スタートアップ企業とは、革新的なアイデアやイノベーションにより社会に変化をもたらし、創業から数年程度で急成長する企業のことです。
スタートアップ企業は働く側と投資する側の双方にとって魅力がありますが、日本はアメリカや中国などの海外に比べ、スタートアップ企業が育ちにくい環境であることが課題となっています。
本記事では、スタートアップ企業の特徴やベンチャー企業との違い、スタートアップ企業で働くメリット・デメリットなどについて詳しく解説します。
目次
- スタートアップ企業とは
- スタートアップ企業とベンチャー企業の違い
- スタートアップ企業とスモールビジネスの違い
- スタートアップ企業とユニコーン企業の違い
- スタートアップ企業の特徴・魅力
- 革新的なアイデアで社会に変化をもたらす
- スピード感があり短期間で急成長する
- M&AやIPOによるEXIT戦略を立てている
- スタートアップ企業で働くメリット・デメリット
- スタートアップ企業で働くメリット
- スタートアップ企業で働くデメリット
- スタートアップ企業で働くのに向いている人の特徴
- スタートアップ企業に投資するメリット・デメリット
- スタートアップ企業に投資するメリット
- スタートアップ企業に投資するデメリット
- 日本のスタートアップ企業の代表例5社
- 海外のスタートアップ企業の代表例5社
- スタートアップ企業を起業する方法
- まとめ
- 自分でかんたん・あんしんに会社設立する方法
- よくある質問
スタートアップ企業とは
スタートアップ企業とは、革新的なアイデアで事業展開し、創業から数年程度で急成長する企業のことです。
法律などにおける明確な定義付けはなく、アメリカのシリコンバレーで生まれた言葉とされています。
スタートアップ企業は大きなリターンを得られることが期待ができるため、投資家目線でも注目度が高いです。
スタートアップ企業とベンチャー企業の違い
スタートアップ企業とベンチャー企業はどちらも「新しい事業に取り組む企業」であり、似た言葉として捉えられますが、両者にはビジネスモデルや出口戦略などの違いがあります。
スタートアップ企業が今までにない新しく革新的なビジネスを生み出すのに対し、ベンチャー企業は既存のビジネスモデルを行う場合もあるのが特徴です。
出口戦略についても、スタートアップ企業が短期的にM&AやIPOを目指すのに対し、ベンチャー企業は中長期的に黒字の継続を目指すため、経営のスピード感も異なります。
スタートアップ企業とスモールビジネスの違い
スモールビジネスとは、小規模の事業からはじまり、時間をかけて成長していくビジネスのことです。
スタートアップ企業は短期的に急成長するビジネスを指すため、スモールビジネスとは成長速度や利益の増減スピードが異なります。
具体的な成長速度と利益の増減スピードのイメージは、以下を参考にしてください。
なお、スモールビジネスのメリット・デメリットや起業するポイントについては、別記事「スモールビジネスとは?起業後に成功するポイントやメリット・デメリットを解説」をご確認ください。
スタートアップ企業とユニコーン企業の違い
ユニコーン企業とは、評価額10億円以上かつ設立10年以内の非上場企業のことです。
一般的には、短期間の急成長でユニコーン企業の定義を満たしたスタートアップ企業がユニコーン企業と呼ばれます。
なお、世界にはアメリカや中国を中心に多くのユニコーン企業が誕生していますが、日本では未だ多くありません。
【関連記事】
ユニコーン企業とは?日本に少ない理由や条件、世界の企業数をわかりやすく解説
スタートアップ企業の特徴・魅力
スタートアップ企業の特徴や魅力は、以下のとおりです。
スタートアップ企業の特徴・魅力
- 革新的なアイデアで社会に変化をもたらす
- スピード感があり短期間で急成長する
- M&AやIPOによるEXIT戦略を立てている
革新的なアイデアで社会に変化をもたらす
スタートアップ企業は、革新的なアイデアでビジネスを生み出すことにより、社会に大きな変化をもたらすことが特徴です。これは、スタートアップ企業が成功するためにとくに必要な要件だといえます。
