会社設立の基礎知識

会社設立に必要な印鑑は?種類や役割、用意する際のポイントを解説

監修 司法書士 大﨑 麻美(おおさき あさみ)

会社設立に必要な印鑑は?種類や役割、用意する際のポイントを解説

会社設立において必要となるもののひとつに「印鑑」があります。ただ、一口に印鑑といってもさまざまな種類があるため、何を選べばよいか迷う人もいるはずです。

本記事では、会社設立における印鑑の必要性とともに、法人用印鑑の種類や役割、選び方などについて解説します。会社設立の準備をしている人はぜひ参考にしてください。

目次

会社設立の準備・手続きはfreee会社設立でカンタンに!

【設立数5万社以上 / 利用料無料】
freee会社設立では、必要項目を入力するだけで設立前後に必要な書類を無料で一括作成できます。無料相談も受付中!

会社設立や起業時における印鑑の必要性

会社設立時には法務局へ商業登記をする必要があります。従来は、商業登記の際には代表者印として実印登録が求められました。

しかし、業務効率化や電子化を進めることなどを目的として、政府は対面での押印を求める手続きを見直し、2021年の法改正によって押印義務は廃止されました。それにより、現在はオンラインで会社の設立登記をする際の印鑑の登録は任意となっています。

手続き上の押印義務が廃止されたことを受けて、会社の設立登記時における印鑑の必要性は変化しつつありますが、実際に事業を行ううえでは押印が必要になるケースは依然として少なくありません。そのため、会社設立時には従来どおり印鑑を用意しておいたほうがよいでしょう。

一口に印鑑といっても、シーンによってさまざまな種類のものを使い分ける必要があります。次章では、法人用印鑑の種類や役割について詳しく解説します。

なお、会社の設立登記では、登録する印鑑のほかに印鑑届出書や代表者個人の印鑑証明書といった書類も用意しなければなりません。これらの書類については以下の記事で詳しく解説しているので、参考にしてください。

【関連記事】
「会社設立に必要な印鑑届出書とはどういうもの?」
「法人の印鑑証明の取り方!登録・取得方法や利用目的をわかりやすく解説」

法人用印鑑の種類・役割

法人用印鑑には、代表者印(実印)・銀行印・角印・ゴム印の4種類があります。それぞれの役割は以下のとおりです。


印鑑の種類役割(用途)
代表者印(実印)・登記申請書への押印
・各種契約書への押印
・委任状への押印
・官公庁への入札など公的機関に提出する書類への押印
銀行印・法人用銀行口座の開設届出書への押印
・銀行取引に関する書類への押印
角印・社内文書への押印
・領収書や発注書、見積書などへの押印
・郵便物の受取印
ゴム印社名や代表者名、住所、電話番号などの記載が必要な書類・封筒への押印

会社設立時に最も重要な役割を果たす代表者印(実印)

印鑑の中でも、最も重要な役割を果たすのが代表者印です。代表者印は、会社設立の際に登記申請書に捺印し、代表取締役が会社設立登記時に登録する印鑑になります。

法務局に登録する代表者印には規定があり、1辺の長さが1cm以上かつ、3cmの正方形に収まるものを使用しなければなりません。


出典:e-Gov法令検索「商業登記規則 第9条3項」

法人口座の開設に用いる銀行印

銀行印はその名の通り、法人口座の開設時に用いる印鑑です。代表者印と銀行印は同じものを使っても構いませんが、代表者印は重要なものであり、紛失や悪用のリスクを防止する意味合いや、摩耗によって印影が見えなくなることを防止する意味合いで分ける場合が大半です。

銀行印と代表者印を分ける場合、違うサイズにするなどの工夫をして判別が付くようにしておきましょう。

請求書などに捺印する角印

俗にいう社印は角印のことを指します。代表者印や銀行印とは異なり、印鑑の形が四角形になっていることから角印と呼ばれます。

請求書や発注書に押す印鑑は角印が一般的です。実印を使うこともできますが、なくすと手続きが大変なため多くの場合は別途作成します。

近年は請求書や発注書の受け渡しを電子契約システム上で行う企業も増えつつあるため、企業によっては使用機会の少ない印鑑かもしれません。

あると便利なゴム印

ゴム印を用いる場面は、簡易的に会社の社名を捺印したいときや、正式ではない書類に記名が必要なときなどが挙げられます。

会社設立時には代表者印・銀行印・角印の3本のセットを購入するケースが一般的ですが、併せてゴム印も作成しておくと実務のうえで便利でしょう。

法人用印鑑の選び方のポイント

法人用印鑑を選ぶ際のポイントとして、材質・形状・書体の3つが挙げられます。それぞれ以下で詳しく解説します。

印鑑の材質

印鑑の材質として主に用いられるものは、木材・黒水牛・チタンの3種類です。これら3つの特徴や、機能面・耐久性・価格の違いは下表のとおりです。

下表における「捺印のしやすさ」とは、捺印時にかすれや欠けが生じないかを基準としています。とはいえ、たとえかすれや欠けが生じやすい印鑑であっても、捺印マットや状態の良い朱肉を使うなどしてカバーが可能です。


