会社設立の基礎知識

重任とは?自分で重任登記をする方法や再任との違いについて解説

重任とは?自分で重任登記をする方法や再任との違いについて解説

会社役員である取締役(代表取締役を含む)・監査役・会計参与には任期があり、任期満了になると最終事業年度の株主総会で退任します。同日の総会で同じ人が同じ役職に再度就任することを「重任」といいます。

重任をした場合、法務局へ重任登記(役員変更登記)が必要です。

本記事では、初めて重任登記の申請をする人向けに、重任と再任の違いや重任登記の申請に必要な書類・費用について、わかりやすく解説します。

目次

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重任とは

重任とは、任期満了後に再び同じ人が役員に就任し、同じ役職で立場を継続することです。

役員には決められた任期があり、任期満了になると最終事業年度の株主総会で退任します。その株主総会で、同じ人が同じ役職に再度就任することを「重任」といいます。

同じ人が同じ役職に期間を空けずに継続して就くため、手続きは不要に思えますが、役員の登記事項には変更が生じたとみなされるため、法務局で重任登記(役員変更登記)を行う必要があります。


出典:法務省「役員の変更の登記を忘れていませんか? 再任の方も必要です」

重任と再任の違い

役員就任の重任と似た言葉で「再任」があります。同じ人が同じ役職に就任するという意味では同じですが、就任する時期に違いがあるので理解しておきましょう。

重任とは、株主総会で退任したその日に選任を受け、再び同じ役職に就任することです。

一方「再任」は、過去に役員を退任した人が再び役員に就任することを指します。2度目の就任のタイミングが翌日や数年後など、退任して時間が経過した場合には再任として扱われます。

重任を理解するために必要な「役員」の基礎知識

日本の会社法では、取締役(代表取締役を含む)・監査役・会計参与を「役員」と定めています。

「社員」は会社との雇用契約に基づき給与が支払われますが、「役員」は会社と雇用契約を結ばず委任契約を締結します。労働基準法の対象外となり、労災保険も適用されません。

具体的な役割として、 取締役には会社を健全に運営する責務があり、監査役は執行や会計の監視義務を担います。会計参与の設置は任意ですが、設置した場合には取締役とともに計算書を作成するのが主な役割です。

任期の規定

株式会社の役員にはそれぞれ任期が定められています。

取締役の任期は2年

取締役の任期は、選任から2年後の株主総会までです。

取締役は会社の業務執行の意志決定・監督を行います。株式会社では原則として、取締役3名・監査役1名が必要ですが、取締役会がない会社では取締役を1名以上としています。

監査役の任期は4年

監査役の任期は4年です。

株式会社において取締役の監督・監査を行う監査役は、主に不正行為の調査をし、不正が発覚すれば是正を促します。コンプライアンスやガバナンスを担い、取締役を監視する役割として実行力を発揮するため、取締役の2倍の任期が与えられます。

会計参与の任期は2年

会計参与の任期は2年です。

会計参与は取締役とともに、貸借対照表や損益計算書、事業製作所を作成するのが主な役割です。税理士・税理士法人・公認会計士・監査法人のいずれかより選出されますが、監査役がいる会社での設置は任意です。

役員の任期は調整できる

非公開の株式会社では、定款や株主総会の決議によって役員の任期を最長10年まで伸長または短縮が可能です。

たとえば、会計参与の任期は原則として2年と定められていますが、定款に定めることで最長10年に伸長できます。

監査役の任期短縮は原則として認められていませんが、補欠者として選任された監査役の任期は、退任した監査役の任期満了時までとすることが可能です。


出典:法務省「役員の任期について」

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会社形態によっては任期の定めがない

合同会社や特例有限会社などの持分会社の場合、役員の任期がありません。これらの会社形態には株主総会がなく、定款の規定がない限り任期が継続します。

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役員が重任するまでの流れ

株主総会で役員が任期満了で退任した直後、再び同じ人が同じ役職に選任・承認された場合、重任が成立し重任登記を行う必要があります。

役員が重任し、重任登記をするまでの流れは以下のとおりです。

株主総会による決議

取締役・監査役・会計参与は、株主総会の普通決議により選任されます。

普通決議とは、議決権を行使することができる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した株主の議決権の過半数をもって行われる決議です。

