確定申告の基礎知識

電子申告って何?webで確定申告を行う方法

監修 北田 悠策 公認会計士・税理士

電子申告とは?e-Taxでできることや確定申告の手順をわかりやすく解説

電子申告とは開業や確定申告、納税に関する手続きをインターネット上で行うことを指します。電子申告は「e-Tax(国税電子申告・納税システム)」を使うことでスムーズに完了でき、インターネット環境さえ整っていれば、自宅やオフィスで確定申告・納税・行政手続きが行えます。

e-Taxは所得税や法人税などの国税の申告や納税にかかわるシステムですが、このほか、地方税用のシステムとして「eLTAX」もあります。

本記事では、電子申告の概要や、申告するために必要な準備、e-Taxを使った確定申告の手順を解説します。

目次

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電子申告とは?

電子申告とは、開業に際しての届出や確定申告、納税などの手続きをインターネット上で行うことを指します。「電子申告」とは一般的に、e-Tax(国税電子申告・納税システム)やeLTAX(地方税ポータルシステム)を使用した税務関係の手続きが該当します。

e-Taxは2004年2月に名古屋国税局管内で運用が始まって以来、運用が全国へ広がり、対応する手続きを拡大してきました。国税庁の発表によると、所得税や消費税など主要な手続きの利用件数や利用率は増加傾向にあり、2023年度のe-Taxの利用件数割合は、所得税申告が7割近く、法人税申告は8割以上でした。

電子申告を利用することで、税務署の窓口へ出向いたり、書類を郵送したりといった手間をかけることなく、場所や時間を問わずに手続きが行えます。

また、電子申告利用の義務化も進んでいます。たとえば資本金が1億円を超える大規模法人は、2020年4月1日以降に開始する事業年度から電子申告が義務化されました。中小企業や個人事業主への義務化は2024年10月時点では定められていませんが、国や政府による電子申告普及の動きは注視しておきましょう。

【関連記事】
中小企業の電子申告の義務化はいつから?電子申告の流れを紹介


出典:国税庁「e-Taxの利用件数」
出典:国税庁「令和5年度におけるオンライン(e-Tax)手続の利用状況等について」
出典:国税庁「大法人についてe-Taxが義務化されました!!」

e-Tax(国税電子申告・納税システム)とは

e-Taxとは所得税や法人税の申告、納税、個人事業の開業届出、法人設立の申請届出などに対応する「国税電子申告・納税システム」の呼称です。

e-Taxを利用する主なメリットは以下のとおりです。

e-Taxを利用するメリット

  • インターネット環境があれば場所を問わず手続きが可能
  • 24時間利用可能(メンテナンス時を除く)
  • 書類のペーパーレス化

このほか、e-Taxと会計ソフトを連携することも可能です。それにより、会計ソフトに入力している記帳情報などをそのままe-Taxに連携でき、確定申告の際に所得金額や控除額などをe-Tax上で入力する手間が省けるほか、入力漏れやミスの防止にもつながります。

e-Taxを使った電子申告でできること

e-Taxを使って電子申告できる手続きには、以下が挙げられます。

e-Taxでできる手続き例

  • 所得税や消費税、法人税の確定申告
  • 相続税、贈与税、酒税納税、間接諸税の申告
  • 納税証明書の交付請求
  • 法定調書の申請・届出
  • 納税猶予の申請
  • 個人事業の開業届出
  • 法人設立および異動手続きの申請・届出 など

e-Taxは、法人だけではなく、個人事業主や会社員などの個人でも利用できます。

所得税や消費税、法人税の確定申告はe-Taxで行えますが、地方税の申告や納税の電子申告には、地方税共同機構が運営するeLTAX(地方税ポータルシステム)を利用します。


出典:国税庁「e-Taxホームページ|利用可能手続一覧」
出典:eLTAX「eLTAXの概要」

e-Taxで電子申告するために必要な準備

e-Taxの利用にあたっては、以下の事前準備が必要です。

e-Taxの利用のための準備

  1. e-Taxの利用に必要な環境を整える
  2. 利用者識別番号を取得する
  3. 電子証明書を取得する
  4. e-Taxソフトで利用者情報を登録する

e-TaxソフトはWeb版とダウンロード版があるほか、スマホアプリからでも利用できます。

Web版はインターネット上で利用でき、ソフトのインストールは不要です。パソコンだけでなく、スマートフォンやタブレット端末にも対応しています。ダウンロード版はパソコンにインストールして使用しますが、対応OSはWindowsのみです。


出典:国税庁「e-Taxホームページ|e-Taxソフトのダウンロードコーナー」

1. e-Taxの利用に必要な環境を整える

まずは、使っているパソコンやインターネット環境が、e-Taxを利用できる状態かを確認しましょう。e-Taxサイトでは、OSやブラウザなどの推奨環境を掲載しています。

e-Taxの利用にあたっては、マイナンバーカードと、ICカードリーダライタもしくはマイナンバーカードが読み取れるスマートフォンが必要です。次項で解説する利用者識別番号の取得でも利用するため、手元に用意しておきましょう。

