会社を設立する際に準備をしなければならないものの一つに資本金があります。
以前は会社設立時の資本金は1,000万円以上でなければいけませんでした。しかし2006年からは下限がなくなり1円からでも設立可能に。検討できる金額の幅が広く悩みがちな資本金額ですが、資本金の全体像を知ればよりスムーズに決めることができます。
今回は資本金額を決める際に必要な基礎知識を総まとめしました。
・【資本金】いくら必要? 会社設立時の資本金額の決め方
資本金に関わる税金や、資金調達方法について詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
・【資金調達】会社設立時に活用できる助成金・補助金とは?
・【税金と税率】個人事業主と法人で税金はどう変わる?
資本金とは会社の体力
そもそも資本金とは、創業時に持っている運転資金のこと。会社の体力ともいわれています。資本金が多ければ事業に使えるお金が多くなりますし、銀行から借入れしなくても事業を運営することができます。
運転資金という面からみると資本金は初期費用にプラスして、おおよそ3ヶ月間は一切売り上げがなくても事業を続けられる金額に設定することが一般的。仕入れや設備がどのくらい必要になるかなど、業界や業態に応じた見積もりが必要です。
ちなみに個人資産のすべてを会社の資本金に当ててしまうのは危険。
個人が生活するためのお金がなくなり、会社からお金を借りてしまうと国や銀行から「会社と個人のお金を混同している」と思われてしまいます。最悪の場合には銀行から融資を受けたい時に審査が通らなくなる可能性も。
会社が資本金以上のお金が必要になった際には個人からお金を借りることはできるので、個人の生活資金は少し多めに手元に残しておくと安心です。
社会からの信頼を得るために重要
取引をする時の与信調査に使われる
会社がはじめて取引を行う際には、与信調査が行われることがほとんどです。
しっかりと商品代金を支払ってくれる・商品を納めてくれるといった信用がなければ取引をしてもらえません。その信用があるかないかを判断する一つの指標として、資本金をチェックします。
想定される取引先・仕入先・競合相手の企業規模や資本金も調査して検討していくと良いです。
銀行からの借り入れ限度額が決まる
創業後すぐに融資の申請ができる、新創業融資と制度融資。
この融資を受ける際にも資本金額が重要になってきます。
基本的には融資してもらえる額は資本金額と同等から2倍まで。融資を得て創業直後から一気に事業を成長させたいと考えている場合は、ある程度の資本金は用意した方が無難です。
また銀行の一般的な融資制度を利用する場合にも、売上高や未払い金額などの他にも資本金をチェックされます。あまりにも資本金が少ない場合には、融資自体が受けられないということも。
ちなみに創業や増資時など資本金にあてる目的での融資はNGです。資本金はあくまでも「出資金」。融資とはまったく異なるものなので注意が必要です。
消費税の免除を受けられるかも資本金を決める一つの指標
節税を考慮すると資本金を1,000万円以上にするか、以下にするかも重要な判断軸になります。
まず資本金が1,000万円未満の企業の場合、消費税の納付は最大2年間も免除されます。
また法人税の均等割(利益の額に関わらず支払い義務がある)も1,000万円以下の企業は7万円に据え置き。1,000万円以上になると18万円に跳ね上がるので、少しでも節税をしたい方は1,000万円を超えない範囲で資本金を設定するとよいでしょう。
ただし仕入れ額が売上高を上回る場合は、消費税を収めた方が損をしないというケースもありますので、注意が必要です。
会社設立は資本金1円からの設立が可能ですが、会社や事業の将来を考えると実際は1円での設立はあまり得策とはいえません。安定した事業を運営できる体力と取引先や銀行からの信頼を得られるよう、会社のビジョンに沿った資本金の設定が必要となります。
会社設立の方法を知りたい方はこちら
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