取締役・監査役・会計参与を選任し、過半数の賛成と本人の意志表示により、就任が決定します。

法務局で重任登記の申請を行う

株主総会で重任が決議されたら、2週間以内に重任登記の申請をします。重任は一度退任した後の就任として扱われるため、同じ人が就任する場合であっても変更登記が必要です。

重任登記の申請に必要な書類

株主総会で重任が決定したら、法務局で重任登記の申請を行います。重任登記の申請に必要な書類は以下のとおりです。

重任登記の申請に必要な書類

  1. 株式会社変更登記申請書
  2. 株主総会議事録
  3. 株主リスト
  4. 取締役会議事録
  5. 就任承諾書
  6. 委任状(申請を委託する場合のみ)

それぞれの書類の概要について解説します。

1. 変更登記申請書

株式会社変更登記申請書は以下の項目を記入し、契印を捺印します。

  • 会社法人番号
  • 商号
  • 本店住所
  • 登記の事由
  • 登記すべき事項
  • 登録免許税の金額
  • 添付書類の種類

株式会社変更登記申請書は、法務局のHPより様式や申請用総合ソフトのダウンロードが可能です。記載例もありますので、参考にしながら作成してみてください。


出典:法務局「商業・法人登記の申請書様式」

2. 株主総会議事録

退任と選任の決議が記載された議事録を法務局に提出します。

株式会社の議事録は、会社の本店に10年間、支店は謄本を5年間保管する義務があるため、法務局への提出用と保管用の2部を作成してください。

2部の用意が難しい場合は、コピーを取って仮の保管用とし、原本を法務局へ提出します。

原本には、変更登記申請書を作成した人が「原本に相違ない」旨と、社名・代表取締役の氏名を記載します。コピーが複数にわたる場合には、必ずすべてのページに記述しましょう。

法務局による内容確認後、原本は返却される(原本還付)ので、会社の本店で保管します。

3. 株主リスト

決議権を行使できる上位10名または議決権の上位2/3のいずれか少ない人数の株主リストを作成します。

具体的な記載項目は以下のとおりです。

  • 氏名または名称
  • 住所
  • 株式数
  • 議決権数
  • 議決権数割合

なお、株主リストの作成は、原則として登記申請人(会社の代表者)が行います。

4. 取締役会議事録

代表取締役の選任を記載した議事録です。代表取締役の選任には、出席した取締役及び監査役の承認、署名あるいは記名捺印が必要です。

5. 就任承諾書

就任承諾書とは、役員選任の承諾をしたことを明記した書類です。取締役や監査役の氏名・住所を記載し、市町村に登録した印鑑で捺印します。


出典:法務局「株式会社変更登記申請書(取締役会設置会社で,役員(取締役・監査役)が辞任して,新たな役員が就任する場合) 添付書面一覧」

6. 委任状

委任状は、申請手続きを司法書士や弁護士に委託した場合に必要です。委任状には以下の内容を記載の上、代表取締役が登記所に登録している印鑑を捺印します。

  • 代理人(司法書士など)の住所氏名
  • 委任する申請内容
  • 委任した日付
  • 社名
  • 会社の住所
  • 代表取締役の氏名

オンライン申請の場合は、まず委任者が委任状を作成し、電子署名をした委任状ファイル(pdf)を代理人に送付します。代理人は、申請用総合ソフトから申請書類を作成し、委任状ファイルを添付して申請します。


出典:登記・供託オンライン申請システム 登記ねっと 供託ねっと「代理申請について」

重任登記の申請には登録免許税がかかる

登録免許税とは、登記申請に生じる税金のことです。登記の種類により金額が定められており、資本金額の規模に応じて役員登記の登録免許税を支払います。

資本金額が1億円以下の会社は1万円、1億円を超える会社は3万円の収入印紙を購入し、台紙に貼りつけてください。オンライン申請では、インターネットバンキング・ATMによる登録免許税の納付が可能です。

