監修 税理士・CFP® 宮川真一 税理士法人みらいサクセスパートナーズ
ある程度の金額を稼げるようになった個人事業主が、節税対策として考えるのが「法人化(法人成り)」です。
年収によっては法人化しても節税にならない場合があるため、メリットが得られるかどうかは個人の状況を踏まえて慎重に検討し、判断する必要があります。
本記事では、個人事業主が法人化すべき年収の目安や節税以外の法人化のメリット、注意点について解説します。具体的な金額を例に挙げたシミュレーションも紹介していきます。
目次
法人化を検討する年収(売上)の目安は1,000万円
個人事業主の年収(課税売上高)が1,000万円を超えたら、法人化を検討するタイミングだといえます。そのタイミングで法人化することで、消費税の節税が可能になるためです。
年収が1,000万円を超えた個人事業主は、翌々年には自動的に消費税の課税事業者となり、消費税の負担が発生します。
法人化すれば年収の扱いが一度リセットされるため、消費税の納税義務が発生するタイミングを「法人化してから翌々年」にできます。ただし、これはあくまでも消費税の納付が2年間免除されるだけであり、節税効果は一次的なものです。
出典:国税庁「No.6503 基準期間がない法人の納税義務の免除の特例」
また、法人化する前の年収額にもよりますが、法人化した後の年収が1,000万円を下回る場合、そもそも消費税の課税事業者にならないため、消費税節税のメリットがないケースもあります。
なお、2023年10月1日から始まったインボイス制度では、消費税の申告方法や納付方法がこれまでと変わります。
これによる法人化への影響について詳しくは、別記事「個人事業主が法人化する最適なタイミングとは?メリット・デメリットからインボイス制度の対策について解説」で解説しているので、あわせてご覧ください。
利益(事業所得)800万円超も法人化の目安のひとつ
年収1,000万円を目安にする以外に、利益(事業所得)が800万円を超えたときも法人化を検討すべきタイミングです。利益が800万円超えになると、所得税・住民税といった税金の負担額が、個人事業主よりも法人のほうが低くなる可能性が高いからです。
個人事業主の利益はすべて個人所得として扱われ、個人としての所得税が課されます。所得税率は5〜45%まで7段階に分かれており、所得が増えるごとに税率も上がっていきます。
出典:国税庁「No.2260 所得税の税率」
住民税は、所得が増えるとその分だけ税金の負担額が増えます。
住民税には、所得に応じて負担額が変わる「所得割」と、所得額に関係なく一定額を負担する「均等割」があります。所得の影響を受ける所得割の税率は、一律で10%(道府県民税4%、市町村民税6% ※政令指定都市の場合道府県民税2%、市民税8%)です。
出典:総務省「個人住民税」
つまり、個人事業主の利益にかかる税率は、最大で55%(所得税の最大税率45%+所得割の税率10%)となります。
一方、法人の利益にかかる法人税の税率は最大でも23.20%(資本金1億円以下の法人などを指す普通法人で、利益が年800万円超えの場合)であるため、利益にかかる税金だけで見ると、法人化したほうが税負担は軽くなるのです。
ただし、個人の手元に残る金額については、所得控除や事業以外の所得の有無、法人化した際の報酬額などによって大きく変わるため、シミュレーションする際は、利益に影響する内容を正確に洗い出すようにしましょう。
なお、自分の利益が700万円超えになった場合は、法人化の目安となる利益800万円への到達が間近といえます。その時点で、税の負担額を一度シミュレーションしてみるのがおすすめです。
法人化による節税効果シミュレーション
ここからは、法人化によってどれだけの節税効果を得られるか、具体的にシミュレーションしてみましょう。
前項で挙げた法人化を検討する目安である「年収(売上)が1,000万円、利益(事業所得)が800万円」のケースで、個人事業主と法人のパターンに分けて、それぞれの税金を計算します。
なお、計算における前提条件は以下のとおりです。
節税効果シミュレーションで使う前提条件
- 個人事業税の税率は5%(第1種事業の法定税率)を適用
- 個人事業主として青色申告特別控除65万円の適用条件を満たす
- 個々の事情で変化しやすい個人住民税については省略
個人事業主の場合に負担すべき税金
個人事業主の場合にかかる税金は以下のとおりです。
個人事業主が負担する税金
- 所得税
- 特別復興所得税
- 住民税
- 個人事業税
- 消費税及び地方消費税
ひとつずつシミュレーションしていきましょう。
所得税
