監修 安田亮 安田亮公認会計士・税理士事務所
マイクロ法人とは、従業員を雇わずに会社の代表者が1人で事業を行う会社です。働き方改革の影響や多様なビジネスモデルが誕生する中で、個人事業主が税金や社会保険料の節減のためにマイクロ法人を設立するケースが増えてきました。
マイクロ法人を設立することで、税制のメリットだけではなく、社会的な信用を得られやすくなります。本記事では、マイクロ法人を設立する手順やメリット・デメリットを詳しく解説します。
目次
- マイクロ法人とは
- マイクロ法人と一般的な法人との違い
- マイクロ法人と個人事業主との違い
- 会社員がマイクロ法人を設立するのは違法?
- マイクロ法人を設立するケース
- 個人事業主から法人成りをするとき
- 新規事業を立ち上げるとき(二刀流)
- 会社員の副業の利益が増えたとき
- マイクロ法人化すると社会保険料の負担を低減できる場合がある
- マイクロ法人の作り方と手順
- 1.会社設立に必要な基礎情報を決める
- 2.法人用に使用する印鑑を作る
- 3.定款を作成する
- 4.公証役場で定款認証を行う
- 5.資本金の払込みを行い払込証明書を取得する
- 6.登記書類を作成し登記申請を行う
- 7.登記簿謄本と印鑑証明書を受け取る
- 8.各種行政への手続きを行う
- マイクロ法人を設立するメリットとデメリット
- マイクロ法人のメリット
- マイクロ法人のデメリット
- マイクロ法人を設立する際の注意点
- 会社員がマイクロ法人を設立しても社会保険料の節約はできない
- 脱税行為だと判断されないようにする
- マイクロ法人の事業内容とは?
- アフィリエイター
- 不動産
- せどり
- コンサルティング
- 配送業
- まとめ
- 自分でかんたん・あんしんに会社設立する方法
- よくある質問
マイクロ法人とは
マイクロ法人とは、従業員を雇わず代表者自身が1人で事業活動を行う会社のことを指します。個人事業主やフリーランスが、税金や社会保険料を節減するために設立することが多い会社形態です。
マイクロ法人と一般的な法人との違い
マイクロ法人 | 一般的な法人 | |
---|---|---|
外部株主や従業員の有無 | なし(代表者一人) | あり |
登記の有無 | あり | あり |
設立の目的 | 節税のために設立するケースも | 事業経営・拡大や社会貢献 |
マイクロ法人には、外部の株主や複数の従業員はいません。一般的な法人は株主を広く集めて投資を募り、役員や従業員などを抱えて事業活動を行いますが、マイクロ法人は外部の株主や役員、従業員を置かずすべてを代表者1人が背負います。
会社法では、非公開の会社の役員や株主の人数に決まりはありません。よって、法律上は一般的な会社とマイクロ法人は同じ扱いとなります。マイクロ法人を設立するときには、会社法に則った手続きが必要で、会社設立登記も行う必要があります。
また、一般の会社が通常は事業を拡大することを目的としているのに対して、マイクロ法人は株主への利益還元を行う必要はなく、節税を主な目的としていることが多い点も異なります。
マイクロ法人と個人事業主との違い
マイクロ法人と個人事業主は、法人化しているかどうかが違うだけで働き方に大きな違いはありません。
しかしマイクロ法人にすることで、税務上のメリットを受けられます。フリーランス (個人事業主)として事業を行うよりも法人化したほうが節税効果がある場合も多いため、法人成りを選ぶ人も少なくありません。
個人事業主であれば税務署に開業届を提出するのみで事業を始められます。一方で、マイクロ法人は代表者一人であるといえどひとつの会社であり、設立のためには定款を作成したり、法務局で法人登記を行ったりする必要があります。
そのため、個人事業主として事業を行うか、マイクロ法人にするかの判断は、税制面のメリットも考慮し、中長期的な視点で判断することが大切です。
【関連記事】
会社設立の手続きがわかる!株式会社の作り方を流れに沿って解説
会社員がマイクロ法人を設立するのは違法?
