確定申告の基礎知識

白色申告に必要な収支内訳書とは?種類や書き方、作成する前に準備しておくべきことについて解説

白色申告に必要な収支内訳書とは?種類や書き方、作成する前に準備しておくべきことについて解説

確定申告は青色申告と白色申告の2種類があり、提出書類や受けられる控除など、それぞれ違いがあります。

白色申告を選択した場合は収入や経費などの詳細を記載した「収支内訳書」の作成・提出が必要となります。

本記事では白色申告に必要な収支内訳書の記載方法について解説します。白色申告の特徴やメリット、申告方法については、別記事「白色申告とは?白色申告のメリット・デメリット、申告方法について解説」をあわせてご確認ください。

目次

freee会計で電子申告をカンタンに!

freee会計は〇✕形式の質問で確定申告に必要な書類作成をやさしくサポート!口座とのデータ連携によって転記作業も不要になり、入力ミスも大幅に削減します。

収支内訳書とは

令和 年分収支内訳書

出典:国税庁「確定申告書等の様式・手引き等(令和 年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告分)」

収支内訳書とは、帳簿をもとに1月1日から12月31日までの売上や経費などの収入・支出をまとめた書類です。白色申告を選択した場合に確定申告書と一緒に提出する必要があります。

原則、確定申告で帳簿の提出は不要ですが、税務署から不備などの理由で指摘があった場合は提出を求められることがあります。白色申告をする人は、帳簿を作成する際に売上や仕入れ、消耗品などの項目を収支内訳書とあわせてまとめておくようにしましょう。

収支内訳書の作成が必要なケース

以下の要件いずれかを満たしている場合は収支内訳書の作成が必要です。

収支内訳書の作成が必要なケース

  • 事業所得・不動産所得・山林所得がある場合
  • その年の前々年分の業務に係る雑所得の収入金額が1,000万円を超える場合(2022年以降)

出典:国税庁「No.2080 白色申告者の記帳・帳簿等保存制度」

所得税法で分類されている所得の中で、自身の所得が事業所得・不動産所得・山林所得に当てはまらない場合や、所得金額が少額でそもそも確定申告が必要ない場合は収支内訳書の作成は必要ありません。


出典:国税庁「No.1300 所得の区分のあらまし

収支内訳書の種類

収支内訳書は一般用・不動産所得用・農業所得用の3種類用意されています。3種類それぞれの用途や特徴について解説します。

一般用

事業所得がある場合は基本的に一般用を使用します。事業所得とは、継続して一定の利益を得ているものを指します。事業所得は以下の事業に分類されます。

事業所得の対象となる事業

  • 農業
  • 漁業
  • 製造業
  • 卸売業
  • 小売業
  • サービス業
  • その他の事業

出典:国税庁「No.1350 事業所得の課税のしくみ(事業所得)」

なお、不動産の売却や貸付、山林を譲渡したことによる所得はその他の事業には含まれません。


出典:国税庁「収支内訳書(一般用)」

不動産所得用

不動産所得とは土地やアパート、マンションの賃貸経営などで得た所得を指します。

不動産売却で得た所得は不動産所得ではなく「譲渡所得」に該当するため、その場合は確定申告書第三表譲渡所得の内訳書の作成が必要です。


出典:国税庁「収支内訳書(不動産所得用)」

農業所得用

農業所得は事業所得に分類されますが、収支内訳書に関しては一般用ではなく、農業所得用を使用します。農業所得用の収支内訳書には、農具費や肥料費、種苗費などの農業特有の勘定科目が既に設定されている書式になっています。


出典:国税庁「収支内訳書(農業所得用)」

収支内訳書を作成する前に準備しておくこと

スムーズに確定申告を進めるために、収支内訳書を作成する際に必要なものをあらかじめ準備しておきましょう。

帳簿の準備

帳簿とは、売上や経費など事業に関わる日々のお金の流れを記録しておく台帳です。

上述したように原則、確定申告で帳簿の提出は不要ですが、税務署から指摘が入った場合は提出を求められることがあるため、日常的に記録するようにしましょう。また、作成した帳簿は7年間保存しておく義務があります。