個人事業主としての所得税は、以下の計算式で求めます。
個人事業主の場合にかかる所得税の計算式
(事業所得-青色申告特別控除-基礎控除) × 所得税率-控除額
上記の式に、前提条件と「年収(売上)が1,000万円、利益(事業所得)が800万円」のケースの数字をあてはめると、以下のようになります。
売上1,000万円、利益が800万円の時の計算
(800万円-65万円-48万円)×20%-42万7,500円=94万6,500円
特別復興所得税
特別復興所得税は「基準所得税額×2.1%」の計算式で求めます。
なお、基準所得税額とは所得税額から配当控除やローン控除等を差し引いた金額です。
前提条件に「所得税額から差し引かれる金額」が設定されていないことから、そのまま「所得税額×2.1%」で計算します。
売上1,000万円、利益が800万円の時の計算
94万6,500円×2.1%=1万9,877円
住民税
住民税には、所得に応じて負担額が変わる「所得割」と、所得額に関係なく一定額を負担する「均等割」があります。
所得割を求める計算式は以下のとおりです。
個人事業主の場合にかかる住民税所得割の計算式
所得割=(前年中の所得金額-所得控除)×税率-税額控除
所得割の税率は一律で10%(道府県民税4%、市町村民税6% ※政令指定都市の場合道府県民税2%、市民税8%)、均等割は5,000円(道府県民税が1,500円、市町村民税が3,500円)です。
上記の内容に、前提条件と「年収(売上)が1,000万円、利益(事業所得)が800万円」のケースの数字をあてはめると、以下のようになります。
なお、前提条件に「所得控除」「税額控除」についての設定がないため、所得控除のうち基礎控除のみ適用し、それ以外は0として計算します。
売上1,000万円、利益が800万円の時の計算
- 均等割:道府県民税1,500円+市町村民税3,500円=5,000円
- 所得割:(800万円-青色申告特別控除65万円-基礎控除48万円)×10%=68万7,000円
- 合計:5,000円+68万7,000円=69万2,000円
個人事業税
個人事業税を求める計算式は以下のとおりです。
個人事業主の場合にかかる個人事業税の計算式
個人事業税=(事業所得-事業主控除)× 法定税率
上記の式に、前提条件と「年収(売上)が1,000万円、利益(事業所得)が800万円」のケースの数字をあてはめると、以下のようになります。
利益が800万円の時の計算
(800万円-290万円)×第1種事業の税率5%=25万5,000円
個人事業主が負担する税額の合計
ここまでに求めた4つの税金の金額を合計すると、以下のとおりです。
売上1,000万円、利益が800万円の時の税金の合計額
94万6,500円+1万9,877円+69万2,000円+25万5,000円=191万3,377円
なお、今回のケースは年収(売上)は1,000万円であるため、翌々年から自動的に消費税の課税事業者となり、上記の税額に消費税が加算されます。
各税金の概要や計算方法などについては、下記の記事でそれぞれ解説しています。詳しく知りたい方はご覧ください。
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法人化した場合に負担すべき税金
法人化した場合にかかる税金は以下のとおりです。
法人が負担する税金
- 法人税
- 法人住民税
- 法人事業税
- 特別法人事業税
- 消費税及び地方消費税
なお、今回のケースでは含みませんが、会社によっては利子や配当金に対して支払う所得税が発生する場合があります。
また、詳しくは後述しますが、法人化すると経営者本人の給与(役員報酬)も経費として計上できるようになります。
もし一人会社を設立して個人事業と掛け持ちで事業を行うのであれば、法人と個人で所得を分散させることも可能です。
法人税
法人税を計算するうえでの前提条件は以下のとおりです。
- ・普通法人
- ・資本金等1億円以下
- ・適用除外事業者以外
- ・開始事業年度2022年4月1日以後
法人税を求めるには以下の計算式で算出します。
法人の場合にかかる法人税の計算式
法人税=課税所得×税率-税額控除額
上記の計算式に、前提条件と「年収(売上)が1,000万円、利益(事業所得)が800万円」のケースの数字をあてはめると、以下のようになります。なお、前提条件に「税額控除」についての設定がないため、その部分は0として計算します。
売上1,000万円、利益が800万円の時の計算
800万円×15%=120万円
出典:国税庁「No.5759 法人税の税率」
