「アセスメント」とは、ビジネスや教育など、さまざまな分野で利用される評価手法のことです。
本記事では、アセスメントの基本的な意味とビジネスシーンでの使い方、必要性について詳しく解説します。
記事後半では使用する際の注意点も紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
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目次
- アセスメントとは
- アセスメントが使用されている分野
- ビジネスシーンで使われるアセスメントの種類
- 人材アセスメント
- リスクアセスメント
- 組織アセスメント
- 企業にアセスメントが必要とされる3つの理由
- 採用活動でミスマッチを防止できるから
- 人材を最適な場所に配置できるから
- 管理職の候補者を選びやすくなるから
- 【4ステップで解説】ビジネスシーンでのアセスメントのプロセス
- STEP1:計画(Plan)
- STEP2:実行(Do)
- STEP3:評価(Check)
- STEP4:改善(Action)
- アセスメント導入における3つの注意点
- 氷山モデルを理解しておく
- 能力ではなく「適正評価」であることを忘れない
- 上司の主観でフィードバックしない
- まとめ
- よくある質問
アセスメントとは
アセスメント(assessment)とは、評価や判断を行うプロセスや手法のことで、物事や人を客観的に評価・査定するという意味があります。
ビジネスシーンにおいては、人の能力・スキル・知識・特性などを客観的に測定し、評価することが主な目的です。
人事育成や人事配置に用いられることが多いですが、環境への影響やリスクなどを客観的に評価し、課題への事前対処として活用することもあります。
アセスメントが使用されている分野
アセスメントはビジネスだけでなく、製造業・建設業・医療・教育など、さまざまな分野で使用されています。それぞれどのような目的で評価するのか、分野別に概要を把握しておきましょう。
分野 | 概要 |
---|---|
看護・福祉アセスメント | 患者や利用者の状態を適切に評価し、問題を把握・分析する |
保育アセスメント | 子どもの成長や発達を評価し、保育サービスの質を向上させるための適切なサポートやプログラムを提供する |
心理アセスメント | 個人の心理的な特性・機能・問題・ニーズを評価し、適切な処方を示す |
政策アセスメント | 新しい政策の企画や立案において、目標の必要性・効率性・有効性などを評価する |
環境アセスメント | 特定の開発プロジェクトや政策が環境に及ぼす影響を評価し、環境への潜在的なリスクや影響を特定する |
ビジネスシーンで使われるアセスメントの種類
ビジネスシーンで使われるアセスメントの種類としては、以下の3つがあります。
アセスメントの種類
- 人材アセスメント
- リスクアセスメント
- 組織アセスメント
例文を含め、各種類の特徴を詳しく説明します。
人材アセスメント
人材アセスメントは、適材適所へ人材を配置するために、個々の能力や適性を正確に評価することです。
主に、候補者のスキル・知識・経験・性格特性などを客観的に測定し、求人要件や組織のニーズに適合するかどうかを判断します。
知能検査では言語能力・空間知覚能力・記憶力、性格検査ではストレス耐性・職務適性・コミュニケーション能力などのデータを取り、可視化できる点が人材アセスメントの大きな特徴です。
採用活動や人事評価、キャリア開発などのさまざまな場面で利用され、企業が適切な人材を確保し、育成・配置するのに役立ちます。
<例文>
- 社員を適切に評価するため、人材アセスメントツールを活用した
- 異動配置の適正化を目指すには、人材アセスメントが必要だ
- 人材アセスメントで得た結果から、効果的な研修テーマを考える
リスクアセスメント
リスクアセスメントは、特定の活動や事業が関連するリスクを評価することです。潜在的なリスク要因やその発生確率・リスクの影響度などを分析し、リスクの特定と対策を導き出すことができます。
