会社設立の基礎知識

実質的支配者となるべき者の申告書の書き方!記入例でわかりやすく解説

実質的支配者となるべき者の申告書の書き方!記入例でわかりやすく解説

2018年11月30日から実質的支配者となるべき者の申告制度が始まりました。法人を実質的に支配できる影響力のある個人・一部法人を実質的支配者といいます。

本記事では、実質的支配者となるべき者の申告書の書き方・記入例、実質的支配者となるべき者の概要について解説します。

あわせて会社設立の流れや必要な手続きもご確認ください。

目次

実質的支配者となるべき者の申告書の記入例

「実質的支配者となるべき者の申告書」は、日本公証人連合会のホームページから株式会社用・一般社団・一般財団用のいずれか適したものを選択してダウンロードしてください。今回は、株式会社用の申告書をベースに解説します。

なお、2023年6月1日から、法改正により公証人法施行規則の一部が改正されています。


出典:参議院「国際的な不正資金等の移動等に対処するための国際連合安全保障理事会決議第千二百六十七号等を踏まえ我が国が実施する国際テロリストの財産の凍結等に関する特 別措置法等の一部を改正する法律」



実質的支配者となるべき者の申告書の記入例

①公証役場名および認証担当公証人名

公証役場名の欄には、申請先である公証役場名を記入してください。認証担当公証人名は、担当者となる公証人の氏名を記入します。

なお、申請先は企業の本社所在地を管轄する法務局又は地方法務局で、そこに所属する公証人が認証を行います。実質的支配者となるべき者の申告書を提出する公証役場名がわからない場合は、法務省のホームページから確認可能です。

②商号

商号欄には、設立する会社名を正式名称で記入します。なお、設立する会社が合同会社の場合は定款の認証が行われないので、記入対象外です。

③嘱託人情報

嘱託人情報欄には、発起人もしくは書類作成の依頼を受けた行政書士の氏名と住所を記入します。また、嘱託人情報欄上部にある日付欄には、実質的支配者となるべき者の申告書の作成日を記入してください。

④実質的支配者となるべき者の該当事由

申告書内に記載されている内容を確認し、実質的支配者と判断した理由の部分にチェックを入れます。議決権割合が50%を超えている際は❶に、25%を超えている際は❷に、大口債権者などであれば❸に、代表取締役であれば❹にチェックを入れてください。

⑤実質的支配者となるべき者の本人特定事項等

実質的支配者となるべき者の本人特定事項等の欄には、以下の項目を記入します。項目ごとの注意点も合わせて掲載しているので、実質的支配者となるべき者の申告書作成時の参考にしてください。


住居実質的支配者が居住している現在の住所を記入

※該当事由❶の場合は該当する者1名を記入、該当事由❷〜❹の場合は該当者全員を記入
※犯収法施行規則11条4項により、上場企業等及びその子会社は権利義務の主体となる個人を示す「自然人」とみなされるので、「住居」欄に該当企業の「住所」を記入
氏名実質的支配者の氏名・フリガナを記入

※該当事由❶の場合は該当する者1名を記入、該当事由❷〜❹の場合は該当者全員を記入
※犯収法施行規則11条4項により、上場企業等及びその子会社は権利義務の主体となる個人を示す「自然人」とみなされるので、「氏名」欄に該当企業の「名称」を記入
国籍等日本人であれば「日本」に○をつける
その他の場合は「その他」に○をつけて国名を記入
性別男女いずれかに○をつける
生年月日実質的支配者の生年月日を記入
議決権割合実質的支配者が保有する株式の議決権割合を%で記入

