確定申告の基礎知識

青色申告と白色申告の6つの違いを解説!それぞれのメリットとデメリットも紹介

監修 安田亮 安田亮公認会計士・税理士事務所

青色申告と白色申告の6つの違いを解説!それぞれのメリットとデメリットも紹介

確定申告の方法は、青色申告と白色申告の2種類があります。それぞれ必要となる書類が異なり、事前の承認手続きや節税効果、記帳方法なども違います。

青色申告は青色申告特別控除など節税効果が高い一方で、申請書の提出や複式簿記での記帳が求められるため、白色申告に比べて申告手続きが複雑です。白色申告は申告手続きが容易である反面、青色申告で認められる特典が受けられません。

本記事では、青色申告と白色申告の違いや、それぞれのメリットとデメリットを詳しく解説します。

目次

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青色申告と白色申告の6つの違い

個人事業主の確定申告の方法には、青色申告と白色申告があります。青色申告と白色申告のどちらを選択して申告するかは、申告する人の自由です。

青色申告と白色申告の最も大きな違いは、その節税効果の高さです。青色申告は最大65万円の青色申告特別控除が受けられるのに対し、白色申告にはこのような控除がありません。そのほかにも、青色申告のみに認められる税制上の優遇措置がいくつかあります。

ただし、青色申告は節税効果が高い分、記帳方法が煩雑であったり、確定申告時の書類が多かったりと白色申告よりも申告の手間が大きくかかります。

下記の表で、青色申告と白色申告の代表的な違いをまとめました。


青色申告
(65万円控除または55万円控除)
青色申告
(10万円控除)
白色申告
税制要件を満たし、青色申告の承認を得た場合に税制上の優遇措置を受けることができる申告納税制度青色申告の承認を受けていない人が行う申告納税制度
条件
(申請の有無)
その年の3月15日まで(その年の1月16日以降に開業したときは開業後2ヶ月以内)に「青色申告承認申請書」を所轄の税務署に提出なし
提出書類・確定申告書B
・青色申告決算書

・貸借対照表と損益計算書
・第三表
(分離課税用、事業所得に加え譲渡所得がある場合)
・第四表
(損失申告用、赤字で青色申告する場合)
・確定申告書B
・青色申告決算書
・損益計算書
・第三表
(分離課税用、事業所得に加え譲渡所得がある場合)
・第四表
(損失申告用、赤字で青色申告する場合)
・確定申告書B
・収支内訳書
・第三表
(分離課税用、事業所得に加え譲渡所得がある場合)
保存帳簿・総勘定元帳
・仕訳帳
・現金出納帳
・売掛帳
・買掛帳
・固定資産台帳
・現金出納帳
・売掛帳
・買掛帳
・固定資産台帳
・経費帳
・法定帳簿
・任意帳簿
保存書類決算に関して作成した棚卸表
記帳方法複式簿記簡易簿記(単式簿記)簡易簿記(単式簿記)
不動産所得要件アパートは10室以上
貸家は5棟以上
マンション一室からなし
青色申告特別控除を受けるための要件ありなしなし
メリット・青色申告特別控除(65万円または55万円)
・青色事業専従者給与
・赤字3年間繰越
・減価償却資産(30万円未満)は一括経費
・貸倒引当金の経費計上
・青色申告特別控除(10万円)
・青色事業専従者給与
・赤字3年間繰越
・減価償却資産(30万円未満)は一括経費
・貸倒引当金の経費計上
・申告手続きが簡単
出典:国税庁「No.2070 青色申告制度」
出典:国税庁「個人で事業を行っている方の記帳・帳簿等の保存について」

上記の表も含め、青色申告と白色申告には、以下の6つの違いがあります。それぞれ得られる節税効果が異なるため、比較検討して適切な申告方法を選びましょう。

①税制上の優遇措置の違い

青色申告と白色申告では、税制上の優遇措置に違いがあります。白色申告では税制上の優遇措置はありませんが、青色申告であれば、最大で65万円の青色申告特別控除を受けることができます。

ただし、青色申告の65万円控除を受けるためには、55万円控除の要件(貸借対照表などの作成や複式簿記での記帳など)を満たした上で、e-Taxによる申告(電子申告)または電子帳簿保存が必要です。

出典:国税庁「No.2070 青色申告制度」

②申請の有無

青色申告をするためには、その年の3月15日までに「青色申告承認申請書」を所轄の税務署に提出する必要があります。その年の1月16日以降に開業したときは、開業後2ヶ月以内が提出期限です。申請書の詳しい書き方や提出期限は、後述の「青色申告の申請手続き」をご参照ください。