会社員であっても、個人でマイクロ法人を設立することは可能です。しかし、会社によっては社員の副業を禁止していることもあり、マイクロ法人を設立することで会社との労働契約に違反する可能性があります。
また個人事業主が、主に行う事業と同一の事業内容をマイクロ法人で行う場合、税務署から個人事業で得た利益を法人へ分散させて租税を回避していると疑われる可能性があります。
もし、個人事業主とは別にマイクロ法人を設立するなら、個人事業主として行っている事業とマイクロ法人で行う事業内容を明確に分けられるようにしておきましょう。
マイクロ法人を設立するケース
マイクロ法人の設立の検討にあたっては、以下のケースに自身が当てはまるかが判断基準のひとつといえます。
マイクロ法人を設立するケース
- 個人事業主から法人成りをするとき
- 新規事業を立ち上げるとき(二刀流)
- 会社員の副業の利益が増えたとき
各ケースを詳しく解説します。
個人事業主から法人成りをするとき
個人事業主として手掛ける事業がある程度軌道に乗ったなら、法人成り(=マイクロ法人設立)を検討してもよいかもしれません。法人化することで社会的信用が得やすくなり、取引先を拡大しやすくなったり、金融機関から融資を受けやすくなったりする可能性があります。
マイクロ法人化することで、節税効果が高まる可能性もあります。
たとえば個人事業主は、事業所得に対して最大45%の税率で所得税(住民税と個人事業税を合わせると最大60%)が課せられます。しかし法人では、事業所得に対する法人税は最大23.2%の税率(法人住民税と法人事業税を合わせると最大約35%)のため、法人化によって税金を抑えられるケースがあります。
年収いくらからマイクロ法人を設立したほうがよい?
節税や社会保険料の低減目的で個人事業主が法人成りをするなら、次の基準を目安にしてみてください。
法人成りの目的 | 法人成りを検討するタイミング |
---|---|
事業所得の節税 | ・事業所得が800万円を超えるとき |
社会保険料の低減 | ・扶養親族がない場合は所得200万円程度 ・扶養親族ありなら年収にかかわらず |
法人化するほうがよいかどうかは、本業の有無や扶養親族などの状況によっても異なります。詳しくは税理士などに相談してみてください。
新規事業を立ち上げるとき(二刀流)
個人事業主としての仕事とは別に新規事業を立ち上げるときも、マイクロ法人の設立を検討できます。個人事業主として複数の事業を行い事業所得が増えると、所得税率が高くなり法人税率を上回る可能性も想定されます。事前にマイクロ法人を設立しておき、税額を抑えられるようにしましょう。
個人事業主として事業をしつつ、法人を設立して別事業に取り組むことを「二刀流」と呼びます。
会社員の副業の利益が増えたとき
個人事業主でなくてもマイクロ法人を立ち上げることは可能です。会社員が、副業の利益が増えたときにも、マイクロ法人の設立を検討できるかもしれません。
状況によっても異なりますが、副業所得が500万円を超えたときには法人設立を検討できます。また、副業として不動産投資をしている場合なら、本業と副業による収入が700万円を超えるなら法人を設立するほうが節税できるといわれています。
個々人の状況や所得によってもマイクロ法人設立の適切なタイミングは異なるため、税理士に相談するとよいでしょう。
マイクロ法人化すると社会保険料の負担を低減できる場合がある
社会保険料のうち、国民健康保険料は所得額や世帯あたりの加入者数によって決まります。自治体によっても異なりますが、国民健康保険料は最大100万円を超えることもあるため、所得が多い個人事業主なら負担が大きいと感じるかもしれません。
法人化し、受け取る役員報酬額を最低額に設定すると、標準報酬月額の等級が低くなり、社会保険料の負担を減らせることがあります。
また、個人事業主の場合、扶養家族分の国民年金・国民健康保険料を支払う必要があります。その点、法人の厚生年金・健康保険では、扶養家族分の保険料支払いは不要です。
マイクロ法人の作り方と手順
マイクロ法人を設立する際は、法人用の印鑑を作ったり、定款を作成したりしたうえで、公証役場で定款認証を行う必要があります。
