監修 安田亮 安田亮公認会計士・税理士事務所
e-Tax(国税電子申告・納税システム)は、インターネットを通じて確定申告や納税手続きができるオンラインシステムです。確定申告をe-Taxで電子申告することで、税務署の窓口に確定申告書を直接持参したり、郵送したりといった手間が省けるなどのメリットがあります。
青色申告者であれば、55万円特別控除の要件を満たしたうえでe-Taxで電子申告することで、65万円の特別控除を受けることができます。
本記事では、e-Taxで青色申告を行うための事前準備や進め方について解説します。
目次
- 青色申告とは
- e-Taxとは
- 青色申告でe-Taxを利用するメリット
- 青色申告特別控除を最大限(65万円)受けられる
- スマホからでも青色申告ができる
- 還付金が紙で提出するより早く受け取れる
- e-Taxで青色申告を行うために必要な事前準備
- 1. 利用者識別番号の取得
- 2. 電子証明書の取得
- 3. e-Taxの開始(変更等)届出書の提出
- e-Taxでの青色申告のやり方
- 1. e-Taxにログインして「確定申告を行う」を選択
- 2. 確定申告書の作成開始を選んで税務署への提出方法を選ぶ
- 3. 申告書の作成と入力
- 4. 電子署名を付与して申告書を送信
- まとめ
- 確定申告を簡単に終わらせる方法
- よくある質問
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青色申告とは
青色申告とは確定申告の方法のひとつであり、定められた帳簿を作成し、その記録に基づき申告・納税を行う制度です。
確定申告には「青色申告」と「白色申告」の2種類があります。青色申告は、仕訳帳や総勘定元帳、現金出納帳などの帳簿の作成や保存が必要ですが、高い節税効果を得られる申告方法です。事業所得、不動産所得、山林所得のいずれかの所得があり、決められた期日までに「青色申告承認申請書」を税務署に提出することで選択できます。
青色申告には「青色申告特別控除」という控除制度があり、満たす要件によって控除額は10万円、55万円、65万円の3つに分けられます。それぞれの要件は、後述の「青色申告特別控除を最大限(65万円)受けられる」をご覧ください。
出典:国税庁「No.2070 青色申告制度」
出典:国税庁「No.2072 青色申告特別控除」
e-Taxとは
e-Taxとは、インターネットを利用して自宅から税金の申告や納税ができるオンラインシステムです。確定申告をはじめ、提出書類も多く煩雑な申告手続きを、時間や場所を問わずに手軽にオンライン上で完結させることができます。
ただし、e-Taxの利用にあたっては、マイナンバーカードやICカードリーダーを用いた本人確認や、事前のe-Taxの利用者識別番号の発行といった手続きが必要です。
出典:国税庁「インターネットを利用して申告や納税等の手続きをしたいとき」
青色申告でe-Taxを利用するメリット
e-Taxを利用して青色申告を行えば、申告手続きがスムーズになるだけでなく、65万円の青色申告特別控除の適用条件をひとつ満たすことができます。
以下では、青色申告者がe-Taxを利用する3つのメリットを説明します。
青色申告特別控除を最大限(65万円)受けられる
青色申告特別控除には、65万円、55万円、10万円の3つの控除額があり、それぞれの要件は以下のとおりです。
適用条件 | 青色申告特別控除額 | ||
---|---|---|---|
65万円 | 55万円 | 10万円 | |
複式簿記 | ◯ | ◯ | × (簡易な記帳) |
貸借対照表と 損益計算書の提出 | ◯ | ◯ | △ (損益計算書のみ) |
期限内の申告 | ◯ | ◯ | − |
e-Taxでの申告 または電子帳簿保存 | ◯ | - | - |
55万円控除の要件を満たした上でe-Taxによる青色申告または電子帳簿保存のいずれかを行うことで、最大65万円の控除を受けられます。
スマホからでも青色申告ができる
e-Taxを利用すれば、スマートフォンから青色申告が可能です。マイナポータルアプリや、スマートフォン向けのe-Taxホームページを使って、場所や時間を選ばずに申告作業を進められます。
e-Taxの利用可能時間と利用不可日は以下のとおりです。
e-Taxの利用可能時間と利用不可日
- 利用可能時間:24時間
- 利用不可日:メンテナンス日、土・日曜、祝日
※土・日曜、祝日であっても利用できる場合や、利用時間に制限がある日もある。詳細は、e-Tax「利用可能時間カレンダー」を確認
還付金が紙で提出するより早く受け取れる
e-Taxによる電子申告であれば、税務署に確定申告書を持参または郵送して申告を行うよりも早く、還付金を受け取れます。郵送や窓口申請であれば還付まで4週間から6週間かかりますが、e-Taxによる申告ではおよそ3週間で受け取り可能です。
出典:国税庁「【税金の還付】」
e-Taxで青色申告を行うために必要な事前準備
e-Taxで青色申告を行うためには、事前準備が必要です。準備には、2週間~1ヶ月程度の時間を要します。確定申告の直前に慌てないよう、余裕をもって準備を進めましょう。
1. 利用者識別番号の取得