白色申告の場合は、取引の内容と収支のみを記録する「単式簿記(簡易簿記)」という記帳方法で帳簿をつけます。ひとつの取引に対してひとつの側面から記録するため、お小遣い帳のような感覚でつけることができます。

単式簿記(簡易簿記)の例

日付科目収入支出内容
4月30日売上10,000 A社にカタログ納品
5月1日消耗品費 500コピー用紙購入
5月3日交通費 1,000打ち合わせ時交通費

白色申告で必要な主な帳簿については以下のとおりです。

帳簿の種類概要詳細
現金出納帳現在の現金残高を把握するための帳簿日付、取引先の相手と内容、収入、支払、残高を取引ごとに記録
預金出納帳普通預金や当座預金の入出金を記録するための帳簿取引相手や具体的な取引内容など取引の詳細を記録
売掛帳売掛金の記録を付ける帳簿売掛で売上げたものの金額と回収した金額を記録し、売掛金の残高を管理
買掛帳買掛金の記録を付ける帳簿買掛で購入したものの金額と、支払った金額を記録し、買掛金の残高を管理
経費帳仕入以外の経費の記録を付ける帳簿文房具などの消耗品購入や光熱費、租税公課などの支払いの際に記録を付ける。現金で購入した場合は現金出納帳にも記載
固定資産台帳減価償却資産の管理をする帳簿資産名と取得年月日のほか、取得価額やその年に償却する金額などを記録。償却済みの金額や、未償却の残高を管理

帳簿の種類やつけ方については別記事「【個人事業主向け】帳簿の種類とつけ方は? 単式・複式簿記や現金・発生主義について徹底解説」をあわせてご確認ください。

減価償却の対象となる固定資産の確認

建物や備品、車両などの年数の経過によって固定資産の価値が減少していく物を「減価償却資産」といいます。原則として、耐用年数が1年以上、取得価額が10万円以上の物が減価償却資産の対象です。

減価償却資産の取得費用は、固定資産ごとに国税庁が定めた耐用年数の期間中に分割し「減価償却費」として経費計上します。

減価償却費の計算方法は、毎年一定額ずつ経費計上する「定額法」と、未償却残高に一定率をかけて経費を計算する「定率法」の2種類あります。個人の場合は、事前に届出をしていない限り定額法で計算しなければなりません。


減価償却の2つの計算方法イメージ図

出典:国税庁「No.2100 減価償却のあらまし」

【関連記事】
確定申告前に知っておきたい減価償却費とその計算方法

収支内訳書を入手する

収支内訳書のフォーマットは、税務署の窓口もしくは国税庁のホームページで取得が可能です。また、国税庁のホームページ「確定申告書作成コーナー」を利用すれば、サイト上で必要項目を入力すると、確定申告に必要な収支内訳書などを自動で作成できます。

2022年分確定申告(2023年提出分)以降は、マイナンバーカードを所持していればスマートフォンからでも収支内訳書を作成が可能になります。


出典:国税庁「国税庁ホームページでの所得税等の申告書等作成・e-Taxがますます便利に!

収支内訳書の書き方

収支内訳書の書き方について、実際の書類を参照しながら項目ごとに解説します。

収支内訳書1ページ目の書き方

収支内訳書1ページ目の項目は大きく分けて以下の8つです。

収支内訳書1ページ目の記載項目

  1. 基本情報
  2. 収入金額
  3. 売上原価
  4. 経費
  5. 専従者控除
  6. 給与賃金の内訳
  7. 税理士・弁護士等の報酬・料金の内訳
  8. 事業専従者の氏名等

1.基本情報

自身の氏名や住所などの基本情報を記載します。

※2021年4月1日より確定申告書や収支内訳書への押印が不要になりました。

2.収入金額

以下の①〜③に該当する収入を記載し、④に合計額を記載します。

① 売上(収入金額):1月1日から12月31日までの1年間の売上
② 家事消費:事業用に仕入れたものの、個人で消費した分の金額
③ その他の収入:通常の売上金額以外の販売目的で仕入れていなかった空箱の売却やリベート等による収入