【関連記事】
会社設立の手続きがわかる!株式会社の作り方を流れに沿って解説
1.会社設立に必要な基礎情報を決める
まず、定款にも記載する会社設立に必要な情報を集めましょう。必要となる基礎情報は以下のようなものです。
マイクロ法人設立時に決めること
- 会社形態
- 商号(会社名)
- 事業目的
- 本店所在地
- 資本金
- 会社設立日
- 会計年度
- 役員や株主の構成
①会社形態
新設する会社をどのような形態にするか決めます。現在は株式会社・合同会社・合資会社・合名会社の4種類から選択できます。
②商号(会社名)
会社を識別するための商号(会社の名称)を決めます。商号は一定のルールを守ってつけなければいけません。ほかの会社と区別をつけるだけではなく、商標権の侵害をしないような名前を考えましょう。
設立してからも再度登記を行えば会社名の変更も可能です。
③事業目的
事業目的は、会社の事業範囲を定めたものです。定款にない事業は行えないので、これから始める事業や将来的にやりたいことなども含めて記載しましょう。
事業目的の数に制限はありません。しかし、設立したばかりの会社なのに多くの事業目的が書かれていると何の会社か分かりにくくなります。設立するときの事業目的は、10項目以下に収まるようにしましょう。
④本店所在地
会社の拠点を定める住所を決めます。貸事務所以外に自宅やマンションの1室、さらにバーチャルオフィスなども本店所在地として設定できます。
本店所在地は法的な拠点でもあるため、事業所を変更する場合は再度登記が必要です。本店所在地は長期的に事業が行える場所を選びましょう。
⑤資本金
創業するときの運転資金となるのが資本金です。資本金は、会社の設立や増資で出資者から払い込まれたお金などを指します。現在の会社法には資本金の下限がありません。そのため、法律上は1円から会社を設立できます。
しかし、資本金が少額すぎると安定した事業活動ができなかったり社会的信用を得られにくかったりするので、初期費用のほかに運転資金3ヶ月分ほどの資本金は用意するべきでしょう。
⑥会社設立日
法務局に会社設立の登記申請をした日が会社設立日です。設立日は事業開始日とは異なるため注意しましょう。また、土日・祝日や年末年始などは法務局が営業していないため会社設立日にすることはできません。
特定の日にちを会社設立日にする場合、登記申請する日から逆算して準備を進めましょう。
⑦会計年度
会社で会計上の業績を評価する期間を会計年度といいます。通常は1年間で、会社が自由に会計年度を設定できます。多くの会社では、4月1日から翌年3月31日までを会計年度としています。
また、会計年度とあわせて決算月も決めなければいけません。会社の繁忙期を避けて決算月を決めましょう。
⑧役員や株主の構成
株式会社を設立するときは、役員の人数や株主の構成を決定します。最低1名以上の取締役を選定しなければいけませんが、マイクロ法人であれば代表者1名が取締役と株主を兼任します。株主は法人か個人か分かれており、保有する株式の数によって議決権も異なります。
株式会社設立では誰がどの程度株を所有しているのかを示す株主名簿を添付する必要があります。
2.法人用に使用する印鑑を作る
法人用の実印は市販のものではなく、専門業者に依頼して作成しなければいけません。重要な取引や契約に関する書類などに用いる印鑑のため、適切に管理する必要があります。
実印は印鑑届書とともに法務局に持参して登録します。ただし、2021年2月に法改正が行われ、オンラインによる設立登記では印鑑の届出は任意となっています。
出典:法務省「商業登記規則が改正され,オンライン申請がより便利になりました(令和3年2月15日から)」
3.定款を作成する
定款とは、会社の事業内容や役員の任期などを規定している書類で、会社設立時に作成しなければいけません。
定款は、会社法によって記載内容に一定の基準が設けられているので、それに則って記載しましょう。事業目的や商号などの絶対的記載事項が記載されていないと定款が無効になるので注意が必要です。
