監修 粟生 将之(あお まさゆき)
近年はインターネットの普及により起業しやすい環境も整っており、本業としてはもちろん、副業として低リスクで起業するスタイルも増加しています。本業・副業を問わず、起業するからにはきちんと利益が出るビジネスを選ぶ必要があるため、「起業したいけどアイデアがない」と悩むこともあります。
本記事では、起業を目指す人に向けて、起業アイデアを見つけるためのヒントや注意点、ビジネス事例、起業の流れについて解説します。
目次
起業アイデアのヒントを見つける方法
起業するにあたって自分の頭の中でぼんやりと考えているだけでは、明確なアイデアがひらめくことはありません。
まずは起業アイデアのヒントを見つけるために、以下の方法を試してみてください。
- 世の中の不便や不満に着目する
- 自分の得意なこと・好きなことを棚卸しする
- 既存の商品やサービスの価値や改善点を考える
- 起業家の話を聞く
世の中の不便や不満に着目する
起業アイデアを探すうえで、まずは「人々が感じている不便さや不満」に目を向けてみましょう。そこには世の中のニーズが潜んでいます。
多くの商品やサービスは、顧客の不便さや不満を解消するためにつくられます。顧客が望むメリットやベネフィットを生み出すことで、その商品やサービスは評価されて売れるのです。
自分の周囲を注意深く見回していけば、日常のなかにある何気ない悩みから社会的な課題まで、さまざまな不便や不満が見つかるはずです。見つけた不便や不満をどうやったら解決できるかを考えることが、起業アイデアに結びついていきます。
自分の得意なこと・好きなことを棚卸しする
起業アイデアは、自分が得意なことや好きなことに関係するジャンルから見つけてみることもおすすめです。たとえ大きな利益が見込めても、知識や興味がないジャンルではモチベーションを継続できないからです。
まずは、自分が得意なことや好きなことは何なのか、整理することから始めます。これまでの実績や経験を思い返してみて、得意なこと・好きなことをリストアップしましょう。そのなかから、前項で挙げたニーズ(不便・不満の解決)につながりそうなものや、ビジネスになりそうなものをピックアップし、さらに深掘りしていきます。
既存の商品やサービスの価値や改善点を考える
起業アイデアを探すにあたって、「これまで誰も考えたことがないビジネス」を考えようとしても、何かが思い浮かぶとも限りません。しかし、オリジナリティのあるビジネスをするためにすべてを一から考える必要はありません。
既存の商品やサービスに改善できる点がないか研究し、ブラッシュアップすることで、違う切り口の起業アイデアが見つかることがあります。
また、複数の既存商品・既存サービスをかけ合わせることで、相乗効果によって新たな価値がうまれる可能性も考えられます。実際に商品化する上では権利問題にも注意を払う必要がありますが、アイデアの掘り起こし方としては有効な方法です。
起業家の話を聞く
自分で考えるだけでは起業アイデアを見つけられなかった場合は、人の話を聞くことが良いきっかけになります。
その際は、すでに起業して成功している先輩の話を聞くことが効果的です。起業家になるまでのリアルな体験や失敗を知ることは、自分が起業する具体的なイメージを持ちやすくなったり、起業アイデアをブラッシュアップしたりするきっかけになります。
知り合いに話を聞ける起業家がいない場合は、起業家が登壇するセミナーや勉強会に参加してみることもおすすめです。
起業するうえで考慮すべきポイント
アイデアの内容が実現性に乏しければ、起業しても利益をあげることはできません。そのため、アイデアを出す段階であっても、以下の点を考慮しておく必要があります。
- スモールスタートで始められるか
- ターゲットが明確になっているか
- 競合がどれくらいいるか
スモールスタートで始められるか
どのようなビジネスを始めるにしても、ある程度の初期費用(起業の手続きにかかる手数料や設備費、広告費など)や運転資金(オフィスの家賃や光熱費など)が必要です。
コストの負担が大きい状態で起業すると、ビジネスが軌道に乗る前に資金繰りで苦しむことになります。そうしたリスクを最小限に抑えるためには、スモールスタートで始められるビジネスであることが望ましいでしょう。
自己資金が乏しい状態でも起業をしたい場合は、起業にかかわる融資制度を利用するのがおすすめです。別記事「自己資金なしで起業したい!お金がない人ができる融資制度をわかりやすく解説」で詳しく解説しているので、興味のある方は参考にしてください。
ターゲットが明確になっているか