ちなみに、役員報酬を経費として計上する場合は、以下の計算式で所得税を求めます。
役員報酬を経費として計上する場合の計算式
所得税=(給与所得-給与所得控除)× 所得税率-控除額
上記の計算式に、前提条件と「年収(売上)が1,000万円、役員報酬が800万円」のケースの数字をあてはめると、以下のようになります。
売上1,000万円、役員報酬が800万円の時の計算
(800万円-190万円)×20%-42万7,500円=79万2,500円
法人住民税
法人住民税は、法人の所得に応じて負担額が変わる「法人税割」と所得額に関係なく一定額を負担する「均等割」から構成されています。
法人税割の税率は一律で7%(道府県民税1%、市町村民税6%)です。均等割の税額は、資本金等の額と従業員数によって区分されています。
上記の内容に、前提条件と「年収(売上)が1,000万円、利益(事業所得)が800万円」のケースの数字をあてはめると、以下のようになります。
売上1,000万円、利益が800万円の時の計算
- 法人住民税の法人税割額(資本金等1,000万円以下、従業員数50人以下):120万円×7%=8万4,000円
- 法人住民税の均等割額(資本金等1,000万円以下、従業員50人以下):2万円+5万円=7万円
- 合計:8万4,000円+7万円=15万4,000円
法人事業税
法人事業税は以下の計算式で求めます。
法人の場合にかかる法人事業税の計算式
法人事業税=課税標準額(所得等)×税率
また、税率は以下のとおりです。
- 400万円以下の部分:3.5%
- 400万円超800万円以下の部分:5.3%
上記の内容に、前提条件と「年収(売上)が1,000万円、利益(事業所得)が800万円」のケースの数字をあてはめると、以下のようになります。
利益が800万円の時の計算
- 400万円以下の部分:400万円×3.5%=14万円
- 400万円超800万円以下の部分:400万円×5.3%=21万2,000円
- 合計:14万円+21万2,000円=35万2,000円
特別法人事業税
特別法人事業税は以下の計算式で求めます。
法人の場合にかかる特別法人事業税の計算式
特別法人事業税=法人事業税額×税率
上記の計算式に数字をあてはめると、以下のようになります。
売上1,000万円、利益が800万円の時の計算
35万2,000円×37%=13万240円
消費税および地方消費税
法人化した場合は、基本的に消費税の納税義務が2年間免除されます。
ただし、1期目の最初の6ヶ月間の売上と給与(役員報酬も含む)のいずれも1,000万円を超えた場合は、2期目から消費税を納めなければならないので注意が必要です。
出典:e-Gov法令検索「消費税法 第九条の二」
なお、法人化した場合の消費税の扱いについては別記事「法人成りをした場合の消費税の扱いとは?」で解説しています。詳しく知りたい方はご覧ください。
消費税および地方消費税
ここまでに求めた4つの税金(消費税および地方消費税は除く)の金額を合計すると、法人化した場合に負担する税額は以下のようになります。
売上1,000万円、利益が800万円の時の税金の合計額
120万円+15万4,000円+35万2,000円+13万240円=183万6,240円
なお、利益800万円を役員報酬を経費とし、計上する場合の税額は以下のとおりです。
売上1,000万円、役員報酬が800万円の時の税金の合計額
79万2,500円+15万4,000円+35万2,000円+13万240円=142万8,740円
この金額には、別途社会保険料を考慮する必要があります。
上記のケースでは、個人事業主の場合の税金負担額が190万円を超えていたため、法人化したほうが節税になることがわかります。ただし、上記の役員報酬に関する税額には個人にかかる住民税などは含まれていないこと、別途社会保険料もかかることを把握しておきましょう。
法人化した際にかかる税金の種類や税率などについては、別記事「法人にかかる税金の種類は?税率や計算方法を個人事業主と比較」でまとめています。詳しく確認したい方はご覧ください。
法人化した場合に役員報酬を損金算入するための条件
法人の役員報酬は、そう簡単に金額を操作できません。株式会社であれば、株主総会の決議を経て決める必要があります。
役員報酬は従業員に支払う給与と異なり、自動的に損金にはなりません。役員報酬が損金として認められるためには、以下のどちらかである必要があります。
定期同額給与 | 定期的に同額が支払われる給与であり、つまり毎月一定額の給与のこと。 |
---|---|
事前確定届出給与 | あらかじめ決められた時期に、決められた金額を役員への給与とすることを税務署に事前申告して支払う給与のこと。 |
