会社設立の基礎知識

合同会社の定款の作成方法は?記載項目や作成の流れなどを解説

監修 司法書士 大﨑 麻美(おおさき あさみ)

合同会社の定款の作成方法は?記載項目や作成の流れなどを解説

合同会社を設立する場合も、株式会社と同様に定款を作成する必要があります。しかし株式会社とは一部異なる点もあるため、合同会社の場合にどう対応したらよいかを理解しておきましょう。

本記事は、合同会社の定款についての概要や記載する項目、作り方、変更・修正する際の注意点について解説します。

目次

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合同会社に定款は不要?

定款とは、会社の基本情報や運営のルール、事業、規則などを記載した書類です。会社設立の際に作成する重要な書類のひとつであり、合同会社を設立する場合も、株式会社と同様に必ず定款を作成しなくてはなりません。

ただし、株式会社の場合は定款の作成後に公証役場による認証手続きが必要ですが、合同会社では認証手続きは不要です。そのため、認証手続きの手数料3~5万円(資本金の額により変動)はかからずに済みます。

合同会社が定款を作成するタイミング

定款を作成するタイミングは、会社の名称含む基本情報を決定し、法人用の実印を作成したあとです。具体的な流れは以下のとおりです。

合同会社が定款を作成するタイミング

  1. 会社の基本情報を決定する
  2. 法人用の実印を作成する
  3. 定款を作成する
  4. 出資金の払い込みを行う
  5. 登記に必要な書類を作成する
  6. 作成書類を管轄の法務局に提出する

登記申請は基本的に設立時代表社員(設立時の代表者)が行いますが、司法書士などの代理人が行うことも可能です。代理人が申請する場合は委任状を用意する必要があります。

書類に不備がなければ、登記申請後の1週間から10日程度で登記が完了となります。

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定款の写しが必要な場面

定款は、主に以下のような場面で提出が求められます。基本的には定款の写しを提出することになります。

法人口座の開設

法人の銀行口座を開設する際や一定額以上の取引をする際に、多くの金融機関が定款の提出を要求します。法人口座は開設に際して審査に時間がかかるため、法人設立の登記が完了次第、速やかに手続きを開始することをおすすめします。

税務署・自治体への届出

会社を設立すると、法人税や法人住民税などを国税庁や地方自治体に納める必要があります。税務署や都道府県税事務所、場合によっては市町村役場に「法人設立届出書」を提出し、会社の設立と概要を通知します。この際に定款の写しを添付書類として提出します。

許認可や補助金・助成金の申請

会社を設立する際、業種によっては許認可が必要になる場合があります。その場合、申請時に定款の写しが求められます。また助成金や補助金を申請する際も、添付書類として定款の提出が必要になる場合がほとんどです。

合同会社の定款に記載する項目

合同会社の定款に記載する事項は、「絶対的記載事項」「相対的記載事項」「任意的記載事項」の3種類に分類されます。それぞれ具体的な項目を解説します。

なお、定款はツールを使わず自身で作成することもできますが、作成ツールを使うのもおすすめです。freee会社設立であれば、必要項目に沿って入力するだけで要件を満たした定款が作成できます。気になる方はぜひWebサイトをご確認ください。

合同会社が定款を作成するタイミング

絶対的記載事項とは定款に必ず記載しなければならない項目のことで、会社法第576条第1項に記載されています。

絶対的記載事項

  1. 目的
  2. 商号
  3. 本店の所在地
  4. 社員の氏名又は名称及び住所
  5. 社員が有限責任社員であること
  6. 社員の出資の目的及びその価額又は評価の標準

それぞれ詳しく見ていきましょう。

1目的

目的とは、会社が行う具体的な事業のことです。なお、国や地方公共団体から許可を得なくてはならない事業形態の場合、定款上の目的に該当する事業の内容を定めていないと許可が得られないケースがあります。事業内容は不足なく記載しましょう。

2商号

商号とは、会社名を指します。なお、会社名のなかで使用できる文字などには一定のルールが設けられているため要注意です。詳しくは別記事「会社名の決め方とルールとは?26社の実例から学ぶネーミングアイデア集」で解説しているので、あわせてご確認ください。

3本店の所在地

定款に記載する本店所在地は、実務上、最小行政区画である市町村まで(例:東京都品川区)を記載するのが一般的です。このように対応しておくと、将来的に同一行政区画内で本店を移転する際、定款の変更が不要になります。

なお、オフィス不要のビジネスを行う場合や、自宅での開業にあたり居住地の登記に抵抗がある場合は、「バーチャルオフィス」を本店所在地(登記される会社の住所)として利用することも可能です。ただし、同じ住所に同じ商号を持つ会社は登記ができないため、注意してください。

