会社設立の基礎知識

社名変更の方法とは?手続きの流れや注意点について解説

社名変更の方法とは?手続きの流れや注意点について解説

社名変更をする際の手続きは多岐にわたります。個人事業主が自身の裁量で屋号を変更する場合とは異なり、まずは株式総会での決議をするところから始めなくてはなりません。

社名変更が決定次第、各種手続きを期限内に完了する必要があるため、事前に必要な手続きやその期限、必要書類等を把握し準備しておくことが大切です。

本記事では、株式会社が社名変更する際の一連の手続きおよび、社名変更にあたっての注意点について解説します。

目次

freee登記で変更登記のコストを削減!

freee登記はステップに沿って項目を入力するだけで変更登記に必要な書類が作成できます。10種類の変更登記に対応!変更登記にかかる手間やコストを削減したい方におすすめです。

社名変更の手続きと流れ

社名変更の決定から社名変更に伴う手続きは多くあり、それぞれの手続きには期限も設けられているため計画的に進めていく必要があります。

社名は法的には商号といい、株式会社や合同会社、合資会社等の会社名のことを指します。

また、個人事業主の場合は社名ではなく屋号と呼ばれます。前述したように、個人事業主が屋号変更する際には出資者の承認等が不要であり、かつ法人ではないため屋号変更に伴う手続きは法人の社名変更とは異なります。


出典:e-Gov法令検索「会社法第6条」


屋号変更について詳しく知りたい方は、別記事「屋号って変更できる?個人事業の屋号の変更について解説」をあわせてご確認ください。

また、会社名を決める際のポイントやアイデアについては別記事「会社名を決めるときのルール・ポイントとは?26社の実例から学ぶネーミングアイデア集」をご確認ください。

①株主総会で定款変更の決議を行う

株式会社が社名変更する際には、会社の出資者である株主による決議が必要です。

社名は会社の定款に記載されており、社名変更は定款の記載内容の変更に直結するためです。

社内会議で社名変更を決定したら、株式総会を開催します。近日中に株主総会を行う予定があればその時に行いますが、その予定がない場合は取締役会にて過半数以上の賛成を得たうえで株主総会の開催を決定しなくてはなりません。

株主総会で、3分の2以上の議決権による賛成をもって社名変更が決議されます。また、この際の決議の内容は議事録にその詳細を記載する必要があります。

議事録の主な記載項目は以下のとおりです。

  • 株主総会の開催日・時間・会場
  • 株式総会の議長
  • 本議事録の作成日

②法務局で「変更登記申請」を行う

「変更登記申請」は、法人登記の登記内容を変更した場合に行う手続きです。

提出先および提出書類は以下のとおりです。


項目内容
提出先会社(本社)所在地を管轄している法務局
提出書類・変更登記申請書
・新社名の印鑑届書
・代表者の印鑑証明書
・株主総会議事録
・株主リスト
提出期限株主総会での特別決議の日の翌日から2週間以内

出典:法務局「商業・法人登記の申請書様式」

変更登記申請書

出典:法務局「株式会社変更登記申請書」

提出書類にあるように新しい社名の印鑑届も必要なため、この手続きまでに新しい社名の印鑑を作成し届出も済ませておきましょう。

変更登記の手続きについては別記事「変更登記とは?商業登記・法人登記の違いや手続きを解説」にて詳しく解説しています。

③税務署に「異動届出書」を提出する

「異動届出書」は会社が法人税の納税者としての名称等に変更があった際に提出する書類です。提出先および提出書類は以下のとおりです。


項目内容
提出先会社(本社)所在地を管轄している税務署
または
e-Taxでのオンライン申請
提出書類異動届出書
提出期限異動および変更後なるべく早い時期

出典:国税庁「[手続名]異動事項に関する届出」

添付書類等は不要ですが、異動届の内容を確認するために新しい定款のコピーの提示を求められる場合があるため、これらの手続きは定款を変更してから行いましょう。

④都道府県税事務所と市町村に「法人異動届」を提出する

「法人異動届」とは、社名変更した際に地方税の納税地の都道府県税事務所に届け出るものです。

この届出の正式名称およびその様式は各税事務所で異なり、提出期限についても統一されていないため、社名変更の決議前に、会社の所在地の都道府県税事務所で事前に確認しておきましょう。

