株主総会議事録とは、株主総会の決議事項などについて記載する書類です。会社法において作成と保管義務が定められており、日時や取締役氏名などの事項を漏れなく記載しなければなりません。
株主総会議事録は税務調査や登記の際に必要になるため、ルールに則り適切に作成・保管が必要です。
本記事では、株主総会議事録の記載事項や書き方の例、電子化の要件などについて詳しく解説します。
目次
- 株主総会議事録とは
- 株主総会議事録の記載事項
- 株主総会が開催された日時・場所
- 株主総会議事録の経過の要領・決議内容
- 会社法の規定に定められた特定の意見・発言内容
- 株主総会に出席した各取締役等の氏名・名称
- 株主総会に議長を立てた場合の氏名
- 議事録作成を行った取締役の氏名
- 株主総会議事録の書き方・記載例
- 株主総会が開催された日時・場所の書き方
- 株主総会議事の経過の要領・決議内容の書き方
- 会社法の規定に定められた特定の意見・発言内容の書き方
- 株主総会に出席した各取締役等の氏名・名称の書き方
- 株主総会議事録に押印は必要?
- 株主総会議事録は電子作成・保存でもOK
- 株主総会議事録の保管期間
- まとめ
- 自分でかんたん・あんしんに会社設立する方法
- よくある質問
株主総会議事録とは
株主総会議事録とは、株主総会で決定された事項や会社株の情報などについて記載した書類で、会社法により作成が義務付けられています。
記載内容の責任や管理は取締役が担い、作成も取締役が行うことが一般的です。
株主総会議事録は、株主や会社の債権者からの求めに応じて提示する必要があるだけでなく、登記や税務調査時に提出しなくてはならない場合もあります。
また、株主総会議事録には保存義務があり、本店で10年間、支店で5年間の保存が必要です。作成や保管義務に違反すると100万円以下の過料が科せられる場合もあるので、注意しましょう。
出典:e-Gov法令検索「会社法施行規則 第三百十八条」
株主総会議事録の記載事項
株主総会議事録に記載する事項は、会社法第72条によって定められています。記載事項は、以下のとおりです。
株主総会議事録の記載事項
- 株主総会が開催された日時・場所
- 株主総会議事録の経過要領・決議内容
- 会社法規定に定められた特定の意見・発言内容
- 株主総会に出席した各取締役の氏名・名称
- 株主総会に議長を立てた場合の氏名
- 議事録作成を行った取締役の氏名
株主総会が開催された日時・場所
株主総会が開催された日時および場所の記載が必要です。
会社法では、オンラインなどの現地以外で参加することも認められています。取締役など会社の経営層や株主が現地以外から参加した場合は、その参加方法も記載をしましょう。
株主総会議事録の経過の要領・決議内容
株主総会議事録の経過の要領・決議内容とは、株主総会での報告事項・質疑応答・議案・審議・採決などの事項を指します。
これらの記載事項を満たすために、要点や結果が明確にわかるように作成しましょう。なお、要点がまとまっていれば議事録として認められるため、株主総会でのすべての発言や内容の詳細を明記する必要はありません。
会社法の規定に定められた特定の意見・発言内容
会社法の規定に定められた特定の意見や発言内容とは、会社法施行規則の第72条第3項に定められた事項のことです。
特定の意見・発言内容は15種類あり、以下に該当する内容は記載する必要があります。
法令 | 内容 |
---|---|
法第342条の2第1項 | 監査等委員である取締役の選任・解任・辞任に関する意見 |
法第342条の2第2項 | 監査等委員である取締役の辞任後最初の株主総会で辞任理由を述べることができる旨 |
法第342条の2第4項 | 監査等委員である取締役以外の選任・解任・辞任に関する意見 |
第345条の第1項 | 会計参与の選任・解任・辞任に関する意見 |
第345条の第2項 | 会計参与を辞任した人が辞任後最初の株主総会で辞任理由を述べることができる旨 |
第361条第5項 | 監査等委員である取締役の報酬 |
第377条第1項 | 一定の書類の作成に関する事項について会計参与と取締役の意見が異なる時、会計参与は意見を述べられること |
第379条第3項 | 会計参与が株主総会で述べた意見 |
第384条 | 株主総会の議案や書類などに法令・定款違反があれば、監査役は株主総会での報告する義務があること |
第387条第3項 | 監査役の報酬について監査役が株主総会で述べた意見 |
第389条第3項 | 公開会社でない株式会社において、定款によって監査役の監査範囲を会計に関することに限定された監査役が、取締役が株主総会に提出しようとする会計に関する議案について、書類など法務省令で定めた書類を調査して株主総会で報告しなければならないこと |
第398条第2項 | 会計監査人が株主総会に出席して述べた意見を述べられるケース |
第399条の5 | 監査等委員の株主総会への報告義務 |
株主総会に出席した各取締役等の氏名・名称
株主総会議事録には、株主総会に出席した取締役・執行役・監査役・会計参与・会計監査人全員の氏名の記載が必要です。
なお、氏名・名称の記載が必要なのは取締役等のみで、出席した株主については人数を記載します。
株主総会に議長を立てた場合の氏名
