履歴事項全部証明書とは、法人番号や資本金額などの会社情報を証明するための書類です。法人設立後の届出や保険への加入など、多くの場面で提出が求められます。
履歴事項全部証明書は法務局の窓口だけでなく、オンラインでの取得も可能です。
本記事では、履歴事項全部証明書が必要になる場面や登記簿謄本との違い、取得方法などについて詳しく解説します。
目次
履歴事項全部証明書とは
履歴事項全部証明書とは、法人番号や資本金額などの会社情報を証明するための書類です。
履歴事項全部証明書には、現在の会社情報に加えて交付請求日の3年前の年の1月1日以降の情報が記載されています。
主な記載事項は、以下のとおりです。
履歴事項全部s表明書の記載事項
- 会社法人番号
- 商号 / 原因年月日 / 登記年月日
- 本店所在地 / 原因年月日 / 登記年月日
- 公告をする方法
- 会社設立年月日
- 目的(事業内容)
- 発行可能株式総数
- 発行済株式の総数並びに種類及び数
- 株券を発行する旨の定め
- 資本金の額
- 株式の譲渡制限に関する規定
- 役員に関する事項 / 資格 / 氏名等 / 原因年月日 / 登記年月日
- 取締役会設置会社に関する事項
- 監査役設置会社に関する事項
- 登記記録に関する事項
出典:法務局「登記事項証明書記載例」
会社の基本情報が記載された履歴事項全部証明書は、法人が行うさまざまな手続きに提出が必要になります。そのため、提出が求められたときにすぐに用意できるよう、取得しておくことがおすすめです。
履歴事項全部証明書の提出が必要になる場面
履歴事項全部証明書は、以下の場面にて提出が求められます。
- 法人設立後の届出
- 各種保険への加入
- 法人名義での契約
- 登記内容の変更
- 融資・助成金・補助金の申請
- 許認可申請
これらの手続きでは添付書類として必ず履歴事項全部証明書が必要になるため、早めに取得しておきましょう。
法人設立後の届出
法人設立後は、都道府県税事務所や市区町村役場にて法人設立届出書の提出を行います。履歴事項全部証明書は、法人設立届出書の添付書類として必要です。
なお、この届出は法人設立後2ヶ月以内に行わなければならないため、遅れないように注意してください。
また、法人設立届出書は税務署への提出も必要ですが、添付書類は定款のコピーのみで、履歴事項全部証明書の提出は必要ありません。
【関連記事】
【会社設立後の手続き】法人登記で終わりじゃない!事業開始までにやるべきこととは?
各種保険への加入
社会保険・労働保険へ加入する際、添付書類として履歴事項全部証明書が必要です。
社会保険の加入手続きは管轄の年金事務所で、労働保険の加入手続きは労働基準監督署・公共職業安定所(ハローワーク)で行います。
保険への加入は会社設立後すぐに行わなければならないため、間に合うように必要書類も早めに準備しておきましょう。
出典:日本年金機構「健康保険・厚生年金保険 新規加入に必要な書類一覧」
法人名義での契約
新しく事務所を借りたり、法人口座を開設したり、法人名義での契約手続きをするときの情報確認として履歴事項全部証明書の提出が求められます。
ほかにも法人名義のクレジットカードを申し込んだり車を購入したりするときにも提出が必要になるケースがあります。
登記内容の変更
事務所の住所や取締役など、登記内容が変更された場合には手続き(変更登記)が必要です。このとき、現在の会社情報を証明するために、添付書類として履歴事項全部証明書を提出しなければなりません。
【関連記事】
変更登記とは?商業登記・法人登記の違いや手続きを解説
融資・助成金・補助金の申請
金融機関からの融資や、国・自治体の助成金・補助金制度を申請するときにも履歴事項全部証明書の提出が求められます。
なお、これらの申請時には、履歴事項全部証明書以外にも定款のコピーや決算書類が必要になることもあるため、事前にホームページで確認しましょう。
【関連記事】
会社設立時に最適な助成金・補助金は?金額・条件・申請方法を一覧で紹介
許認可申請
建設業や人材派遣業など、特定業種を行うためには許認可申請をしなければなりません。許認可申請を行う際にも履歴事項全部証明書が必要です。
ほかにも許認可申請では貸借対照表や定款などの提出が求められます。
出典:国土交通省「許可申請の手続き」
【関連記事】