公的個人認証サービスポータルサイトでは、マイナンバーカードに対応しているスマートフォンの製品名や型名のリストを公開しています。

会計ソフトを使用しているのであれば、e-Taxと連携できるかを確認しましょう。

【関連記事】
パソコンで確定申告する方法は?e-Taxでの手続きの手順や注意点を解説


出典:国税庁「e-Taxホームページ|e-Taxソフト(WEB版)のご利用に当たって【パソコン】」
出典:国税庁「e-Taxホームページ|e-Taxソフト(WEB版)のご利用に当たって【スマートフォン】」

2. 利用者識別番号を取得する

e-Taxの利用には、半角16桁の番号からなる利用者識別番号が必要です。利用者識別番号は以下の7つのうちいずれかの方法を選択して取得します。


取得方法必要なもの
①e-Taxホームページで利用者情報を登録する ・マイナンバーカード
・ICカードリーダライタまたはマイナンバーカード読み取りに対応したスマートフォン
②e-Taxホームページで電子申告等開始届出書を送信する ・パソコンまたはスマートフォン、タブレット
③マイナポータルの外部サイト連携機能から利用者情報を登録する ・マイナンバーカード
・ICカードリーダライタまたはマイナンバーカード読み取りに対応したスマートフォン
④国税庁の確定申告書等作成コーナーでID・パスワード方式の届出を送信する ・マイナンバーカード
・ICカードリーダライタ
⑤税務署でID・パスワード方式の届出を送信する ・本人確認書類
⑥税務署へ電子申告・納税等開始(変更等)の届出を送付または持参する ・国税庁ホームページからダウンロードした電子申告・納税等開始(変更等)の届出
⑦関与税理士に代理送信を依頼する ・関与税理士に確認

①~④の取得方法はオンラインで手続きが完結し、発行された利用者識別番号がすぐに確認できます。


出典:国税庁「e-Taxホームページ|ご利用の流れ」

3. 電子証明書を取得する

電子申告では、提出データの作成者が本人であることや、改ざんされていないことを証明するために電子署名を使用します。電子署名とは、紙の書類へのサインや押印に代わり、電子データによる書類の正当性を証明するものです。

e-Taxでは所定の認定を経て認証局が作成した電子証明書や、 e-Taxで使用可能と確認された電子証明書が使えます。

マイナンバーカードにはe-Taxで使える電子証明書が標準的に組み込まれているため、マイナンバーカードを取得していれば電子証明書に関する別途手続きは不要です。マイナンバーカードと、ICカードリーダライタや読み取りに対応しているスマートフォンがあれば、電子署名ができます。


出典:e-Tax「電子証明書の取得」

4. e-Taxソフトで利用者情報を登録する

利用者識別番号や電子証明書を取得したら、e-Taxソフトに各種情報を入力して、利用者情報を登録します。

Web版のe-Taxソフトを使用する場合、まずe-Taxのウェブサイトからログインします。ログイン後に表示される各種設定の項目にあるマイページへ進みます。


e-Taxソフトで利用者情報を登録する

マイページに表示されるメニューから「基本情報」を選択します。


e-Taxソフトで利用者情報を登録する

基本情報は氏名や納税地、所轄税務署などの情報を入力するページです。画面指示に従い、必須情報を入力しましょう。

続いて、電子証明書を登録します。マイナンバーカードを用いたログインをしている場合はすでにマイナンバーカードの電子証明書が登録されているため、追加で登録対応を行う必要はありません。

別途電子証明書を取得した場合には、マイページから「その他の登録情報」へ進み、画面の指示にしたがって電子証明書を登録してください。

e-Taxを利用する前に必要な事前準備をして、スムーズに作業を進められるようにしましょう。

【関連記事】
e-Tax(電子申告)で確定申告をするには?利用方法やメリット・デメリットについて解説


出典:国税庁「e-Taxホームページ」

e-Taxで電子申告する手順

e-Taxで確定申告を電子申告するには、提出データを作成し、電子署名を付与して送信します。

①提出データを作成

e-Taxを用いた電子申告では、まずはe-Tax経由で提出すべき書類データを作成します。

【確定申告時に提出するデータ】


項目内容
所得税の確定申告書医療費控除や寄附控除などを適用する場合
青色申告決算書・収支内訳書事業所得や不動産所得、業務にかかる所得のある場合
消費税の確定申告書消費税の確定申告が必要な場合
出典:国税庁「確定申告書等作成コーナーご利用ガイド(パソコン版)」

提出データは、以下のいずれかの方法で作成し、e-Taxから提出します。

申告書の作成方法

②e-Taxで送信・申告

①で作成した書類データを、e-Taxから送信することで電子申告は完了します。以下のいずれかの方法で、送信・申告をしてください。

作成データの提出方法

  • e-Taxソフト(ダウンロード版)で電子申告
  • e-Taxソフト(Web版)で電子申告
  • スマホアプリで電子申告

データの送信時には、電子証明書を利用した電子署名が必要です。マイナンバーカードの電子証明書を利用する場合には、画面の指示に従いマイナンバーカードをICカードリーダライタもしくはスマートフォンで読み取ることで電子署名も完了します。

