監修 安田亮 公認会計士・税理士・1級FP技能士
個人事業主として飲食店を経営する場合、その年の事業所得が48万円を超えているのであれば確定申告をしなければなりません。確定申告は青色申告と白色申告の2つがありますが、飲食店経営者であれば、青色申告を行うことで大きな節税効果が期待できます。
本記事では、確定申告の仕組みや流れ、必要経費にできる支出のほか、確定申告で節税につながるポイントについても解説します。
目次
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飲食店経営者は所得額に応じて確定申告が必要
確定申告とは、1年間の所得に対する所得税を計算し、申告・納税する一連の手続きです。飲食店経営者が確定申告が必要かどうかの判断は、飲食店経営の仕方と年間所得額に応じて異なります。
本業として飲食店経営をしている個人事業主は、年間の所得が48万円を超えると確定申告が必要です。
これは、所得から48万円の基礎控除を差し引いた額が課税所得であり、所得が48万円以下であれば課税所得額が0となり、所得税が発生しないためです。
480,000円(所得) - 480,000円(基礎控除) = 0円(課税所得)
しかし、48万円を超えると課税所得額とともに所得税が発生するため、確定申告によって所得税の計算・申告を行う必要があります。
給与所得がある人(会社員など)が副業として飲食店を経営するのであれば、飲食店経営の年間所得が20万円を超えると確定申告が必要です。
出典:国税庁「手順2 収入金額等、所得金額を計算する」
出典:国税庁「所得税のしくみ」
出典:国税庁「確定申告が必要な方」
出典:国税庁「No.2665 年末調整の対象となる人」
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確定申告しないとどうなる?
必要であるにもかかわらず確定申告を行わなければ、本来納めるべき所得税とは別に、延滞税や加算税が課される可能性があります。
これらのペナルティが生じるだけではなく、確定申告をしないことで自身の事業の証明ができないケースがあります。個人事業主にとって、確定申告は自身の収入を証明する重要な手続き・書類です。たとえばローンを組むときや賃貸物件の契約にあたって、収入証明書類として「確定申告書の控え」の提出を求められるケースなどが該当します。
出典:国税庁「No.2024 確定申告を忘れたとき」
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飲食店経営者は節税効果の高い青色申告がおすすめ
確定申告は、青色申告と白色申告の2つの申告方法があります。
青色申告は原則として複式簿記で記帳し、その記帳に基づく確定申告が義務付けられており手間がかかるものの、青色申告特別控除をはじめとした税制上の優遇措置が受けられる申告方法です。対する白色申告は、簡易な方法による記帳(簡易(単式)簿記)が認められていますが、青色申告に比べて節税効果が少ない申告方法です。
青色申告の方が白色申告に比べて高い節税効果を得られますが、青色申告を行うためには、決められた期日までに税務署に「所得税の青色申告承認申請書」を提出しなければなりません。青色申告承認申請書の提出期限は以下のとおりです。
青色申告承認申請書の提出期限
- 原則として開業日から2ヶ月以内
- 1月1日から1月15日の間に開業した場合は、その年の3月15日まで
- 既に開業していて、これまで白色申告をしていたが青色申告に変更したいという人は、青色申告をする年の3月15日まで
出典:国税庁「所得税の青色申告承認申請書」
出典:国税庁「所得税の青色申告承認申請書」
出典:国税庁「はじめてみませんか︖青色申告」
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青色申告を選択するメリット
青色申告は、白色申告と比べて記帳方法が複雑ですが、その分、以下のような税制上の優遇措置が受けられます。
青色申告の優遇措置
- 最大65万円の特別控除が受けられる
- 家族への給与を経費にできる
- 赤字の繰り越し・繰り戻しができる
- 30万円未満の資産取得の際に一括で経費計上できる
青色申告の大きな特徴は、最大65万円の青色申告特別控除が受けられる点です。青色申告特別控除には10万円、55万円、65万円の控除額区分があり、それぞれの要件は以下のとおりです。
青色申告特別控除額 | |||
---|---|---|---|
65万円 | 55万円 | 10万円 | |
複式簿記 | ◯ | ◯ | × (簡易な記帳) |
貸借対照表と損益計算書の提出 | ◯ | ◯ | △ (損益計算書のみ) |
