合同会社は、法人として設立する際に事業目的を定めます。会社を運営するうちに当初とは異なる事業を始めたり、業務形態を変えたりする際は、目的変更の手続きが必要です。
本記事では、合同会社の目的の概要や変更手続き、登記に必要な書類について解説します。株式会社の定款変更について詳しく知りたい方は、別記事「株式会社の定款を変更するときに必要な手続きとは?」をご覧ください。
目次
合同会社の「目的」とは
合同会社の「目的」とは「事業目的」を指します。事業目的は事業内容のことで、たとえば何かの販売を行う会社であれば「〇〇の販売」が「目的」です。
合同会社を含むすべての会社は設立の際、規則や基本的な情報を定めた定款(ていかん)に目的を記載することが会社法で定められています。(第576条第1項第1号)。
「目的=事業内容」であるため、会社は定款で定めた目的以外は取り扱うことができません。
また、定款で定めたこれらの目的は、会社の重要事項を記載する登記簿謄本(とうきぼとうほん)にも掲載されます。登記簿謄本は「履歴事項全部証明書」とも呼ばれ、法務局を通せば誰でも内容を確認できます。
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合同会社の目的は変更できる
会社を運営していく中で、定款の目的に記載していない新しい事業を始めたり、事業の業態が変わったりする場合には、定款自体を変更し、登記申請が必要です。
定款に記載する目的に上限はないので、作成時に将来行う可能性の高い事業をあらかじめ書いておいても問題はありません。ただし、設立したてで事業目的が多すぎると会社の実態が掴めないなどのリスクも考えられます。
手間とコストがかかりますが、会社の規模や事業年数に合わせて目的変更すると信頼性の面でも無難といえるでしょう。
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合同会社の目的変更するまでの流れ
合同会社の目的を変更する際は、以下の流れで行います。
合同会社の目的変更をするまでの流れ
- 社員の同意を得る
- 定款変更
- 登記変更
それぞれの内容について詳しく説明します。
社員の同意を得る
目的変更を行うためには、総社員の同意を得て「総社員の同意書」を作成する必要があります。合同会社の社員は従業員のことではなく、出資をした人のことを指します。
同意書には目的変更について総社員が同意した旨を記載し、すべての社員が署名・捺印をします。なお、定款に「社員の半数以上」など条件を設けている場合は、内容に沿った人数の同意で問題ありません。
総社員の同意書に決まったフォーマットはありません。法務局のホームページに書類例がありますので、参考にしてみるとよいでしょう。
株式会社の場合、目的変更のような重要な議題は、株主総会の中でも他の決議より厳しい定足数や賛成数を設定した「特別決議」を行って決めます。しかし、合同会社では決議の場は設ける必要はありません。
定款変更
社員の同意が得られたら、次は実際に定款の変更を行います。
このとき、会社設立の際に作った「原始定款」を書き換えないように注意しましょう。原始定款はそのまま残しておき、変更を反映させた「現行定款」を作成・変更します。
変更した現行定款は、上述した同意書とあわせて保管しましょう。
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変更登記
社内で定款を変更してから2週間以内に法務局で変更登記の申請が必要です。変更登記とは、登記簿謄本の内容を変更する手続きです。
変更登記の申請で必要になる書類や期限は下記のとおりです。
必要な書類 | ・合同会社変更登記申請書 ・総社員の同意書 |
提出先 | 本店所在地の法務局 |
提出方法 | ・窓口で提出 ・郵送 ・オンライン |
提出期限 | 定款を変更してから2週間以内 |
費用 | 登録免許税 30,000円 収入印紙、もしくは領収証書を使用 |
なお、「代表社員が法人であるとき」「業務執行社員が法人であるとき」「司法書士など、代理人に依頼をしたとき」など、特殊な条件がある際は、申請書と同意書の他に別途書類の追加が必要になる場合もあります。
書式や別途書類が必要かどうかについての詳細は法務局のホームページをご確認ください。
目的変更したのに変更登記をしなかったらどうなる?
目的変更に伴う変更登記の申請は、法的に定められています。会社で定款変更をしてから2週間以内に変更登記の申請をしなければなりません。
期日に間に合わなかったり、変更登記の申請自体しなかったりすると、最大100万円の過料を科せられるおそれがあります。目的変更をした際はかならず2週間以内に変更登記を行うようにしましょう。
合同会社の目的変更登記で失敗しないために
合同会社の目的変更の登記申請を1人でやろうとすると、書類の作成から手続きまで手間がかかります。期日内に正確な内容で登記申請するために活用できるツールやサービスを紹介します。
法務局に相談する
目的変更登記の手続きには、法律に関する専門知識が必要不可欠です。法務局の窓口で、登記申請に必要な書類や手順について相談が可能です。
管轄の法務局まで出向く必要はありますが、無料で相談ができるのでコストをかけずに済みます。
司法書士に依頼する
司法書士に依頼すると、書類作成から登記申請までをすべて代行してくれます。時間が取れない人や、初めての変更登記で不安な人は司法書士に依頼することも検討してみましょう。
依頼料の相場は2~3万円程度です。
Webサービスを活用する
ステップに従って入力すれば目的変更登記に必要な書類が簡単に作成できるWebサービスがあります。
freee登記なら、最短7分の入力で登記申請に必要な書類が完成します。また、司法書士に依頼するのに比べてコストも約4分の1に抑えられるので経済的です。すべてを代行してもらうことはできませんが、難しい専門知識を調べる手間や書類作成にかかる時間を削減できます。
まとめ
法人が定款の目的変更をするときは、社内で手続きし、法務局で変更登記の申請を行う必要があります。
登記申請は定款変更をした2週間以内に法務局で届出をしなければなりません。目的変更をしたのに登記申請をしなかった場合には、過料を科せられるおそれもあるため、期日内に手続きを行うようにしましょう。
時間がない人や初めての変更登記で不安な人は、司法書士やWebサービスを利用することも検討してみましょう。
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- ・取締役決定書(株主総会の招集等に関するもの)
- ・取締役決定書(本店所在地の決定に関するもの)
- ・株主総会議事録
- ・株主総会省略の提案書
- ・株主総会省略の同意書
- ・株主リスト
- ・登記申請書(旧管轄宛)
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よくある質問
事業目的はいくつ書いてもよい?
定款で定める目的には上限がないため、いくつ記載しても法律上は問題ありません。
しかし、あまりに目的の記載内容が多すぎたり、事業内容の幅が広すぎたりすると、会社の実態が掴みにくくなります。口座開設や借り入れ時に、金融機関から不信感を持たれてしまうこともあるため注意が必要です。
目的変更の登記を出さないとどうなる?
決められた期限内に目的変更の登記を提出しないと法律違反になり、裁判所から最大100万円までの範囲で過料に処せられます。放置しないよう十分注意しましょう。
合同会社の目的変更登記に必要な書類は?
合同会社の目的変更の登記申請には以下の書類が必要です。
- 合同会社変更登記申請書
- 総社員の同意書
- その他、条件に応じて必要な書類
目的変更の登記申請までの流れについては、記事内「合同会社の目的を変更するまでの流れ」をご覧ください。