許認可とは?取得しない場合のペナルティや申請方法について解説
履歴事項全部証明書と登記簿謄本(登記事項証明書)の違い
登記簿謄本(登記事項証明書)とは、履歴事項全部証明書・、現在事項証明書・閉鎖事項証明書・代表者事項証明書の総称です。つまり、履歴事項全部証明書は登記簿謄本の1種であり、厳密には扱いが異なります。
それぞれの証明書の内容は以下のとおりです。
証明書の種類 | 記載内容 |
---|---|
履歴事項全部証明書 | 交付請求日から3年前の年の1月1日以降のすべての登記事項 |
現在事項証明書 | 交付請求日の時点で有効な登記事項 |
閉鎖事項証明書 | 登記簿に記載されなくなった登記事項 |
代表者事項証明書 | 会社の代表者がもつ代表権に関する登記事項のうち効力があるもの |
登記簿謄本(登記事項証明書)について詳しく知りたい方は、別記事「登記簿謄本(登記事項証明書)とは?会社設立後に必要となるパターンや取り方などを解説」をご確認ください。
履歴事項全部証明書の取得方法
履歴事項全部証明書の取得方法は以下の3つです。
履歴事項全部証明書の取得方法
- 法務局の窓口
- 法務局への郵送
- 登記・供託オンライン申請システム
なお、履歴事項全部証明書は、会社の関係者にかかわらず誰でも取得できます。
法務局の窓口にて交付申請を行う
履歴事項全部証明書は会社所在地の管轄に関係なく、全国の法務局窓口で申請・取得できます。
法務局の窓口で交付申請を行う際は、登記事項証明書交付申請書の「①全部事項証明書(謄本)」の「履歴事項証明書」にチェックをして提出します。
出典:法務局「登記事項証明書交付申請書」
法務局窓口の営業時間は、平日の9:00〜17:00で土日祝はお休みになるので注意しましょう。
法務局に郵送で交付申請を行う
登記事項証明書交付申請書を郵送しても履歴事項全部証明書を取得できます。
ただし、郵送の際は600円の収入印紙が必要です。また、証明書を返送してもらうために、自身の住所を記入し切手を貼り付けた返送用の封筒も忘れずに同封しましょう。
履歴事項全部証明書は、郵送してからおよそ数日以内に送られてきます。
登記・供託オンライン申請システムで交付申請を行う
履歴事項全部証明書の交付申請はオンラインでも可能です。登記・供託オンライン申請システムに登録し、「かんたん証明書請求」からすぐに交付申請できます。
オンラインでできるのは申請のみで、受け取りは法務局の窓口か郵送を選択します。電子データでの取得はできないので注意しましょう。
登記・供託オンライン申請システムによる交付申請は、取得にかかる手数料が最も安くおすすめです。
出典:法務省「オンラインによる登記事項証明書及び印鑑証明書の交付請求について(商業・法人関係)」
履歴事項全部証明書の取得にかかる費用
履歴事項全部証明書の各取得方法にかかる費用は以下のとおりです
取得方法 | 費用 |
---|---|
窓口 | 600円 |
郵送 | 600円 |
登記・供託オンライン申請システム | 窓口で取得:500円 郵送で取得:480円 |
取得にかかる費用を抑えたい場合は、登記・供託オンライン申請システムを利用しましょう。
まとめ
履歴事項全部証明書とは、法人番号や資本金額などの会社情報を証明するための書類で、4種類ある登記簿謄本(登記事項証明書)のうちの1つです。
履歴事項全部証明書は保険への加入や融資を受ける際などに必要で、法人を運営する多くの場面で提出が求められます。
また、履歴事項全部証明書は法務局窓口や郵送、登記・供託オンライン申請システムにて交付申請・取得ができます。なお、取得には手数料を支払う必要があるため、注意してください。
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履歴事項全部証明書とは?
履歴事項全部証明書とは、法人番号や資本金額などの会社情報を証明するための書類です。履歴事項全部証明書は、保険への加入申請や許認可申請時などで提出が求められます。
詳しくは記事内「履歴事項全部証明書とは」をご覧ください。
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詳しくは記事内の「履歴事項全部証明書と登記簿謄本(登記事項証明書)の違い」をご覧ください。