4社員の氏名又は名称及び住所

出資者(社員)全員の氏名と住所を記載します。なお、出資者が法人の場合は、個人の氏名に代わり法人名を記載することになります。

5社員が有限責任社員であること

合同会社の出資者(社員)は有限責任を負います。有限責任とは、会社が倒産して負債を抱えた場合でも、出資者が負う責任は自分が出資した金額の範囲内に限られるという意味です。定款では、社員が負うのは有限責任であることを必ず明記します。

6社員の出資の目的及びその価額又は評価の標準

社員の出資目的と出資の形態や金額を明記します。出資が金銭の場合はその金額を、現物出資であればその価格もしくは評価基準額を記載します。

相対的記載事項

相対的記載事項とは、定款に定めがなければ、効力が生じない事項をいいます。絶対的記載事項と異なり、法的に必ず記載しなければならない事項ではありません。

しかし、相対的記載事項で会社のルールとして別段の定めを記載しておくことで、より自由度が高く円滑な会社経営が可能になります。後々のトラブルを防ぐためにも、財産分配や利益配当、社員の相続などの定めを記載しておくと安心です。

相対的記載事項の代表的な項目には、以下のようなものが挙げられます。

持分の譲渡の要件

持分とは株式会社の株式のようなもので、一部または全部の持分を譲渡するには、原則、社員全員の同意が必須です。ただし、この同意につき、定款に原則とは異なる同意要件を定めることができます。

業務を執行する社員(業務執行社員)の指名又は選任方法

合同会社では社員(出資者)が複数いる場合、定款で業務執行権を持つ業務執行社員を定めることができます。業務執行社員とは、株式会社でいう取締役のようなポジションです。定款に業務執行社員を定めなければ、全社員が業務執行することになります。

業務執行社員が2人以上ある場合における業務の決定方法

定款で2名以上の業務執行社員を定めた場合、業務についての意思決定は、業務執行社員の過半数で行うのが原則です。定款に別段の定めをしておくと、特定の業務執行社員だけがその役割を担うなどの例外的な対応が可能になります。

合同会社を代表する社員(代表社員)の指名又は互選

複数人の社員(出資者)がそれぞれが代表権を持つと、社内の意思決定に時間がかかる可能性があります。そのリスクを回避するために、特定の業務執行社員を代表社員とすることが可能です。

代表社員とは、業務執行社員の中で代表権をもつポストであり、株式会社でいう代表取締役のポジションです。代表社員の定め方には以下の方法があり、いずれにおいても定款に記載をすることで効力が生じます。


  1. 1.定款で代表社員を直接定める
  2. 2.定款の定めに基づき社員の互選により定める

存続期間又は解散の事由

株式会社を解散する場合は株主総会で承認を受ける必要がありますが、合同会社は定款で事前に会社を解散するまでの期間を決めておくことができます。

任意的記載事項

任意的記載事項とは、定款の記載事項のうち、絶対的記載事項及び相対的記載事項以外の事項で、会社法の規定に違反しないものをいいます。

任意的記載事項は定款に記載がなくても、社内規定などに明記すれば効力が認められます。もし定款に記載した際は、変更する場合に変更手続きが必要です。

合同会社の任意的記載事項の記載例は、以下のとおりです。

任意的記載事項の記載例

  • 業務執行社員の員数
  • 業務執行社員の報酬
  • 事業年度

合同会社の定款の作り方

法人の形態にかかわらず、定款は紙と電子のいずれで作成しても問題ありません。電子定款であれば、紙の定款で必要な印紙代(4万円)がかからずコスト面で安く済みます。また、さまざまな手続きがオンラインで完了するのもメリットです。

ただし電子定款の作成にあたっては、電子証明ソフトやICカードリーダなどを用意する必要がある点に注意してください。freee会社設立」は電子定款にも対応しており、電子定款作成に必要な機器やソフトの準備なども必要がないため、自分で作成するよりもコストが抑えられます。

自分で電子定款を作成する場合の流れは、以下のとおりです。

電子定款を作成する流れ

  1. 定款の作成
  2. PDFファイルに変換
  3. 電子証明書の発行
  4. マイナンバーカードの読み込み
  5. 電子署名の付与

1.定款の作成

電子定款の作成は、WordやGoogleドキュメントを利用して行うことが一般的です。「絶対的記載事項」「相対的記載事項」「任意的記載事項」のうち、必要な内容を漏れなく記載してください。