また、リスクアセスメントは事業やプロジェクトの計画段階で行われるのが一般的であり、さまざまなリスク管理戦略や対策の策定に役立ちます。
<例文>
- 競合他社の影響や需要変動の可能性を考慮するため、リスクアセスメントで新しい製品の開発に伴う市場リスクを評価した
- リスクアセスメントでプロジェクトの実施における技術的なリスクや資金不足のリスクを特定し、対策を講じるためのプランを策定した
組織アセスメント
組織アセスメントでは、組織全体の機能やパフォーマンスを評価します。主に組織のビジョン・目標・戦略・プロセス・システム・文化などを分析し、強みや課題を特定するのが目的です。
人材アセスメントは個々の人材のスキルや適性を評価しますが、組織アセスメントは会社全体の特徴や現状を評価するのが特徴となります。
組織全体の状態を適切に分析し評価することで、組織の健全性や効率性を向上させるための情報が共有でき、組織変革や改善活動の方針立てや実施に役立ちます。
<例文>
- 組織アセスメントを実施し、リーダーシップの強化やコミュニケーションの改善など組織全体の強みと課題を特定した
- 組織アセスメントの結果をもとに、効率的な業務プロセスの再設計や組織文化の改善に取り組んでいる
企業にアセスメントが必要とされる3つの理由
なぜ企業にアセスメントが必要とされるのか、その理由は以下の3つです。
企業にアセスメントが必要とされる理由
- 採用活動でミスマッチを防止できるから
- 人材を最適な場所に配置できるから
- 管理職の候補者を選びやすくなるから
それぞれの理由について詳しく見ていきましょう。
採用活動でミスマッチを防止できるから
アセスメントで人の能力やスキルを可視化し評価できるようになれば、自社の企業理念やビジョンに適した人材の採用につながります。
採用活動におけるミスマッチが防止できると同時に、採用コストも軽減できるでしょう。
人材を最適な場所に配置できるから
アセスメントは客観的な視点でスキルや能力を分析・評価できるため、適材適所に人材を配置できるメリットがあります。
採用後のポジションにも事前に配慮できるほか、人員が不足した部署に異動させたり、新しい部署を立ち上げたりする際も、アセスメントが役立つでしょう。
管理職の候補者を選びやすくなるから
リーダーシップが求められる管理職は、判断力や実務能力に優れている人材を配置する必要があります。
アセスメントは事前に人材能力を客観的に判断できるため、リーダーや管理職に向いている人材の選出に役立つでしょう。
管理職に適した人材を配置できれば、本人や周りのモチベーション向上にもつながります。
【4ステップで解説】ビジネスシーンでのアセスメントのプロセス
ビジネスシーンにおけるアセスメントのプロセスを、以下の4つのステップで解説します。
アセスメントのプロセス
- STEP1:計画(Plan)
- STEP2:実行(Do)
- STEP3:評価(Check)
- STEP4:改善(Action)
このサイクルを通じて、目標の設定・実績の評価・問題の特定・改善策の策定と実施が行われます。
STEP1:計画(Plan)
まずは、アセスメントを実行するために必要な情報を収集し計画を立てます。たとえば、数値といった客観的なデータを集めたり、適性検査などのツールを活用したり、周囲へヒアリングを行ったりなどです。
対象の現状を把握しつつ、収集した客観的な情報をもとに原因を分析して仮説を立てます。そして、その仮説をどのようにすれば解決できるのか、具体的な実行計画を立てましょう。
なお、具体的な計画を立てるポイントは「アセスメントによって明確なゴールを決めること」です。ゴールを定めた上で、「誰が・いつ・どこで・どのように・何をするのか」計画の内容を具体的に固めます。
STEP2:実行(Do)
続いて、具体的に固めた計画を実行します。アセスメントを実行することで、意思決定や改善活動のための根拠が獲得できるでしょう。
環境に配慮したビジネスや効果的な人事評価・採用活用を実践するためにも、客観的な視点から練り上げた計画を着実に進めることが大切です。
STEP3:評価(Check)
アセスメントに基づいた計画を実行した後は、その結果を評価します。
