確定申告の基礎知識

譲渡所得とは? 所得税の税率や計算方法から確定申告のやり方まで解説

監修 北田 悠策 公認会計士・税理士

譲渡所得とは? 所得税の税率や計算方法から確定申告のやり方まで解説

譲渡所得とは、売買や交換など資産の譲渡による所得です。土地や建物・株式・機械器具など、資産を譲渡して所得があると所得税がかかります。

譲渡所得の計算では、資産の種類や所有年数によって課税方法や税率が変わる点に注意が必要です。譲渡所得にかかる所得税を正しく計算して、確定申告で間違いを起こさないように、総合課税と分離課税の違いや短期譲渡所得と長期譲渡所得の違いを理解しておく必要があります。

本記事では、譲渡所得の種類や税率、特別控除制度、確定申告のやり方を解説します。

目次

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譲渡所得とは

譲渡所得とは、資産の譲渡による所得です。所得税には全部で10種類の所得があり、譲渡所得も所得のひとつとして所得税が課税されます。譲渡所得として課税対象になるのは、たとえば、以下の資産の譲渡です。

譲渡所得の対象となる資産

  • 土地
  • 借地権
  • 建物
  • 株式等
  • 金地金
  • 宝石
  • 書画
  • 骨とう
  • 船舶
  • 機械器具
  • 漁業権
  • 取引慣行のある借家権
  • 配偶者居住権
  • 配偶者敷地利用権
  • ゴルフ会員権
  • 特許権
  • 著作権
  • 鉱業権
  • 土石(砂) など

出典:国税庁「No.3105 譲渡所得の対象となる資産と課税方法」

譲渡とは、有償無償を問わず、所有資産を移転させる一切の行為を指します。譲渡には売買・競売・代物弁済・交換・現物出資なども含まれます。譲渡所得があれば、確定申告が必要です。

ただし、普段の生活で使う物(生活用動産)の譲渡による所得や国への財産の寄附による所得は課税対象外です。また、事業者が商品を譲渡したときの所得は事業所得に、山林の伐採・譲渡による所得は山林所得(山林取得後5年以内の譲渡は事業所得または雑所得)に分類されます。


出典:国税庁「No.1300 所得の区分のあらまし」

譲渡所得の種類と税率

譲渡所得の対象となる資産は、課税方法や所有期間によって以下のように分けられます。

譲渡所得の種類

  • 課税方法による違い:総合課税と分離課税
  • 資産の所有期間による違い:短期譲渡所得と長期譲渡所得

譲渡所得の計算では、総合課税と分離課税、短期譲渡所得と長期譲渡所得、それぞれどちらに区分される資産なのかによって所得税の計算方法や税率が変わります。

そのため、確定申告に際して譲渡所得を計算するには、各区分に分類される資産の種類を理解しておきましょう。

総合課税と分離課税

所得税の計算方法には「総合課税」と「分離課税」の2種類の方法があります。所得税は原則として総合課税によって計算しますが、所得の性質上、他の所得とは分けて税額を求めるほうが適切な場合は、他の所得と分離して計算する分離課税が適用されます。

総合課税と分離課税の違い

  • 総合課税:各種の所得を合計して求めた課税所得金額に税率をかけて税額を計算する方法
  • 分離課税:他の所得と合計せずに分離して税額を計算する方法

譲渡所得の対象となる資産の中には、総合課税の対象になるものと分離課税の対象になるものがあり、それぞれの対象は以下の通りです。

譲渡資産の種類課税方法
土地・建物・借地権分離課税
株式等短期所有土地の譲渡に類似するもの分離課税
ゴルフ会員権の譲渡に類似するもの総合課税
上記以外の株式等にかかる譲渡分離課税
その他の資産(機械器具・車両・書画・著作権・特許権など)総合課税

総合課税の資産の譲渡では、事業所得や給与所得など他の所得と合計して所得税を計算します。総合課税の税率は、課税所得金額が大きくなるほど税率が高くなる累進課税制度で、税率は5%~45%です。

