監修 北田 悠策 公認会計士・税理士

福岡市で会社を設立するなら、資金調達の際には、福岡市・福岡県・日本政策金融公庫の融資制度が利用可能です。また、創業の相談には、スタートアップカフェ・福岡商工会議所・福岡市中小企業サポートセンターなど多数の選択肢があります。
会社設立の方法や創業融資、相談先などの知識を深めると、スムーズに創業準備を進めることが可能です。本記事では、福岡市で会社設立する方法、創業支援の融資制度、会社設立の際の相談先などを紹介します。
目次
福岡市で会社を設立する2つの方法
会社を設立する方法は、大きく以下の2つがあります。
福岡市で会社を設立する2つの方法
- 自分で手続きする
- 専門家に依頼する
創業に向けてコストをかけたくない場合は、自分で書類作成して登記申請すると、費用を抑えて会社設立が可能です。一方で、手間を省きたい、ミスなく進めたい場合は、専門家への依頼が選択肢になります。
自分で手続きする
会社設立を自分で行う場合は、自分で登記書類を作成して法務局に提出します。申請にあたっては、事前に会社の基本事項を決定し、印鑑・定款の作成が必要です。
自分で手続きする方法は手間と時間がかかりますが、費用を抑えて申請手続きができ、会社設立・会社法・税金などの知識も身に付きます。
なお、会社設立の際は「freee会社設立」のような無料サービスを利用すると、自分一人でも手続きがしやすいです。freee会社設立では、各種書類が一括作成できるほか、常駐の「起業ダンドリコーディネーター」にビデオ面談・LINEで相談も可能です。
【関連記事】
会社設立を自分で行う方法は?専門家へ依頼する場合と比較したメリット・デメリットも紹介
専門家に依頼する
司法書士・行政書士・税理士・社会保険労務士といった専門家に依頼して会社設立を進める方法もあります。たとえば、税理士には、会社設立前に以下のような相談が可能です。
会社設立前に税理士に相談できること
- 会社設立手続きの代行※
- 必要書類の作成
- 税務に関するアドバイス
- 法務・許認可に関するアドバイス など
※登記申請は司法書士のみが行える独占業務のため、税理士は対応不可
専門家に依頼する際は費用がかかりますが、申請の手間が省けて本業に集中できます。
【関連記事】
会社設立の手続きを依頼するには?司法書士へ委託できる範囲や費用について解説
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福岡市で会社設立するときに利用できる創業支援の融資
福岡市で会社を設立する際には、いくつか利用できる創業支援の融資があります。
福岡市で会社設立するときに利用できる創業支援の融資
- 福岡市「スタートアップ資金」
- 福岡県「新規創業資金」
- 日本政策金融公庫「新規開業資金」
各融資の詳細を以下で解説します。
福岡市「スタートアップ資金」
市内で事業を始める人や、事業を始めてから2年以内の人が対象の融資制度です。
対象者 | 以下のいずれかに該当する方 ・事業を営んでいない方で、市内で新たに事業を開始される方 ・事業開始後2年以内で,それまで事業を営んでいなかった方 |
---|---|
融資額 | 3,500万円(創業前は2,000万円) |
資金使途 | 運転資金・設備資金 |
利率(年利) | 1.3%(女性または50歳以上の場合1.2%) |
融資期間 | 10年以内(うち据置2年以内) |
保証人 | 法人の場合は、原則法人代表者(個人は不要) |
担保 | 不要 |
保証料率 | 0.00% |
申し込みから融資を受けるまでの流れは、以下の通りです。
- 福岡市へ融資の申し込み
- 取扱金融機関が福岡県信用保証協会に保証依頼をする
- 福岡県信用保証協会が保証承諾をする
- 取扱金融機関から中小企業者へ融資が実行される
出典:福岡市 中小企業サポートセンター「各資金の概要」
福岡県「新規創業資金」
創業する個人・会社への事業資金の融資を促進し、地域の産業振興に役立つことを目的とした融資です。
対象者 | 次のいずれかに該当し、別表3に掲げる規模で特定事業を営む方 (1)事業を営んでいない個人で、1ヶ月以内に新たに県内で創業しようとする具体的計画を有する者または創業した日から1年を経過していない方 (2)事業を営んでいない個人で、2ヶ月以内に新たに県内で会社を設立して事業を開始する具体的計画を有する方または事業を営んでいない個人により設立された会社であってその設立の日から1年を経過していない方 (ほか6つの融資対象が設定されています。詳細は新規創業資金詳細(福岡県)で確認できます) |
