監修 税理士・CFP® 宮川真一 税理士法人みらいサクセスパートナーズ
50代からの起業を考える人は、いつの時代も存在します。
特に近年では、人生100年時代や生涯現役といった言葉をよく耳にするようになり、「50代からの脱サラに興味がある」「経験を活かしたプチ起業から自分なりのビジネスを始めたい」と考える人も珍しくありません。
本記事では、50代で起業するメリット・デメリットをはじめ、おすすめの事業アイデアや起業準備に必要なこと、成功のポイントについて解説します。
目次
50代で起業はできる?
結論からいうと、50代からの起業は可能です。起業に年齢は関係なく、50代以降で会社員を辞めて独立する人はいます。
日本政策金融公庫が公表している「2023年度新規開業実態調査」によると、2023年に新規開業した人のうち、50代で開業した割合は20.2%でした。
60代以上の6.1%と合わせると、新規で開業した人の約4分の1は50代以降で新たに開業していることになります。働き盛りの30代・40代と比較すると少ないものの、50代でも起業は可能であるといえるでしょう。
また、同調査によると、開業時の平均年齢は1991年の38.9歳から、2023年には43.7歳に上昇しています。近年は日本の労働力人口が減少するなかで、従来の定年制にとらわれることなく、高齢になっても長く働き続けるという価値観が一般的になりつつあります。
その点からも、50代での起業は決して遅いチャレンジではないと考えられるでしょう。
出典:日本政策金融公庫「2023年度新規開業実態調査」
50代で起業するメリット
50代で起業するメリットは、20~30代での起業と比較して、豊富な社会経験を活かせる点にあります。これまでの会社員生活で培った専門知識や実績、人脈などを駆使できれば、開業初年度から顧客を獲得しやすくなります。
特に営業・人事・経理・生産管理・マーケティングなど、特定のビジネス領域で十分な実績がある場合は、50代からでもアドバイザーとして重宝され、活躍の幅が広がるでしょう。
また、これまで築いてきた仕事上の人脈やプライベートでの人間関係が、事業基盤としてプラスに働く可能性があります。
たとえば、会社員時代に知り合った人が事業パートナーやアドバイザーになったり、かつての同僚や知人がサービスを利用してくれたりするケースが考えられます。
ほかにも、長期にわたって積み上げた金融資産や貯金を事業の資金源にできたり、子育てが一段落して時間に余裕があったりといったメリットも、50代での起業ならではです。
50代の起業家には、定年退職が近づいてきているなかで、社会とのつながりを継続できることにメリットを感じている人もいます。
50代で起業するデメリット
50代で起業する場合、一般的に体力の衰えや健康の面では20・30代と比較すると不安要素になります。病気やケガなどで働けなくなってしまうと、事業継続そのものが困難になるケースがあるからです。
万が一、起業で大きな失敗をしてしまうと挽回するのが難しくなるのも、50代からの起業におけるデメリットのひとつです。
正社員として再出発しようとしても、年齢的に再就職が難しいケースも想定されます。さらに融資を受けて事業をしていた場合、定年後に使う予定の貯蓄などを取り崩さざるを得なくなるかもしれません。
経験豊富な50代であっても、計画性に乏しかったり準備が不足していたりすると、廃業・倒産に追い込まれるケースは珍しくありません。起業を検討する際は、リスクとリターン、事業に費やせるお金や時間、事業戦略などをよく確認しておくことが重要です。
50代の起業におすすめの事業アイデア
50代で起業する場合、いきなり未経験の分野へ挑戦するよりも、これまでの経験をベースとして事業アイデアを検討するのをおすすめします。まずは成功の確率が高い分野で事業基盤を固め、徐々に範囲を広げていくのがよいでしょう。
体力勝負となる仕事や、数十年単位の継続性が求められる仕事(メンテナンスや設備保全など)は、健康面や顧客からの信用面で避けたほうが無難です。そのような事業を検討する際は、ほかの従業員や協業者を得るなどの対策が必要になります。
以下では、50代の社会経験を特に活かしやすい事業アイデアとして、コンサルティングとスクールビジネスを紹介します。
コンサルティング
さまざまな業界・職種の経験を経ている50代なら、コンサルティング事業でこれまで培ってきた知識・経験を活かせます。特に経営・財務・営業・マーケティング・ITなどのビジネス領域でのコンサルティングは需要が大きいと考えられます。