分離課税の資産の譲渡では、事業所得や給与所得など他の所得とは合計せずに所得税を計算し、税率は後述する短期譲渡所得と長期譲渡所得で異なります。


出典:国税庁「No.3105 譲渡所得の対象となる資産と課税方法」
出典:国税庁「No.2240 申告分離課税制度」
出典:国税庁「No.2260 所得税の税率」

短期譲渡所得と長期譲渡所得

譲渡所得は、譲渡した資産の所有期間が「5年以下」または、「短期譲渡所得」と「長期譲渡所得」に分けられ、所得税の税率や計算方法が変わります。


短期譲渡所得長期譲渡所得
総合課税 ・取得日から譲渡日までの期間が5年以内の資産(※)
・他の所得と合算して所得税を計算する累進税率(住民税率10%)
・取得日から譲渡日までの期間が5年超の資産
・他の所得と合算して所得税を計算する累進税率(住民税率10%)
・所得額の2分の1を総所得金額に算入
分離課税 ・譲渡した年の1月1日時点で所有期間が5年以下の資産
・土地・建物の譲渡は所得税率30%(住民税率9%)
・譲渡した年の1月1日時点で所有期間が5年超の資産
・土地・建物の譲渡は所得税率15%(住民税率5%)
・株式等の譲渡は所得税率15%(住民税率5%)
・株式等の譲渡は所得税率15%(住民税率5%)

※一定の要件に該当する特許権や著作権などは所有期間が5年以下でも長期譲渡所得として取り扱う

総合課税と分離課税では、所有期間が5年超かで、判定方法が異なる点に注意が必要です。総合課税では資産の取得日から譲渡日までの期間で判定するのに対して、分離課税では譲渡年の1月1日時点の状況で判定します。

また、分離課税の対象となる資産のうち、株式等の譲渡時の所得税率は15%で、短期・長期による税率の違いはありません。土地・建物の譲渡時の所得税率は短期・長期で異なり、それぞれ30%と15%です。


出典:国税庁「No.1460 譲渡所得(土地、建物及び株式等以外の資産を譲渡したとき)」
出典:国税庁「No.1440 譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき)」
出典:国税庁「土地や建物を売ったとき」
出典:国税庁「No.1463 株式等を譲渡したときの課税(申告分離課税)」

譲渡所得金額の計算方法

譲渡所得金額は、総合課税・分離課税(土地・建物)・分離課税(株式等)の3つに分けて計算します。計算式は以下の通りです。

譲渡所得金額の計算方法

〈総合課税〉

  • {短期譲渡所得の収入金額-(取得費+譲渡費用)}+{長期譲渡所得の収入金額-(取得費+譲渡費用)}=譲渡益
  • 譲渡益-特別控除額(最大50万円)=譲渡所得金額

〈分離課税(土地・建物)〉

  • 収入金額-(取得費+譲渡費用)-特別控除額=譲渡所得金額

〈分離課税(株式等)〉

  • 収入金額-(取得費+委託手数料等)=譲渡所得金額

譲渡所得にかかる所得税の計算方法

  • 譲渡所得金額-所得控除額=課税譲渡所得金額
  • 課税譲渡所得金額×税率=所得税額

総合課税の譲渡所得に短期・長期の両方がある場合、最大50万円の特別控除額は、まず短期譲渡所得の譲渡益から控除し、残額があれば長期譲渡所得の譲渡益から控除します。譲渡益が50万円より少なければ譲渡益の金額が特別控除額です。

また、総所得金額を求めるときに合計する所得金額は、短期譲渡所得ではその全額を算入しますが、長期譲渡所得ではその2分の1の金額を算入します。

以下では、収入金額の考え方や取得費・譲渡費用など必要経費に含まれるものについて解説します。


出典:国税庁「No.1460 譲渡所得(土地、建物及び株式等以外の資産を譲渡したとき)」
出典:国税庁「No.1440 譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき)」
出典:国税庁「No.1463 株式等を譲渡したときの課税(申告分離課税)」