株主総会において議長の選任は法令上の定めはありませんが、議長を立てた場合は氏名を議事録に記載しましょう。
株主総会の議長は代表取締役や社長が務めるケースが多く、定款に誰が務めるかの旨を記載しておくことが一般的です。
議事録作成を行った取締役の氏名
株主総会議事録には、議事録を作成した取締役の氏名の記載もします。株主総会議事録の作成を行えるのは、株主総会開催時点で取締役の権限を有する人です。
株主総会議事録の書き方・記載例
株主総会議事録の書き方について、各記載項目ごとに解説します。株主総会議事録の全体イメージは、以下を参考にしてください。
なお、株主総会議事録の書式に規定はありません。法務局が公開しているひな形を使用したり、例をもとにWordで株主総会議事録を作成したりしてもよいでしょう。
株主総会が開催された日時・場所の書き方
株式総会が開催された日時・場所の記載例は以下のとおりです。出席者が現地以外から参加した場合はその旨も記載します。
令和6年3月31日午前10時02分から、当会社の本店会議室において定時株主総会を開催した。
株主総会議事の経過の要領・決議内容の書き方
株主総会議事の経過の要領・決議内容の記載例は以下のとおりです。
株主総会でのすべての発言や内容の詳細を明記する必要はありませんが、要点や結果が明確に分かるように記載します。
以上のとおり株主の出席があったので、定款の定めにより代表取締役社長山田太郎は議長席につき、本定時総会は適法に成立したので、開会する旨を宣し、直ちに議事に入った。
第1号議案
(中略)
議長は以上をもって本日の議事を終了した旨を述べ、午前11時49分閉会した。 上記の決議を明確にするため、この議事録を作り、議長、出席取締役及び出席監査役がこれに記名する。
会社法の規定に定められた特定の意見・発言内容の書き方
会社法の規定に定められた特定の意見・発言内容の記載例は以下のとおりです。議案に対してどのような結果になったのかを要点をまとめて記載します。
第2号議案 取締役及び監査役の任期満了に伴う改選に関する件
議長は、取締役及び監査役の全員が本定時総会の終結と同時に任期満了し退任することになるので、その改選の必要がある旨を述べ、(中略)、満場異議なくこれに賛成したので、下記のとおり再選重任することに可決確定した。
取締役 つばめ 一郎
同 つばめ 二郎
同 つばめ 三郎
監査役 つばめ 四郎
なお、被選任者は、いずれも席上その就任を承諾した。
株主総会に出席した各取締役等の氏名・名称の書き方
株主総会議事録に出席した各取締役等の氏名・名称の記載例は以下のとおりです。議長と議事録作成者が分かるように記しておきましょう。
出席取締役 会計 太郎(議長兼議事録作成者)
つばめ 一郎
つばめ 二郎
つばめ 三郎
出席監査役 つばめ 四郎
株主総会議事録に押印は必要?
会社法において、株主総会議事録への押印は義務付けられていません。ただし、議長・議事録作成者については押印をするのが一般的です。
また、定款に議事録への押印についての記載をした場合や、取締役会がない会社が代表取締役選定の決議をするときなどについては、押印が義務付けられています。
【関連記事】
会社設立に必須の定款とは? 認証方法や記載事項について詳しく解説
株主総会議事録に押印は必要?
株主総会議事録は、USBメモリーやハードディスクなど電磁的記録として作成・保存しても問題ありません。また、最初は書面として作成した株主総会議事録であっても、そのままスキャナーで読み込み、保存も可能です。
ただし、電子化して保存する際は、e-文書法に従わなければなりません。e-文書法では、見読性・完全性・機密性・検索性の4要件について規定されているため、株主総会議事録の電子化による作成・保存でも遵守しましょう。
出典:e-Gov法令検索「民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律 第三条」
株主総会議事録の保管期間
株主総会議事録の保管期間は、本店では10年間、支店では写しを5年間と義務付けられています。万が一違反をしてしまうと、代表取締役に100万円の過料が命じられることがあるので注意が必要です。
なお、10年が経過すれば法律上の保管義務はなくなりますが、議事の内容をめぐって裁判が起こった時の証拠資料として提出するケースもあるため、基本的には永久保管しておきましょう。
出典:e-Gov法令検索「会社法 三百十八条」
まとめ
株主総会議事録とは、株主総会で決定された事項や会社株の情報などについて記載した書類です。会社法において作成・保管が義務付けられており、書面または電子で保管しなければなりません。
また、株主総会議事録には日時や取締役氏名などに加え、会社法の規定に定められた特定の意見や発言内容についての記載が必須で、記載漏れがないようひな形を活用して作成するのがおすすめです。
保管期間は、本店で10年、支店で5年と定められており、書面であっても電子であっても管理しやすい方法で保管しましょう。
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株主総会議事録に記載する事項は、会社法第72条によって定められています。具体的には、株主総会が開催された日時・場所や取締役の氏名、決議の内容などについてです。
詳しくは記事内「株主総会議事録の記載事項」をご覧ください。