革新的な商品やサービスの開発もそうですが、これまでにはなかった需要の開拓も、スタートアップ企業における大きな魅力です。
スピード感があり短期間で急成長する
スタートアップ企業は、創業から数年という短期間で急成長することも大きな特徴・魅力といえます。事業が成功すれば、事業規模が拡大するスピードや商品やサービスが世の中に浸透するスピードも非常に速いでしょう。
また、従業員の数や活動拠点の数なども、急速に増えていくことが期待できます。
M&AやIPOによるEXIT戦略を立てている
スタートアップ企業は、EXIT戦略としてM&AやIPOを見据えていることも大きな特徴の1つです。M&Aとは企業売却のことで、急成長したことにより企業価値を高め、大きなキャッシュを手にできます。
また、IPOとは、会社の株式を一般の投資家に売り出すために初めて市場に株式を公開することで「新規株式公開」とも呼ばれています。このように、スピード感早く出口を目指していくのが、スタートアップ企業のほかにはない特徴です。
【関連記事】
IPOとは?上場との違いから審査基準までわかりやすく解説
スタートアップ企業で働くメリット・デメリット
スピード感があり短期間でも急成長していくスタートアップ企業は、就職・転職先としても注目されています。
これからスタートアップ企業で働くことを考えている場合は、以下で紹介するメリット・デメリットを参考にしてみてください。
スタートアップ企業で働くメリット
スタートアップ企業で働くメリットは、以下のとおりです。
- スピード感のある事業展開に携われる
- 入社してすぐでも裁量を持てるケースが多い
- 将来的に独立や起業を考えている場合に学びが多い
スタートアップ企業で働く場合、1日ごとに事業展開が進んでいることが実感できるでしょう。急速に進むビジネスの現場に関われるのは、スタートアップ企業で働く大きな魅力です。
また、裁量を持って経営者と一緒に仕事をするケースも多い傾向があるため、将来的に独立・起業を目指している人にとっては大きな経験となるでしょう。
スタートアップ企業で働くデメリット
スタートアップ企業で働くことは、メリットがある反面で以下のデメリットも忘れてはいけません。
- 激務に追われる可能性がある
- 安定した勤務先とは言い難い
- 給与や福利厚生などは大企業などに劣るケースが多い
スタートアップ企業が短期間で急成長する裏側には、各従業員の激務があります。毎日の仕事量は多く、仕事漬けになる日もあるでしょう。また、創業したてであることから、待遇面がよくないケースもあります。
そのため、プライベートと仕事をしっかりと両立させ、長く安定して働き続けることを求める人にとって、スタートアップ企業は不向きといえます。
スタートアップ企業で働くのに向いている人の特徴
上述したメリット・デメリットを踏まえ、スタートアップ企業で働くのに向いている人の特徴は以下のとおりです。
スタートアップ企業で働くのに向いている人の特徴
- バリバリ仕事をしていきたい人
- 主体的な姿勢で仕事をしていきたい人
- 将来性のある企業で働きたい人
- 社会人としての成長意欲が高い人
- 将来的に起業を想定している人
これらの特徴に当てはまる場合は、スタートアップ企業が働くのによい環境だといえるでしょう。
スタートアップ企業では会社の成長に携われるため、得られるものも多いはずです。そのため、学校を卒業した後の最初の就職先としても、スタートアップ企業への就職はおすすめです。
スタートアップ企業に投資するメリット・デメリット
近年では世界中で多くのスタートアップ企業が生まれており、多くの投資家たちが投資先として注目しています。
スタートアップ企業への投資を検討している人はメリット・デメリットを理解して検討しましょう。
スタートアップ企業に投資するメリット
スタートアップ企業に投資するメリットは、以下のとおりです。
- 大きなリターンが期待できる
- 企業経営に参画するチャンスがある
- エンジェル税制による税金の優遇措置が受けられる
将来的に期待できるリターンの金額が非常に大きいことがスタートアップ企業に投資する最大のメリットといえるでしょう。そのため、スタートアップ企業への投資ではIPO株に投資することがおすすめです。