期限内の申告 | ◯ | ◯ | − |
e-Taxでの申告 または電子帳簿保存 | ◯ | − | − |
55万円の青色申告特別控除の要件に加えて、以下のいずれかを満たすことで、65万円の青色特別控除が受けられます。
電子帳簿保存にあたっては、優良な電子帳簿の条件を満たしている必要があります。「優良な電子帳簿」とは、電子帳簿を保存する要件に加えて、「訂正の履歴が残る」などの一定要件を満たした電子帳簿のことです。
55万円および65万円の要件を満たさない青色申告者は、10万円の青色申告特別控除を適用できます。10万円の青色申告特別控除は、単式簿記での記帳が可能です。
飲食店経営で赤字が出ていても、青色申告であれば損失額を3年間にわたって繰り越せます。各年分の所得から損失額を差し引けるため、税金の負担を軽減できます。
これらの踏まえると、飲食店経営では青色申告で確定申告をした方が、白色申告よりもメリットが大きいといえるでしょう。
出典:国税庁「No.2070 青色申告制度」
出典:国税庁「No.2072 青色申告特別控除」
飲食店経営の確定申告の流れ
確定申告をスムーズに行うためにも、飲食店経営者は日々の営業と並行して取引の記帳を行い、確定申告に向けて計画的に準備を進めなければなりません。確定申告は、以下の流れで行います。
飲食店経営者が確定申告を行う流れ
- 必要な書類や帳簿を用意する
- 所得税を計算して確定申告書を作成する
- 確定申告書を提出する
- 所得税を納付する
本記事では、青色申告を行うケースを例に、確定申告の進め方を解説します。
1. 必要な書類や帳簿を用意する
青色申告で確定申告を行うにあたっては、以下の書類が必要です。
確定申告で必要な書類の例
- マイナンバーカード
- 確定申告書
- 青色申告決算書
- 控除を受けるために必要な書類
マイナンバーカードを持っていない場合は、本人確認書類(運転免許証など)と個人番号確認書類(通知カードなど)を用意します。確定申告書は、国税庁のホームページでダウンロードするか、税務署や確定申告会場で入手できます。
青色申告決算書とは、その年の帳簿の内容を決算書の形式で記入した書類です。損益計算書1枚、損益の内訳の記入書2枚、貸借対照表1枚の計4枚で構成され、すべての青色申告者が確定申告時に提出します。
その他、生命保険料控除証明書や医療費控除明細書など、受ける控除の種類に応じた書類を用意しましょう。
以下の書類・帳簿は、提出は不要ですが、確定申告書や青色申告決算書を作成するために必要です。
区分 | 必要な帳簿・書類の例 |
---|---|
帳簿 | ・仕訳帳 ・総勘定元帳 ・現金出納帳 ・売掛帳 ・買掛帳 ・経費帳 ・固定資産台帳 |
決算関係書類 | ・損益計算書 ・貸借対照表 ・棚卸表 |
現金預金取引等関係書類 | ・領収証 ・小切手控 ・預金通帳 ・借用証 |
その他の書類 | ・請求書 ・見積書 ・契約書 ・納品書 ・送り状 |
上記の帳簿書類は所得税法に基づき、一定期間の保存が義務付けられています。帳簿や決算関係書類、現金預金取引等関係書類は原則7年間、その他の書類は5年間の保存が必要です。
出典:国税庁「〔令和5年分 所得税及び復興特別所得税の確定申告の手引き〕申告書に添付・提示する書類」」
出典:国税庁「帳簿の記帳のしかた」
2. 所得税を計算して確定申告書を作成する
次に、所得税額を計算し、確定申告書を作成します。
確定申告書に直接記入して作成する方法もありますが、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を利用すれば、システム上で金額を入力していくだけで確定申告書が作成できます。
所得税額は、所得金額から所得控除を差し引いて課税所得金額を求め、所得税率を乗じて算出します。全体の流れは下図のとおりです。
本記事では、以下のケースを例として所得税を算出します。
- 飲食店経営による年間収入:1,000万円
- 事業の年間必要経費:600万円
- 青色申告特別控除:65万円
- 基礎控除:48万円
- 生命保険料控除:10万円
出典:国税庁「所得税のしくみ」
出典:国税庁「インターネットを利用して申告や納税などの手続をしたいとき」
出典:国税庁「確定申告書等の様式・手引き等(令和5年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告分)」
①所得金額を求める
年間の「所得」とは年間収入(飲食店の売上)から必要経費を差し引いた金額のことで、所得税法によって10種類に区分されます。飲食店経営で得た収入はその区分のうち「事業所得」に該当します。