一方、白色申告をするために必要な申請は特にありません。青色申告承認申請書を出さなければ、自動的に白色申告になります。

③提出書類・保存帳簿・保存書類の違い

青色申告か白色申告のどちらで申告をするかで、確定申告をするために必要な書類や受けられる控除の内容、保存義務のある帳簿・書類が異なります。


青色申告
(65万円控除または55万円控除)
青色申告
(10万円控除)
白色申告
提出書類・確定申告書B
・青色申告決算書
・貸借対照表と損益計算書
・第三表
(分離課税用、事業所得に加え譲渡所得がある場合)
・第四表
(損失申告用、赤字で青色申告する場合)
・確定申告書B
・青色申告決算書
(損益計算書)
・第三表
(分離課税用、事業所得に加え譲渡所得がある場合)
・第四表
(損失申告用、赤字で青色申告する場合)
・確定申告書B
・収支内訳書
・第三表
(分離課税用、事業所得に加え譲渡所得がある場合)
保存帳簿・総勘定元帳
・仕訳帳
・現金出納帳
・売掛帳
・買掛帳
・固定資産台帳
・現金出納帳
・売掛帳
・買掛帳
・固定資産台帳
・経費帳
・法定帳簿
・任意帳簿
保存書類・決算に関して作成した棚卸表
そのほかの書類・業務に関して作成し、または受領した請求書、納品書、送り状、領収書などの書類

上記の書類に加えて、確定申告時には各種控除に関する書類などを添付する必要があります。各種控除で必要な書類は、青色申告や白色申告といった申告の種類による違いはありません。ただし、個人によって必要な提出書類は異なります。


項目添付または提示すべき書類
マイナンバーカードがある場合マイナンバーカードの写し(表面および裏面の写し)
マイナンバーカードがない場合・番号確認書類の写し
(通知カード・住民票の写し・住民票記載事項証明書のいずれか)
・身元確認書類
(運転免許証やパスポートなど、記載したマイナンバーの持ち主であることを確認できる書類)
医療費控除・医療費控除の明細書・医療費通知(医療費のお知らせ)の原本
※医療費通知を添付し、明細の記載を省略する場合・各種証明書(おむつ証明書など)
セルフメディケーション税制による医療費控除の特例・セルフメディケーション税制の明細書
・適用を受ける年分において一定の取り組みを行ったことを明らかにする書類
社会保険料控除社会保険料(国民年金保険料)控除証明書
小規模企業共済等掛金控除支払った掛金額の証明書
生命保険料控除支払額などの証明書
地震保険料控除支払額などの証明書
寄附金控除・寄附した団体などから交付を受けた寄附金の受領証
・特定の公益法人や学校法人などに対する寄附や、一定の特定公益信託の信託財産とするための支出については、その法人や信託が適格であることなどの証明書または認定証の写し
・政治献金については、選挙管理委員会等の確認印のある寄附金(税額)控除のための書類
勤労学生控除学校や法人から交付を受けた証明書
雑損控除災害等に関連してやむを得ない支出をした金額についての領収書
住宅ローン控除・住宅借入金等特別控除額の計算明細書
・住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書(原本)書
・住宅の登記事項証明書(原本)
・そのほか必要書類
政党等寄附金特別控除・政党等寄附金特別控除額の計算明細書等
・選挙管理委員会等の確認印のある「寄附金(税額) 控除のための書類」

④記帳方法の違い

青色申告は複式簿記、白色申告は簡易簿記(単式簿記)を行います。ただし、青色申告のうち10万円の青色申告特別控除を受けるのであれば、簡易簿記での記帳で問題ありません。

青色申告で65万円控除または55万円控除を受ける場合、主要簿として「仕訳帳」と「総勘定元帳」を必ず複式簿記形式で作成します。また、補助的な役割を担うものとして、事業内容や取引方法により「売掛帳」や「買掛帳」を作成しなければなりません。


青色申告
(65万円控除または55万円控除)
青色申告
(10万円控除)
白色申告
複式簿記簡易簿記(単式簿記)簡易簿記(単式簿記)

複式簿記は、ひとつの取引について2つの記録をする方法です。たとえば、3万円の商品を現金で売り上げたときは、借方に現金の勘定科目で3万円、貸方に売上の勘定科目で3万円を記載します。


