ふるさと納税は、対象となる自治体に寄付をすることで、返礼品を受け取れるだけでなく自己負担額を除いた寄付額が所得税や住民税からの控除対象となります。
しかし、確定申告など正しい手続きを行わなければ控除対象にならず、納税負担が増えてしまいます。
本記事では、ふるさと納税の概要や控除限度額、確定申告が必要・不要なケースを紹介します。
ふるさと納税による控除額の計算方法や寄付金控除を受ける流れも紹介しているため、ふるさと納税をしている、これからしようと思っている方はぜひ参考にしてください。
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目次
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ふるさと納税とは
ふるさと納税とは、自身の選んだ自治体に寄付できる制度です。ふるさと納税をすることで、返礼品を受け取ることができるほか、税金の控除・還付を受けることができます。
ふるさと納税の仕組み
ふるさと納税をすると、寄付額に含まれる2,000円を越える部分が所得税及び住民税から控除されます。また、寄付先に応じて、さまざまな返礼品をもらえるのもふるさと納税の特徴です。
ふるさと納税は「納税」という名称ではあるものの、厳密には税金ではなく寄付です。たとえば、地方税は住民票に登録されている自治体に税金を納めますが、ふるさと納税は住んでいる地域を問わずに全国の好きな自治体から選んで寄付できます。
ふるさと納税の意義
都市部への人の流入により税収が減少し、経済的に困窮した地方自治体の活性化を目的としてふるさと納税が導入されました。
ふるさと納税は、あくまでも個人の意思で寄付が可能です。また、「ふるさと」という名称ではありますが、必ずしも自身のふるさとに寄付しなければならないわけではありません。
ふるさと納税の還付を受けるためには、確定申告もしくはワンストップ特例の申請が必要です。
確定申告では、前年の1月1日から12月31日までの期間の所得やふるさと納税の寄付金控除を含めた控除額を計算し、税務署に申告、納税を行います。対してワンストップ特例とは、確定申告をせず税金控除が受けられるシステムです。要件を満たした上で、年間の寄付先の自治体が5ヶ所までである人を対象に、返礼品の数・寄付回数も関係なく利用できます。
ふるさと納税の控除限度額
ふるさと納税の寄付金控除限度額は、所得税と住民税で異なります。
所得税は、総所得金等の40%が上限となっており、限度額を超えた金額は控除されません。ふるさと納税をするほどお得になるというわけではないため、あらかじめ認識しておきましょう。
住民税は、総所得金等の30%を上限に住民税から控除されます。基本的な寄付金控除に加え、ふるさと納税で適用される特例分がまとめて控除されるため、一般的な寄付金控除よりも控除額が大きくなります。
ふるさと納税の控除限度額は、世帯年収と家族構成、各種控除を受けているかどうかにより変動するため、以下の表を参考に自身の控除限度額の目安を把握しておいてください。
ふるさと納税を行う本人の給与収入 | ふるさと納税を行う納税者の家族構成 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|
独身 または 共働き※1 | 夫婦※2 または 共働き+子1人 (高校生※3) | 夫婦+子1人(大学生※4) | 夫婦+子1人(高校生) | 共働き+子2人(大学生と高校生) | 夫婦と子2人(大学生と高校生) | |
300万円 | 2万8,000円 | 1万9,000円 | 1万5,000円 | 1万1,000円 | 7,000円 | - |
400万円 | 4万2,000円 | 3万3,000円 | 2万9,000円 | 2万5,000円 | 2万1,000円 | 1万2,000円 |
500万円 | 6万1,000円 | 4万9,000円 | 4万4,000円 | 4万円 | 3万6,000円 | 2万8,000円 |
