確定申告は、毎年1月1日から12月31日までの1年間の所得金額および所得税の金額を計算し、源泉徴収された税金や予定納税額などの過不足を精算する手続きのことです。
申告期間は、対象年の翌年2月16日〜3月15日の間に申告する必要があります。確定申告では、納税額を計算するために必要な書類や申告書への添付が必要な書類があるため、申告期間が始まる前に準備しておきましょう。
本記事では確定申告書の作成に必要な書類や添付書類、添付不要になった書類について詳しく解説します。また、書類の添付方法についても紹介しますので参考にしてください。
目次
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確定申告に共通して必要な書類
会社員や年金受給者、個人事業主など、所得や控除の種類などによって必要書類は様々です。しかし、どの立場で確定申告をした場合でも、共通して必要な書類が存在します。まずは、確定申告に必要になる共通書類を揃えましょう。
2019年4月1日以降、確定申告をする人の作業負担を軽減するため、および手続きの簡素化を目的に一部の書類の添付および印鑑が不要になりました。提出が不要になった書類については後述します。
確定申告書
確定申告書は、1月1日から12月31日までの年間所得額や控除額とその種類、それらをもとに計算された所得税を記載した書類です。
以前は申告者の所得の種類に応じて申告書Aと申告書Bがありましたが、2023年1月からは申告書Bの様式に統合されました。
確定申告書は、税務署や確定申告会場、または市区町村の担当窓口や指導相談会場でも受け取れます。
確定申告について詳しく知りたい方は別記事「【初心者向け】確定申告とは?対象者と申告方法を分かりやすく解説」をご覧ください。
本人確認書類
確定申告には、マイナンバーカードや通知カード、個人番号が記載された住民票の写しなど、マイナンバーが記載された本人確認書類が必要です。
マイナンバーカードがあればそれだけで本人確認が完了しますが、通知カードや個人番号が記載された住民票を利用する場合、別途以下のような身元確認書類が追加で必要になります。
- 運転免許証
- 健康保険証
- パスポート
- 在留カード
税務署に申告書を直接提出する場合は、窓口で提示、もしくは本人確認書類のコピーを添付します。確定申告書類を郵送するときは、コピーを一緒に送付しなければいけません。
e-Taxで申告する際はマイナンバーカードのスキャンまたはID・パスワード方式の利用が必要です。
所得金額がわかるもの
確定申告の対象年に得た所得金額がわかる、以下のような書類を所得の種類に応じて添付します。
所得金額に関する添付書類
- 青色申告決算書
- 事業所得の内訳を記載している収支内訳書など
- 株の取引による年間取引計算書
- その他、収入を明らかにできる書類
2019年4月1日以降は、年末調整をした後の給与所得の源泉徴収票や退職所得、公的年金等の源泉徴収票は添付不要になりました。
各種控除申請に必要な書類
給与所得がある人は、年末調整で生命保険料控除・医療費控除・社会保険料控除などの15種類の所得控除を受けられます。すでに年末調整で申告が済んでいる書類は、確定申告では添付不要です。
ただし以下の控除は、年末調整ではなく確定申告時に申請しなければいけません。
控除の種類 | 概要 | 控除額 |
雑損控除 | 災害や盗難、横領などによる損害を受けたとき |
・(差引損失額)-(総所得金額等)× 10%
・(差引損失額のうち災害関連支出の金額)- 5万円 上記のいずれか多いほう |
医療費控除 | 一定額以上の医療費を支払ったとき (本人および同一生計の配偶者や親族の医療費も含める) | (支払った医療費-保険金などで補填される金額) - 10万円 その年の所得金額が200万円未満の場合は、所得金額 × 5% |
寄附金控除 | ふるさと納税や認定NPO法人等に対して寄附をしたとき | (「寄附金支出合計額」と「所得 × 40%」のいずれか少ないほう)- 2,000円 |
それぞれの控除の手続きに必要な書類は以下のとおりです。
控除の種類 | 必要書類 |
雑損控除 | 提示または添付書類 ・災害に関しての支出を証明する書類 (請求書や領収書など) |
医療費控除 |
添付書類
・医療費控除の明細書 ・医療費通知 保管書類 ・医療費の領収書 |
寄附金控除 | 寄付金額を証明する書類 |
各種控除のための以下の書類についても、2019年4月1日より添付が不要となりました。
添付が不要になった書類
- オープン型証券投資信託の収益分配の支払通知書
- 配当等の支払通知書
- 上場株式配当等の支払通知書
- 特定口座年間取引報告書 など
