法人の印鑑証明を取得するためには、大きく分けて窓口、郵送、オンライン申請の3つの方法があります。3種類の取得方法は、それぞれ必要な手続きや手数料が異なり、証明を取得するためには事前準備も必要です。
本記事では法人の印鑑証明の取得方法について、事前準備から詳しく解説します。
目次
法人の印鑑証明とは
法人の印鑑証明とは、書類に捺印した印鑑が、会社の正式な代表印であることを公的に証明する書類です。印鑑証明は、以下の場面などで提出が求められます。
印鑑証明が必要な場面
- 法人口座開設時
- 資金借入時
- 不動産登記時
上記のほかに、所有権の移転登記時や、取引先との契約書に実印を求められた時にも印鑑証明の提出が必要なケースがあります。
重要な取引や手続きにおいて印鑑証明を提出することは、法的なトラブルや不正行為のリスク低減に繋がります。
法人の印鑑証明を取得する方法は3種類あるため、提出を求められた際にすぐに対応できるよう、自分に合った取得方法を把握しておくことが大切です。
法人の印鑑証明の取得に必要なもの
法人の印鑑証明の取得に必要なものは印鑑カードです。
印鑑カードとは、届け出た法人実印の正式な所有者であることを示すカードで、印鑑登録の際に申請することで交付されます。
印鑑カードには印鑑の印影だけではなく法人名や登記簿上の情報も掲載されています。
事前に法人の印鑑登録を行う
印鑑カードの交付を受けるためには、事前に法人の印鑑登録が必要です。印鑑登録とは、印鑑の印影を公的な機関に登録しておく制度のことを指します。登録した印鑑は法人実印や会社実印と呼ばれ、法的な効力をもっています。
個人の印鑑登録であれば市町村で手続きを行いますが、法人であれば登記と同じタイミングで法務局に「印鑑届出書」を提出して登録します。
印鑑届出書に記入する項目は、以下のとおりです。
印鑑届出書に記入する項目
- 商号
- 印鑑提出者の氏名
- 代表個人の印鑑登録済みの印鑑
印鑑登録は印鑑届出書と一緒に、市区町村が3ヶ月以内に作成した代表者個人の印鑑証明を提出します。個人の印鑑証明はマイナンバーを利用してコンビニでも取得できるため、印鑑登録を行う際は早めに取得し、手元に保管しておくとよいでしょう。
印鑑登録の手続きは代理人でも可能です。会社設立時に代行サービスの利用等で代理人による印鑑登録を行う際は、委任状の記入が必要です。
代理人請求であっても、代表者個人の実印を捺印する点や、代表者個人の印鑑証明が必要な点は変わらないため、早めに準備しておきましょう。
また、法人に必要な印鑑については以下の記事で詳しく解説しています。
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会社設立に必要な印鑑とそれぞれの役割
印鑑カードの交付を受ける
印鑑登録を行った後は、「印鑑カード交付申請書」を法人が登記されている法務局に提出すれば、無料で交付が受けられます。
印鑑カード交付申請書は法務局でももらえますが、法務局のホームページにも用意されているため、あらかじめダウンロードして記入しておくと手続きがスムーズでしょう。
交付の際は法人実印の捺印と、登記簿の会社法人番号が必要となるため、準備しておきましょう。また印鑑カードの交付は、交付申請書を法務局に持参して提出する方法が早くて確実ですが、郵送でも受理されます。
郵送の際は実印の捺印と会社法人番号のほかに、切手貼付済みの返信用封筒または、宅配便の伝票などが添付された封筒が必要です。
交付される印鑑カードは法人にとって非常に重要なもののため、書留にするか宅配便の着払い伝票などを、大きめの封筒に貼り付けて同封してもよいでしょう。
返送先は法人所在地か、代表者個人宅の住所に限られます。また、印鑑カードについては以下の記事でも詳しく解説しています。
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法人の印鑑証明書発行に必要な印鑑カードとは?