600万円 | 7万7,000円 | 6万9,000円 | 6万6,000円 | 6万円 | 5万7,000円 | 4万3,000円 |
700万円 | 10万8,000円 | 8万6,000円 | 8万3,000円 | 7万8,000円 | 7万5,000円 | 6万6,000円 |
(※1)「共働き」は、ふるさと納税を行う本人が配偶者(特別)控除の適用を受けていないケース
(※2)「夫婦」は、ふるさと納税を行う人の配偶者に収入がないケース
(※3)「高校生」は16歳から18歳の扶養親族
(※4)「大学生」は19歳から22歳の特定扶養親族
中学生以下の子どもは扶養控除の対象ではないため、ここでの控除額の計算に影響はありません。
たとえば、「夫婦と小学生の子ども1人」は、「夫婦」と同じ金額、「夫婦と高校生と中学生の子ども」は、「夫婦と高校生の子ども1人」と同じ金額です。
出典:総務省「ふるさと納税のしくみ」
ふるさと納税で確定申告が必要なケースと不要なケース
確定申告が必要か不要か判断する際は、以下の項目に当てはまるかを確認しましょう。
【確定申告が必要なケース】
・ふるさと納税をした自治体が6ヶ所以上
・寄付した自治体の1ヶ所でもワンストップ特例の申請書が提出できなかった
・給与所得者かつ確定申告が必要な控除がある
【確定申告が不要なケース】
・確定申告の法的義務がない
・ふるさと納税をした自治体が年間5ヶ所以下
・各ふるさと納税先の自治体にワンストップ特例の適用に関する申請書を提出している
確定申告が必要になるケースに該当する場合の手続きについては後述します。
ワンストップ特例の対象になっている場合は、確定申告は不要です。ワンストップ特例は、以下の手順で申請可能です。
ワンストップ特例の申請手順
- 寄付する自治体を選択する
- 寄付した自治体に申請書を送付する
- 寄付先が自治体に控除情報を通知する
ワンストップ特例の手続きを行った場合、所得税からは控除されず、翌年度に請求される住民税から控除されます。
【関連記事】
確定申告をしなくていい金額はいくら?確定申告が必要な人や条件をケース別に解説
ふるさと納税での控除額の計算方法
ふるさと納税の控除額を計算する方法は、所得税・住民税それぞれで異なります。それぞれの計算方法は以下のとおりです。
所得税からの控除額計算方法
所得税からの控除額 =(ふるさと納税額 - 2,000円)× 所得税の税率
2037年中のふるさと納税までは、所得税の税率は復興特別所得税の税率(0.21%)が加算されます。
住民税からの控除額計算方法
- 住民税からの控除額(基本分)=(ふるさと納税額 - 2,000円)× 10%
- 住民税からの控除額(特例分)=(ふるさと納税額 - 2,000円)×(100%-10%-所得税の税率)
確定申告でふるさと納税の寄付金控除を受ける流れ
確定申告によるふるさと納税の寄付金控除は、以下の流れで受けられます。
ふるさと納税の寄付控除額の受け取り方
- 必要書類を揃える
- 確定申告書を作成する
- 確定申告書を提出する
必要書類である受領書は、選択した自治体にふるさと納税を行うと発行されます。
受領書の添付も含めた確定申告書を作成後、住所地の所轄である税務署に送付して確定申告が完了します。確定申告後の控除還付は、ふるさと納税を行った翌年の所得税に反映されるのが一般的です。
必要書類を揃える
確定申告に必要な書類は、年末調整を行うかどうかで異なります。ふるさと納税をした分の寄付金控除を受けるために必要になるのは以下の5つです。
ふるさと納税で寄付金控除を受けるための必要書類
- マイナンバーカードまたは番号確認書類と身元確認書類
- 所得税及び復興特別所得税の確定申告書
(2023年1月から申告書Aは廃止され申告書Bに統合) - 寄付金受領証明書
- 対象の年の源泉徴収票または収入が分かる書類
- 銀行口座番号がわかるもの(還付がある場合)