また、e-Taxで申告する場合には、郵送や窓口で申告するよりも添付不要とされる書類の種類も多く、マイナポータル連携を利用することでさらに添付書類を減らすことが可能です。
確定申告で受けられる所得控除について詳しく知りたい方は、別記事「確定申告の所得控除は15種類! 対象となる条件や控除額、税額控除との違いについて解説」をご確認ください。
銀行口座がわかるもの
所得税が還付される場合は確定申告書に銀行口座を記載する必要があるので、通帳やカードといった口座番号がわかるものを用意しましょう。申告書提出時の添付は不要です。
確定申告では、不足分の税金を納める、または払いすぎた税金が還付されることがあります。還付されるのは次のようなケースです。
どのような人か | 還付対象となる場合 |
総合課税の対象所得がある人 | 年間所得額が一定以下の場合 |
給与所得者 |
年末調整対象外の控除を受ける場合
・医療費控除 ・寄付金控除 ・1年目の住宅ローン控除 年末調整で申請が漏れた控除がある場合 |
公的年金の受給者 | 各種控除を受ける場合 |
対象年の途中で退職し、再就職していない人 | 退職した会社の給与所得の分の年末調整を受けていない場合 |
退職所得がある人 |
以下の項目に該当する場合
・「退職所得の受給に関する申告書」を提出していない ・再就職先での年末調整時に前職の源泉徴収票を提出していない ・退職所得以外の所得から所得控除を差し引いたときに赤字になる |
所得税の還付金が発生するのは、予定納税や源泉徴収で納めた金額が、実際に納めるべき税額よりも多いときなどです。還付金額は提出する確定申告書の「還付される税金」の欄に記入します。
【関連記事】
還付申告とは?対象となるケースや確定申告・年末調整との違いを解説
個人事業主やフリーランスが確定申告するときの必要書類
給与所得だけでなく、事業所得などがある個人事業主やフリーランスが確定申告をする場合は、青色申告か白色申告のどちらかで申告します。青色申告と白色申告には以下のような違いがあります。
青色申告と白色申告の違い
- 税制上の優遇措置
- 事前手続きの有無
- 提出書類
- 保存帳簿
- 帳簿の記載方法 など
青色申告で確定申告をする人は、その年の3月15日までに開業届と青色申告承認申請書を、管轄の税務署に提出しなければいけません。
青色申告について詳しく知りたい方は、別記事「フリーランスは確定申告が原則必須!青色申告のメリットや申告方法・必要書類について解説」をご確認ください。
青色申告を行う際の添付書類と必要書類
青色申告の承認を得ると、65万円と10万円の控除のどちらかを選んで税制上の優遇措置を受けられます。また青色申告では特別控除を受けられるだけでなく、次のようなメリットもあります。
青色申告のメリット
- 青色事業専従者給与を経費として計上できる(家族に対する給与)
- 赤字を3年間繰り越せる
- 30万円未満で取得した資産は一括で経費計上できる
青色申告で確定申告をする場合は、確定申告書と以下の添付書類や必要書類を準備しましょう。
55万円控除(最大65万円) | 10万円控除 | |
提出する書類 |
・確定申告書
・青色申告決算書 ・賃借対照表 ・損益計算書 ・第三表(分離課税用、事業所得に加え譲渡所得がある場合) ・第四表(損失申告用、赤字で青色申告する場合) |
・確定申告書
・青色申告決算書 ・損益計算書 ・第三表 (分離課税用、事業所得に加え譲渡所得がある場合) ・第四表 (損失申告用、赤字で青色申告する場合) |
保存する書類 |
・総勘定帳
・仕訳帳 ・現金出納帳 ・売掛帳 ・買掛帳 ・固定資産台帳 ・決算に関して作成した棚卸表 |
・現金出納帳
・売掛帳 ・買掛帳 ・固定資産台帳 ・経費帳 ・決算に関して作成した棚卸表 |
青色申告と白色申告や控除額の違いなどについて詳しく知りたい方は、別記事「青色申告と白色申告の違いは?7項目で比較するメリット・デメリットを徹底解説」をご確認ください。
それぞれの帳簿や書類の保存期間は次のとおりです。
帳簿・書類 | 保存期間 |
各種帳簿
・仕訳帳 ・総勘定元帳 ・現金出納帳 ・売掛帳 ・買掛帳 ・経費帳 ・固定資産台帳 など | 確定申告期限の翌日から7年間 |
各種書類
・損益計算書 ・貸借対照表 ・棚卸表 ・領収証 ・小切手控 ・預金通帳 ・借用証などの現金預金取引等関係書類 | 確定申告期限の翌日から7年間 |
その他
・請求書 ・見積書 ・契約書 ・納品書 ・送り状 など | 確定申告期限の翌日から5年間 |
青色申告の必要書類について詳しく知りたい方は、別記事「青色申告に必要な提出書類の作成方法と提出先について」をご確認ください。
白色申告を行う際の添付書類と準備する書類