どのような結果をもたらしたのか、どのような問題が発生したのかなど、丁寧に分析して評価しましょう。分析と評価を丁寧に行うことで、より効果的なアセスメントへとつながります。
STEP4:改善(Action)
アセスメントは実行して評価したら、そこで終わりではありません。実行した結果をもとに分析と評価を行い、改善を繰り返していく必要があります。
問題点をどうすれば改善できるのか、再び計画を立てて実行して評価するという、アセスメントサイクルの継続が重要です。
アセスメント導入における3つの注意点
アセスメントを導入する際に気をつけておきたいポイントは、以下の3つです。
アセスメント導入の注意点
- 氷山モデルを理解しておく
- 能力ではなく「適正評価」であることを忘れない
- 上司の主観でフィードバックしない
それぞれの注意点について具体的に見ていきましょう。
氷山モデルを理解しておく
氷山モデルとは、「表面上の情報は事象のごく一部にすぎず、その背後には本質的な原因が隠れている」という考え方です。アセスメントを実施する際に参考としてよく活用されており、以下の4つの階層で構成されています。
- 実際に起きた「出来事」
- 出来事の前に繰り返される「行動パターン」
- 行動パターンに影響を及ぼす「構造」
- 構造の根底となる「意識、思い込み」
アセスメントを導入する際は、上記の4つを意識してみましょう。
たとえば、顧客からのクレームが殺到した場合、製品の品質やサービスの提供に問題はなかったか(行動パターン)、組織内のコミュニケーション不足(構造)によって、チーム内で意識のズレ(意識、思い込み)が生じていなかったかなど、物事には水面下の根本的な原因があることを理解する必要があります。
能力ではなく「適正評価」であることを忘れない
アセスメントで分析・評価するのは対象者の能力ではなく、客観的な「適正評価」であることを忘れずに意識しなければなりません。この認識は、アセスメント対象者にも周知しておく必要があります。
アセスメント対象者が能力を評価されたと認識すると、プレッシャーを感じて本来のスキルや能力が発揮できなくなる恐れがあるからです。
あくまでアセスメントによる評価は、企業がそのときに要求する適性に合わせて厳密に定義されたものであることを周知する必要があります。
上司の主観でフィードバックしない
上司は、部下に対するアセスメントの評価を正しく伝える役割を担っていますが、主観的にフィードバックしてはいけません。
フィードバックに上司の主観が入ってしまうと、客観的な視点から分析・評価を行うアセスメント自体の効力が失われ、評価される側が誤った認識や意味で捉える恐れがあるためです。
また、主観的なフィードバックでアセスメントを受け取っても、結局は自身の適性がよくわからなかったという結果になってしまいます。部下と個別面談を行う際は主観を取り払い、客観的なフィードバックを伝えることが大切です。
まとめ
物事・状況・人などを客観的に評価するアセスメントは、採用活動におけるミスマッチの防止や適切な人材配置など、企業や社員に良い影響をもたらします。
現状を正確に把握し、客観的に分析・評価することで個人や組織の成長促進も期待できますが、アセスメントへの深い理解が必要不可欠です。意味や必要性をきちんと理解し、アセスメントを上手に取り入れてみましょう。
よくある質問
アセスメントをする理由は?
組織や個人の能力や適性を客観的に評価し、強みや課題を把握するためです。
アセスメントを実践することで個人や組織のパフォーマンス向上や効率化が期待できるほか、成長促進に不可欠なプロセスとなっています。
アセスメントの例文は?
分野で異なりますが、以下のような使い方ができます。
- ・アセスメントによって、看護過程の品質が決まるといっても過言ではない
- ・最近の市場に適した風土改革を進めるために、まず組織アセスメントを行いたいと考えている
- ・消費者のデータを収集する場合、個人情報の取り扱いに関する事前のリスクアセスメントは不可欠だ
アセスメントの日本語訳は?
アセスメントの日本語訳は、「評価」「査定」です。
ビジネスシーンにおいては、「対象を客観的に調査・評価する」という意味で使用されています。