---|---|
融資額 | (1)~(4)、(8)、(9): 2,000万円以内 (5)~(7):1,000万円以内 (各融資対象は相互に併用可。ただし、新規創業資金で2,000万円以内) |
資金使途 | 創業時または創業後に必要な事業資金 (創業後は借換資金も含む) |
利率(年利) | (1)~(4)、(9):1.3% (5)~(7):1.2% |
融資期間 | 運転資金7年以内、設備資金10年以内(据置期間2年以内、スタートアップ創出促進保証適用時は1年以内) |
保証人 | 原則、法人は代表者のみ(個人は不要) ※法人については、経営者保証免除適用時は徴求しないほか、一定の場合徴求しないことができる |
担保 | 不要 |
保証料率 | 0% |
申し込みから融資を受けるまでの流れは、以下の通りです。
- 商工会議所・商工会へ借入申し込み
- 商工会議所・商工会が指定金融機関をあっせん
- 指定金融機関が信用保証協会へ保証依頼
- 信用保証協会が保証承諾をする
- 指定金融機関からの融資が実行される
出典:福岡県「令和6年度 福岡県中小企業融資制度のご案内」
日本政策金融公庫「新規開業資金」
日本政策金融公庫は、中小企業や小規模事業者への融資を行う、財務省管轄の政府系金融機関です。新規開業資金は、幅広い創業・スタートアップを支援する融資制度です。
融資対象者 | 新たに事業を始める方または事業開始後おおむね7年以内の方 |
---|---|
融資限度額 | 7,200万円(うち運転資金4,800万円) |
資金使途 | 事業開始/事業開始後の設備資金・運転資金 |
利率(年利) | 基準利率(2.50~3.60%) ただし、要件を満たす場合は特別利率 |
返済期間 | 設備資金:20年以内(うち据置期間5年以内) 運転資金:10年以内(うち据置期間5年以内) |
担保・保証人 | 申し込み者の希望を聞きながら相談して決定 |
新たに事業を始める人、事業開始後税務申告を2期終えていない人は、原則として無担保・無保証人で融資が受けられます。
女性・若者・シニアの人、廃業歴があり再チャレンジする人、中小会計を適用する人は、それぞれ通常よりも有利な条件で融資制度の利用が可能です。
手続きは、一般的にインターネット申し込み後に、面談で事業計画などの話をして、融資の決定後に契約手続きをして融資が実行される流れです。
出典:日本政策金融公庫「新規開業資金」
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新創業融資制度とは? 公庫出身の専門家が対象や返済期間、留意点について解説
日本政策金融公庫とは?主な融資制度と利用メリットをわかりやすく解説
福岡市で会社設立するときに利用できる助成金・補助金
福岡市の起業・創業応援サイトから創業支援の事業の情報とあわせて、助成金や補助金の情報が確認できます。
また、福岡市以外が実施する助成金・補助金の情報は、以下のウェブサイトから確認可能です。こちらでも利用できる補助金が見つかる可能性があるため、確認しましょう。
ウェブサイト | 概要 |
---|---|
ミラサポplus | 経済産業省の中小企業向け 補助金・総合支援サイト |
J-Net21 | 独立行政法人「中小企業基盤整備機構」によるポータルサイトで、サイト内にて支援情報の検索が可能 |
福岡市で会社設立するときの相談先
福岡市では、スタートアップカフェや福岡商工会議所をはじめ、会社設立の際に利用できる相談先が複数あります。手続きや事業に関する疑問や不安があるときは、事前に相談して解決すると安心して事業を始められます。
福岡市で会社設立するときの相談先
- スタートアップカフェ
- 福岡商工会議所
- 福岡市中小企業サポートセンター
- 独立行政法人 中小企業基盤整備機構 九州本部
- 日本政策金融公庫
スタートアップカフェ
スタートアップカフェでは、常駐の相談員に起業の流れや事業計画の作り方など、幅広い相談が可能です。