収入金額に含まれるもの

収入金額とは売却額のことです。一般的に譲渡の対価として買主から受け取る金銭の額を収入金額としますが、金銭の代わりに物や権利を受け取る場合は、その物や権利の時価が収入金額になります。

土地・建物の売却に際して、年末までの期間に対応する固定資産税や都市計画税に相当する額の支払いを受けるケースでは、その額も含めた金額が収入金額です。

なお、著しく低い価額で資産を法人に譲渡する場合は、譲渡価額ではなく時価によって資産の譲渡があったものとみなして所得税を計算します。低額譲渡とみなされるのは、譲渡時の時価の2分の1未満の金額での譲渡です。


出典:国税庁「収入金額とは」
出典:国税庁「No.1440 譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき)」
出典:e-Gov法令検索「所得税法第五十九条第一項」
出典:e-Gov法令検索「所得税法施行令第百六十九条」

取得費に含まれるもの

取得費に含まれるものは次のような費用です。

取得費に含まれる支出

  • 譲渡した資産の購入代金
  • 購入時の手数料
  • 設備費
  • 購入後にかかった改良費 など

建物の取得費は、購入代金や建築代金などの合計額から所有期間中の減価償却費相当額を差し引いた金額です。土地や建物の購入では、購入時に支払った登録免許税・不動産取得税・印紙税などの税金や、借主を立ち退かせるための立退料も取得費に含まれます。

なお代々引き継いできた土地など、購入当初の代金がわからないケースは、売却額の5%を取得費とすることができます(概算取得費)。たとえば、土地建物を4,000万円で売ったときに取得費が不明であれば、譲渡所得の計算で使う取得費の金額は200万円(=4,000万円×5%)です。

概算取得費は、取得費が不明な場合だけでなく、概算取得費を使用したほうが節税できる場合にも選択できます。


出典:国税庁「No.3252 取得費となるもの」
出典:国税庁「No.3258 取得費が分からないとき」

譲渡費用に含まれるもの

譲渡費用に含まれるものは次のような費用です。

譲渡費用に含まれる支出

  • 譲渡の際に支出した仲介手数料
  • 貸家を売る際、借家人に建物を明け渡してもらうために支払う立退料
  • 土地などを売るためにその上の建物を取り壊す取壊費用と建物の損失額
  • 売主が負担した印紙税
  • 借地権を売るときに支払う名義書換料 など

譲渡費用とは、土地や建物を売るために直接かかった費用のことです。そのため、修繕費や固定資産税などその資産の維持や管理のためにかかった費用や、売った代金の取り立てのための費用などは譲渡費用になりません。


出典:国税庁「No.3255 譲渡費用となるもの」

譲渡所得の特別控除の種類と控除額

譲渡所得の特別控除とは、土地や建物を売ったときに一定の要件に該当すると適用できる特例制度です。特別控除を適用できれば控除額の分だけ譲渡所得金額が低くなり、税負担を抑えることができます。

譲渡所得の特別控除の種類

  1. 公共事業などのために土地や建物を売った場合の5,000万円の特別控除の特例
  2. マイホーム(居住用財産)を売った場合の3,000万円の特別控除の特例
  3. 特定土地区画整理事業などのために土地を売った場合の2,000万円の特別控除の特例
  4. 特定住宅地造成事業などのために土地を売った場合の1,500万円の特別控除の特例
  5. 平成21年及び平成22年に取得した国内にある土地を譲渡した場合の1,000万円の特別控除の特例
  6. 農地保有の合理化などのために土地を売った場合の800万円の特別控除の特例
  7. 低未利用土地等を売った場合の100万円の特別控除の特例

適用できる特別控除額は、合計で5,000万円が上限です。複数の特例制度の適用を受ける人は、上記の1から順に適用し、5,000万円に達するまで適用できます。

特例制度の内容は国税庁サイト「No.3223 譲渡所得の特別控除の種類」に掲載されているので、土地や建物の売却を予定している人は確認してみましょう。

マイホームの売却時に適用できる特別控除・特例制度

マイホームを売るときに、特別控除や特例制度の要件を満たして適用できれば税負担を軽減できる場合があります。マイホームの売却時に適用の可否を確認しておきたい制度は以下の3つです。