また、このほかに利益に応じて支払われる業績連動給与という給与もありますが、オーナー経営者には使えません。
ルールが厳しいように感じますが、これは役員報酬を節税のための調整弁にすることを防ぐため、意図して厳しく設計された制度であるためです。
損金算入できなければ、法人住民税の均等割額以外に法人税や法人事業税が課税されます。
そのことも意識して、節税効果を検討しなければなりません。
また、設立したての段階で年間の利益を見通すことは難しく、役員報酬の適切な金額を設定することは困難です。役員報酬を設定したうえで法人の利益がプラスになると法人税がかかってしまい、マイナスになると役員報酬に対する所得税や社会保険を余分に支払わなければなりません。
損金算入のための条件を満たす場合にも、このようなリスクが伴うことを覚えておきましょう。
出典:国税庁「No.5211 役員に対する給与(平成29年4月1日以後支給決議分)」
節税以外で法人化するメリット
法人化で主に注目されるのはその節税効果ですが、ほかにもメリットがあります。
ここでは、そのなかでも代表的な3つのメリットを解説します。
社会的信用度の向上
法人化のメリットのひとつとして、個人事業主のときよりも社会的信用度が上がることが挙げられます。
法人化するためには、商号(社名)や所在地、資本金などの情報を法務局に提出して商業登記しなければなりません。登記した内容は誰でも確認できるため、今後も事業を継続していく責任を負っていると広く示すことができ、結果として社会的な信用度が向上します。
また、企業や金融機関によっては、個人事業主との取引を避ける場合もあります。法人化により社会的信用度を高めることで、そうしたところとも取引できるようになるでしょう。
経費で計上できる項目の増加
法人化することには、経費として計上できる項目の増加というメリットもあります。
個人事業主の経費項目は法人と共通しているため、個人事業主も法人も、事業にかかった費用はすべて経費として計上できることに変わりありません。
法人の場合は、個人事業主よりも経費にできる範囲がさらに広がるのです。
具体的には、以下のような費用を経費として計上できます。
法人が経費計上できる項目
- 経営者本人の給与・賞与・退職金
- 生命保険料や社会保険料(生命保険料は法人が契約者の場合)
- 福利厚生にかかる費用
- 健康診断にかかる費用
- 出張時の日当
- 住宅費(社宅制度を利用した場合)
経費項目以外の個人事業主と法人の違いについては、別記事「個人事業主と法人の違いは?10項目で比較したそれぞれの特徴と事業開始時の選び方」で解説しています。詳しく知りたい方はご覧ください。
責任範囲の限定
法人化することで、個人事業主のときよりも責任の範囲が限定されることもメリットです。
個人事業主の場合、事業で発生した仕入れ先への未払金や滞納した税金の支払い、金融機関からの借入金の返済に関する責任は、すべて自身が負わなければなりません。
しかし、法人の場合は「有限責任」となるため、経営者は出資した金額に応じた分の責任のみを負えばよくなります。出資額以上の支払い義務が発生しないため、経営者の個人としての資産は守られます。
ただし、経営者が連帯保証人になるなどの個人保証で借入した場合は、返済債務が個人の資産にまで及ぶので注意が必要です。
法人化するときの注意点
法人化にはいくつものメリットがありますが、一方で注意すべき点もあります。ここでは、そのうち5点について解説します。
設立費用の負担
一度きりの負担ですが、法人化には費用がかかります。株式会社設立の場合では登録免許税など最低でも25万円前後の費用がかかります。その内訳は以下のとおりです。
法人設立の際にかかる費用
- 収入印紙代:4万円
- 定款認証手数料:5万円
- 定款の謄本請求手数料:約2,000円(1ページにつき250円)
- 登録免許税:15万円~(もしくは資本金の0.7%の金額)
このうち、収入印紙代は紙で定款を作成するときだけ必要な費用なので、電子定款にすることで節約できます。
また、定款の謄本請求手数料は1ページにつき250円で、定款は一般的に8枚程度あるので約2,000円です。
登録免許税は資本金の0.7%と定められていますが、その金額が15万円を下回る場合は一律15万円です。
ここでは株式会社を設立する際の費用の内訳を紹介しましたが、会社の形態によって費用は異なります。詳しくは別記事「約6万円から設立可能!?会社設立に必要な費用とは?株式会社・合同会社別に解説」にまとめているので、参考にしてください。