日付借方貸方摘要
令和6年○○月××日現金 30,000円売上 30,000円〇〇商店への売上

複式簿記は、取引の原因(3万円の売上)と結果(3万円の現金の増加)の2つの側面から、取引を記録できます。

簡易簿記(単式簿記)は、ひとつの取引についてひとつの記録をする方法です。上記の例では、以下のように記載します。


日付勘定科目金額摘要
令和6年○○月××日売上30,000円〇〇商店への売上

⑤不動産所得に関わる控除の違い

青色申告と白色申告では、不動産所得に関わる控除が異なります。青色申告は要件を満たすと最大65万円の控除が受けられますが、白色申告では控除が受けられません。

なお、青色申告で65万円または55万円の控除を受けるためには、不動産貸付が事業的規模である必要があります。アパートは10室以上、貸家は5棟以上の規模であることが条件です。

青色申告で10万円の特別控除を受けるのであれば、マンション一室でも認められます。


青色申告
(65万円控除または55万円控除)
青色申告
(10万円控除)
白色申告
アパートは10室以上
貸家は5棟以上
マンション一室からなし

⑥節税効果の違い

青色申告と白色申告では、特別控除の有無や経費として認められる範囲が異なるため、節税効果に大きな違いがあります。

青色申告では、青色申告特別控除のほか、赤字の3年間繰越しを始めとした制度上の特典が設けられています。白色申告では、青色申告で認められる特典を受けられません。

青色申告と白色申告の節税効果の違いは以下のとおりです。


青色申告
(65万円控除または55万円控除)
青色申告
(10万円控除)
白色申告
・青色申告特別控除65万円または55万円
・青色事業専従者給与
・赤字3年間繰越
・減価償却資産(30万円未満)は一括経費
・貸倒引当金の経費計上
・青色申告特別控除10万円
・青色事業専従者給与
・赤字3年間繰越
・減価償却資産(30万円未満)は一括経費
・貸倒引当金の経費計上
・税制上の優遇措置はない

青色申告のメリット・デメリット

青色申告は、青色申告特別控除を受けられるほか、家族への給与を経費にできるなど、さまざまなメリットがあります。一方で、申請書の提出や複式簿記での記帳など、事務負担が多いというデメリットがあります。

メリット1. 青色申告特別控除が受けられる

青色申告のメリットは、65万円、55万円、10万円いずれかの青色申告特別控除が受けられることです。

控除額によって要件は異なり、65万円の特別控除を受けるには、複式簿記での記帳や貸借対照表と損益計算書の作成などの55万円控除の要件を満たしたうえで、優良な電子帳簿の保存またはe-Taxでの確定申告のいずれかを行うといった追加要件を満たす必要があります。

10万円の特別控除は、複式簿記ではなく簡易簿記(単式簿記)でよいなど適用要件を満たしやすいといえます。


適用条件青色申告特別控除額
65万円55万円10万円
複式簿記×
(簡易な記帳)
貸借対照表と損益計算書の提出
(損益計算書のみ)
期限内の申告
e-Taxでの申告
または電子帳簿保存

【関連記事】
青色申告特別控除とは?控除を受ける条件と節税効果についてわかりやすく解説

メリット2. 家族への給与を全額必要経費にできる(青色事業専従者給与)

青色事業専従者給与とは、生計を同一にする家族など、一定の要件を満たす人へ支払う給与です。青色申告では、妥当性のある金額であれば上限設定は設けられていません。

白色申告にも事業専従者控除の制度がありますが、控除額は、配偶者へ支払った分は86万円、そのほかの親族へ支払った分は50万円までと金額に上限が定められています。

ただし、青色申告で専従者給与を控除する場合には、その年の3月15日までに、税務署へ「青色事業専従者給与に関する届出書」の提出が必要です。その年の1月16日以降に専従者給与が発生したときは、専従者が追加されてから2ヶ月以内に提出しなければなりません。

また、青色事業専従者給与の控除が受けられるのは、青色事業専従者として以下の条件をすべて満たした人への給与支払い分のみです。

青色事業専従者の要件

  • 青色申告者と生計を一にする配偶者またはそのほかの親族
  • その年の12月31日現在で年齢が15歳以上
  • その年を通じて6ヶ月間を超える期間、事業に専従している

出典:国税庁「N0.2075 青色事業専従者給与と事業専従者控除」

事業を手伝ってくれる家族であっても、ほかで安定収入があるなど上記条件のいずれかに満たなければ、青色事業専従者として認められません。

ただし、相応の理由があるときは、3つ目の条件を満たしていなくても青色事業専従者として認められます。たとえば、「年度の途中で退職したあとに専従者として働き、専従期間が6ヶ月未満」のようなケースが該当します。