また、スタートアップ企業への投資は、個人投資家が受けられる税金の優遇措置「エンジェル税制」との相関性が高い特徴があります。投資額を総所得金額や株式譲渡益から控除できる制度なので、節税に大きく寄与するでしょう。
さらに、早いうちからスタートアップ企業に投資することで、株主総会への参加が可能となり、企業経営に参画できるメリットもあります。
出典:中小企業庁「エンジェル税制の仕組み」
スタートアップ企業に投資するデメリット
スタートアップ企業への投資は、メリットがある一方で以下のようなデメリットもあります。
- 元本割れのリスクがある
- 投資期間は長くなるケースが多い
- 非上場時点での投資は換金性・流動性が悪い
- IR情報が少なく情報収集しづらい
スタートアップ企業は急成長を遂げて大きな黒字をもたらす可能性がある反面、事業がうまくいかず赤字がかさんでしまうリスクがあります。万が一資金繰りがうまくいかず倒産になってしまうと、元本割れとなり回収できません。
また、スタートアップ企業に投資してから大きなリターンを回収するためには、数年間の期間がかかることが一般的です。IR情報の収集もしにくいため、スタートアップ企業への投資はある程度のリスクを考慮する必要があります。
日本のスタートアップ企業の代表例5社
日本を代表するスタートアップ企業としてあげられるのは、以下の5社です。
- 株式会社メルカリ
- スマートニュース株式会社
- 株式会社Preferred Networks
- 株式会社ADVASA
- 株式会社SmartHR
株式会社メルカリ
株式会社メルカリは、2013年に創立して以来、日本最大級のフリマサービスを提供するスタートアップ企業です。会社設立から3年で時価総額1,000億円を突破し、その2年後に上場を果たしています。
出典:株式会社メルカリ
スマートニュース株式会社
2012年に創立したスマートニュース株式会社は、ニュースアプリを中心としたインターネットサービスを提供するスタートアップ企業です。
「世界中の良質な情報を必要な人に送り届ける」というミッションを掲げ、アプリのダウンロード数は全世界で5,000万を超えています。現在では海外にも支店を構え、事業規模を世界に広げています。
出典:スマートニュース株式会社
株式会社Preferred Networks
株式会社Preferred Networksは、AI開発分野で日本を牽引しているスタートアップ企業です。2014年に設立し、2021年には時価総額が3,000億円を超えるほどに急成長を遂げています。
BtoB支援プロダクトからエンターテイメント、コンピューターサイエンス教育まで幅広く手掛けているのが、株式会社Preferred Networksの特徴です。
出典:株式会社Preferred Networks
株式会社ADVASA
株式会社ADVASAは、福利厚生ペイメントサービス「FUKUPE」を運営する、2017年創立のスタートアップ企業です。
ほかにも、ブロックチェーン技術を活用したシステム開発や、Fintech、AI、IOT関連サービスの開発にも力を入れています。
創立からわずか6年後の2023年には、時価総額が2,000億円を超えて高い評価を受けました。
出典:株式会社ADVASA
株式会社SmartHR
株式会社SmartHRは、クラウド人事労務ソフト「SmartHR」の運営・開発・提供を行うスタートアップ企業です。
2013年に創立して以降順調に成長し、現在では複数の小会社を抱える規模にまで伸びました。また、時価総額に関しても2023年時点で1,700億円を超えています。
出典:株式会社SmartHR
海外のスタートアップ企業の代表例5社
海外のスタートアップ企業の代表例としてあげられるのは以下の5社です。
- ByteDance
- Uber
- SHEIN
- OpenAI
- Didi Chuxing
ByteDance
ByteDanceは、TikTok・Lemon8・CapCutなどの世界的に有名なアプリケーションを開発・運営している中国発のスタートアップ企業です。2021年にByteDanceが記録した月間アクティブユーザー19億人、従業員数11万人以上、売上高580億ドルという数字は、世界的にも衝撃を与えました。