③送信結果の確認

提出データの送信後、正常に受信できたか、データ形式やファイルサイズが適切かなどの判定が行われます。e-TaxソフトはWeb版、ダウンロード版いずれであっても、データ送信が正常に完了すると「即時通知」が画面上に表示されます。

即時通知はチェック内容を最小限にし、データ送信の完了を知らせる第一報です。送信データの入力に不足はないか、改ざんはないか、有効な電子証明書かなどの審査が完了すると「受信通知」が届きます。送信結果を確認し、問題がなければ電子申告は完了です。


出典:国税庁「e-Taxホームページ|5.データ送信(送信及び送信確認)」

まとめ

電子申告とはインターネット上で行う、開業届の提出や確定申告、納税に関する手続きを指し、e-TaxやeLTAXを使用した申告が該当します。

大規模法人は、2020年4月1日以降に開始する事業年度からe-Taxの使用が義務化するなど、電子申告を推進する国の動きは加速しています。中小企業や個人事業主への義務化は2024年12月時点で定められていませんが、普及に向けた動きは注視しましょう。

e-Taxの利用には事前準備を行う手間はありますが、電子申告なら時間や場所を問わずに手続きが可能です。税務署に出向いたり、書類を郵送したりする手間を省き、ペーパーレス化の取り組みにもつながります。作業の効率化を図るために中小企業や個人事業主も電子申告を活用しましょう。

よくある質問

電子申告とは何ですか?

電子申告は開業届や確定申告、納税に関する手続きをインターネット上で行うことを指します。e-TaxやeLTAXといったシステムを用いた申告手続きが該当します。電子申告の活用は、場所や時間を問わずに納税に関する手続きが完了するなど、さまざまなメリットがあります。

詳しくは「電子申告とは?」をご覧ください。

電子申告するにはどんな準備が必要ですか?

電子申告するには、パソコンやインターネット環境の整備、マイナンバーカード、ICカードリーダライタまたはマイナンバーカードを読み取れるスマートフォンなどを用意します。e-Taxの利用にあたっては、あらかじめ利用者識別番号や電子証明書の取得が必要です。

詳しくは「e-Taxで電子申告するために必要な準備」をご覧ください。

確定申告を簡単に終わらせる方法

確定申告には青色申告と白色申告の2種類があります。どちらを選択するにしても、期限までに正確な内容の書類を作成し申告しなければいけません。

確定申告書を作成する方法は手書きのほかにも、国税庁の「確定申告等作成コーナー」を利用するなどさまざまですが、会計知識がないと記入内容に悩む場面も出てくるでしょう。

そこでおすすめしたいのが、確定申告ソフト「freee会計」の活用です。

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ここからは、freee会計を利用するメリットについて紹介します。

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freee会計は、現金での支払いも「いつ」「どこで」「何に使ったか」を家計簿感覚で入力できるので、毎日手軽に帳簿づけが可能です。自動的に複式簿記の形に変換してくれるため、初心者の方でも安心できます。


freee会計 管理画面の例1

さらに有料プランでは、チャットで確定申告について質問ができるようになります。オプションサービスに申し込めば、電話での質問も可能です。

freee会計の価格・プランについて確認したい方はこちらをご覧ください。

3.〇✕形式の質問に答えると、各種控除や所得税の金額を自動で算出できる!

各種保険やふるさと納税、住宅ローンなどを利用している場合は控除の対象となり、確定申告することで節税につながる場合があります。控除の種類によって控除額や計算方法、条件は異なるため、事前に調べなければなりません。

freee会計なら、質問に答えることで控除額を自動で算出できるので、自身で調べたり、計算したりする手間も省略できます。


freee会計 管理画面の例2

4.確定申告書を自動作成!

freee会計は取引内容や質問の回答をもとに確定申告書を自動で作成できます。自動作成​​した確定申告書に抜け漏れがないことを確認したら、税務署へ郵送もしくは電子申告などで提出して、納税をすれば確定申告は完了です。

また、freee会計はe-tax(電子申告)にも対応しています。e-taxからの申告は24時間可能で、税務署へ行く必要もありません。青色申告であれば控除額が10万円分上乗せされるので、節税効果がさらに高くなります。

e-tax(電子申告)を検討されている方はこちらをご覧ください。

freee会計 管理画面の例3

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余裕をもって確定申告を迎えるためにも、ぜひfreee会計の利用をご検討ください。

監修 北田 悠策(きただ ゆうさく)

神戸大学経営学部卒業。2015年より有限責任監査法人トーマツ大阪事務所にて、製造業を中心に10数社の会社法監査及び金融商品取引法監査に従事する傍ら、スタートアップ向けの財務アドバイザリー業務に従事。その後、上場準備会社にて経理責任者として決算を推進。大企業からスタートアップまで様々なフェーズの企業に携わってきた経験を活かし、株式会社ARDOR/ARDOR税理士事務所を創業。

北田 悠策

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