会社設立の基礎知識

法人破産とは?自己破産との違いやデメリット、手続きなどを解説

監修 寺林 智栄 NTS総合弁護士法人札幌事務所

法人破産とは?自己破産との違いやデメリット、手続きなどを解説

法人破産とは、支払不能や債務超過などにより経営を続けられなくなった会社が、法人の財産を処分して会社の債務および法人格を消滅させる手続きです。

本記事では、法人破産と自己破産との違いをはじめ、法人破産のメリット・デメリット、手続きの流れを解説します。

目次

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法人破産とは

法人破産とは、支払不能や債務超過などの理由で経営が継続できなくなった会社を法律上の手続きによって清算し消滅することです。

法人に財産が残っている場合は、裁判所で選任された破産管財人が財産を差し押さえて、原則としてすべて金銭化(換価)し、債権者に配当します。これによって会社の法人格とともに債務が消滅します。

自己破産との違い

自己破産とは、借金の返済ができなくなった人が裁判所に申し立てを行い、残った財産を債権者に配当する手続きです。法人破産が会社の破産手続きであるのに対して、自己破産は個人の破産手続きを指します。

自己破産では免責手続き(債務を返済する義務の免除)が必要で、裁判所の免責決定を経て借金が消滅します。一方、法人破産では会社の法人格が消滅するのと同時に債務もなくなるため、免責手続きは不要です。

また法人破産は、法人のすべての財産を処分する必要がありますが、自己破産は生活必需品や99万円までの現金、生活保護の権利などは残ります。しかし、法人とは異なり滞納した税金は納税しなければなりません。

代表者の自己破産は必要か

法人破産をしても、代表者が必ずしも自己破産する必要はありません。ただし代表者が会社の債務の連帯保証人になっている場合は、法人に代わって代表者が支払いを求められます。

返済の肩代わりを免れるためには、代表者も自己破産の手続きを行います。

法人破産のメリット

法人破産を行うメリットとして、次の2つがあります。

債権者からの督促が止まる

会社の資金繰りがうまくいかないと、債権者への支払いが滞り、厳しい督促を受けることもあります。

法人破産を行えば債権者からの督促が止まり、精神的な負担から解放されます。

債務の返済を負う必要がなくなる

会社の経営が悪化した場合、どこから資金調達をしようか、きちんと融資は受けられるのだろうか、従業員に給料を払えるのかなど、不安や悩みを抱え精神的に苦しい日々が続きます。

しかし、法人破産により免責を受けられれば債務の返済義務がなくなるため、資金繰りに頭を悩ませる必要がありません。代表者の債務も膨大にある場合は、同時に自己破産を行えば、経済的な自立に向けて再出発することが可能です。

法人破産のデメリット

一方、法人破産のデメリットとして挙げられるのが次の2つです。

従業員を解雇しなくてはならない

法人破産では会社の法人格が消滅するため、雇用していた従業員は原則、全員解雇しなければなりません。これまで会社を支えてきた従業員に解雇通知をするのは心苦しく、代表者にとって精神的な負担になります。

事業の継続が難しくなる

法人破産後に別会社を立ち上げることは、法律上可能です。

しかし、会社の財産をすべて手放すうえに、法人破産を行うと社会的信用の低下にもつながることが想定されます。破産後すぐに新たな事業を始めるのは難しいでしょう。

法人破産手続きの流れ

破産手続きを自分で行うことは不可能ではありませんが、手続きが煩雑なため弁護士に依頼するのが一般的です。実際に法人破産をする場合の手続きの流れについて、順を追って解説します。

弁護士への依頼

まず、債務超過などが深刻化してきた段階で、早めに弁護士へ相談しましょう。弁護士との相談の結果、法人破産の手続きを行う場合、弁護士に依頼する費用などを含めて早急に準備を進めなければなりません。

また従業員に会社の経営状況を説明し、解雇通知を行います。

法人破産の申し立て

次に、裁判所に法人破産の申し立てを行うため、提出が必要な書類などを用意してください。必要書類は、以下のとおりです。

自分で記入して提出する書類

  • 自分で記入して提出する書類
  • 破産手続開始申立書
  • 債権者一覧表
  • 債務者一覧表
  • 委任状
  • 財産目録
  • 代表者の陳述書
  • 破産申立についての取締役会議事録または取締役の同意書