マイホームの売却に関する特別控除・特例制度

  • マイホームの譲渡による3,000万円の特別控除
  • 軽減税率の特例
  • マイホームの買換えの特例

マイホームの譲渡による3,000万円の特別控除

マイホームを売却した場合、以下の要件を満たせば譲渡所得から3,000万円を控除できます。特別控除の要件を満たせば、譲渡所得があっても3,000万円までは所得税がかかりません。

3,000万円の特別控除の要件

  1. 売った資産は、下記のイからホまでのいずれかに該当する資産であること

    イ 現に自分が住んでいる家屋

    ロ 以前に住んでいた家屋(住まなくなってから3年を経過する日の属する年の12月31日までに売る場合に限る)

    ハ 上記イまたはロの家屋とともに売ったその敷地や借地権

    ニ 上記イまたはロの家屋を取り壊した場合のその敷地で、次の2つの要件を満たすもの

    a. その敷地の譲渡契約が、家屋を取り壊した日から1年以内に締結され、かつ、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること

    b. 家屋を取り壊してから譲渡契約を締結した日まで、その敷地を貸駐車場などその他の用に供していないこと

    ホ 家屋が災害により滅失した場合のその敷地で、次の区分に応じた期限までに売るもの

    a. 上記イの家屋の敷地の場合は、災害があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日まで

    b. 上記ロの家屋の敷地の場合は、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日まで
  2. 譲渡した年の前年・前々年にこの特例やマイホームの譲渡損失に関する損益通算および繰越控除の特例の適用を受けていないこと
  3. 譲渡した年・その前年・前々年にマイホームの買換えや交換の特例の適用を受けていないこと
  4. 譲渡した家屋や敷地について、収用等の場合の特別控除など他の特例の適用を受けていないこと
  5. 親子や夫婦など「特別の関係がある人」に売ったものでないこと

家や土地の所有期間の要件は特にありません。居住用の家屋や土地で上記の要件を満たせば本特例の適用を受けられます。別荘や投資用マンションは居住用家屋とはいえないため本特例の対象外です。特例の適用を受けるには確定申告をする必要があります。


出典:国税庁「No.3302 マイホームを売ったときの特例」

軽減税率の特例

「マイホームの譲渡による3,000万円の特別控除」の要件を満たすことに加えて、売却するマイホームの所有期間が10年を超える場合、軽減税率の特例の適用を受けられます。

【10年を超えたマイホームの譲渡特別控除の具体例】

課税長期譲渡所得金額所得税住民税
6,000万円以下の部分10%4%
6,000万円超の部分15%5%

通常の長期譲渡所得の税率は所得税15%・住民税5%ですが、本特例の適用を受けられれば、6,000万円以下の部分に対する税率は所得税10%・住民税4%です。

所有期間が10年超かどうかは、売った年の1月1日を基準に判定します。ただし、取り壊された家屋やその敷地は、家屋が取り壊された日の属する年の1月1日時点で所有期間が10年を超えていることが要件です。


出典:国税庁「No.3305 マイホームを売ったときの軽減税率の特例」

マイホームの買換えの特例

マイホームの買換えの特例とは、居住期間が10年以上であるなど、一定の要件を満たすマイホームを売却した場合に、譲渡益に対する課税を将来に繰り延べられる特例制度です。

たとえば、1,000万円で購入したマイホームAを4,000万円で売却して6,000万円のマイホームBに買い換え、将来マイホームBを8,000万円で売却するケースを考えてみましょう。

譲渡所得の計算では、通常は売却額から購入額を引くので、A売却時の譲渡益は3,000万円(4,000万円-1,000万円)、B売却時の譲渡益は2,000万円(8,000万円-6,000万円)です。

しかし、マイホームの買換えの特例を適用すると、A売却時の譲渡益3,000万円は将来に繰り延べられるので、Aを売却した時点で所得税は課税されません。繰り延べた3,000万円はB売却時にあわせて課税され、B売却時には譲渡益5,000万円に対して課税される仕組みです。