重任登記の申請および書類の提出方法

重任登記の申請および書類の提出方法には、書面申請・オンライン申請・QRコード付き書面申請の3つがあります。それぞれの申請方法について詳しく解説します。

書面申請

上述した変更登記申請書を含む必要書類を揃え、最寄りの法務局へ提出します。郵送でも申請は可能ですが、書留やレターパックなど到着が確認できる方法を選択するようにしましょう。


出典:法務局「商業・法人登記の申請書様式」

オンライン申請

オンライン申請をする場合は、法務局で申請用総合ソフト(無料)をダウンロードし、電子証明書を受け取ります。申請用総合ソフトで申請内容に沿った様式を選択の上、書類を作成してください。

なお、申請書には申請人または代理人の電子署名付与が必要です。 添付書類は署名付きPDFファイル(.pdf)・ビットマップイメージファイル(.bmp)・XML電子公文書ファイル(.xml)いずれかの形式で保存し、申請者情報に添付の上、登記・供託オンライン申請システムへ送信します。


出典:法務省「商業・法人登記のオンライン申請について」

QRコード付き書面申請

QRコード付き書面申請とは、申請用総合ソフトで作成した変更登記申請書の情報を事前に法務局に送信し、その内容を変更登記申請書として印刷・提出する方法です。作成はオンライン、添付書類を含めた提出は書面申請になるというイメージです。

QRコード付き書面申請はウェブ上で処理状況の確認ができます。


出典:法務局「QRコード(二次元バーコード)付き書面申請について」

重任登記をしないとどうなる?

重任登記は、新役員の就任翌日より2週間以内に行う必要があります。

重任登記を忘れたり、期日を経過してから申請したりすると、代表者等に対して100万円以下の過料が科せられる可能性もあるため、速やかに手続きを行うようにしましょう。

また、株式会社は最後の登記より12年が経過すると、解散したものとみなされます(休眠整理作業)。その後、管轄の登記所に「事業を廃止していない」旨の提出がない場合には、登記官の職権により解散の登記が行われます。


出典:法務省「役員の変更の登記を忘れていませんか? 再任の方も必要です」

初めての重任登記でミスしないために利用すべきツール・サービス4選

重任登記は、提出書類の内容に間違いがあると差し戻しになってしまうので、正確な作成が求められます。

ここでは、登記変更の申請に役立つ4つのツールやサービスについて紹介します。

法務省の動画を参考にする

法務省大臣官房秘書課広報室では、役員登記の手順を動画で紹介しています。

必要な書類の種類や、オンライン申請に必要な電子証明書の必要性、申請の手順を確認できる動画です。11分と短い尺で画像を使いながら説明を受けられます。

動画をうまく活用すれば、重任登記の申請について調べる手間を削減できるでしょう。


出典:MOJchannel「動画でわかるオンライン登記申請(役員変更登記編)」
出典:法務省「YouTube 法務省チャンネル」

法務局に相談する

法務局の重任登記に関する相談窓口を利用する方法もあります。

たとえば、東京都法務局では対面や電話による相談が可能です。

対面の場合は、実際に職員に相談できるため、細かい疑問点まで解消できるメリットがあります。ただし完全予約制のため、予約を忘れないようにしましょう。また、事前に質問内容はまとめておくとスムーズです。

電話相談は、予約日に法務局職員が相談者に電話をして疑問点をヒアリングし回答してくれます。細かい点まで質問できる点はメリットですが、役員登記の複雑さから相談が複数回におよび、時間コストが増える可能性があるので注意しましょう。

変更登記代行サービスに依頼する

オンラインで変更登記に関する手続きをサポートするツールもあります。必要な項目を記入するだけで書類作成ができ、専門家への依頼より費用が安く済むため、手間とコストを大幅に削減できます。

freee登記では、15種類の変更登記に対応しています。最短7分で申請書類が完成し、多くの書類が1万円ほどで作成が可能です。

司法書士へ変更登記を依頼したすると、4~6万円*かかるため、約4分の1にコストカットでき、オプションを利用すれば、郵送による申請も選択が可能です。


出典:日本司法書士会連合会 報酬アンケート結果(2018年(平成30年)1月実施)