白色申告では、青色申告のように事前の申請は不要です。税制の優遇措置もありませんが、簡易簿記だけで済み、手続きをしやすいメリットがあります。
白色申告で必要な書類は以下のとおりです。
提出する書類 | 保存する書類 |
・確定申告書 ・収支内訳書 | ・法定帳簿 ・任意帳簿 |
白色申告で保存すべき帳簿や書類の期間は、下記をご覧ください。
帳簿 | 法定帳簿 (収入金額や必要経費に関するもの) | 確定申告期限の翌日から7年間 |
任意帳簿 (業務に関係するもの) | 確定申告期限の翌日から5年間 | |
書類 | 決算に関係する書類 | 確定申告期限の翌日から5年間 |
業務上作成または受領した以下の書類
・請求書 ・納品書 ・送り状 ・領収書 など |
申告書の作成に必要であるものの添付不要な書類は、青色申告と同様です。
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会社員が確定申告するときの必要書類
原則として、給与所得者は年末調整により年間の所得税の精算を行いますが、以下の項目に該当する場合は確定申告が必要です。
会社員で確定申告が必要な場合
- 給与収入が2,000万円を超えている
- 副業や株式売買による所得が20万円を超える
- 2ヶ所以上から給与所得を得ており、年末調整を受けていない給与所得が20万円を超える
なお、以下の控除は年末調整では受けられないため、別途確定申告をすることで所得税の還付が受けられる場合があります。
年末調整で受けられない控除
- 寄付金控除
- 雑損控除
- 医療費控除
会社員が確定申告するときに必要な書類は以下のとおりです。
会社員が確定申告するときの提出書類および添付書類
- 確定申告書
- 本人確認書類(マイナンバーカードなど)
- 銀行口座がわかるもの
- 所得額がわかるもの(給与所得の源泉徴収票の添付は不要)
- 各種控除証明書や領収書など
年金受給者が確定申告するときの必要書類
年金受給者は、年金の受取額が400万円以下かつその他副収入(雑所得など)が年間20万円以下であれば、確定申告不要制度の対象となるため確定申告をする必要はありません。
ただし、各種控除を申告する場合や、公的年金以外の収入が年間20万円を超える場合は確定申告が必要です。年金受給者が確定申告する際に必要な書類は以下のとおりです。
年金受給者が確定申告するときの提出書類および添付書類
年金受給者が各種控除申請する場合
- 確定申告書
- 本人確認書類
- 各種控除に必要な書類
公的年金以外の収入がある場合
- 確定申告書
- 本人確認書類
- 所得を証明する書類
添付書類の添付方法
確定申告の添付書類は、紙で確定申告をするときとe-Taxを利用するときで異なります。
紙で申請するときは、添付書類台紙に各種添付書類を貼り付けます。添付台紙は2枚あり、1枚目に本人確認書類のコピーを、2枚目に社会保険料控除や生命保険料控除などの控除証明書を添付します。
原則として、書類はのり付けして提出しますが、書類の大きさなどの関係でのり付けが難しい場合はホチキスやテープの使用も可能です。
e-Taxで確定申告をする場合は、電子データでの提出が可能です。
まとめ
確定申告の添付書類は申告の種類によって異なりますが、共通して添付が求められるのは、本人確認書類や所得金額がわかる書類、各種控除申請のための書類です。
書類の中には、納税者の利便性向上を目的として添付不要になったものもあります。また、添付が不要でも、一定期間の保管が必要な書類もあるため、確定申告の前に自身の申告内容に応じた必要書類をよく確認してから準備を進めましょう。
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確定申告には青色申告と白色申告の2種類があります。どちらを選択するにしても、期限までに正確な内容の書類を作成し申告しなければいけません。
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よくある質問
確定申告の添付書類は?
確定申告に必要な添付書類は、本人確認書類や所得金額がわかるもの、各種控除申請に必要な書類などです。
ただし申告書の提出時に添付が不要でも、保管が必要な書類もあるため、事前に保管書類についてもよく確認してきましょう。
詳しくは記事内「確定申告に共通して必要な書類」をご覧ください。
確定申告で添付が不要になった書類は?
確定申告では、源泉徴収票・上場株式配当等の支払通知書・特定口座年間取引報告書などの書類の添付は不要になりました。
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