スタートアップカフェでの起業相談、一部のセミナー参加などの各特定創業支援等事業による支援を1ヶ月以上受けて、その証明書を受け取ると、以下のメリットが受けられます。
- 会社設立の登録免許税が軽減される
- 創業関連保証の利用開始月の前倒し
- 日本政策金融公庫の「新創業融資制度」「新規開業資金」が利用できる
- 中途採用等支援助成金が利用できる
出典:福岡市STARTUP CAFE「サポート」
福岡商工会議所
福岡商工会議所では、事前予約制で会社設立の各種相談が可能です。事業計画書の作成、資金調達をはじめ、さまざまな創業・起業の悩みへのサポートが受けられます。
また、福岡商工会議所では、創業の基礎知識を習得できる「福岡起業塾(参加費有料)」の実施もあり、経営・財務・販路拡大・人材育成が学べるほか、ビジネスプランの作成やフィードバックも受けられます。
出典:福岡商工会議所「創業・起業支援」
出典:福岡商工会議所「福岡起業塾」
福岡市中小企業サポートセンター
福岡市中小企業サポートセンターは、市と福岡商工会議所が共同で設置する相談窓口で、専門相談員への無料相談が可能です。創業・経営や金融・返済の相談を受け付けています。相談の際には、電話での事前予約が必要です。
出典:福岡市「中小企業サポートセンター| 経営に関する相談」
出典:福岡市「よくある質問 Q&A」
独立行政法人 中小企業基盤整備機構 九州本部
中小企業基盤整備機構では、経営・技術・資金・法律など幅広い相談に対して、公認会計士・中小企業診断士・税理士・技術士・弁理士などの専門家からアドバイスが受けられます。相談の際は、電話またはファックスで事前予約が必要です。
出典:福岡市「よくある質問 Q&A」
日本政策金融公庫
日本政策金融公庫では、電話・来店・オンラインで、創業についての情報提供やアドバイスが受けられます。
電話相談 | フリーダイヤルで専門の相談員が対応 |
---|---|
来店・オンライン相談 | ビジネスサポートプラザ ・全国3ヶ所(新宿、名古屋、大阪)に設置 ・来店またはオンラインで相談が可能 創業サポートデスク ・平成24年4月に全国152支店を設置 ・店舗一覧または創業相談予約のページから予約が可能 全国の商工会議所・支援機関での出張相談 |
日本政策金融公庫の福岡市内の支店は、福岡支店、福岡西支店があります。創業サポートデスクでの相談の場合は、こちらの支店が利用可能です。
出典:日本政策金融公庫「創業前支援」
会社設立を専門家に相談するなら
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「本当に税理士は必要?」「費用はどの程度かかる?」などの疑問や不安も無料で相談できるのでぜひ活用を検討してみてください。
まとめ
福岡市で会社設立を考えている場合、まずは登記申請などの手続きを自分で行うのか、または専門家に依頼するのか検討しましょう。
会社設立時の資金調達は、福岡市・福岡県・日本政策金融公庫などの創業支援の融資が利用可能です。また、会社設立の疑問は、スタートアップカフェ・福岡商工会議所・福岡市中小企業サポートセンター・中小企業基盤整備機構・日本政策金融公庫などで相談できます。
利用できる融資や助成金・補助金の詳細を把握し、スムーズな会社設立を目指しましょう。
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よくある質問
福岡市で会社設立するときに利用できる創業支援の融資は?
福岡市で会社設立するときに利用できる創業支援の融資は、福岡市「スタートアップ資金」・福岡県「新規創業資金」・日本政策金融公庫「新規開業資金」が挙げられます。
詳しくは「福岡市で会社設立するときに利用できる創業支援の融資」をご覧ください。
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監修 北田 悠策(きただ ゆうさく)
神戸大学経営学部卒業。2015年より有限責任監査法人トーマツ大阪事務所にて、製造業を中心に10数社の会社法監査及び金融商品取引法監査に従事する傍ら、スタートアップ向けの財務アドバイザリー業務に従事。その後、上場準備会社にて経理責任者として決算を推進。大企業からスタートアップまで様々なフェーズの企業に携わってきた経験を活かし、株式会社ARDOR/ARDOR税理士事務所を創業。
