確定申告の基礎知識

還付申告の対象になる人・ならない人は? 申告のやり方も解説

監修 安田亮 安田亮公認会計士・税理士事務所

還付申告の対象になる人・ならない人は? 申告のやり方も解説

還付申告は、確定申告を行う必要のない人が確定申告することによって源泉徴収などで払い過ぎた所得税を返金してもらう制度です。

退職して年末調整を受けていない人や、医療費控除・雑損控除などの適用を受ける人は、還付申告によって払い過ぎた所得税が返金される可能性があります。

本記事では、還付申告の対象になる人・対象にならない人や手続きのやり方、確定申告との違いを解説します。

目次

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還付申告は払い過ぎた税金が返ってくる制度

還付申告とは、確定申告を行う必要のない人が所得税を払い過ぎている場合に、申告によって返金してもらう制度です。

ほとんどのサラリーマンは勤務先で年末調整をしてもらえるため、ご自身で確定申告を行う必要はありません。

しかし、年の途中で退職し、年末調整を受けなかった人は、本来納めるべき税額よりも多くの所得税が源泉徴収されている場合があります。

また、年末調整では手続きができない控除(医療費控除など)を適用したい人も、還付申告によって払い過ぎた所得税が還付される可能性があるため確認が必要です。


出典:国税庁「No.2030 還付申告」
出典:国税庁「令和6年分年末調整のしかた」

還付申告と確定申告の違い

確定申告の中に還付申告が含まれおり、還付申告と確定申告はどちらも所得税に関する申告です。ただし、手続きの目的に違いがあり、払い過ぎた所得税を返金してもらう「還付申告」に対し、「確定申告」は所得税額を確定・納税する目的があります。

自営業者や副収入のある給与所得者などには、確定申告を行う義務があります。払い過ぎた所得税は還付され、不足していれば追加で納付が必要です。

項目内容
還付申告還付申告は払い過ぎた税金を返金してもらうための申告
確定申告確定申告は1年間の所得税額を確定させ、納税するための申告

また、確定申告は原則として毎年2月16日~3月15日の間に行いますが、還付申告は申告する年の翌年1月1日から5年間行えます。


出典:国税庁「No.2030 還付申告」
出典:国税庁「No.2020 確定申告」

還付申告の対象になる人

還付申告の対象になる人は、源泉徴収や予定納税によって本来納めるべき税額より多くの所得税を納めた人です。たとえば、以下のケースが挙げられます。


還付申告の対象になるケースの例対象の控除
年の途中で退職し、年末調整を受けていない-
1年間の医療費が一定額を超えた医療費控除
災害や盗難で資産に損害を受けた雑損控除
特定の寄附をした寄附金控除
住宅ローンを利用してマイホームを取得した
※年末調整で控除を受けている場合を除く
住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)
給与所得者で職務に直接必要な費用(通勤費や研修費など)が一定額を超える給与所得者の特定支出控除

給与所得者の多くは、勤務先が行う年末調整によって所得税を精算するため、ご自身での確定申告は不要です。しかし、年の途中で退職し、年末調整を受けなかった人は、本来の税額よりも多く源泉徴収されている可能性があります。

毎月の給与から源泉徴収される所得税額は、国税庁の「給与所得の源泉徴収税額表」をもとに算出した概算の金額であるため、本来の税額とは一致しないことが一般的です。

また、医療費控除・雑損控除・寄附金控除は年末調整で手続きできません。確定申告を行う必要はありませんが、これらの所得控除を適用したい人は、還付申告を行いましょう。

さらに、特定支出控除・住宅ローン控除(最初の年分)の適用を受ける場合も、還付申告によって払い過ぎた所得税が返金されます。

還付申告の対象になるケースを詳しく知りたい方は、国税庁ホームページ「No.2030 還付申告」をご覧ください。


出典:国税庁「No.2030 還付申告」
出典:国税庁「【確定申告・還付申告】」
出典:国税庁「令和6年分年末調整のしかた」
出典:国税庁「No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)」
出典:国税庁「No.1110 災害や盗難などで資産に損害を受けたとき(雑損控除)」
出典:国税庁「No.1150 一定の寄附金を支払ったとき(寄附金控除)」
出典:国税庁「給与所得の源泉徴収税額表(令和 6年分)」

還付申告の対象にならない人

一方、払い過ぎた所得税がない人は、還付申告の対象ではありません。対象外となる主なケースは以下の通りです。

還付申告の対象にならない人

  • 源泉分離課税の対象となる所得のみである
  • 源泉徴収や予定納税で所得税を全く支払っていない
  • 給与所得者で、年末調整によって税額が適正に精算されている