添付書類として、登記事項証明書や定款のコピー等、社名変更の事実が確認できる書類が必要です。


出典:eLTAX「異動届 記載要領」

⑤労働基準監督署に「労働保険名称、所在地等変更届」を提出する

「労働保険名称、所在地等変更届」は労働保険に関する手続きとして、労働基準監督署に提出する書類です。

提出先および提出書類は以下のとおりです。


項目内容
提出先会社(本社)所在地を管轄している労働基準監督署
提出書類名称・所在地等変更届(様式第2号)
提出期限株主総会での特別決議の日の翌日から10日以内

出典:厚生労働省・兵庫労働局「事業の名称・所在地等を変更したとき」

⑥年金事務所に「健康保険・厚生年金保険適用事業所名称/所在地変更(訂正)届」を提出する

「健康保険・厚生年金保険適用事業所名称/所在地変更(訂正)届」は、社会保険料に関する手続きとして、年金事務所に提出する書類です。この手続きの後、新しい社名の保険証が発行されます。

提出先および提出書類は以下のとおりです。


項目内容
提出先会社(本社)所在地を管轄している年金事務所(事務センター)
提出書類・健康保険・厚生年金保険適用事業所名称/所在地変更(訂正)届
・法人登記簿謄本のコピー
提出期限株主総会での特別決議の日の翌日から5日以内

出典:日本年金機構「適用事業所の名称・所在地を変更するとき(管轄内の場合)の手続き」

⑦ハローワークに「雇用保険事業主事業所各種変更届」を提出する

「雇用保険事業主事業所各種変更届」は、雇用保険に関する手続きとして、ハローワークに提出する書類です。⑤で手続きを行った後、労働基準監督署で交付される「労働保険名称、所在地等変更届の事業主控」が必要なため、先に手続きを済ませておきましょう。

提出先および提出書類は以下のとおりです。


項目内容
提出先会社(本社)所在地を管轄しているハローワーク
提出書類・雇用保険事業主事業所各種変更届
・登記事項証明書等変更の事実を確認できる書類
提出期限株主総会での特別決議の日の翌日から10日以内

出典:ハローワーク インターネットサービス「雇用保険事業主事業所各種変更届」

⑧その他必要機関で手続きを行う

社名変更後は、上記のように各公的機関への手続き以外にも、取引先や変更前の社名で登録しているものに関しての変更手続きが必要です。

手続きを忘れてしまうと事務処理が煩雑になってしまったり、取引先に迷惑をかけてしまったりする可能性があります。それらのリスクを回避するためにも事前にリストを用意する等して、漏れが無いように手続きを進めていきましょう。

社名変更に伴う主な手続きは以下のとおりです。

社名変更に伴う主な手続き

  • 金融機関の口座名義変更
  • 法人名義のクレジットカードの名義変更
  • 加入している各種保険の名義変更
  • テナントや賃貸軽尺している不動産会社への手続き
  • 各種公共料金の契約者名の変更手続き
  • 各種通信会社の契約者名の変更手続き
  • 社用車の所有者名義変更
  • 各種許認可にかかる商号変更
  • 取引先への名称変更の通知
  • 各種契約書の名義変更または契約先への通知
  • 名刺・会社ロゴ・ホームページ・伝票等の社名変更

手続きの種類や契約先によって期限や必要書類が異なるため、社名変更を実際に行う前に確認し、事前に準備を進めておきましょう。

社名変更をする際に気を付けるべきポイント

社名変更をする場合、上記で説明したように多くの手続きが必要です。

社名変更をスムーズに進めるためには、事前準備はもちろん、トラブルの原因となる要素についても事前に確認、把握しておくことが大切です。

期日内に変更登記および各種届出を済ませること

株主総会の後に行う手続きとして最初に解説した変更登記は、期限を過ぎてしまった場合、裁判所から代表者個人に対して、ペナルティとして100万円以下の過料が課せられる可能性があります。変更登記は、株主総会での決議の翌日から2週間以内です。