印鑑の材質捺印のしやすさ耐久性価格の安さ
木材(柘など)
黒水牛
チタン

木材(柘など)

最もポピュラーなのは柘(つげ)という木材を用いた印鑑です。軽く、材質として十分な耐久性をもっています。コストパフォーマンスに優れているため、こだわりがなければこちらを選ぶとよいでしょう。

黒水牛

黒水牛の印鑑は、材質の高級感が際立ちます。柘よりも耐久性がよく、長年の使用が可能です。

チタン

木材や黒水牛と比べるとかなり高級にはなりますが、チタン製の印鑑もあります。金属でできているため重厚感があり、摩耗などの心配がほとんどない点が特徴といえるでしょう。

印鑑の材質を選ぶ際の注意点として、材質ごとの価格の差が大きいことが挙げられます。そのため、捺印のしやすさをはじめとする機能面だけでなく、使用頻度と耐久性のバランスも考慮して適切な材質を選ぶようにしましょう。

印鑑の形状

印鑑の形状には、まっすぐな円柱状の「寸胴」と、中央部分にくびれがある「天丸」の2種類があります。法人用印鑑の形状に関する規定はないため、好きな形の印鑑を選ぶとよいでしょう。

寸胴には市販の印鑑ケースの多くに対応でき、比較的価格が安いという特徴があり、天丸には特別感のある見た目で、専用のふたが付くため傷つきにくいという特徴があります。

できるだけ価格を抑えたい場合は寸胴を、見た目や捺印のしやすさにこだわりたい場合は天丸を選ぶのがおすすめです。

印鑑の書体

印鑑でよく使用される書体には、「篆書体」「印相体」「古印体」の3種類があります。形状と同様に、法人用印鑑の書体に関する規定もないため、好きなものを選んで問題ありません。

ただし、読み取りやすい書体を使用すると印影を偽造されるリスクがあります。そのため、偽造防止を重視する場合は、上記3つのうちの篆書体か印相体を選ぶのがおすすめです。

なお、読み取りにくい書体を使う際は、印鑑登録の際に「文字が読めないから登録不可」となる事態も起こりえます。そうした事態に備えて、彫り直しサービスがある店で購入すると安心です。

篆書体(てんしょたい)

篆書体は中国で作られた書体です。秦の始皇帝の命令で、それまでの古代中国で使われていた書体を改良することで生まれました。

複雑な形状をしているため、偽造は困難とされています。現代においても、日本銀行が発行するお札に押されている印鑑の書体として用いられるほど、公式性の高い書体です。

印相体(いんそうたい)

「吉相体(きっそうたい)」とも呼ばれる書体で、篆書体をベースとして近年開発されました。文字の線が四方八方に広がっていることが特徴です。

篆書体をもとにしていることから複雑で読み取りにくく、偽造防止に効果的な書体といえます。また、文字が印鑑の枠に接している部分が多いため、強度が高いという特徴もあります。

古印体(こいんたい)

複雑な篆書体を簡略化した「隷書体(れいしょたい)」を変化させた書体です。丸みのある柔らかな雰囲気で、上記2つと比べて読み取りやすくなっています。

しかし、文字の線の太さが均一ではないため、完全な複製は難しいとされています。読み取りやすさと偽造防止の効果をバランス良く兼ね備えた書体です。

法人用印鑑の購入方法

法人用印鑑は、印鑑を扱う実店舗かインターネット通販で購入できます。

印鑑の文字やデザインなどについて相談しながら購入したい場合は、実店舗のほうがよいでしょう。できる限りコストを抑えたい場合やできるだけ早く受け取りたい場合は、インターネット通販がおすすめです。

なお、代表者印のほか、重要度の高い銀行印と角印を合わせた3本セットで購入すると、一般的に1本ずつ単体で購入するよりも費用を抑えられます。

「freee会社設立」の印鑑注文サービスでも、法人用印鑑のセット購入が可能です。「freee会社設立」に入力した情報をもとに、ワンクリックで実印・銀行印・角印の3本を注文できます。印鑑ケース・朱肉・捺印マットも付いているので、そのままでの保管がしやすいのも特徴です。

まとめ

会社設立の手続きで必要になる法人用印鑑には、使用頻度や予算、好みによって選べるバリエーションがあります。印鑑を選ぶ際は「材質」「形状」「書体」を意識しましょう。

印鑑は実店舗やインターネットでの購入が可能ですが、コストを抑えたいのであればインターネットで購入するのがおすすめです。いずれにしても、注文してから印鑑が手元に届くまでにはある程度の時間がかかるため、手続きで必要になるタイミングから逆算して早めに購入しておきましょう。

以下の記事では、会社用印鑑を準備しておくタイミングを会社設立の流れとあわせて解説しています。設立までのスケジュールも把握して、スムーズに進めれていけるように準備していきましょう。

自分でかんたん・あんしんに会社設立する方法

会社設立の準備から事業開始までには、多くの書類や手続きが必要になります。書類の転記をするだけでもかなりの時間がかかってしまいます。

freee会社設立は株式会社だけでなく、合同会社の設立にも対応しています。設立件数30,000社以上の実績をもつfreee会社設立なら、初めての方もあんしんしてご利用いただけます。

起業ダンドリコーディネーターが完了までサポートしてくれるからあんしん!