出典:国税庁「年の中途で事業に従事した親族に係る青色事業専従者給与」

メリット3. 赤字を3年間繰り越せる

青色申告では、赤字を3年間繰り越すことが可能です。赤字の繰り越しができると、翌年以降に事業で黒字が出た際に、黒字の金額から対象となる年の赤字の金額を差し引くことができます。

純損失の繰越と繰戻


たとえば、1年目に100万円の赤字、2年目に100万円の赤字、3年目に200万円の黒字の場合、3年目の事業所得をゼロとすることが可能です。

メリット4. 減価償却資産(30万円未満)は一括経費

パソコンや自動車など事業に用いる資産を購入したとき、一括で経費にできるのは10万円以下の資産に限られており、10万円を超える資産購入は、通常、耐用年数に応じた期間で経費化します。

しかし、青色申告であれば、「少額減価償却資産の特例」を受けることができます。これにより、2026年3月31日までに購入した資産であれば、30万円未満のものまで一括で経費にすることが可能です。

出典:中小企業庁「少額減価償却資産の特例」

【関連記事】
減価償却とは?確定申告前に知っておくべき減価償却資産の計算方法について解説

メリット5. 貸倒引当金を経費として計上できる

貸倒引当金とは、売掛金や貸付金などが将来的に回収不能になるリスクに備える引当金です。

青色申告では、その年の12月31日時点に残っていた売掛金や貸付金のうち、一定額を貸倒引当金として経費計上できます。計上できる金額は、帳簿価額の合計額の5.5%以下(金融業の場合は3.3%以下)です。

白色申告でも貸倒引当金の計上は可能ですが、個別評価金銭債権(不良債権)しか計上できません。一括評価金銭債権(不良債権以外の一般売掛債権等)の計上は、青色申告のみ認められているメリットです。

出典:国税庁「No.2070 青色申告制度」

デメリット1. 申請書の提出

青色申告をするためには、その年の3月15日までに「青色申告承認申請書」を所轄の税務署に提出しなければなりません。その年の1月16日以降に開業した場合は、開業から2ヶ月以内の提出が必要です。

い場合は、2024年3月15日までに青色申告承認申請書の提出をしなければなりません。

申請書の詳しい書き方や提出期限は、後述の「青色申告の申請手続き」をご参照ください。

出典:「A1-8 所得税の青色申告承認申請手続」

デメリット2. 複式簿記での記帳

青色申告で65万円または55万円の特別控除を受けるためには、簡易簿記(単式簿記)に比べてやや作成が複雑になる「複式簿記」で記帳する必要があります。

Excelなどの表計算ソフトを用いて手動で複式簿記をつけるためには、簿記や経理の専門的な知識が必要です。会計ソフトを使えば、日々の取引記録をつけていくだけで仕訳帳や総勘定元帳を自動で生成できるため、専門知識のない人でも簡単に記帳ができます。

複式簿記での記帳について詳しく知りたい方は、別記事「複式簿記とは?複式簿記の記帳方法や単式簿記との違いをわかりやすく解説」をご覧ください。

白色申告のメリット・デメリット

白色申告は、青色申告と比較すると準備や手続きが比較的簡単である点がメリットです。ただし、節税効果の高い青色申告特別控除などの特典は受けられません。

メリット1. 記帳が簡単で、申告手続きがシンプル

白色申告も帳簿づけが義務付けられていますが、簡易簿記(単式簿記)で済むため比較的簡単です。確定申告も、収支内訳書に売上や経費などを記入するだけで済みます。

しかし、白色申告も2014年から帳簿付けと書類の保存が義務付けられました。記帳方法と書類の保存については、青色申告で10万円の特別控除を受けるための要件と同様だといえます。

青色申告承認申請書を提出しておくことで、簡易簿記(単式簿記)で済む青色申告の10万円の特別控除を目指すことも選択肢です。

メリット2. 白色申告するための事前手続きが不要

青色申告で確定申告をしたい場合は、開業した年の3月15日まで、もしくは開業から2ヶ月以内に青色申告承認申請書の提出をしなければなりません。そのため、時期によってはその年の確定申告で青色申告を利用することができず、翌年からの適用となります。