どんなによい商品やサービスであっても、十分な見込み顧客がいなければ売上は期待できません。そして、顧客に刺さる商品やサービスを展開するためには、「誰に向けての商品・サービスなのか」を明確にする必要があります。
自分が提供できる商品やサービスがターゲットとなる顧客にとって、本当に役立つものであるかをきちんと検討することが重要です。
競合がどれくらいいるか
展開を考えている商品やサービスに、どれくらいの競合がいるかも考慮しなければなりません。
参入障壁が低く、競合が多い市場はレッドオーシャンであるため、よほどの優位性がない限りは競合に勝てません。品質や性能で競合と差をつけにくい場合、商品やサービスを売るために価格を下げざるを得なくなり、十分な利益が得られなくなる可能性があります。
商品やサービスを展開する際は、なるべく競合の少ないニッチな分野の市場を狙うようにしましょう。
起業しやすいビジネス事例5選
ビジネスにはさまざまな種類がありますが、起業しやすいビジネスとして以下の5つが挙げられます。
- コンサルティング
- 受託・代行サービス
- ECショップ運営
- スクールビジネス
- シェアリングサービス
それぞれについて、具体的な事例に触れながら解説します。
コンサルティング
コンサルティングとは一般的に、クライアントの課題解決を手伝うことです。多くのクライアントが課題を抱えている分野において、専門的な知識や実績、経験があれば、コンサルティングサービスを提供するビジネスが始めやすいといえます。
課題を抱えているクライアントがたくさんいる分野のコンサルティングの例として、以下が挙げられます。
コンサルティング分野の例
- 転職・キャリアコンサルティング
- 経営・事業開発コンサルティング
- SNSマーケティングコンサルティング
- ITコンサルティング
- 税務コンサルティング
- 恋愛・婚活コンサルティング
主に「仕事」「IT」「お金」「恋愛」は一般的に悩みを抱える人が多いため、コンサルティングビジネスとしては人気の分野です。
こちらの動画では、EC領域に関するコンサルティングを行っている会社の代表のインタビューを紹介しています。自分自身の経歴を活かして、どのように起業に至ったかを語っていますので、ぜひ動画をご覧ください。
[ショート版]起業時代 十人十色のリアルストーリー De STANDARD株式会社 吉田 雄亮さん
受託・代行サービス
受託・代行サービスとは、専門的なスキルを持つ人がクライアントの業務を代わりに引き受けるビジネスです。特に、専門職に従事した経験がある人にとって始めやすいビジネスといえます。
専門的なスキルを活かした受託・代行サービスの例は、以下のとおりです。
受託・代行サービスの例
- Web制作代行
- Webライティング
- 動画編集
- システム開発
- 経理業務代行
- 営業代行
- 家事代行
- 遺品整理代行
- 害虫駆除代行
こちらの動画では、日本に旅行に来る外国人の様子を撮影し、その動画を編集して提供するサービスを行っている人のインタビューをご覧いただけます。興味のある方はぜひご参考にしてください。
[ショート版]起業時代 十人十色のリアルストーリー/Sym Film 須山彰人さん
ECショップ運営
ECショップとは、インターネット上で商品の販売をしているサイトのことです。店舗を構えているショップが通販に対応するために運営するケースのほか、近年は自分で制作したり、仕入れたりした商品を販売するために、個人で運営するケースも増えています。
インターネット上にはさまざまな分野のECショップがありますが、食品や酒類、化粧品、中古品などを販売したい場合は、許可や資格免許が必要になることもあります。自分が販売したい商品を決めたら、それに関連する法令を必ず確認しておきましょう。
こちらの動画では、非店舗型の花屋をWeb上で経営している人のインタビューを紹介しています。ECを活用した商品販売に関心のある方は、ぜひ動画をご覧ください。
[ショート版]起業時代 十人十色のリアルストーリー/花屋souvenir 徳留加代子さん
スクールビジネス
スクールビジネスとは、自分自身の持っている知識や技術を、顧客に情報として提供することで対価をもらうことです。ただし、知識や技術にニーズがあることが前提条件です。
近年はWeb会議ツール等を用いたオンラインでのスクールビジネスが増えており、会場費等がかからない分コストを抑えたビジネスが可能です。特に会員だけが参加できるクローズドの勉強会などを定期的に開催するオンラインサロン形式が増えています。
こちらの動画では、オフライン・オンラインでの日本語教育サービスの提供や、日本語文化の発信を行っている会社の経営者のインタビューを紹介しています。詳しくは動画をご覧ください。