青色申告特別控除を受ける人は、必要経費に加えて青色申告特別控除額を差し引くことで所得額を算出できます。
所得額 = 総収入額 ー 必要経費 ー 青色申告特別控除額
今回のケースの所得金額は、次のように算出できます。
10,000,000 - 6,000,000 - 650,000 = 3,350,000(円)
ただし、飲食店で収入を得るための活動が社会通念上「事業」とみなされる程度でなければ、飲食店経営であってもその所得が「雑所得」に該当することもあります。雑所得の場合、青色申告は受けられず白色申告の対象となる点に注意しましょう。
出典:国税庁「No.2072 青色申告特別控除」
出典:国税庁「No.1350 事業所得の課税のしくみ(事業所得)」
出典:国税庁「No.1500 雑所得」
②課税所得金額を求める
次に、所得から所得控除を差し引いて課税所得金額を求めます。
課税所得額 = 所得額 - 所得控除
所得控除は、納税者の事情に応じて適切に所得税が計算されるように配慮した制度で、以下の15種類に区分されます。
所得控除 | 対象者 |
---|---|
基礎控除 | すべての納税者(合計所得金額が2,500万円超の人を除く) |
扶養控除 | 控除対象扶養親族がいる人 |
配偶者控除 | 一定の要件(合計所得金額48万円以下など)を満たす配偶者がいる人 |
配偶者特別控除 | 一定の要件(合計所得金額48万円超133万円以下など)を満たす配偶者がいる人 |
勤労学生控除 | 勤労による所得があるなどの要件を満たす学生 |
ひとり親控除 | 婚姻をしていない、または配偶者の生死が明らかでないひとり親で、一定の要件を満たす人 |
寡婦控除 | 夫と離婚または死別した後婚姻をしていない人、または夫の生死が明らかでない一定の人 |
障害者控除 | 納税者自身、同一生計配偶者または扶養親族が所得税法上の障害者に当てはまる人 |
社会保険料控除 | 自身または同一生計配偶者・その他の親族の社会保険料を支払った人 |
生命保険料控除 | 生命保険料、介護医療保険料、個人年金保険料を支払った人 |
地震保険料控除 | 地震保険契約または長期損害保険契約の地震損害部分の保険料・掛金を支払った人 |
小規模企業共済等掛金控除 | 小規模企業共済法上の共済契約に基づく掛金(iDeCoの掛金など)を支払った人 |
医療費控除 | 自身または同一生計配偶者・その他の親族のために医療費を支払った人 |
寄附金控除 | 国や地方公共団体、特定公益増進法人などに一定の寄附金を支払った人 |
雑損控除 | 災害、盗難、横領による損害を受けた人 |
たとえば、基礎控除はすべての納税者に適用される所得控除で、最大48万円を所得から差し引ける制度です。ただし合計所得金額が2,500万円超の場合は、基礎控除の対象外となります。
また、保険料を支払った人は生命保険料控除、その年の医療費が10万円(その年の総所得金額等が200万円未満の人は、総所得金額等の5%の金額)を超えた人は医療費控除が受けられる可能性があります。控除を受けるためには生命保険料控除証明書や医療費の領収書が必要となるため、準備しておきましょう。
今回のケースでは、所得金額から基礎控除48万円、生命保険料控除10万円を差し引けるため、課税所得金額は277万円と算出できます。
3,350,000 - 480,000 - 100,000 = 2,770,000(円)
③所得税額を求める
②で算出した課税所得金額に税率をかけて、所得税額を求めます。所得税率は、課税所得金額に応じて5%~45%です。次の速算表を用いて算出しましょう。
所得税額 = 課税所得額 ×(A)ー (B)
所得税率の速算表
課税対象の所得金額 | 税率 | 控除額 |
1,000円〜1,949,000円 | 5% | 0円 |
1,950,000円〜3,299,000円 | 10% | 97,500円 |
3,300,000円〜6,949,000円 | 20% | 427,500円 |
6,950,000円〜8,999,000円 | 23% | 636,000円 |
9,000,000円〜17,999,000円 | 33% | 1,536,000円 |
18,000,000円〜39,999,000円 | 40% | 2,796,000円 |
40,000,000円以上 | 45% | 4,796,000円 |
今回のケースでは、次のように算出できます。
2,770,000 × 0.1 - 97,500 = 179,500(円)
④基準所得税額を求める
算出した所得税額から税額控除額を差し引き、基準所得税額を算出します。
基準所得税額 = 所得税額 - 税額控除額