法人の印鑑証明の取得方法
印鑑登録を行い印鑑カードの交付を受ければ、法人の印鑑証明を取得するための準備は完了です。印鑑証明を取得するためには、大きく分けて法務局の窓口で取得する方法と郵送で申請して取得する方法、オンラインで申請する方法の3つがあります。
それぞれの方法について、順番に解説します。
法務局の窓口で取得する
法人の印鑑証明を取得するには、法務局の窓口で手続きする方法があります。管轄外の法務局でも取得できるため、印鑑証明書をできるだけ早く取得する必要がある際は、最寄りの法務局で申請し取得しましょう。
法務局の窓口で印鑑証明を取得する手順は、以下のとおりです。
印法務局の窓口で印鑑証明を取得する手順
- 備え付けの「印鑑証明書交付申請書」に必要事項を記入する
- 窓口で手数料分の収入印紙を購入して支払いを行う
- 印鑑カードを添えて提出する
窓口で申請する場合、手数料は1通あたり450円です。印鑑証明書交付申請書は備え付けのものを使うほか、法務局のホームページからでもダウンロードできます。
法務局「登記事項証明書(商業・法人登記)・印鑑証明書等の交付請求書の様式」
証明書発行請求機で取得する
法務局では窓口のほかにも、証明書発行請求機を利用して、印鑑証明の申請が行えます。
証明書発行請求機の基本的な取得方法は、以下のとおりです。
証明書発行請求機の基本的な取得方法
- 発行請求機に印鑑カードを挿入する
- 請求情報を入力し、整理券を発券する
- 窓口で呼ばれたら収入印紙を購入し、提出する
証明書発行請求機は申請書の記入がいらないので分手軽ですが、すべての法務局にあるわけではありません。また法務局以外でも、最寄りの市役所庁舎などで登記に関する証明書を発行できる法務局窓口の「法務局証明サービス」が近くにあれば、印鑑証明の申請と取得が可能です。
法務局証明サービスセンターの設置場所については、以下のホームページから確認できます。
法務省「法務局証明サービスセンターについて」
郵送で申請し取得する
法人の印鑑証明は、郵送で申請して取得する方法もあります。郵送での印鑑証明の申請方法は、以下のとおりです。
郵送時の印鑑証明の申請方法
- 印鑑証明書交付申請書をダウンロードし、必要事項を記入する
- 手数料450円分の収入印紙を指定箇所に貼り付ける
- 切手貼付済みの返信用封筒を同封して、法務局担当窓口に郵送する
郵送での申請は、法務局まで出向く時間がない方に向いています。しかし窓口と違い即日での取得はできません。法務局から印鑑証明が返送される時間がかかることを考慮して、日数に余裕をもって申請しましょう。
また配達中の紛失や事故を考えて、配達の記録が残る書留を付けておくと安心です。郵送での申請手数料も窓口と同じく450円で行えますが、返信用封筒に貼る切手代や、書留代がかかります。
オンライン申請し法人の印鑑証明を取得する
法人の印鑑証明は、窓口や郵送での申請のほか、オンライン申請にも対応しています。オンライン申請を行う場合は、事前に法務局で「法人の電子証明書」の申請と登録が必要です。
法人の電子証明書とは電子的に身分を証明するもので、書面取引の際の印鑑証明書に相当します。印鑑証明の取得にオンライン申請を利用しようと考えている方は、早めに電子証明書の申請と登録を行いましょう。
電子証明書の登録が終わった後の、印鑑証明のオンライン申請と取得方法は、以下のとおりです。
オンライン申請時の申請・取得方法
- 印鑑カード、電子証明書を準備し、申請用総合ソフトをインストールする
- 申請用総合ソフトにて初回のみ申請者情報を入力し、登録する
- 申請用総合ソフトで申請書を作成する
- 手数料を納付する
- 窓口か郵送で印鑑証明を受け取る
インターネット環境が整っていて、申請用ソフトのインストールをしておけば、自宅やオフィスから手軽に行えるオンライン申請をすることが可能です。しかし印鑑証明の取得は、オンラインではできません。必ず窓口か郵送での取得が、必要となります。
またオンライン申請での手数料は、取得方法により異なります。申請後、印鑑証明を窓口で取得する際は1通390円、郵送で取得する際は1通410円です。
オンライン申請での手数料の納付は、インターネットバンキングやモバイルバンキング、電子納付対応のATMなどが利用できるため、納付しやすい方法を確認しておきましょう。
まとめ
法人の印鑑証明は大きく分けて窓口と郵送、オンラインで申請して取得する3つの方法があります。窓口で申請すればすぐに取得できますが、法務局まで行く時間が取れない方は、郵送での申請方法も覚えておくとよいでしょう。
またオンライン申請は事前準備は必要ですが、自宅やオフィスから申請できて手軽です。自分に合った申請方法や取得方法を理解し、印鑑証明を取得する際に慌てず手続きを行えるようにしておきましょう。
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よくある質問
法人の印鑑証明書はコンビニで発行できる?
法人の印鑑証明書はコンビニで発行できません。印鑑証明書を取得するためには、法務局へ行って窓口や証明書発行請求機で申請して取得する方法や、郵送で申請し取得する方法、オンラインで申請して法務局や郵送で取得する方法の3つがあります。
詳しくは記事内「法人の印鑑証明の取得方法」をご覧ください。
法人の印鑑証明の取得には何が必要?
法人の印鑑証明の取得には、印鑑カードが必要です。印鑑カードは印鑑登録を行い、印鑑カード交付申請書を提出すれば、管轄の法務局にて無料で取得できます。
詳しくは記事内「法人の印鑑証明の取得に必要なもの」をご覧ください。
法人の印鑑証明はどこの法務局でも取得可能?
印鑑カードは管轄の法務局で取得する必要がありますが、印鑑証明はどこの法務局でも取得可能です。
詳しくは記事内「法務局の窓口で取得する」をご覧ください。