初めての会社設立では、書類の書き方や提出先、設立後の手続きなどさまざまな場面で不安を抱えてしまうこともあるでしょう。

freee会社設立では、会社設立に詳しい起業ダンドリコーディネーターが常駐しており、設立準備から登記後に必要な手続きまでを完全無料で並走・サポートします。

相談方法はオンライン面談、LINE相談、電話、メールなどから選べます。まずお気軽に問い合わせフォームからおためし相談(最大30分)の予約をして、ご自身のスケジュールや設立手続きに関する疑問や不安を解消しましょう。

起業ダンドリコーディネーターの詳細はこちら

入力項目・次にやること、すべて画面上で把握できる

freee会社設立では、必要項目を記入していくだけで会社設立に必要な書類を作成することができます。また、登記の際に必要となる会社印も同時に購入が可能です。


freee会社設立 入力画面

freee会社設立は株式会社だけでなく、合同会社の設立にも対応しています。

会社名や資本金額など必要項目を入力すると、定款(ていかん)をはじめとする会社設立に必要な約10種類の書類を自動で作成します。

<freee会社設立で出力できる書類の一例>

  • 定款
  • 登記申請書
  • 印鑑届出書 など
ほかにも、会社設立後に役所へ提出が必要な「法人設立届出書」の作成や法人口座の開設、法人用クレジットカードの申請にも対応しています。

設立にかかるコストを削減できる

設立費用を削減したい方には電子定款がおすすめです。紙の定款では、収入印紙代40,000円がかかりますが、電子定款ではこれが不要となります。

freee会社設立は電子定款にも対応しており、電子定款作成に必要な機器やソフトの準備なども必要がないため、自分で作成するよりもコストを抑えることができます。

<設立にかかる費用の比較例>


設立にかかる費用の比較例

(1)freee会計を年間契約すると、無料になります。
(2)紙定款の印紙代(40,000円)

会社設立の準備を進めながら、バーチャルオフィスの申し込みが可能!

会社設立するためにオフィスの住所が必要になります。
自宅をオフィス代わりにしている場合は、自宅の住所でも問題ありませんが、公開情報となってしまうので注意が必要です。

自宅兼オフィスのように実際の住所を公開したくない場合や、管理者や所有者に物件の法人登記が認められていない場合は、バーチャルオフィスを利用するのがおすすめです。

freee会社設立では、会社設立に必要な書類を無料で作りながら、バーチャルオフィスの申し込みもできます!
まずはこちらからfreee会社設立に無料で登録してみてください!

自分で手続きする時間のない方には「登記おまかせプラン」がおすすめ!

「初めての会社設立で不安」、「自分で手続きする時間がない」という方には、司法書士が手続きまで代行してくれる登記おまかせプランがおすすめです。

設立代行の費用相場は10万円前後ですが、freeeの登記おまかせプランは一律5万円で利用できます。※海外在留者が出資者・役員の場合等の特殊ケースを除く

登記おまかせプランの利用方法等の詳細は、freee会社設立の無料登録が完了後にメールにてご案内します。

会社設立の準備をお考えの方は、ぜひ登録無料のfreee会社設立をお試しください。

よくある質問

会社設立時には印鑑の用意が必要ですか?

2021年の法改正により、会社設立における印鑑の必要性は変わりつつあるが、実際の事業で押印が必要になるケースは少なくないため、印鑑は用意しておいたほうがよいでしょう。

詳しくは記事内「会社設立や起業時における印鑑の必要性」をご覧ください。

会社設立時に必要な印鑑の種類(本数)は?

法人用印鑑には代表者印(実印)・銀行印・角印・ゴム印の4種類があります。会社設立時は、少なくともゴム印を除く3本を作るケースが一般的です。

詳しくは記事内「法人用印鑑の種類・役割」をご覧ください。

監修 司法書士 大﨑 麻美(おおさき あさみ)

日系エアラインのCAを経て、33歳で司法書士資格を取得。2012年にあさみ司法書士事務所を設立、不動産登記、商業登記をメインとし司法書士として10年のキャリアを積む。2022年末より海外に移住し、法律・不動産専門のライターとして活動。

起業の準備はfreee会社設立でカンタン・安心

freee会社設立なら、会社設立に必要な10種類の書類を無料で作成できます!

さらに起業の検討時期から会社設立後の手続きまで、専任コンシェルジュによる無料サポートも利用可能です。
設立社数50,000社以上のfreee会社設立なら初めての方もあんしん!
まずはお気軽にご相談ください!