株主総会や取締役会などの設置が必要
法人を設立した場合、自由に決められた個人事業主よりも意思決定に制限が生まれます。法人としての重要な意思決定は、取締役会や株主総会などで決めなければなりません。
社員も株主も自分一人だけであっても、原則として最低株主総会は開かねばならず、招集通知や議事録などを作成して保管する必要があります。
会計税務の負担
法人の経理作業は一人会社だとしても、多くの場合個人事業主のときより複雑になります。
そのため、経理を雇ったり税理士に依頼したりする必要が出るかもしれません。
会計ソフトを導入する、あるいは税理士に相談するなど、会社の状況にあった方法を選択してください。
一人会社での法人決算については、別記事「法人決算を自分1人で完結させるには?流れや必要書類について解説」で解説しています。法人決算を自分だけで済ませたい方は、ぜひご覧ください。
法人住民税の均等割は常に課税される
上の設例でも触れた法人住民税の均等割額(7万円)は、法人が赤字でも事業を停止していても課税されます。
そもそも、住民税は地方公共団体が提供する行政サービスの主な財源です。
自分が受けた行政サービスにかかった費用を負担する意味合いで、その地域に居住している法人や個人に課税されています。いわば、地域社会の一員として支払う会費なのです。
ただし、以下の要件に該当した場合は、法人住民税の均等割が免除される可能性があります。
法人住民税の均等割を免除されることがあるケース
- 非営利法人として活動しているなど、収益事業を営んでいない場合
- 法人としての活動を休業している場合
地方公共団体によっては、上記の要件にくわえて独自の要件を設定している場合があります。免除申請をする前に、要件について地方公共団体に確認しておきましょう。
法人にかかる法人住民税について詳しく知りたい方は、別記事「法人住民税とは? 違いや課税の仕組みについて簡単に解説」を参考にしてください。
社会保険の加入義務
個人事業主の場合も国民健康保険と国民年金の負担がありますが、会社を設立して社長となった場合、一人会社であっても社会保険料(健康保険と厚生年金保険)の負担が生じます。
将来の厚生年金の支給にもつながりますので、一概にデメリットと言えませんが、報酬額によっては現役時代の負担は個人事業主の場合よりも上がる可能性があります。
法人化した際の社会保険に関しては以下の記事が参考になるため、詳しく知りたい方はご覧ください。
【関連記事】
会社を設立したら必ず加入!社会保険の種類と基礎知識
合同会社でも社会保険の加入は必要? 社会保険の加入手続きの流れについて解説
会社設立時には社会保険加入が必須!準備すべき書類とその作成方法まとめ
会社設立1年目はどのくらい?起業家に知ってもらいたい社会保険の支払い相場額
まとめ
法人化には節税のほか、社会的信用度の向上や経費に計上できる項目の増加、責任範囲の限定といったメリットもあるため、一定以上稼げている個人事業主は検討してもよいでしょう。
なお、法人化した際には役員報酬として自身にお金が支払われることになりますが、その場合は社会保険料なども考慮する必要があります。手元にどれだけお金が残るかについては、事前にシミュレーションしておきましょう。
法人化すると設立費用がかかったり、社会保険に加入しなければならなかったりと、さまざまな負担や義務も発生します。
自分の年収や利益だけでなく、発生する負担や義務も考慮したうえで法人化するかを決める必要があります。
この記事で紹介したシミュレーションも参考にして、事業を法人化すべきか否かを、慎重かつ冷静に判断するようにしてください。
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法人化の目安となる年収は?
法人化を検討する目安となる年収は1,000万円です。もしくは、利益(事業所得)が800万円を超えた場合もひとつの目安となります。
詳しく記事内「法人化を検討する年収(売上)の目安は1,000万円」をご覧ください。
節税以外で法人化するメリットは?
法人化には節税のほか、社会的信用度の向上や経費に計上できる項目の増加、責任範囲の限定といったメリットもあります。
詳しく記事内「節税以外で法人化するメリット」をご覧ください。
監修 税理士・CFP® 宮川真一
岐阜県大垣市出身。1996年一橋大学商学部卒業、1997年から税理士業務に従事し、税理士としてのキャリアは25年以上に及ぶ。
現在は、税理士法人みらいサクセスパートナーズの代表としてコンサルティング、税務対応を担当。また、事業会社の財務経理を担当し、複数企業の取締役・監査役にも従事。