定款を作成し製本したものを3部作ります。 左側を止めて、それぞれの見開きページに発起人の実印を割り印で押して、最後のページの発起人の欄に実印を押印します。
【関連記事】
定款の作り方とは?起業時に作成する際の記載事項や注意点を解説
4.公証役場で定款認証を行う
株式会社を設立する際は、作成した定款を公証役場に提出して認証を受けなければいけません。合同会社・合資会社・合名会社であれば、認証手続きの必要はありません。
認証の手続きは予約制なので、会社の本店所在地を管轄する公証役場で公証人訪問日時を予約します。認証は電子定款を使ってオンラインで行うこともできます。
公証役場で定款認証を行う際は以下の書類が必要です。訪問日より前に郵送やFAXで定款を送っておくと、認証手続きがスムーズに行えます。
定款認証に必要なもの
- 定款:3部
- 3ヶ月以内に発行された発起人全員の印鑑登録証明書:各1通
- 発起人全員の実印
- 認証手数料:3万〜5万円(資本金額によって異なる)
- 謄本代:250円×定款の枚数(現金のみ)
- 収入印紙:4万円
- 代理人が申請する場合は委任状
- 実質的支配者となるべき者の申告書
5.資本金の払込みを行い払込証明書を取得する
定款の認証が済んだら資本金を払い込みます。この段階では法人の口座を開設できないため、一般的には発起人の個人口座を使って銀行振込するケースがほとんどです。
支払いをした後、資本金が証明できるよう通帳の表紙と1ページ目、資本金の振込内容が記載されているページをコピーして保管します。振込内容のコピーは、登記申請の際に必要です。
6.登記書類を作成し登記申請を行う
法務局で登記申請を行います。登記申請には以下の10種類の書類が必要です。
登記申請時に必要な書類
- 登記申請書
- 登録免許税分の収入印紙を貼った納付用台紙
- 定款
- 発起人の決定書
- 設立時取締役の就任承諾書
- 設立時代表取締役の就任承諾書
- 設立時取締役の印鑑登録証明書
- 資本金の払込があったことを証する書面
- 印鑑届出書
- 登記すべき事項を記載した書面もしくは保存したCD-R
印鑑届書には、法人の印鑑だけではなく個人印の押印が必要です。登記申請前に会社の印鑑を作成しておきましょう。 登記申請手続き後、不備がなければ10日ほどで登記が完了します。
7.登記簿謄本と印鑑証明書を受け取る
登記が完了したら登記簿謄本と印鑑証明書を受け取ります。登記所または法務局証明サービスセンターの窓口で交付請求をするか、郵送やオンラインでの交付請求も可能です。
8.各種行政への手続きを行う
税務署や市町村役場へ法人税や健康保険・厚生年金に関する届出を行います。
届出を出す各行政
- 税務署へ法人税に関する届出
- 各都道府県税務署および市町村役場へ法人住民税・法人事業税に関する届出
- 年金事務所へ健康保険・厚生年金の加入手続きについて届出
それぞれの機関によって提出する書類や提出期限が定められているので、各機関のホームページを確認して期日内に書類を揃えて提出しましょう。
マイクロ法人を設立するメリットとデメリット
マイクロ法人設立には税制のメリットがある反面、デメリットも存在します。
マイクロ法人のメリット
マイクロ法人のメリットは、法人を設立することで所得税や住民税などの節税効果が生まれる点です。また条件を満たしていれば、免税事業者になることも可能です。
所得税や住民税の節税ができる
マイクロ法人を設立すると所得税や住民税を節税できます。
事業の利益をマイクロ法人で計上することで、マイクロ法人から役員報酬を受け取れます。マイクロ法人から受け取る役員報酬を月額4万5,000円以下にすると、最低55万円の給与所得控除が受けられ、所得税と住民税をその分抑えられます。
出典:国税庁「No.1410 給与所得控除」
社会保険料の節約が可能になる
個人事業主の場合は、国民健康保険や国民年金を支払います。一方、マイクロ法人を設立すると、会社の健康保険や厚生年金への切り替えが可能です。マイクロ法人から受け取る役員報酬額は自由に決定できるため、役員報酬額を可能な限り少額に設定すれば、健康保険料や厚生年金保険料の支払額を減額できます。