司法書士に依頼する

重任登記の申請に必要な登記申請書・株主総会議事録・株主リスト・承認承諾書の作成から手続きまでを、専門家である司法書士に依頼することも可能です。

上述したようにコストはかかりますが、書類作成から登記申請までをすべて任せられるので、時間が取れない人や初めてで不安な人にはおすすめです。

なお、司法書士に申請代行を依頼した場合は、委任状が必要になるので忘れずに準備しましょう。

まとめ

株主総会で任期満了した役員がその日に再度選任され、同じ役職に就任した場合は「重任」となるため、速やかに重任登記の申請を行いましょう。

重任登記は2週間以内と期日が設けられており、期限内に申請がされないと100万円以下の過料が発生するおそれがあるため、速やかに登記申請が必要です。

時間が取れない人や、初めての重任登記の申請で不安な人は司法書士に依頼したり、変更登記サービスを活用することもおすすめです。

変更登記の書類をかんたんに作成する方法

変更登記は内容によって必要な書類が異なるため、どの申請に何の書類が必要なのか情報を検索するだけでも時間がかかってしまいます。必要書類に迷わず、作成の手間も軽減したい方にはfreee登記がおすすめです。

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freee登記はこんな人におすすめ

<freee登記で対応できる変更登記の種類>

  • ・本店移転(管轄内移転・管轄外移転)
  • ・役員変更(新任、辞任、重任、退任)
  • ・役員の住所変更
  • ・募集株式の発行
  • ・商号変更
  • ・目的変更
  • ・株式分割
  • ・剰余金等の資本組入れ
  • ・ストックオプション

また、オプションのかんたん郵送パックを利用すれば、押印・郵送するだけで申請が可能です。法務局へ行く手間も削減できるため、多忙で時間が取れない人でもスムーズに手続きできます。

ステップに沿って項目を埋めていけば申請用の書類が完成

変更登記は変更内容に合わせて必要な書類を内容の抜け漏れなく作成しなければなりません。

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freee登記 入力画面イメージ

\ステップに沿って入力するだけで申請書類が完成!/


<freee登記で作成できる変更登記書類の例>※本店移転 管轄外の場合

  • ・取締役決定書(株主総会の招集等に関するもの)
  • ・取締役決定書(本店所在地の決定に関するもの)
  • ・株主総会議事録
  • ・株主総会省略の提案書
  • ・株主総会省略の同意書
  • ・株主リスト
  • ・登記申請書(旧管轄宛)
  • ・登記申請書(新管轄宛)
  • ・印鑑届書
  • ・印鑑カード交付申請書

さらにfreee登記では、変更登記の書類を購入した方に「登記申請手続きマニュアル」をプレゼントしています。登記申請の手続きがまとめているので、これひとつで手続きまで完了できます。

コストを抑えて書類の作成が可能

専門家に変更登記の書類作成を依頼すると、相場5万円前後の手数料がかかりますが、freee登記を利用すればほとんどの申請書類が1万円で作成可能です。
※ 役員住所変更・氏名変更は¥5,000(税別)、ストックオプションは¥30,000(税別)
※上記費用のほか、別途登録免許税の納付が必要です。


コストを抑えつつ手間のかからない方法で変更登記をご検討の方は、ぜひfreee登記をご利用ください。

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よくある質問

重任登記はオンライン申請できる?

重任登記は書面申請・オンライン申請・QRコード付き書面申請の3つの方法から申請が可能です。オンライン申請の具体的な申請方法は、記事内「変更登記申請書の提出方法 | オンライン申請」をご覧ください。

新たに選任した取締役の登記はいつまでに必要?

新たに取締役を選任した場合、取締役が就任を承諾した株主総会当日から2週間以内に役員変更登記が必要です。詳しくは記事内「役員が重任するまでの流れ」をご覧ください。

役員重任の変更登記を忘れるとどうなる?

2週間以内に役員の変更登記申請が行われない場合、代表者等に対し裁判所から100万円以下の過料が処される可能性があります。詳しくは記事内「重任登記しないとどうなる?」をご覧ください。

会社の登記は何年ごとに行う?

株式会社では、最低でも10年に一度の役員変更登記が必要です。取締役と監査の任期は10年まで延長が可能なため、10年に一度は役員変更登記の義務が発生します。

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