税額控除とは、所得税額から直接控除額を差し引ける制度で、住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)や配当控除などが該当します。
出典:国税庁「所得税のしくみ」
出典:国税庁「No.1200 税額控除」
⑤申告納税額を求める
最後に、申告納税額を算出しましょう。2037年までは、基準所得税額に復興特別所得税額(基準所得税額×2.1%)をあわせて納めます。
申告納税額 = 基準所得税額 + 復興特別所得税額 ー 源泉徴収税額など
今回のケースでは、所得税額から差し引かれる金額がないため、基準所得税額は③で算出した17万9,500円です。復興特別所得税額をあわせた申告納税額は、以下の計算式より18万2,759円と算出できます。
179,000 + 3,759 = 182,759(円)
3. 確定申告書を提出する
作成した確定申告書は、期限までに所轄の税務署に提出します。
提出期間 | 2月16日~3月15日(土・日曜、祝日の場合は翌平日) ※2024年分の提出期間は2025年2月17日(月)~3月17日(月) |
---|---|
提出方法 | ・e-Tax(電子申告) ・税務署へ郵送 ・税務署の窓口へ持参 |
「確定申告書等作成コーナー」で確定申告書を作成した場合は、そのままe-Taxで提出できます。
なお、65万円の青色申告特別控除の適用を受けられるのは、e-Taxによる電子申告または電子帳簿保存を利用した場合に限られます。青色申告特別控除の控除額による要件は、記事内「青色申告を選択するメリット」で解説しています。
出典:国税庁「申告書の提出方法」
出典:国税庁「No.2072 青色申告特別控除」
4. 所得税を納付する
申告した所得税額に基づき、納付期限までに所得税を納付します。2024年分の所得税の納付期限は、2025年3月17日(月)です。
所得税の納付方法は以下のとおりです。
所得税の納付方法
- 振替納税
- ダイレクト納付(e-Taxによる口座振替)
- インターネットバンキングやATMによる納付
- クレジットカード納付
- スマートフォンアプリ納付
- コンビニ納付
- 窓口納付
納付方法によっては納付税額に応じた決済手数料がかかることがあるため、事前に確認しましょう。
キャッシュレス決済サービスによっては、所得税の納付額に応じてポイント還元を受けられるものもあります。
出典:国税庁「【税金の納付】」
出典:国税庁「G-2-4 クレジットカード納付の手続」
飲食店経営で必要経費に計上できる主な費用
確定申告の計算に用いる年間所得額は、飲食店の年間売上(収入)から必要経費を差し引いて求めます。
必要経費にできるのは、事業で売上を得るために直接要した費用です。以下は、飲食店経営で経費に計上できる主な費用です。
勘定科目 | 費用の例 |
---|---|
仕入高 | 原材料や商品を仕入れたときの費用 |
給与(給料賃金) | 従業員の給料や退職金、食費、現物給与(被服など) |
租税公課 | 印紙代や事業用物件の固定資産税、会費、組合費、賦課金 |
荷造運賃 | 商品の包装材料費や荷造りのための運賃 |
水道光熱費 | 水道・電気・ガス代 |
広告宣伝費 | 新聞や雑誌などの広告、チラシ、ショーウインドウの陳列装飾のための費用 |
通信費 | 飲食店で使用している電話料金、切手代 |
接待交際費 | 取引先を接待する飲食代や中元・歳暮の費用 |
損害保険料 | 飲食店の火災保険料や業務用自動車の損害保険料 |
修繕費 | 店舗や自動車、器具備品などの修理代 |
消耗品費 | 飲食店で使う文房具や包装紙・袋、割り箸、おしぼりなどの費用(10万円未満または使用可能期間が1年未満) |
減価償却費 | 建物や建物附属設備、器具備品、車両などの償却費 |
外注工賃 | 修理・加工を外注した場合の工賃 |
福利厚生費 | 従業員の慰安、医療、衛生、保健のための費用や従業員の保険料・掛金の事業主負担分 |
利子割引料 | 事業資金の借入金の利子、受取手形の割引料 |
地代家賃 | 店舗、工場、倉庫を借りている場合の家賃 |
支払報酬料 | 税理士や弁護士、公認会計士への報酬や料金 |
出典:国税庁「No.1500 雑所得」
出典:国税庁「No.2210 必要経費の知識」
出典:国税庁 確定申告書等作成コーナー「必要経費」
飲食店経営で確定申告する際のポイント
確定申告に関する正しい知識を身に付けていないと、プライベートの支出を必要経費に計上してしまったり、売上の申告漏れが起きてしまったりする可能性があります。
飲食店経営者は、特に次のポイントを押さえておきましょう。
飲食店経営で確定申告する際のポイント
- 自宅兼店舗の家賃は家事按分する
- まかないは福利厚生費に計上できる場合がある
- 自家消費した分は売上に計上する