しかし、白色申告の場合は、青色申告のように事前に所轄の税務署への申請手続きを行う必要はありません。

デメリット1. 特別控除を受けることができない

白色申告では、青色申告のような特別控除はありません。

白色申告にも事業専従者控除の制度などがありますが、配偶者へ支払った分は86万円、そのほかの親族へ支払った分は50万円までと控除額に上限があるなど、青色申告に比べて節税効果は低いといえるでしょう。

デメリット2. 赤字の繰り越しができない

白色申告では青色申告のように、赤字の繰り越しはできません。赤字の年度が続いて黒字に転換できたときや、赤字と黒字を繰り返しているときなどには、青色申告に比べて税負担が重くなります。

【関連記事】
白色申告とは?必要書類や書き方、提出方法について解説

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青色申告の申請手続き

青色申告をするためには、その年の3月15日までに「青色申告承認申請書」を所轄の税務署に提出します。その年の1月16日以降に事業を開始した場合には、事業開始から2ヶ月以内の提出が必要です。

青色申告承認申請書とは

青色申告承認申請書の正式名称は「所得税の青色申告承認申請書」といい、青色申告をする場合は提出しなければなりません。提出しなかった場合は、自動的にその年の確定申告は白色申告で行うこととなります。

青色申告承認申請書は国税庁の「所得税の青色申告承認申請手続」からダウンロードできます。

必要事項を記入の上、納税地を所轄する税務署に郵送もしくは持参しましょう。税務署の住所は「税務署の所在地などを知りたい方」から検索可能です。

なお、提出期限が土・日曜、祝日の場合は、翌日が提出期限となります。

青色申告承認申請書の書き方と記入例

青色申告承認申請書は、提出用と控え用の2枚を提出します。以下で各項目の記入例を確認し、適切に作成しましょう。

青色申告承認申請書の書き方と記入例


出典:国税庁「所得税の青色申告承認申請書」

① 青色申告承認申請書を提出する所轄の税務署名と提出日

所轄の税務署名を記入する項目です。どこの税務署に提出すればよいかわからない場合は、国税庁の「税務署の所在地などを知りたい方」から検索できます。

提出日の項目には、青色申告承認申請書を税務署に提出した日付を記入します。誤って開業日を記入しないように注意しましょう。

②これから開業する事業と事業主の基本情報

自宅を納税地とする場合は「住所地」にチェックをします。

「居所地」とは継続して生活している場所です。たとえば、海外を本拠地としている人が、一時帰国し日本での活動の拠点としている場所などが該当します。オフィスをお持ちでオフィスの住所を納税地とする場合は「事業所」にチェックを入れ、住所を記入しましょう。

事業主の名前、生年月日、職業、屋号を書いて印鑑を押します。電話番号は携帯番号でも問題ありません。

③ 青色申告を開始したい年度

確定申告で青色申告の選択を開始する年度を記入します。2025年分(令和7年分)から青色申告を開始するときは、「7」を記入しましょう。提出期限の詳細は、後述する「青色申告承認申請書の提出期限」をご確認ください。

④ 事業または所得の基因となる資産の名称及びその所在地

事業所や資産が複数ある場合、その名称(〇〇支店・〇〇営業所など)・所在地・電話番号を記入します。全て記入する必要があるので、記入欄が足りない場合は別途用紙に記入し添付しましょう。

不動産所得や山林所得がある人は、所有している物件名・山林名の所在地をすべて記入します。

⑤ 所得の種類

個人事業の所得区分は事業所得です。事業所得のほかに不動産所得や山林所得がない場合には、事業所得のみにチェックをつけましょう。

⑥ 今までに青色申告承認の取消しを受けたか取りやめをしたことの有無

過去に青色申告承認の取消しを受けた、取りやめをしたことがある場合はチェックをつけて年月日を記入します。特にない場合は「無」にチェックをしましょう。

⑦ 本年1月16日以後新たに業務を開始した場合その開始した年月日

青色申告承認申請書を提出する年の1月16日以降に個人事業を新規開業する場合は、開業日を記入します。すでに開業している場合は、空欄で問題ありません。

⑧ 相続による事業承継の有無

相続などで事業継承した場合は、相続開始年月日と被相続人の名前を記入します。特にない場合は「無」にチェックをします。

⑨ その他参考事項(1)

青色申告で65万円控除または55万円控除を受けたい場合「複式簿記」に、10万円控除の場合は「簡易簿記」にチェックを入れます。

⑩ その他参考事項(2)

65万円控除または55万円控除を受けるには、現金出納帳・売掛帳・買掛帳・経費帳・固定資産台帳・預金出納帳・総勘定元帳・仕訳帳にチェックを入れます。10万円控除の場合は、現金出納帳にチェックを入れましょう。