社会保険料の節約は、個人事業主として事業を継続しながら、別の事業でマイクロ法人を設立している場合、特に大きなメリットがあります。個人事業主とマイクロ法人の二刀流であれば、個人事業主としての社会保険の加入は必要ありません。
要件を満たせば消費税の免税事業者になれる
設立したマイクロ法人の売上が1,000万円以下であれば、消費税の免税事業者になれる可能性があります。2期前の事業年度の課税売上高が1,000万円に満たない場合に、消費税の免税事業者に該当します。
たとえば、現在個人事業主として不動産収入が年間700万円、ECサイトの収入が年間400万円で合計1,100万円の利益がある場合、マイクロ法人を設立してEC事業の売上分400万円を計上すれば、個人事業主の事業とマイクロ法人の事業いずれも消費税の免税事業者となれる可能性があります。
ただし、2023年10月から始まったインボイス制度によって、消費税免税のメリットが薄れてしまうケースも少なくありません。免税事業者となるか、課税事業者として適格請求書発行事業者に登録するかについては、取引先と相談して決定しましょう。
出典:国税庁「No.6501 納税義務の免除」
【関連記事】
2023年10月から始まるインボイス制度とは?図解でわかりやすく解説!
マイクロ法人のデメリット
マイクロ法人は、手続きの手間や会社設立費用やランニングコストが発生するなどデメリットも存在します。どのようなデメリットが存在するのか、詳しく見ていきましょう。
経理業務や事務手続きのコストが増加する
マイクロ法人を設立すると個人事業主のときよりも経理業務や事務手続きに手間がかかります。個人事業主の場合は、年に1回確定申告をすれば終わりですが、マイクロ法人を設立すると個人事業主の確定申告よりも複雑な法人の決算および確定申告を行わなければいけません。
貸借対照表や損益計算書、株主資本等変動計算書、勘定科目内訳明細書や法人事業概況説明書などの書類作成・提出も必要です。
自分でこれらの複雑な書類を準備できない場合は税理士に依頼することになり、そのコストも発生します。
会社の設立費用や維持費用が発生する
マイクロ法人を設立するときの費用やランニングコストが発生する点もデメリットです。一般的な株式会社は設立に30万円程度、合同会社なら10万円程度必要です。
また、マイクロ法人を維持するためには、法人住民税の最低額が7万円、決算申告を税理士などに依頼するなら専門家報酬として最低でも約10万円はかかり、少なくとも年間17万円は必要です。あらかじめ準備しておきましょう。
税金や社会保険料の節減が目的の場合は、マイクロ法人の設立費用やランニングコストが上回らないかをあらかじめ確認する必要があります。
経営が赤字でも法人住民税が発生する
マイクロ法人を設立すると、赤字経営のときも法人税を支払わなければいけません。個人事業主の場合は、赤字であれば所得税や住民税は免除されますが、法人化すると赤字でも法人住民税の均等割は納付しなければいけません。
マイクロ法人を設立する際の注意点
マイクロ法人は、節税などのメリットがある一方で、設立の際の注意点も存在します。
マイクロ法人の設立に関する注意点を把握しないまま、法人化することで税務署から脱税行為を疑われてしまうリスクもあります。
会社員がマイクロ法人を設立しても社会保険料の節約はできない
会社員がマイクロ法人を設立することは可能です。しかし、このケースではマイクロ法人設立による社会保険料の節約はできません。会社員は、雇用されている会社が社会保険を負担しているため、マイクロ法人で社会保険料を支払うことはできないためです。
脱税行為だと判断されないようにする
個人事業主や会社員がマイクロ法人を設立すること自体に違法性はありませんが、税務署に脱税行為を疑われないように注意しましょう。
特に個人事業主と両立してマイクロ法人を設立するときは、個人事業主とマイクロ法人の事業内容が明確に異なるようにしておくとよいでしょう。同一事業とみなされると、意図的に所得を分散させていると疑われやすくなります。
マイクロ法人の事業内容とは?