- 確定申告しない場合は住民税の申告を行う
自宅兼店舗の家賃は家事按分する
自宅の一部を飲食店の店舗として利用しているのであれば、家賃や光熱費は家事按分を行い事業分の費用のみ計上します。家事按分とは、家賃や光熱費の事業使用分の割合を算出し、その分を経費に計上することです。
たとえば、1階(50㎡)を店舗、2階(50㎡)を自宅として利用しており、30万円の家賃を払っていれば、事業使用割合は50%であるため、15万円を毎月の経費に計上できます。
300,000 × 0.5 = 150,000(円)
まかないは福利厚生費に計上できる場合がある
従業員へのまかないは、以下2つの条件を満たせば福利厚生費として計上できます。
たとえば、1食あたりの材料費が400円(うち従業員の負担が200円)のまかないを月に15回支給している場合、店舗が従業員に支給する食事代は3,000円となるため、福利厚生費への計上が可能です。
200 × 15 = 3,000(円)
上記の条件を満たさなければ、店舗負担分が従業員の給与として課税されます。
出典:国税庁「No.2594 食事を支給したとき」
自家消費した分は売上に計上する
自家消費とは、事業用の商品や食材を自分や家族のために消費することです。飲食店では、店舗のために仕入れた食材を自分の夕食の材料にしたり、店舗で売っている商品を店内で家族に食べさせたりするケースが自家消費に該当します。
自家消費した際は、「仕入価格」または「販売価格の70%」のいずれか高いほうの金額を売上として計上しなければなりません。ただし、正確な販売価格が分からなければ仕入からの控除も可能です。
出典:国税庁 確定申告書等作成コーナー「家事消費などの収入金額」
確定申告しない場合は住民税の申告を行う
確定申告を行うと、その内容が自治体に連携され住民税の計算が行われるため、住民税に関する計算や申告の必要がありません。
しかし、年間の飲食店事業の所得が48万円以下など、確定申告の義務がなく行わない場合は、別途、住民税の申告が必要です。
出典:東久留米市「確定申告と住民税申告の違いについて知りたいです。確定申告をしたら住民税の申告もする必要がありますか。」
まとめ
本業として飲食店経営をしている個人事業主は、年間の所得が48万円を超えると確定申告が必要です。副業であれば、飲食店経営による年間所得が20万円を超えると確定申告をしなければなりません。
確定申告の方法には青色申告と白色申告があります。青色申告には、青色申告特別控除など高い節税効果を得られますが、複式簿記での記帳が必要です。
期限内に確定申告を行わなければ、延滞税や加算税が課される可能性があります。日々の営業に追われて「申告期限に間に合わない」「確定申告を忘れていた」ということが起きないように、計画的に準備しましょう。
確定申告を簡単に終わらせる方法
確定申告には青色申告と白色申告の2種類があります。どちらを選択するにしても、期限までに正確な内容の書類を作成し申告しなければいけません。
確定申告書を作成する方法は手書きのほかにも、国税庁の「確定申告等作成コーナー」を利用するなどさまざまですが、会計知識がないと記入内容に悩む場面も出てくるでしょう。
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3.〇✕形式の質問に答えると、各種控除や所得税の金額を自動で算出できる!
各種保険やふるさと納税、住宅ローンなどを利用している場合は控除の対象となり、確定申告することで節税につながる場合があります。控除の種類によって控除額や計算方法、条件は異なるため、事前に調べなければなりません。
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よくある質問
飲食店経営で確定申告は必要?
本業として飲食店経営をしている個人事業主は、年間の所得が48万円を超えると確定申告が必要です。副業であれば、飲食店経営による年間所得が20万円を超えると確定申告をしなければなりません。
詳しくは、「飲食店経営者は所得額に応じて確定申告が必要」をご覧ください。
飲食店で必要経費に計上できる費用は?
必要経費に計上できるのは、売上を得るために直接かかった費用です。飲食店では、原材料や商品を仕入れたときの費用、従業員の給与、店舗の家賃などが挙げられます。
詳しくは、「飲食店経営で必要経費に計上できる主な費用」をご覧ください。
監修 安田亮(やすだ りょう) 公認会計士・税理士・1級FP技能士
1987年香川県生まれ、2008年公認会計士試験合格。大手監査法人に勤務し、その後、東証一部上場企業に転職。連結決算・連結納税・税務調査対応などを経験し、2018年に神戸市中央区で独立開業。