また、事業を行っている場合や各種控除の申請も行う場合には別途必要となる書類があります。それぞれのケースとその書類については以下の記事を参考にしてください。
確定申告書を作成する
確定申告書は、税務署で用紙をもらって手書きで作成するか、国税庁の公式サイトもしくは各種会計ソフトウェアからも作成できます。
ふるさと納税をした場合の確定申告書は「寄付金控除に関する事項」への記載が必要です。確定申告書に寄付先の名称と寄付した金額を記入もしくは入力しましょう。
出典:国税庁「令和5年分の所得税等の確定申告書(案)」
寄付金額をベースに、先ほど紹介した計算式を活用して控除額を算出可能です。
たとえば納税額が2万円・税率が10%だった場合、(2万円 - 2,000円)×10% = 1,800円(控除額)となります。記入した寄付金額に応じた控除額になっているかどうか、確定申告書の内容が確定次第確認しておきましょう。
確定申告書に記載するその他の項目に関しては、以下の記事をご覧ください。
【関連記事】
【2023年最新】確定申告書の書き方を記入項目別にわかりやすく解説
国税庁ホームページでの確定申告書作成
インターネットが利用可能であれば、国税庁のホームページから確定申告書等作成コーナーを利用するのが便利です。国税庁のホームページから「作成開始」を選択し、確定申告書の作成画面に進んでください。
続いて、確定申告書を税務署に提出する方法を選択します。今回は、印刷して提出するパターンで進めます。
提出方法の選択後「所得税」をクリックします。
生年月日を入力し「給与以外に申告する収入はありますか?」の欄で「はい」を選択してください。その他の項目も、はい・いいえのどちらかを選択します。
収入金額・所得金額の入力後、所得控除の入力画面に進みます。ふるさと納税をした場合は「寄付金控除」の欄を入力してください。
出典:確定申告書等作成コーナー|国税庁
確定申告書を提出する
確定申告書の提出方法は、e-tax(電子申告)もしくは手書き・パソコンで作成・印刷した申告書を税務署へ郵送する方法の2種類です。
なお、年末調整で所得税が0円になっており、住民税からのみ控除を受ける場合に関しては、住民税に関する申告書を居住する市区町村へ提出します。
確定申告書を提出する際は、対象となる税務署や住所地以外での提出先なども把握しておかなければなりません。確定申告書の提出先に関する詳細は、以下の記事を参考にしてください。
【関連記事】
確定申告書類の提出先はどこになる?管轄する税務署を調べる方法
まとめ
確定申告でふるさと納税の控除を受けるには、正しい控除額を計算したうえで必要書類を用意し、確定申告書を作成・提出する必要があります。
ふるさと納税の確定申告は、初めての場合特に難しく感じるかもしれません。しかし、国税庁のホームページなども参考にすれば、作成例・作成方法を簡単に把握できます。
パソコンでの作成であれば面倒な計算も自動で行ってくれるので、ふるさと納税の確定申告が初めてでも手順に沿って手続きを進めましょう。
確定申告を簡単に終わらせる方法
確定申告には青色申告と白色申告の2種類があります。どちらを選択するにしても、期限までに正確な内容の書類を作成し申告しなければいけません。
確定申告書を作成する方法は手書きのほかにも、国税庁の「確定申告等作成コーナー」を利用するなどさまざまですが、会計知識がないと記入内容に悩む場面も出てくるでしょう。
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詳しくは記事内「確定申告書を作成する」をご覧ください。
ふるさと納税で確定申告が必要なケースは?
以下3つの条件に当てはまる場合、ふるさと納税の確定申告が必要です。
- 1月1日から12月31日の間に6ヶ所以上の自治体に寄付をしている
- 寄付した自治体の1ヶ所でもワンストップ特例の申請書が提出できなかった
- 給与所得者かつ確定申告が必要な控除がある
詳しくは記事内「ふるさと納税で確定申告が必要なケースと不要なケース」をご覧ください。