2.PDFファイルに変換

定款を作成したら、オンラインで認証を受けるためにPDFファイルへの変換が必要です。WordやGoogleドキュメントの機能を使ってPDFファイルとして出力することは可能ですが、電子定款では電子署名をPDFファイルに付与しなければなりません。そのため、PDFファイルへの変換は、電子署名の挿入機能がついているソフトを使用しましょう。

電子署名ソフトは、登記・供託オンライン申請システムと互換性のあるAdobe Acrobatがおすすめです。

3.電子証明書の発行

PDFファイルにした定款に電子署名を付与するためには、電子証明書が必要です。電子証明書とは、第三者が本人であることを電子的に証明した証拠のことで、印鑑証明書と同等の役割を果たします。

電子証明書はマイナンバーに付与されるので、マイナンバーカードを取得して電子証明書の発行手続きをしてください。電子証明書の発行手続きは、住民票のある役所窓口で行います。

4.マイナンバーカードの読み込み

電子証明書が付与されたマイナンバーカードが用意できたら、ICカードリーダライタとパソコンを用意して読み込みます。マイナンバーカードにはICチップがついており、そこから情報を送信できる仕組みです。

この対応は電子定款に電子署名を付与するために必要なので、忘れずに行ってください。

5.電子署名の付与

PDFファイル化した定款に電子署名を付与したら、電子定款の作成は完了です。

電子署名をつける際は、まず登記・供託オンライン申請システムの「PDF署名プラグイン」と公的個人認証サービスポータルサイトの「利用者クライアントソフト」をダウンロードしてください。これらのソフトは無料ですが、PDF署名プラグインを利用するためにはAdobe Acrobatが必要です。

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定款を変更・修正する際の注意点

合同会社の設立後に定款の内容を変更・修正することは可能ですが、以下の点に注意する必要があります。

全社員の承認を得る

定款の変更・修正は、定款に別段の定めがなければ全社員の同意が必要です。定款の変更内容について全社員の同意を取り、同意書を作成します。この同意書を原始定款(会社設立時に作成した変更・修正前の定款)と一緒に保管することで、定款の変更が完了します。

ただし、変更・修正の箇所が登記に関わる部分である場合は、法務局へ同意書を提出し、該当箇所の変更登記をしなくてはなりません。

なお、任意に現行定款を作成することは可能です。この場合は、変更を反映した定款を作成して印刷し、末尾に「〇年〇月〇日第〇条改定」と付して原始定款と同意書とともに保管します。

法務局への変更登記の申請が必要

前述のとおり、定款の登記に関わる箇所を変更・修正する場合は、法務局に変更登記を申請する必要があります。また、変更登記の種類によって以下のとおり登録免許税がかかります。


変更登記の種類登録免許税
会社の商号、事業目的3万円
本店・支店の所在地の変更1ヶ所につき3万円
資本金の変更増資金額の1,000分の7で計算(金額が3万円未満の場合は3万円)
代表社員を変更1万円(資本金の額が1億円を超える場合は3万円)
代表社員の氏名、住所を変更1万円(資本金の額が1億円を超える場合は3万円)
出典:国税庁「No.7191 登録免許税の税額表」

【関連記事】
合同会社の目的変更とは?定款と登記の手続きをわかりやすく解説

まとめ

定款は、合同会社の設立の際に必ず作成する書類です。非常に重要な書類なので、本記事を参考にぜひ正しく作成してください。定款は紙でもオンラインでも作成できますが、メリットの多い電子定款をおすすめします。

ただし電子定款においては、電子証明ソフトなどの準備が必要な点に注意しなければなりません。少ない準備で電子定款が作成できるfreee会社設立を、ご検討ください。

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よくある質問

合同会社は定款を作成する必要がある?

合同会社を設立する場合も株式会社と同様に、必ず定款を作成しなくてなりません。ただし、株式会社の設立時とは異なり、公証役場での認証が不要です。

詳しくは記事内「合同会社に定款は不要?」をご覧ください。

合同会社の定款に記載する項目は?

合同会社の定款の記載事項は、絶対的記載事項・相対的記載事項・任意的記載事項の3種類に分類されます。

なお、定款の作成は自分自身で行うことも可能ですが、漏れやミスなく正確に行う必要があるため、作成支援ツールを活用することも検討するとよいでしょう。

詳細は、記事内の「合同会社の定款に記載する項目」にて解説しています。

監修 司法書士 大﨑 麻美(おおさき あさみ)

日系エアラインのCAを経て、33歳で司法書士資格を取得。2012年にあさみ司法書士事務所を設立、不動産登記、商業登記をメインとし司法書士として10年のキャリアを積む。2022年末より海外に移住し、法律・不動産専門のライターとして活動。

監修者 大﨑 麻美

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