また、許認可の種類によっては、名義変更の届け出を怠った場合、始末書の提出が必要になる可能性があるため、必ず事前に確認に確認し早めに準備を進めましょう。


出典:e-Gov法令検索「会社法第976条1号」

法務局で法人実印を改印する

社名変更したら、契約等に使用する法人実印(届出印)も変更する必要があります。

印鑑の改印の届出を怠ると、登記登録や各種契約書等の効力にも影響が出てしまうため注意が必要です。法人実印は法務局にて印鑑登記を行っているため、法人実印を変更したらすぐに改印の届出を行いましょう。

法人実印を変更する場合の提出先・提出書類提出期限は以下のとおりです。


項目内容
提出先会社(本社)所在地を管轄している法務局
提出書類印鑑・印鑑カード廃止届書
印鑑(改印)届書
印鑑カード交付申請書
・印鑑提出者本人の印鑑証明書
提出期限特に定めなし

出典:法務局「登記事項証明書(商業・法人登記)・印鑑証明書等の交付請求書の様式」

同一社名が存在していないか商号調査を行う

同一社名でも商号変更は可能ですが、会社の住所が同じ場合、同じ商号(会社名)での登記はできません。

また、社名が同じ、または似ている会社が他にある場合は、社名を変更した後に思わぬトラブルや不利益に繋がる可能性もあるため、同じまたは似た社名がないかは事前によく確認しておきましょう。

社名(商号)の確認には以下のような方法があります。

  • 法務局の「オンライン登記情報検索サービス」を利用する
  • 公的機関でないオンライン上の登記情報提供サービスを利用する

これらのサービスは事前の登録や申し込みが必要で、サービスによっては有料のものもあるため、各種サービスについてもよく確認しましょう。

会社のWebサイトやロゴマークの変更もあわせて行う

社名変更後は、合わせて自社のウェブサイトの社名表示や社名が含まれるURL、社名ロゴ等についても変更が必要になります。

特に社名ロゴやウェブサイトの表示画面は、デザインから始める必要があるため、変更後の社名が決定次第、これらの変更作業に取り掛かりましょう。

社名変更の登記を自分で行うメリットとデメリット

社名変更をした際の商号変更の登記手続き自体は、高度な専門的知識が求められるものではないため、一つひとつの作業をすべて把握し、調べながらであれば専門家でなくても手続きは可能です。

ただし、手続き自体がかなり煩雑になるため、思った以上に時間や労力を掛けなくてはならない場合もあります。費用はかかりますが、司法書士等の専門家に依頼することで、これらの業務コストの削減になります。

実際に自身で手続きを行うかどうかは以下のメリットとデメリットをよく確認した上で判断しましょう。


メリットデメリット
専門家への依頼費用が削減できる
(約2万~4万円)
・期限内に手続きが完了しなければ罰金がある(100万円以下)
・書類に不備があれば法務局に行かなくてはならないケースがある
・時間がかかる

また、専門家に依頼しない場合でも、変更手続きに伴う費用として約3万円以上の費用が掛かります。その内訳と費用目安は以下のとおりです。


手続きの内容費用(目安)
登録免許税3万円
代表取締役本人の印鑑証明書約300円
履歴事項証明書600円/1通
変更後の会社実印の印鑑証明書450円/1通
変更後の会社実印の作成費用
および 各種書類の作成費用等
1万円以上

まとめ

社名変更は何度も行うものではなく手続きも煩雑になりやすいため、すべての手続きを個人や従業員のみで行おうとすると、手続き漏れがあったり予想以上に時間が掛かってしまったりする可能性もあります。それらのトラブルを防ぐためには、何より早めの確認や準備が欠かせません。

社名変更に伴うこれらの事務作業に多くの時間や労力を掛けるのが難しい、または確実に手続きを終えたい場合には、司法書士等の専門家に依頼することも検討しましょう。

変更登記の書類をかんたんに作成する方法

変更登記は内容によって必要な書類が異なるため、どの申請に何の書類が必要なのか情報を検索するだけでも時間がかかってしまいます。必要書類に迷わず、作成の手間も軽減したい方にはfreee登記がおすすめです。

freee登記は10種類の変更登記に対応しているので、変更したい内容に合った書類を作成できます。

freee登記はこんな人におすすめ

<freee登記で対応できる変更登記の種類>

  • ・本店移転(管轄内移転・管轄外移転)
  • ・役員変更(新任、辞任、重任、退任)
  • ・役員の住所変更
  • ・募集株式の発行
  • ・商号変更
  • ・目的変更
  • ・株式分割
  • ・剰余金等の資本組入れ
  • ・ストックオプション