預貯金の利子や一定の割引債の償還差益など、源泉分離課税の対象となる所得のみをもつ人は、申告による還付を受けられません。

また、年末調整によって所得税が適正に計算・精算され、追加の控除や還付要件がない人や、そもそも源泉徴収や予定納税で所得税を納めていない人は、還付される税金が存在しないため、還付申告の対象外です。


出典:国税庁「No.2030 還付申告」

還付申告のやり方

還付申告と確定申告は手続きの目的や期間に違いがあるものの、基本的な手順は同じです。

還付申告の手順

  1. 還付申告で必要な書類の準備
  2. 還付申告書の作成
  3. 申告書類の提出
  4. 還付金の受け取り

不備なく申告し、スムーズに還付を受けるために、必要な書類や流れを把握したうえで手続きを進めましょう。

還付申告の必要書類や申告書の提出方法を詳しく知りたい方は、「還付申告とは?対象となるケースや確定申告・年末調整との違いを解説」をあわせてご覧ください。


出典:国税庁「No.2030 還付申告」

① 還付申告で必要な書類の準備

還付申告を行うためには、還付申告書(確定申告書)が必要です。還付申告専用の申告書を用いるのではなく、確定申告書に必要事項を記載して申告します。

申告書にはマイナンバーを記載する欄があるため、マイナンバーがわかる書類(マイナンバーカードや住民票など)を用意しましょう。また、申告内容に応じて証明書などの書類が必要です。


用意する書類の一例必要なケース
源泉徴収票給与所得者(会社員・パート・アルバイトなど)
国民年金保険料控除証明書国民年金保険・国民年金基金に加入している人
国民健康保険や任意継続健康保険の納付書国民健康保険や任意継続健康保険の保険料を支出した人
生命保険料控除証明書・地震保険料控除証明書生命保険料控除・地震保険料控除を受ける人
医療費控除の明細書医療費控除を受ける人
災害などでやむを得ない支出をした金額に関する領収書雑損控除を受ける人
寄附金の受領証寄附金控除を受ける人
特定支出にかかる支出の事実・金額を証する書類給与所得者の特定支出控除を受ける人

給与所得者は、勤務先から交付された源泉徴収票が必要です。添付または提示は不要ですが、源泉徴収票の内容をもとに還付申告書を作成するため、勤務先から交付されたら大切に保管しましょう。

実際に必要な書類は、申告内容によって異なります。詳しくは、国税庁のホームページでご確認ください。


出典:国税庁「No.2030 還付申告」
出典:国税庁「〔令和5年分 所得税及び復興特別所得税の確定申告の手引き〕申告書に添付・提示する書類」

② 還付申告書の作成

必要な書類がそろったら、税務署や国税庁ホームページで申告書を入手し、必要事項を記載しましょう。


出典:国税庁「令和6年分の所得税等の確定申告書(案)」

国税庁の「確定申告書作成コーナー」を利用すれば、インターネット上で申告書を作成することも可能です。画面の案内に沿って金額を入力すると税額などが自動計算されるため、計算ミスも防げます。

申告書の書き方を詳しく知りたい方は、下記の記事をご覧ください。

【関連記事】
【2024年最新】確定申告書の書き方を記入項目別にわかりやすく解説


出典:国税庁「【申告書用紙】」
出典:国税庁「確定申告書作成コーナー」

③ 申告書類の提出

作成した申告書をご自身の住所地を管轄する税務署へ提出します。提出方法は以下の3種類です。

還付申告書の提出方法

  • 税務署の窓口に持参する
  • 郵送で提出する
  • e-Taxを利用してオンラインで提出する

税務署の窓口で提出する際は、マイナンバーがわかる書類・本人確認書類などを忘れずに持参しましょう。

また、e-Tax(国税電子申告・納税システム)を利用すればパソコンやスマートフォンから申告書を提出できるため、開庁時間にあわせて税務署に出向く必要がありません。


出典:国税庁「No.2030 還付申告」 出典:国税庁「〔令和5年分 所得税及び復興特別所得税の確定申告の手引き〕申告書に添付・提示する書類」 出典:国税庁「インターネットを利用して申告や納税などの手続をしたいとき」

④ 還付金の受け取り

還付金は、申告書に記入した口座(申告者本人名義の口座)に振り込まれます。申告書を作成する際は、必ず正確な口座情報を記載しましょう。一部のネット銀行では還付金の振込ができない場合があるため、あらかじめ銀行への確認が必要です。

1.銀行などの預金口座の場合


銀行などの預金口座の場合

2.ゆうちょ銀行の貯金口座の場合


ゆうちょ銀行の貯金口座の場合

出典:国税庁「手順5 還付される税金の受取場所を記入する」

窓口や郵送で提出した場合、還付金は申告内容が確認されたのちに入金されますが、申告が多い時期には1ヶ月から1ヶ月半程度かかることがあります。e-Taxを利用して還付申告を行うと、3週間程度で還付金が入金されます。


出典:国税庁「手順5 還付される税金の受取場所を記入する」
出典:国税庁「【税金の還付】」

生命保険料控除や地震保険料控除で控除できる金額は?