自分で準備する書類

  • 自分で準備する書類
  • 法人登記の全部事項証明書(3ヶ月以内のもの)
  • 貸借対照表・損益計算書(直近2期分)
  • 清算貸借対照表(破産申立日現在)
  • 税金の申告書控えのコピー(直近2期分)
  • 不動産登記の全部事項証明書(3ヶ月以内のもの)
  • 賃貸借契約書のコピー
  • 預貯金通帳のコピー(過去2年分すべて)
  • 車検証・登記事項証明書のコピー
  • ゴルフ会員権証明書のコピー
  • 有価証券のコピー
  • 生命保険証券のコピー
  • 解約返戻金計算書のコピー
  • 自動車価格査定書のコピー
  • リース契約書のコピー
  • 訴訟関係書類のコピー

提出書類を揃えるには数ヶ月かかる可能性があり、早めの準備が大切です。このタイミングで、裁判所に支払う予納金も準備しておきます。

予納金とは破産の申し立てをする際の手続き費用のことで、負債の総額や債権者数、資本金額などに鑑みて金額が決まります。破産管財人の報酬や各種の手続き費用などにも充てられます。

債務者審尋

破産手続きが始まると、裁判所によっては面談のような債務者審尋(さいむしゃしんじん)が行われる場合があります。具体的には、代表者に対して会社の資産や経営状態、債務の状況などを詳しく聞き取りします。

法人破産の申し立てに至った経緯も確認され、正当な理由がないと法人破産を認められない場合があるので、注意してください。

破産管財人の選任・引き継ぎ

破産手続きの開始決定があると、弁護士のなかから破産管財人が裁判所によって選任されます。破産管財人とは会社の財産を調査・管理し、財産を債権者に換価する人です。

なお、破産手続き開始の決定後は、債権者に破産手続きが開始した旨を記載した書面が送付され、官報にも掲載されます。同時に従業員との雇用契約をはじめ、事業所の賃貸借契約や水道光熱費の契約などがすべて解約になります。

債権者集会

裁判所では債権者集会が開かれ、債権者に対して会社の資産状況や法人破産の経緯などが説明されます。債権者が個人の場合は紛糾するケースもありますが、金融機関などの場合は騒ぎになることはほとんどありません。

債権者への配当手続き

破産管財人による調査を経て、法人に財産があった場合は、換価した財産を債権額に応じて債権者に配当していきます。財産がなければ債権者集会で異時廃止が決定され、手続きは完了です。

解雇した従業員への破産手続開始前3ヶ月以内で未払い給料がある場合、破産管財人は財産のなかから支払います。

破産終結の決定

財産の配当が完了したら破産終結の決定がなされ、会社の法人格とともに債務も消滅します。

法人破産後の起業は可能?

法人破産後に、破産した会社とは別の新たな会社を立ち上げたり、個人事業主として起業したりすることは可能です。破産した会社と同じ事業を行うのも法律上は制約がありません。

ただし社会的信用が低く、事業の継続が難しくなる可能性は高いといえるでしょう。

【関連記事】
会社設立の流れを徹底解説 | 株式会社を設立するメリットや注意点についてもまとめています

まとめ

会社の経営が厳しく、事業が継続できないと判断した場合は、法人破産の手続きを行うのもひとつの手段です。法人破産は会社の法人格はなくなりますが、債権者からの督促が止まったり、債務の返済義務がなくなったりするメリットがあります。

法人破産手続きは、事前に従業員に対して解雇通知を行うなど、速やかに進めることが大切です。支払不能や債務超過などが生じた場合は、まずは弁護士に相談してから、法人破産するかどうかを決めましょう。

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よくある質問

法人破産したらどうなる?

法人破産をすると、裁判所で選任された破産管財人が残った会社の財産を換価して、債権者に配当します。配当後は、会社の法人格とともに債務が消滅します。

詳しくは記事内「法人破産とは」をご覧ください。

法人破産と自己破産の違いは?

法人破産と自己破産の違いは、法人破産では免責手続きが不要で自己破産では免責手続きが必要な点です。法人破産が会社の破産手続きに対して、自己破産は個人の破産手続きであることも違いでしょう。

また法人破産は、法人のすべての財産を処分する必要がありますが、自己破産は一定の現金や権利などが残ります。しかし、法人とは異なり自己破産では滞納した税金は納税しなければなりません。

詳しくは記事内「自己破産との違い」をご覧ください。

監修 寺林 智栄(てらばやし ともえ)

2007年弁護士登録。2013年頃より、数々のWebサイトで法律記事を作成。ヤフートピックス1位獲得複数回。離婚をはじめとする家族問題、労務問題が得意。

寺林 智栄

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