さまざまな事業で、マイクロ法人を設立できます。自分がこれまで培ってきたスキル・経験が生かせる仕事の領域や興味・関心を持てる分野を選択するとよいでしょう。
アフィリエイター
アフィリエイトは、成果報酬型広告と呼ばれるインターネット広告の手法のひとつです。商品やサービスを販売する会社から提供される広告を自分のサイトやブログに掲載して、掲載している広告経由で商品やサービスの購入があった場合に売上の一部が報酬として支払われます。
アフィリエイターは、この成果報酬型広告による利益を得ている人をいいます。アフィリエイトは副業として人気があるため、本業とは別にマイクロ法人で利益を計上すれば節税効果が得られるでしょう。
不動産
不動産を賃貸して得られる所得もマイクロ法人の収入にできます。マイクロ法人で不動産事業を行えば、社会保険料の削減や給与所得控除による節税も可能です。
不動産を所有して賃貸すれば収入が得られるため、働く必要がなく会社員が投資目的で大家になるケースも少なくありません。
せどり
せどりとは、安く仕入れた商品を高く売ってその差額を利益にする事業をいいます。海外のECサイトや実店舗などから安く商品を購入して通販サイトやフリマアプリなどで販売し、収入を得ます。
コンサルティング
コンサルティングのビジネスは、一般的にクライアントの企業経営などに関する相談を受けて診断や助言、指導を行う活動をいいます。在庫を抱えたり固定資産を持ったりする必要が少ないため、初期費用を安く抑えられて早い段階で利益を得られやすいビジネスです。
配送業
フードデリバリーサービスの配送業でマイクロ法人を設立する人も少なくありません。事業を始めるにあたって専門的な知識やスキルなどは必要ないことから、手軽に始められるビジネスのひとつです。
自分の都合のよい時間帯だけ働くこともできるため、副業で配送業を選ぶ人もいます。また、短い期間で収益をあげられるようになるので、挑戦しやすいビジネスといえます。
まとめ
マイクロ法人は、従業員を雇わず代表者が1人で事業を行う会社です。マイクロ法人で利益を得ることで節税や減税効果が得られるため、個人事業主からマイクロ法人に切り替えることで節税につながるケースもあります。
ただし、会社設立には費用がかかり手続きも煩雑です。マイクロ法人のメリットだけではなく、デメリットも理解してどのような形態でビジネスを行うかを検討しましょう。
自分でかんたん・あんしんに会社設立する方法
会社設立の準備から事業開始までには、多くの書類や手続きが必要になります。書類の転記をするだけでもかなりの時間がかかってしまいます。
freee会社設立は株式会社だけでなく、合同会社の設立にも対応しています。設立件数30,000社以上の実績をもつfreee会社設立なら、初めての方もあんしんしてご利用いただけます。
起業ダンドリコーディネーターが完了までサポートしてくれるからあんしん!
初めての会社設立では、書類の書き方や提出先、設立後の手続きなどさまざまな場面で不安を抱えてしまうこともあるでしょう。
freee会社設立では、会社設立に詳しい起業ダンドリコーディネーターが常駐しており、設立準備から登記後に必要な手続きまでを完全無料で並走・サポートします。
相談方法はオンライン面談、LINE相談、電話、メールなどから選べます。まずお気軽に問い合わせフォームからおためし相談(最大30分)の予約をして、ご自身のスケジュールや設立手続きに関する疑問や不安を解消しましょう。
入力項目・次にやること、すべて画面上で把握できる
freee会社設立では、必要項目を記入していくだけで会社設立に必要な書類を作成することができます。また、登記の際に必要となる会社印も同時に購入が可能です。
freee会社設立は株式会社だけでなく、合同会社の設立にも対応しています。
会社名や資本金額など必要項目を入力すると、定款(ていかん)をはじめとする会社設立に必要な約10種類の書類を自動で作成します。
<freee会社設立で出力できる書類の一例>
- 定款
- 登記申請書
- 印鑑届出書 など
設立にかかるコストを削減できる
設立費用を削減したい方には電子定款がおすすめです。紙の定款では、収入印紙代40,000円がかかりますが、電子定款ではこれが不要となります。
freee会社設立は電子定款にも対応しており、電子定款作成に必要な機器やソフトの準備なども必要がないため、自分で作成するよりもコストを抑えることができます。
<設立にかかる費用の比較例>
(1)freee会計を年間契約すると、無料になります。
(2)紙定款の印紙代(40,000円)
会社設立の準備を進めながら、バーチャルオフィスの申し込みが可能!
