格に対するフィードバックは相手にとって改善が難しく、場合によっては人格否定として響くかもしれません。

いったん人格を否定されたと感じられてしまえば、相手が心を閉ざし信頼関係も崩れる危険があります。フィードバックの内容は、相手の行動に対してのみ行うよう意識しましょう。

相手の気持ちを度々確認する

フィードバックの際には、相手の感情や反応に注意を払いましょう。話の区切りで気持ちを確認しつつ行えば、内容が適切に伝わりやすくなります。相手の気持ちを確認することは、フィードバックが理解されたかどうかを確認することにも繋がります。

一方的なフィードバックは押し付けがましく感じられ、相手が不満をもつ原因にもなるため注意が必要です。自分の意見や感情を大切にされていると感じれば、フィードバックを受け入れる気持ちになりやすく、ポジティブな変化に繋がりやすくなります。

リラックスできる場所で行う

フィードバックは、なるべくリラックスできる場所で行いましょう。安心感のある場所でフィードバックを受ければ、相手は反発した態度を取りにくくなり、フィードバックをより柔軟に受け入れやすくなります。

周囲の人々が聞いているというプレッシャーは、相手を不必要に緊張させます。このような状態では、フィードバックの内容を真摯に受け止めるのが難しく、今後の改善に繋がりにくくなるでしょう。

優しい言葉を選ぶ

フィードバックを効果的に伝えるためには、相手が受ける精神的ストレスを最小限に抑える心づかいが必要です。フィードバックの際には、言葉選びに注意を払い、優しい言葉を選んで伝えましょう。

過度に厳しい語調や高圧的な態度は、逆効果になりかねません。また、否定的な言葉づかいは相手の自尊心を傷つけ、改善に対する動機づけを弱めます。

優しい言葉遣いは、相手がフィードバックをポジティブなものとして受け止め、改善に向けて積極的に取り組むきっかけとなります。また優しさのある言葉を選べば、相手のことを応援している思いも伝えられます。

日常的に信頼関係を築く

日常的な信頼関係は、相手がフィードバックを受け入れる土台となります。信頼関係があれば、相手は内容を快く受け入れ、改善に向けて前向きに取り組みやすくなるでしょう。

また、信頼関係のある相手の言葉は、好意的に受け取られやすいです。相手が自分のことを本当に理解し、最善を尽くしてくれていると信頼していれば、指摘や提案が受け入れやすくなるでしょう。

フィードバックを有意義なものにするためにも、普段のコミュニケーションが大切です。

フィードバックが失敗した場合の対処方法

フィードバックは、改善や成長を促すための重要な取り組みですが、常に期待通りの結果に結びつくわけではありません。フィードバックを行っても改善が見込めない場合は、言葉を変えながら繰り返してみましょう。

同じメッセージでも、伝え方を変えれば、相手の理解や受け入れ方が大きく変わる場合もあります。

また、相手が一人で改善策を見つけ出すのが難しいときは、一緒に解決策を探りましょう。ただ改善点を伝えるだけでなく、その後の行動まで共に考え抜くことで、フィードバックの成功率を高めやすくなります。

状況によって厳しい言葉を使う場面があったとしても、感情的にならず、人格否定をしない姿勢が大切です。フィードバックの目的は受け手を傷つけることではなく、具体的な行動変化を促すことにあることを忘れないでおきましょう。

まとめ

フィードバックは人間関係を強化し、個人の成長を促しつつ、部署や会社全体のパフォーマンスを向上させるために重要な取り組みです。フィードバックを行う際には、相手の感情を尊重しつつ、ポジティブな点を伝えながら具体的な例を挙げて指摘しましょう。

また、一方通行ではなく対話を交えれば、より深い信頼関係を構築できるようになります。適切に成長を後押しできるよう、フィードバックに対する理解を深めましょう。

よくある質問

フィードバックはどんな内容にするといいですか?

フィードバックは、受け手が明確に理解し具体的なアクションを起こしやすい内容が望ましいでしょう。

「はい」か「いいえ」で答えられる質問を含めると、相手にとっても回答しやすく、フィードバックの効果を高められます。

フィードバックを行うときの注意点はありますか?

フィードバックを行う際は、どんな状況でも感情的にならず、客観的な立場をたもつことが重要です。

感情的になるとただの叱責となりやすく、相手が心からフィードバックを受け止められなくなる恐れがあります。

フィードバック面談は何回おこなえばいいですか?

フィードバック面談の頻度は、目的や相手の状況、業務の進捗などによって変わります。

一般的には、週1回や月1回など定期的に行うのがいいでしょう。