e-Taxの利用には、利用者識別番号の取得が必要です。利用者識別番号は以下7つのうち、いずれかの手続きを行うことで取得できます。
利用者識別番号の取得方法
- e-Taxホームページでマイナンバーカードを使ってアカウントを登録する
- e-Taxホームページで開始届出書を作成・送信する
- マイナポータルの「外部サイトとの連携」機能からe-Taxを利用する
- e-Taxホームページの「確定申告書等作成コーナー」からマイナンバーカードを使ってID・パスワード方式の届出を作成・送信する
- 税務署でID・パスワード方式の届出を作成・送信する
- 書面で利用者識別番号を取得する
- 税理士に依頼して利用者識別番号を取得する
2. 電子証明書の取得
利用者識別番号のほか、e-Taxで青色申告を行うにはマイナンバーカードなどの電子証明書の取得が必須です。
青色申告など個人で確定申告を行う際には、マイナンバーカードを電子証明書として使用できます。マイナンバーカードをまだ取得していない人は、住民票がある市区町村の役所で取得申請をしましょう。カードの受け取りには、申請から約3〜4週間かかります。
なお、マイナンバーカードのほか、商業登記電子証明書や地方公共団体が発行する電子証明書が使用できます。電子証明書の発行・認証は以下の機関で行っているため、取得費用や取得方法は個別にお問い合わせください。
認証局名 | 詳細 |
---|---|
地方公共団体情報システム機構 |
・地方公共団体情報システム機構が発行し、市区町村が交付する電子証明書 ・マイナンバーカードの交付申請が必要 |
商業登記認証局 |
・法務省運営の商業登記認証局 ・法人などの登記に関する電子証明書を発行 |
株式会社トインクス | TOiNXが提供する電子入札に対応した認証サービス |
地方公共団体組織認証基盤(LGPKI) |
・LGPKI対応の認証基盤 ・ICカードまたはUSBトークンの利用が可能 |
政府共用認証局(官職認証局) | 政府共用認証局による官職認証のための電子証明書 |
株式会社帝国データバンク | 電子委任状取扱事業者による発行 |
日本電子認証株式会社 | |
NTTビジネスソリューションズ株式会社 | |
セコムトラストシステムズ株式会社 | |
三菱電機インフォメーションネットワーク株式会社 |
上記のうち、電子委任状取扱事業者で発行する電子証明書は、即日発行できたり、e-Tax以外のオンライン手続きに利用できるなどのメリットがあります。
出典:国税庁「e-Taxホームページ|電子証明書の取得」
3. e-Taxの開始(変更等)届出書の提出
e-Taxを利用して青色申告を行うためには「e-Taxの開始(変更等)届出書」を、以下のいずれかの方法で税務署に提出します。
「e-Taxの開始(変更等)届出書」の提出方法
- 手書きの届出書を税務署に提出(窓口持込、郵送)
- オンラインでの届出書作成および申請
オンラインで申請するのであれば、e-Taxホームページの「e-Taxの開始(変更等)届出書作成・提出コーナーを利用するに当たって」から以下の手順で進めます。
①「(5)届出書の選択」から「届出書の選択」ボタンをクリック
②「作成・送信する開始(変更等)届出書の選択」画面で「開始届出書(個人の方用)新規」を選択
「開始届出書(個人の方用)新規」をクリックし、マイナンバーカードの有無によって、カードの読み込みと必要事項の記入のいずれかを行います。
マイナンバーカードがある場合は、「マイナンバーカードをお持ちの方はこちら」のボタンをクリックし、スマートフォンやICカードリーダーでマイナンバーカードを読み取ります。その後、画面の指示に従い「e-Taxの開始(変更等)届出書」の作成を行います。
マイナンバーカードがなければ、「マイナンバーカードをお持ちでない方はこちら」をクリックします。遷移先の画面で「e-Taxの開始(変更等)届出書」の作成ができるため、事業者情報、利用者識別番号、住所、連絡先などを画面の指示に従い入力します。
③開始届の送信結果を確認する
オンラインで「e-Taxの開始(変更等)届出書」の申請手続きをした場合は、以下のいずれかの方法で申請内容やその後の結果を確認できます。
- 即時通知:送信完了後に送信内容が即時表示される
- 受信通知:後日、審査結果がシステム内のメッセージボックスに届く
出典:国税庁「e-Taxホームページ|ご利用の流れ」
出典:国税庁「e-Taxホームページ|作成・送信する開始(変更等)届出書の選択」
e-Taxでの青色申告のやり方
e-Taxで青色申告をする方法は、以下の3つがあります。
e-Taxでの青色申告の方法
- 「確定申告書等作成コーナー」で申告書を作成してe-Taxで提出
- 「e-Taxソフト(ダウンロード版)」で申告書を作成してe-Taxで提出
- 「確定申告ソフト」で申告書を作成してe-Taxで提出
ここでは3つのうち、「確定申告書等作成コーナー」で申告書を作成してe-Taxで提出する流れを紹介します。
まずは、申告書の作成をスムーズに進めるために、以下のデバイスや書類などを準備しましょう。
e-Taxでの青色申告に必要なもの
- マイナンバーカード
- カードを読み取るためのスマートフォン(NFC対応)やICカードリーダー
- 利用者識別番号とパスワードのメモ