生命保険や医療保険・地震保険などに加入して保険料を支払っている場合は、忘れずに所得控除の適用を受けましょう。毎年10月頃に保険会社から控除証明書が送付されるため、捨てずに保存しておいてください。

生命保険や医療保険の保険料は生命保険料控除、地震保険は地震保険料控除の対象です。生命保険料控除で控除できる金額は、年間に支払った保険料の額によって異なり、以下のように計算します。

生命保険料控除の計算式(平成24年1月1日以降に契約した場合)


支払った保険料控除額
〜2万円以下支払った保険料の金額
2万円超〜4万円以下支払った保険料の金額×1/2+1万円
4万円超〜8万円以下支払った保険料の金額×1/4+2万円
〜8万円超一律4万円

平成23年12月31日以前に契約したものを旧生命保険料とし、以後に契約したものを新生命保険料と区別しています。生命保険料控除には、一般の生命保険料控除・個人年金保険料控除・介護医療保険料控除の3種類があり、それぞれ別個に上記の算式で計算します。

地震保険料控除は支払った保険料の全額が控除できますが、所得税で控除できる金額の上限は5万円です。


出典:国税庁「No.1140 生命保険料控除」
出典:国税庁「No.1145 地震保険料控除」

医療費がかかった人は医療費控除の適用も忘れずに

医療費控除は、病気やケガなどで1年間の医療費が一定額を超える場合に所得控除が受けられる制度です。

原則は年間の医療費から10万円を引いた金額が医療費控除の額ですが、所得の少ない人に対する緩和措置もあります。退職した年は所得が少ないことも多いので、医療費が10万円以下の人でも控除の対象となる可能性があります。

  • 医療費控除の額(原則):
    医療費の支出額‐保険金などで補てんされる金額‐10万円
  • 医療費控除の額(総所得金額等が200万円未満の人):
    医療費の支出額‐保険金などで補てんされる金額‐総所得金額の5%

たとえば、年の途中で退職して総所得金額等が100万円だった場合、1年間の医療費が5万円を超えると医療費控除の対象になります。

なお、病気やケガによる医療費だけでなく、出産に伴う以下の費用も医療費控除の対象です。

医療費控除の対象となる出産費用の例

  • 妊娠と診断されてからの検診・検査・通院費用
  • 出産で入院する際のタクシー代(電車やバスなどを利用できない場合のみ)
  • 入院中に病院から支給される食事の費用

上記の費用を支出した人は、ほかの医療費とあわせて計算しましょう。ただし、健康保険組合や共済組合から支給される出産育児一時金や出産費などは差し引いて計算します。

【関連記事】
医療費控除とは?対象となる費用や申請方法について解説


出典:国税庁「No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)」
出典:国税庁「No.1124 医療費控除の対象となる出産費用の具体例」

まとめ

還付申告は、確定申告を行う必要のない人が払い過ぎた所得税を返金してもらうための手続きです。退職後、年末まで再就職せず年末調整を受けていない人や、1年間の医療費が高額になった人などが対象です。

確定申告は、毎年2月16日~3月15日の間に行いますが、還付申告は申告する年の翌年1月1日から5年間行えます。

事前に必要な書類や流れを把握し、還付申告を行いましょう。

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よくある質問

還付申告と確定申告の違いは?

確定申告は、毎年1月1日から12月31日までの1年間に生じた所得の金額とそれに対する所得税等の額を計算して確定させる手続きです。 確定申告が必要な人は必ず行わなければなりません。

一方、還付申告は、払い過ぎた税金を返金してもらうための続きです。義務ではありません。「還付申告」に対し、「確定申告」は1年間の所得税額を確定し、納税するための手続きです。

還付申告と確定申告の違いを詳しく知りたい方は、「還付申告は払い過ぎた税金が返ってくる制度」をご覧ください。

還付申告の手続きの進め方は?

還付申告書(確定申告書)を作成し、住所地を管轄する税務署に提出します。流れは以下の通りです。

還付申告の手順

  • 還付申告で必要な書類の準備
  • 還付申告書の作成
  • 申告書類の提出
  • 還付金の受け取り

還付申告の流れを詳しく知りたい方は、「還付申告のやり方」をご覧ください。

監修 安田 亮(やすだ りょう)

1987年香川県生まれ、2008年公認会計士試験合格。大手監査法人に勤務し、その後、東証一部上場企業に転職。連結決算・連結納税・税務調査対応などを経験し、2018年に神戸市中央区で独立開業。

監修者 安田亮

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