無形商材であるコンサルティングビジネスは、店舗型ビジネスや商品開発・製造業とは異なり、製造ラインの準備・在庫管理・販売用店舗などが必要ありません。
事業を始める際の初期費用や設備費などを抑えられるため、本業と並行したい場合のスモールスタートとしても始めやすいメリットがあります。
自分のもつ専門知識や技術がニッチであり、隠れたニーズがあるほど、ほかの事業者と差別化された強みになるでしょう。
スクールビジネス
スクールビジネスとは、コミュニティや研修会、講座といったスクール形式で知識や経験を伝えることで利益を得る事業です。特定の企業や個人へのコンサルティングとは異なり、多人数に対して講座やサポートを提供するという形になります。
また、コンサルティングは「クライアントの課題を一緒に解決する」までが仕事ですが、スクールビジネスはあくまで「知識や経験を伝える」のが目的です。近年では、インターネットを活用したオンラインセミナーやオンライン講座を提供することで、自宅から全国へビジネスを提供できるようになりました。
無形商材としても販売できるので、在庫を抱えず仕入費用もありません。一度動画やマニュアルを作成できれば、ストック型ビジネスとして継続的に利益を出せる可能性があります。
以上で紹介したコンサルティングやスクールビジネス以外にも、50代から始められる事業は多数存在します。自分の能力や環境に合った事業アイデアをもとに起業の計画を立てるのがよいでしょう。起業アイデアについてもっと知りたい人は、以下の記事もご覧ください。
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成功するための起業アイデア10選! 出し方のコツや成功例・起業までの流れを紹介
50代の起業準備に必要なこと
50代からの起業も、ほかの年代での起業と同じく、アイデア出しから資金調達までの一連の流れを計画的に進めることが大切です。
50代の起業準備に必要なこと
- 事業アイデアを具体化する
- 起業計画を立てる
- 企業資金を調達する
それぞれについて詳しく解説します。
事業アイデアを具体化する
50代の起業準備の最初のステップは、事業アイデアを出し、それらを具体化することです。無計画なまま起業を進めると、何を売るのかすらはっきりせず、時間と資金を無駄にしてしまうことになりかねません。
事業アイデアの具体化に必要な項目
- 何を売りたいのか
- 自分は何を売れるのか(どのようなスキルや能力、人脈をもっているのか)
- どこで売りたいのか
- 誰に売りたいのか
- どのような方法で売るのか
- いくらで売るのか
- 仕事にやりがいはあるのか
事業アイデアを出すには、自分自身のスキルや経歴の棚卸し、市場調査が必須です。また、起業家セミナーへの参加や起業家インタビューのチェックなどを行い、自分1人では得られないインスピレーションを期待するのもよいでしょう。
起業計画を立てる
実施したい事業アイデアが決まったら、実際にどのようにビジネスを進めるのかを計画としてまとめます。
起業計画に含めたい項目
- 事業目的
- 取扱商品・サービス
- 予定している取引先や顧客
- 従業員数
- 必要な借入の金額
- 事業のマーケティング調査結果
- 今後の将来性の展望
詳細な起業計画を作成できれば、その後に経営計画や行動指針なども定めやすくなります。また、融資の申し込みや補助金申請時に必要な事業計画書を作成する際にも、起業計画を作り込んでおけば具体的な内容を落とし込みやすくなります。
なお起業する際は、必ずしも会社(法人)を設立する必要はありません。税務署に開業届などを提出するだけで済む、「個人事業主」として起業する方法も検討してみてください。
節税の幅広さや社会的信用といった面では会社設立のほうがよい一方で、個人事業主の開業は会社設立ほど複雑な手続きや帳簿付け・税務申告などが必要ありません。初めて起業するときは、個人事業主から始めるのもひとつの選択肢です。
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起業資金を調達する
ある程度の規模の事業を行うには、資金調達によって起業資金を確保するのが一般的です。
50代の起業で使える主な資金調達手段
- 退職金や貯金などの自己資金
- 信用金庫や銀行といった民間の金融機関からの融資
- 補助金・助成金
- クラウドファンディング
- 出資