⑪ その他参考事項(3)

特記事項がある場合に記入します。

⑫ 関与税理士

確定申告の代行をお願いする税理士がいる場合は、名前と連絡先を記入します。

記入例などを見ずにすぐに届出を作成したい方は、freee開業がおすすめです。細かい書き方を知らなくても簡単に作成できます。

青色申告承認申請書の提出期限

青色申告承認申請書の提出期限


青色申告承認申請書には提出期限があります。新規開業した場合と、開業後1年以上経って青色申告に切り替えたい場合とで期限が異なります。

新規開業した場合の提出期限

1月16日以降に新たに開業した場合、開業後2ヶ月以内に青色申告承認申請書を提出する必要があります。1月1日から1月15日の間に開業した場合は、その年の3月15日までが提出期限です。

なお、開業時には、他にも従業員がいる場合や消費税の納税に関して提出する届出がありますが、freee開業を使えば、無料で作成することができます。

白色申告から青色申告に切り替える場合の提出期限

白色申告から青色申告に変更する場合は、青色申告を行う年の3月15日までに届出を行う必要があります。3月15日以降に届け出た場合は、その年の確定申告は白色申告で行い、翌年の確定申告から青色申告となります。

事業を相続により承継した場合の提出期限

青色申告をしていた事業主が亡くなり、相続により事業承継をした場合は、青色申告承認申請書の提出が必要です。相続開始を知った日(死亡の日)の時期に応じて、それぞれ下記の期間内に提出します。

青色申告承認申請書の提出期限

  • 1月1日から8月31日まで:死亡の日から4ヶ月以内
  • 9月1日から10月31日まで:その年の12月31日まで
  • 11月1日から12月31日まで:その年の翌年の2月15日まで

まとめ

青色申告は、白色申告よりもメリットが多い申告方法です。

ただし、日々の記帳を複式簿記で行い、貸借対照表や損益計算書の作成・添付が必要であるなど、申告にあたっての経理作業の負担が大きい点がデメリットです。事業状況に応じて、どちらの申告方法が望ましいかを比較検討しましょう。

青色申告の作業負担を減らし、スムーズに申告を完了させたい人は、会計ソフトの利用をおすすめします。

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確定申告には青色申告と白色申告の2種類があります。どちらを選択するにしても、期限までに正確な内容の書類を作成し申告しなければいけません。

確定申告書を作成する方法は手書きのほかにも、国税庁の「確定申告等作成コーナー」を利用するなどさまざまですが、会計知識がないと記入内容に悩む場面も出てくるでしょう。

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また、freee会計はe-tax(電子申告)にも対応しています。e-taxからの申告は24時間可能で、税務署へ行く必要もありません。青色申告であれば控除額が10万円分上乗せされるので、節税効果がさらに高くなります。

e-tax(電子申告)を検討されている方はこちらをご覧ください。

freee会計 管理画面の例3

完成した確定申告書を提出・納税して確定申告が完了!

freee会計を使うとどれくらいお得?

freee会計には、会計初心者の方からも「本当に簡単に終わった!」というたくさんの声をいただいています。

税理士などの専門家に代行依頼をすると、確定申告書類の作成に5万円〜10万円程度かかってしまいます。freee会計なら月額980円(※年払いで契約した場合)から利用でき、自分でも簡単に確定申告書の作成・提出までを完了できます。

余裕をもって確定申告を迎えるためにも、ぜひfreee会計の利用をご検討ください。

よくある質問

青色申告と白色申告はどっちがお得?

白色申告は基本的に税制上の優遇措置はありません。一方、青色申告は最大で65万円の控除の優遇措置を受けることができます。ほかにもさまざまな節税メリットがあるので、青色申告のほうが税負担を軽減できます。

詳しくは記事内、「青色申告のメリット・デメリット」をご覧ください。

青色申告するにはどうしたらいい?

青色申告をするためには、その年の3月15日までに「青色申告承認申請書」を所轄の税務署に提出しなければなりません。その年の1月16日以降に開業した場合は、開業から2ヶ月以内が期限です。

詳しくは記事内、「青色申告の申請手続き」をご覧ください。

監修 安田 亮(やすだ りょう)

1987年香川県生まれ、2008年公認会計士試験合格。大手監査法人に勤務し、その後、東証一部上場企業に転職。連結決算・連結納税・税務調査対応などを経験し、2018年に神戸市中央区で独立開業。

監修者 安田亮

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