ByteDanceは、ユニコーン企業価値世界1位にもなっている、まさに世界を代表するスタートアップ企業となっています。
出典:ByteDance
Uber
Uberは、配車アプリ「Uber」と宅配サービス「UberEats」を手がける、アメリカ発のスタートアップ企業です。2010年に創業したUberは瞬く間に成長し、手掛けたサービスは5年で50カ国で利用されるまでに広がりました。
現在の時価総額は約17兆円で、数多く存在するアメリカのスタートアップ企業の中でも一際目立つ企業となっています。
出典:Uber
SHEIN
SHEINは、オンライン通販に特化した低価格のアパレル・雑貨などの販売を行う、中国発のスタートアップ企業です。
2008年創業してから徐々に成長していき、2022年にはアメリカにおけるファストファッション売上高において、ZARA・H&M・FOREVER21を抜き1位になりました。
現在の時価総額は10兆円を超え、さらなる成長を遂げていくと予想されています。
出典:SHEIN
OpenAI
OpenAIは、ChatGPTやDALL-Eなどでお馴染みのAIツールを手掛けるアメリカ発のスタートアップ企業です。2015年に創立して以降AI開発において世界を牽引し、ChatGPTにおける直近の利用者数は全世界で1億人を超えています。
また、2023年にはマイクロソフト社から100億ドルの出資を受けたことが話題になり、時価総額は100兆円を突破しました。
出典:OpenAI
Didi Chuxing
Didi Chuxing(滴滴出行)は、世界中でモビリティサービスを提供する中国発のスタートアップ起業です。月間アクティブユーザー数は5億を超え、今後サービスをさらに多くの国にて展開していくことが予想されています。
Didi Chuxingは一時ニューヨーク市場に上場していましたが、2022年に廃止し、2024年に香港市場で再上場を検討していることが話題となっています。
出典:Didi Chuxing
スタートアップ企業を起業する方法
スタートアップ企業を起業するには、前提として今までにない革新的なアイデアと明確な出口戦略が必要です。その上で、起業は以下の方法で進めていきます。
スタートアップ企業を起業する方法・流れ
- 起業する目的や企業の軸を決める
- 事業内容を決める
- 具体的な起業計画を詰めていく
- 起業に必要な資金を集める
- 企業の設立手続きを行う
具体的な起業の方法について詳しく知りたい方は、別記事「起業するにはどうしたらいい?会社を起業する方法や手続きについてわかりやすく解説」をご確認ください。
まとめ
スタートアップ企業とは、革新的なアイデアやイノベーションにより社会に変化をもたらし、創業から数年程度で急成長する企業のことです。日本ではメルカリ、海外ではByteDanceが代表的で、近年では多くのスタートアップ企業が誕生しています。
スタートアップ企業の特徴は革新的なアイデアと成長力の速さにあり、働く人にとっても投資家にとっても魅力的です。
ただし、日本は海外に比べスタートアップが育ちにくい環境であり、必ず成長する保証はなくリスクが生じることも忘れてはいけません。
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よくある質問
スタートアップ企業とはどんな企業?
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スタートアップ企業とベンチャー企業の違いは?
スタートアップ企業とベンチャー企業の違いは、主にビジネスモデルや出口戦略の違いです。スタートアップ企業は今までにないビジネスモデルで短期的に成長するのに対し、ベンチャー企業はビジネスモデルに関わらず中長期的に成長します。
詳しくは記事内の「スタートアップ企業とベンチャー企業の違い」をご覧ください。
スタートアップ企業で働くメリットは?
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