会社設立するためにオフィスの住所が必要になります。
自宅をオフィス代わりにしている場合は、自宅の住所でも問題ありませんが、公開情報となってしまうので注意が必要です。
自宅兼オフィスのように実際の住所を公開したくない場合や、管理者や所有者に物件の法人登記が認められていない場合は、バーチャルオフィスを利用するのがおすすめです。
freee会社設立では、会社設立に必要な書類を無料で作りながら、バーチャルオフィスの申し込みもできます!
まずはこちらからfreee会社設立に無料で登録してみてください!
自分で手続きする時間のない方には「登記おまかせプラン」がおすすめ!
「初めての会社設立で不安」、「自分で手続きする時間がない」という方には、司法書士が手続きまで代行してくれる登記おまかせプランがおすすめです。
設立代行の費用相場は10万円前後ですが、freeeの登記おまかせプランは一律5万円で利用できます。※海外在留者が出資者・役員の場合等の特殊ケースを除く
登記おまかせプランの利用方法等の詳細は、freee会社設立の無料登録が完了後にメールにてご案内します。
会社設立の準備をお考えの方は、ぜひ登録無料のfreee会社設立をお試しください。
よくある質問
マイクロ法人を設立するにはどのような手続きが必要?
マイクロ法人を設立するときには、まず会社設立に必要な基礎情報を決めて、法人用の印鑑を作ります。
定款を作成したら公証役場で定款認証を行い、資本金を払込んで払込証明書を取得、次に登記書類を作成し登記申請して登記簿謄本と印鑑証明書を受け取ったら行政へ必要な手続きを行いましょう。
詳しくは記事内「マイクロ法人の作り方と手順」をご覧ください。
マイクロ法人を設立する際の費用はいくらから?
マイクロ法人を設立するときは、株式会社か合同会社や合名会社、合資会社などによって設立にかかる費用は異なりますが、一般的に株式会社なら約22万〜24万円、合同会社なら約6万円程度が必要になります。
また、税理士への業務依頼や、バーチャルオフィスの賃貸、電話受付代行などを利用する場合は、別途毎月費用が発生します。
詳しくは記事内「会社の設立費用や維持費用が発生する」をご覧ください。
マイクロ法人の維持にかかる費用は?
マイクロ法人には維持費がかかります。法人住民税の最低額が7万円、また、決算申告を税理士などに依頼する場合は約10万円の専門家報酬が必要です。
また、役員報酬や社会保険料もマイクロ法人設立前におよその金額を見積もっておくことが大切です。税金や社会保険料の低減目的で法人を設立したものの、かえって手元に残る金額が減ることがないよう、設立前に税理士などの専門家に相談してください。
詳しくは記事内「会社の設立費用や維持費用が発生する」をご覧ください。
マイクロ法人の節税メリットとは?
マイクロ法人を設立すると役員として報酬を会社から受け取れるため、給与所得控除が適用されます。そのため、法人を経由した給料収入となり所得税や住民税の節税ができます。
また、マイクロ法人の会社員になれば、国民健康保険から会社の健康保険に切り替えられ、条件を満たしていれば国民健康保険料よりも大幅に保険料を抑えられます。
詳しくは記事内「マイクロ法人のメリット」をご覧ください。
監修 安田 亮(やすだ りょう)
1987年香川県生まれ、2008年公認会計士試験合格。大手監査法人に勤務し、その後、東証一部上場企業に転職。連結決算・連結納税・税務調査対応などを経験し、2018年に神戸市中央区で独立開業。