- 源泉徴収票(副業で働いている場合など)
- 支払通知書(業務委託報酬を受けている場合など)
- 収支の内訳がわかる書類
- 銀行口座番号がわかる通帳(還付金の受け取りに必要)
- 控除に必要な書類(生命保険料控除、寄附金控除など)
申告書作成の際に必要な書類は申告者によって異なるため、詳細は確定申告書等作成コーナーの「入力に必要な書類」を確認してください。
必要書類を準備したら、以下の手順に沿って青色申告を行います。
e-Taxでの青色申告申請手順
- e-Taxにログインして「確定申告を行う」を選択
- 確定申告書の提出方法を選択
- 必要事項を入力して申告書を作成
- 電子署名を付与して申告書を送信
1. e-Taxにログインして「確定申告を行う」を選択
e-Taxホームページよりログインをします。ログイン方法は以下から選択できます。
- マイナポータル経由
- マイナンバーカードを利用
- 利用者識別番号を入力
マイナンバーカードを使ってログインするのであれば、スマートフォンやICカードリーダーを用いて、カード情報を読み取ります。
ログイン後の画面で「確定申告を行う」を選ぶと、確定申告書等作成コーナーへ遷移します。
2. 確定申告書の作成開始を選んで税務署への提出方法を選ぶ
遷移した「確定申告書作成コーナー」上で、「申告書等を作成する」の「作成開始」を選択します。
次に、確定申告書の税務署への提出方法を選択します。
e-Taxでの確定申告に使用しているデバイスやソフトウェアのバージョンなどによって選択できる手続きが異なるため、指示に従って選択しましょう。
3. 申告書の作成と入力
次に、申告書作成に進みます。青色申告に必要な書類を作成するために、「作成する申告書類等の選択」で「決算書・収支内訳書(+所得税)」を選択します。
申告書の作成ページでは、事業所得、不動産所得などの収入金額や事業にかかる必要経費、各種控除項目の入力が求められます。ガイドに従って、必要事項を入力しましょう。
システム上で指定項目をすべて入力すると、納税額や還付金などが自動計算され、青色決算申告書等の書類が自動生成されます。作成した書類に修正点がなければ、申告書の作成は完了です。
4.電子署名を付与して申告書を送信
申告書が完成したら、マイナンバーカードとICカードリーダーまたはスマートフォンを使って電子署名を付与し、申告書をe-Tax経由で送信します。
申告書の送信が終了すると、確定申告書等作成コーナーのメッセージボックスに「所得税及び復興特別所得税申告」という手続き名のメッセージが届きます。メッセージをクリックし、「申告等内容」の記載内容に不備がないか最終チェックをしてから、手元に控えを保存しておきましょう。
まとめ
青色申告は確定申告の申告方法のひとつで、個人事業主などが税負担を軽減できる申告納税制度です。青色申告を利用する際は、事前に税務署への利用申請が求められます。
e-Taxはオンラインでの確定申告や納税ができるシステムで、青色申告も可能です。e-Taxで青色申告を行うことで、65万円の青色申告特別控除の要件のひとつを満たすことができます。
e-Taxを利用する際は、利用者識別番号や電子証明書の取得が必要です。申告期限に間に合うように、余裕をもって準備しましょう。
確定申告を簡単に終わらせる方法
確定申告には青色申告と白色申告の2種類があります。どちらを選択するにしても、期限までに正確な内容の書類を作成し申告しなければいけません。
確定申告書を作成する方法は手書きのほかにも、国税庁の「確定申告等作成コーナー」を利用するなどさまざまですが、会計知識がないと記入内容に悩む場面も出てくるでしょう。
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freee会計は取引内容や質問の回答をもとに確定申告書を自動で作成できます。自動作成した確定申告書に抜け漏れがないことを確認したら、税務署へ郵送もしくは電子申告などで提出して、納税をすれば確定申告は完了です。
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余裕をもって確定申告を迎えるためにも、ぜひfreee会計の利用をご検討ください。
よくある質問
e-Taxとは?
e-Taxは国税の電子申告・納税システムで、インターネットを通じて自宅から税金の申告や納税ができるオンラインサービスです。個人事業主の青色申告も、e-Taxから行うことができます。
詳しくは記事内、「e-Taxとは」をご覧ください。
e-Taxを利用するメリットは?
e-Taxは、場所を選ばずに確定申告などの申告や納税手続きを完了させることができます。そのほか、税務署の窓口や郵送で確定申告書を提出するよりも還付金が早く受け取れたり、青色申告者にとってはe-Taxからの青色申告により、65万円の青色申告特別控除の要件のひとつを満たせたりといったメリットがあります。
詳しくは記事内、「青色申告でe-Taxを利用するメリット」をご覧ください。
監修 安田 亮(やすだ りょう)
1987年香川県生まれ、2008年公認会計士試験合格。大手監査法人に勤務し、その後、東証一部上場企業に転職。連結決算・連結納税・税務調査対応などを経験し、2018年に神戸市中央区で独立開業。