ただし、資金調達を受けるには社会的信用度や詳細な事業計画が必要になるケースがほとんどです。もし民間の金融機関から融資を受けられないときは、日本政策金融公庫の融資制度の利用をおすすめします。
政府系金融機関である日本政策金融公庫なら、起業家向けの融資制度や、無担保・無保証・低金利で利用できる融資制度へも申し込みが可能です。
中小企業や小規模事業者の創業支援を重点的な取り組みとして挙げていることから、民間の金融機関よりも審査の通りやすさが期待できます。
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50代の起業を成功させるポイント
50代の起業を成功させるには、次の3つのポイントを意識しましょう。
50代の起業を成功させるポイント
- 事業の継続性を検討する
- 初期費用をできるだけ抑える
- 起業支援を行っている期間を利用する
事業の継続性を検討する
50代という年齢を考えると、起業する際には「やろうとしている事業に継続性はあるのか」を、しっかり検討することが大切になります。たとえば、いくら利益が見込める事業であっても、体力的な問題で継続できない場合は成功が難しいでしょう。
仕事につながりそうな人脈や事業ニーズ、潜在顧客などを事前確認し、始める前からあらかじめ事業が続けられる見通しを立てておきます。50代での失敗リスクの高さを考慮し、事業基盤の確認を怠らないようにしてください。
初期費用をできるだけ抑える
50代での起業失敗は、年金生活に突入したセカンドライフに必要な貯蓄を減らすことになりかねません。初めから大規模な事業展開を見据えた仕入れ・オフィス新設・人材雇用を進めると、失敗したときに取り返しがつかなくなります。
そのため50代の起業は、万が一失敗してもリカバリーが効くよう、初期費用をできるだけ抑えることをおすすめします。いわゆるスモールビジネスやプチ起業といった、本業を退職せずにスキマ時間や休日に小規模の事業を始める方法がよいです。
事業がうまくいかなくても金銭的な損失が少なく済むうえに、得られたスキルや経験などを次の起業に活かせます。
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起業支援を行っている機関を利用する
社会経験が豊富な50代とはいえ、初めて起業する人にとっては自分で事業を立ち上げるのは未知の領域です。自分1人だけで起業するのが負担という人は、創業支援を行っている機関の利用を検討しましょう。
創業支援を行っている機関なら、事業計画・資金調達・事業アイデアなどの経営全般の相談に乗ってくれます。また、創業に必要な書類作成や申請のサポートも任せられるのも、こうした相談窓口を活用するメリットです。
創業支援を行っている機関 | 概要 |
認定経営革新等支援機関 | 中小企業庁から認定された事業支援の専門機関で、経営相談のほかにも補助金申請の支援を担当 |
シニアアドバイザーセンター | 全国の商工会議所などに窓口を構えている、中小企業・小規模事業者などへのアドバイスや事業計画書の作成支援などを行う一線を退いたシニア世代のアドバイザー |
都道府県等中小企業支援センター | 専門家への相談・DX推進支援事業・セミナー・企業マッチングといった中小企業のビジネスをサポートする機関 |
商工会議所・商工会 | 地域経済の活性化や地域づくりを目的に、地元の事業を支援する機関で、地域性の高さや地元企業とのマッチングに強いのが特徴 |
まとめ
50代・シニア世代からの起業は珍しくありません。50代までに培ってきた社会経験や専門知識、人脈を活かせるなど、その世代ならではのメリットも多くあります。
50代で起業を成功させるには、市場ニーズや自分自身の分析や起業計画の作成がポイントになるため、事前準備を怠らないようにしましょう。
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よくある質問
50代からの起業は難しい?
これまで培ってきた専門知識や実績、人脈などを活かせれば、50代からでも起業が難しいことはありません。ただし体力面や健康面などを考慮すると、20~30代での起業よりもハードルが上がる可能性はあります。
詳しくは記事内「50代で起業はできる?」をご覧ください。
50代の起業に適しているビジネスは?
50代の起業に適しているビジネスには、コンサルティングやスクールビジネスといった、社会人経験豊富な50代ならではの専門知識や実績を活かせる事業が挙げられます。
詳しくは記事内の「50代の起業におすすめの事業アイデア」で解説しています。