また、オプションのかんたん郵送パックを利用すれば、押印・郵送するだけで申請が可能です。法務局へ行く手間も削減できるため、多忙で時間が取れない人でもスムーズに手続きできます。

ステップに沿って項目を埋めていけば申請用の書類が完成

変更登記は変更内容に合わせて必要な書類を内容の抜け漏れなく作成しなければなりません。

freee登記では、項目に沿って変更内容を入力するだけで、申請に必要な書類が自動で作成できます。内容に不備のない書類が最短7分で作成でき、書類準備の時間が大幅に削減されます。


freee登記 入力画面イメージ

\ステップに沿って入力するだけで申請書類が完成!/


<freee登記で作成できる変更登記書類の例>※本店移転 管轄外の場合

  • ・取締役決定書(株主総会の招集等に関するもの)
  • ・取締役決定書(本店所在地の決定に関するもの)
  • ・株主総会議事録
  • ・株主総会省略の提案書
  • ・株主総会省略の同意書
  • ・株主リスト
  • ・登記申請書(旧管轄宛)
  • ・登記申請書(新管轄宛)
  • ・印鑑届書
  • ・印鑑カード交付申請書

さらにfreee登記では、変更登記の書類を購入した方に「登記申請手続きマニュアル」をプレゼントしています。登記申請の手続きがまとめているので、これひとつで手続きまで完了できます。

コストを抑えて書類の作成が可能

専門家に変更登記の書類作成を依頼すると、相場5万円前後の手数料がかかりますが、freee登記を利用すればほとんどの申請書類が1万円で作成可能です。
※ 役員住所変更・氏名変更は¥5,000(税別)、ストックオプションは¥30,000(税別)
※上記費用のほか、別途登録免許税の納付が必要です。


コストを抑えつつ手間のかからない方法で変更登記をご検討の方は、ぜひfreee登記をご利用ください。

freee登記で変更登記のコストを削減!

freee登記はステップに沿って項目を入力するだけで変更登記に必要な書類が作成できます。10種類の変更登記に対応!変更登記にかかる手間やコストを削減したい方におすすめです。

よくある質問

社名変更を行う手順は?

株式会社が社名変更する場合には、以下の手順で手続きを進めます。


  1. 1.株主総会で定款変更の決議を行う
  2. 2.法務局で「変更登記申請」を行う
  3. 3.税務署に「異動届出書」を提出する
  4. 4.都道府県税事務所と市町村に「法人異動届」を提出する
  5. 5.労働基準監督署に「労働保険名称、所在地等変更届」を提出する
  6. 6.年金事務所に「健康保険・厚生年金保険適用事業所名称/所在地変更(訂正)届」を提出する
  7. 7.ハローワークに「雇用保険事業主事業所各種変更届」を提出する
  8. 8.その他必要機関で手続きを行う

詳しくは記事内「社名変更の手続きと流れ」をご覧ください。

社名変更にかかる費用は?

社名変更に伴う登記申請の費用は、社内で行う場合約3万円~4万円程度、司法書士等の専門家に依頼する場合はそれらの費用に加えて更に2~4万円程度の費用が掛かります。

また、これらに加えて会社ロゴの変更や名刺等の刷新等費用がかかる範囲は多岐に渡り、その費用は会社の規模によっても異なります。

確実に想定されるものとしては、登記変更に伴う費用が挙げられます。

詳しくは記事内「社名変更の登記を自分で行うメリットとデメリット」をご覧ください。

起業の準備はfreee会社設立でカンタン・安心

freee会社設立なら、会社設立に必要な10種類の書類を無料で作成できます!

さらに起業の検討時期から会社設立後の手続きまで、専任コンシェルジュによる無料サポートも利用可能です。
設立社数50,000社以上のfreee会社設立なら初めての方もあんしん!
まずはお気軽にご相談ください!