マイホームを買い換えた際に所得税がかからないことで、所得税が課されて納税資金を準備できず買換え後のマイホームを売却せざるを得なくなるような事態を避けられます。

本特例の適用要件は、「現に自分が住んでいる家屋」や「以前に住んでいた家屋で、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売るもの」が対象となる点など、基本的な要件は「マイホームの譲渡による3,000万円の特別控除」と同じです。

ただし、マイホームの買換えの特例では、以下の要件も満たす必要があります。

マイホームの買換えの特例の要件

〈売却するマイホームの要件〉

  • 売った資産は、売った人の居住期間が10年以上、かつ、売った年の1月1日時点で売った家屋やその敷地の所有期間が10年を超えていること
  • 譲渡対価は1億円以下であること

〈買い換えるマイホームの要件〉

  • 一定の新耐震基準に適合していること
  • 家屋の床面積が50㎡以上、土地はその面積が500㎡以下であること
  • 耐火建築物の中古住宅の場合は、取得の日以前25年以内に建築されたものであること、または一定の耐震基準を満たすものであること
  • 耐火建築物以外の中古住宅の場合は、取得の日以前25年以内に建築されたものであること、または、取得期限までに一定の耐震基準を満たすものであること

出典:国税庁「No.3355 特定のマイホームを買い換えたときの特例」

譲渡損失の損益通算・繰越控除の特例

土地建物の売却で損失が生じても、他の所得と相殺する損益通算は一般的にできません。

しかし、一定の要件を満たす場合は、マイホームを買い換えた際の旧居宅の譲渡損失を、その年の給与所得など他の所得から控除する損益通算が認められています。さらに、損益通算をしても控除しきれない譲渡損失は、譲渡の年の翌年以後3年内に繰り越す繰越控除が可能です。

「現に自分が住んでいる家屋」や「以前に住んでいた家屋で、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売るもの」が対象となる点など、基本的な要件は「マイホームの譲渡による3,000万円の特別控除」と同じです。

ただし、「買い換える家屋の床面積は50平方メートル以上」「買換資産について償還期間10年以上の住宅ローンを有すること」など、細かな適用要件が定められています。

特例制度の詳しい要件は、国税庁サイト「No.3370 マイホームを買い換えた場合に譲渡損失が生じたとき(マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例)」で確認するようにしてください。

譲渡所得の確定申告のやり方

譲渡所得など各種所得の合計額から所得控除を差し引いた残額があれば、一般的に確定申告が必要です。また、土地や建物の譲渡に伴って特例制度の適用を受けるためには確定申告をする必要があります。

2024年分の所得の確定申告の期間は2025年2月17日(月)から2025年3月17日(月)までです。確定申告書は税務署の窓口で提出できるほか、郵送やe-Taxでも提出できます。譲渡所得があって確定申告が必要な人は、申告期限までに手続きを終えるようにしてください。

必要書類

確定申告で一般的に必要になる書類は以下の通りです。

確定申告の必要書類

  • 本人確認書類
  • 確定申告書
  • 所得金額がわかるもの
  • 所得控除や税額控除に関する書類

譲渡所得金額を計算して確定申告書に記入するためには、譲渡所得に関する収入や費用の金額がわかる書類を用意する必要があります。

確定申告書のうち、第一表と第二表は必ず提出し、分離課税の所得がある人は第三表の提出も必要です。譲渡所得の内容に応じて、「譲渡所得の内訳書(土地・建物用/総合譲渡用)」や「株式等に係る譲渡所得等の金額の計算明細書」なども提出します。