[ショート版] 起業時代 十人十色のリアルストーリー/Co-Lab. 白髭 バーバラさん 福田将人さん
シェアリングサービス
シェアリングサービスとは、所有している不動産や物品などを貸し出すことで対価を得るビジネスです。貸し出せるモノがない場合でも、貸したい人と借りたい人を仲介してマッチングする、という切り口でサービスを展開することができます。
このサービスが起業しやすいといえる背景にあるのは、インターネットの普及に加えて、近年のシェアリング・エコノミーという考え方の普及です。モノを貸し借りするという価値観がデジタルネイティブ世代である若年層を中心に受け入れられやすくなったため、ビジネスとして成立させやすくなっています。
シェアリングサービスの具体例は、以下のとおりです。空間・移動手段・モノ・知識やスキル・お金というカテゴリをシェアするサービスが広く展開されています。
シェアリングサービスの例
- 民泊
- 駐車場シェアリング
- カーシェアリング
- ブランドバッグや時計などのレンタル
- クラウドソーシング
- クラウドファンディング
こちらの動画では、シェアキッチンの運営を行っている人のインタビューを紹介しています。会社員から転身して起業したきっかけなどについて語っていますので、ぜひご参考にしてみてください。
[ショート版]起業時代 十人十色のリアルストーリー/株式会社夢見創 山本 蓮理さん
そのほかの起業しやすいビジネスについては、別記事「起業におすすめの業種!成功しやすい業種やその選び方」でも解説しています。
起業の流れ
起業アイデアがまとまったら、以下の流れで起業の準備を進めましょう。
- ビジネスモデルを決める
- 具体的な起業計画を立てる
- 起業資金を調達する
- 設立手続きをする
1.ビジネスモデルを決める
まずは考えた起業アイデアを下敷きにして、どのようなターゲットに、どのような商品・サービスをどうやって提供するのか、さらにはどのような形式でマネタイズするのかというビジネスモデルを明確にしましょう。
2.具体的な起業計画を立てる
次に、1で決めたビジネスモデルをさらに深掘りして、起業計画を立てます。起業計画では、以下の会社の基本情報等を整理し、事業計画書を作成して起業の道筋を具体化していきます。
事業計画書の主な内容
- 会社名(商号)
- 本社所在地
- 事業目的
- 資本金
- 発起人
3.起業資金を調達する
2で作成した事業計画をもとに、起業するのにどれだけの資金が必要になるか計算し、その資金をどうやって集めるか考えます。
起業時に必要となる主な経費は、以下のとおりです。
起業すると発生する経費の例
- 起業の手続きにかかる手数料
- オフィスの賃料や光熱費
- 設備費
- 広告費
- 従業員の給与や保険料
資金を調達するには以下のような方法があります。
資金調達の方法
- 自己資金
- スポンサーからの出資
- 金融機関からの融資
- 国や地方自治体などによる補助金や助成金
- クラウドファンディング
最低限必要な支出の額や会社の規模・環境などを考慮したうえで、最適な調達方法を選びましょう。
4.設立手続きをする
起業して会社を設立する際は役所での手続きが必要で、大まかな流れは以下のとおりです。
会社設立の流れ
- 会社設立に必要な基礎情報を決める
- 会社用の実印を作成する
- 定款を作成する
- 資本金の払い込みを行う
- 会社設立に必要な書類を用意して法務局で登記申請する
用意するものや作成しなければならない書類がいくつもあるため、事前に確認しておきましょう。
設立手続きについては別記事「起業するにはどうしたらいい?会社を起業する方法や手続きについてわかりやすく解説」でさらに詳しく解説しているので、あわせてご覧ください。
まとめ
起業したいと考えているものの、アイデアが思い浮かばないと行動に移せません。起業アイデアを見つけるには、周囲や自分自身に目を向けることが重要です。
ビジネスの種類は多々ありますが、まずはこの記事で紹介した「考慮すべきポイント」や「起業しやすいビジネス」に合うものから考えましょう。
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監修 粟生 将之(あお まさゆき)
中小企業診断士・2級ファイナンシャルプランニング技能士。平日昼間は民間企業に勤務。事業企画や人事を経験した後、現在はバックオフィス改革の一環でグループ企業内のシェアードサービスセンターの構築に従事。平日夜間、休日に中小企業診断士としてコンサルティング、執筆活動を行っている。