※該当事由❶及び❷の場合のみ記入
実質的支配者該当性の根拠資料定款・定款以外の資料・なしのいずれかに〇をつける

※定款以外の資料がある場合は、原本または写しを添付
※実質的支配者となるべき者の本人特定事項等が明らかになる資料も添付

⑥暴力団員等該当性

実質的支配者となるべき者の暴力団員等該当性の欄では、暴力団員・国際テロリストの該当・非該当いずれかに○をつけます。

表明保証書の提出

2021年7月から暴力団員等該当性の部分に○をつける代わりに、実質的支配者となる本人が記入した「表明証明書」を提出することも可能となりました。

表明証明書は、実質的支配者となるべき者の申告書と同様、日本公証人連合会のホームページからダウンロードできます。

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実質的支配者となるべき者の申告書とは

実質的支配者となるべき者の申告書とは、法人の事業経営を実質的に支配できる「実質的支配者となるべき者」であると申告するための書類です。

公証人法施行規則で定められた制度で、2018年11月30日に施行されました。

ここでは、実質的支配者となるべき者の定義や申請対象、手続きのタイミングや方法について解説します。

実質的支配者の定義とは

実質的支配者とは、法人を実質的に支配できる影響力を有した個人・一部法人のことです。

犯罪収益移転防止法により、マネーロンダリング等の防止目的で実質的支配者の申告が求められる場合があります。

実質的支配者に該当しているか判定する条件は、以下を参考にしてください。

実質的支配者の判定条件

  • 株式の50%を超える株式を保有する個人
  • 1がいない場合には25%を超える株式を保有する個人
  • 1・2がいない場合は事業活動に支配的な影響力を有する個人
  • 1〜3に該当する者がいない場合は代表取締役

なお、資本多数決法人とそうでない法人では実質的支配者の定義が異なります。それぞれの法人で実質的支配者に該当するかどうかは、以下のチャートで判断できます。

資本多数決法人の場合

資本多数決法人の実質的支配者判定条件

資本多数決法人以外の法人の場合

資本多数決法人以外の法人の実質的支配者判定条件


議決権の多さで判断されることから、基本的には大口の株主が実質的支配者になります。株主に該当する者がいない場合の実質的支配者は、大口の債権者・代表取締役です。

なお、実質的支配者は登記されないため、登記事項証明書を確認しても把握できません。

申請の対象となる法人

実質的支配者の申請対象となる法人は以下のとおりです。

実質的支配者の申請対象となる法人

  • 株式会社
  • 一般社団法人
  • 一般財団法人

手続きを行うタイミング

実質的支配者となるべき者の申請手続きは、公証役場に定款の案文を提出するタイミングにあわせて行います。

株式会社を設立する際、法人としてのルールを定めた定款を作成したうえで公証役場の認証を受けなければなりません。この認証には、実質的支配者となるべき者の申告書の提出が必要です。

実質的支配者となるべき者の申告書を受け取った公証役場は、定款と同様に認証証明を受けた文書として交付します。

【関連記事】
定款の認証とは?認証費用や手数料と必要な手続きについて解説 | 経営者から担当者にまで役立つバックオフィス基礎知識

提出方法

実質的支配者となるべき者の申告書は、以下の方法を用いて企業の本社所在地を管轄する公証役場に提出します。

実質的支配者となるべき者の申告書の提出方法

  • メール
  • ファックス
  • 郵送
  • 持参

作成タイミングや公証役場へのアクセスなどを加味し、最適な方法を選択して提出しましょう。

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まとめ

実質的支配者とは、法人を実質的に支配できる影響力を有した人物・法人のことです。実質的支配者となるべき者の申告書は定款の案文を提出する際に提出する必要があります。

実質的支配者となるべき者の申告書は、日本公証人連合会のホームページからダウンロードして作成してください。法務省のホームページから、実質的支配者となるべき者の申告書を提出できる公証役場を確認したうえで作成しましょう。

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よくある質問

実質的支配者となるべき者の申告書とは?

実質的支配者となるべき者の申告書とは、法人の事業経営を実質的に支配できる影響力を有した者である証明・申告するための書類を指します。

株式会社・一般社団法人・一般財団法人が申請対象で、申告書の作成後は公証役場に提出し認証を受ける必要があります。

詳しくは記事内「実質的支配者となるべき者の申告書とは何か」をご覧ください。

実質的支配者リストの書き方は?

公証役場名・認証担当公証人名・商号・嘱託人情報を申告書に記入します。また申告書の記入時は、実質的支配者となるべき者の該当事由を確認しておくことも大切です。

詳しくは記事内「実質的支配者となるべき者の申告書の記入例」をご覧ください。

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