また、譲渡所得の確定申告では、適用を受ける特例の種類によって提出書類が変わり、土地・建物の譲渡所得の確定申告では以下の書類の提出が必要になる場合があります。

譲渡所得の確定申告で必要になる書類の例

  • 売却した居住用財産の登記事項証明書や売買契約書の写し
  • 買い換えた居住用財産の登記事項証明書や売買契約書の写し
  • 戸籍の附票の写し など

確定申告で特例制度の適用を受けるときの必要書類は、国税庁サイト「A4-1 申告手続き(譲渡所得関係 申告書添付書類)」で確認してください。

確定申告書の作成方法

確定申告書の作成は以下の流れで行います。

確定申告書の作成方法

  1. 譲渡収入や取得費、譲渡費用の金額を計算する
  2. 譲渡所得金額を計算する
  3. 確定申告書に記入する

譲渡所得金額を計算するためには、不動産の売買契約書等で収入金額を確認するとともに、取得費・譲渡費用に含まれるものを集計して金額を計算する必要があります。

確定申告書の用紙は国税庁のサイトからダウンロードできます。確定申告書のうち、譲渡所得の内訳書は、譲渡した日付や金額など譲渡の具体的な内容を記入する書類です。

確定申告書の第一表・第二表、分離課税の所得がある人が提出する第三表の書き方は、以下の記事で詳しく解説しています。あわせてご覧ください。

【関連記事】
【2025年最新】令和6年分確定申告書の見方と書き方を項目別にわかりやすく解説

譲渡所得で節税するポイント

譲渡所得で節税するためには所有年数を確認して土地や建物を売買すること、特にマイホームを譲渡する場合は、どの特例が対象になるかを確認することが大切です。

土地や建物を売買するときは所有年数に注意

土地や建物を売買するときには、所有年数を確認しましょう。5年超か5年以下かによって譲渡所得の税率が変わります。

所得税と住民税の税率は、5年以下なら30%と9%、5年超なら15%と5%です。たとえば、4年保有している物件の売却を検討しているなら、5年を過ぎる時期まで待ってから売買するほうが節税できます。

マイホームを譲渡する際は特例の対象かを確認する

マイホームを譲渡する際は、特例の対象になっているか確認してください。3,000万円の特別控除の特例以外にも10年超所有しているマイホームを売却する際は、軽減税率の特例の適用を受けられます。

6,000万円以下の部分は所得税10%・住民税4%、6,000万円を超える部分は所得税15%・住民税5%で計算されるため税負担が軽くなります。

さらに、マイホームの買換えのための譲渡であれば、特例制度の要件を満たすことで、譲渡所得の課税を将来に繰り延べるようにしましょう。

まとめ

譲渡所得とは、資産の譲渡による所得を指し、譲渡資産の種類によって所得税の計算方法や税率が変わります。

総合課税と分離課税、短期譲渡所得と長期譲渡所得、それぞれの違いを理解したうえで、譲渡資産に適用される課税方法や短期・長期のいずれの区分になるのか、確認しましょう。

なお、マイホームの譲渡では、特例を適用できて税負担を軽減できる場合があります。特例の要件や特別控除額など、詳しい内容は国税庁サイトから確認してください。

また、譲渡所得の確定申告では、第一表・第二表だけでなく、譲渡所得の内訳書へ記入するなど、作成する書類の種類が多く確定申告の準備に時間がかかることがあります。確定申告が必要な場合は準備を早めに始めて、申告期限までに確実に手続きを終えるようにしましょう。

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よくある質問

譲渡所得とは?

譲渡所得とは資産の譲渡による所得です。不動産や株式、書画、機械器具などの資産を譲渡して所得が生じると、譲渡所得として所得税の課税対象になります。

詳しくは「譲渡所得とは」をご覧ください。

譲渡所得の税率は?

譲渡所得の税率は、総合課税では課税所得金額に応じて税率が変わり、分離課税では土地・建物や株式など、譲渡する資産の種類によって税率が変わります。

詳しくは「譲渡所得の種類と税率」をご覧ください。

監修 北田 悠策(きただ ゆうさく)

神戸大学経営学部卒業。2015年より有限責任監査法人トーマツ大阪事務所にて、製造業を中心に10数社の会社法監査及び金融商品取引法監査に従事する傍ら、スタートアップ向けの財務アドバイザリー業務に従事。その後、上場準備会社にて経理責任者として決算を推進。大企業からスタートアップまで様々なフェーズの企業に携わってきた経験を活かし、株式会社ARDOR/ARDOR税理士事務所を創業。

北田 悠策

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