3.売上原価

仕入を行う個人事業主のみが記入する欄です。

⑤ 期首商品(製品)棚卸高:1月1日時点の在庫商品の総額
⑥ 仕入金額(製品製造原価):1年間の仕入金額の合計
⑦ 小計:⑤+⑥の合計額
⑧ 期末商品(製品)棚卸高:12月31日時点の在庫商品の総額
⑨差引原価:⑦ - ⑧の合計額

4.経費

該当する科目の箇所を記入していきます。

⑪ 給料賃金:専従者以外の従業員を雇っている場合
⑫ 外注工賃:修理加工などを外部に発注して発生した費用
⑬ 減価償却費:減価償却が必要な資産を持っている場合
⑭ 貸倒金:相手方の倒産などにより、回収できない売掛金や貸付金
⑮ 地代家賃:借りている土地と建物に発生した費用
⑯ 利子割引料:事業資金として借り入れをした場合の利子や手形の割引料など

その他の経費は項目ごとに費用を記載します。既存の項目に当てはまらないものは空欄(㋾~㋟)を使用してください。

㋑ 租税公課:国や地方に納める税金(租税)と、公共団体へ納める会費や罰金など(公課)を合わせた勘定科目
(租税:登録免許税、印紙税、固定資産税など)
(公課:印鑑証明書・住民票の発行手数料など)
㋺ 荷造運賃:商品発送で必要となる箱やガムテープのほか、物品の運送料
㋩ 水道光熱費:事業に使用した水道・電気・ガスの費用
㋥ 旅費交通費:出張にかかった宿泊費や電車・新幹線・飛行機代など
㋭ 通信費:事業で使用した電話代・インターネット料金・切手代・はがき代など
㋬ 広告宣伝費:新聞やテレビなどにおける宣伝のための費用
㋣ 接待交際費:取引先との飲食やお中元・お歳暮の費用、慶弔見舞金など
㋠ 損害保険料:事業用として使用している店舗の火災保険料、自動車の自動車保険料など
㋷ 修繕費:店舗や自動車などにおける修理代
㋦ 消耗品費:文房具や事業用で使用する家具、パソコンなど
(※取得価格が10万円を下回る物のみ)
㋸ 福利厚生費:主に会社で払った従業員の食事代、慶弔見舞金、健康診断など

個人が支払う所得税や住民税、国民健康保険料、国民年金保険料は経費計上できません。ほかにも、申告や納税が遅れた際に発生する延滞税や加算税、事業主個人の相続税や贈与税、交通違反の罰金も租税公課の対象にはならないため注意が必要です。

【関連記事】
個人事業主が経費にできるもの・できないもの 確定申告で使う勘定科目もあわせて解説

5.専従者控除

同じ事業を行う家族がいる場合に記載します。該当の所得が雑所得の場合は控除が受けられないので注意しましょう。

6.給与賃金の内訳

経費の「⑪ 給料賃金」に記載した専従者以外の従業員の賃金の内訳を記載します。所得税及び復興特別所得税の源泉徴収額へ記載するのは、年末調整後のものになります。

7.税理士・弁護士等の報酬・料金の内訳

税理士や弁護士に仕事を依頼し、報酬を支払った場合に記載します。

8.事業専従者の氏名等

「⑳ 専従者控除」を記載している場合は対象の専従者の情報をここに記載します。

事業専従者とは、従業員として働いている家族のことを指します。具体的には「同一生計かつ、15歳以上の家族であり、6か月以上継続して勤務していること」が事業専従者の条件となります。


出典:国税庁「No.2075 青色事業専従者給与と事業専従者控除」

収支内訳書2ページ目の書き方

収支内訳書の2ページ目は主に1ページ目の内訳になります。大きく以下の項目に分けて解説します。

収支内訳書2ページ目の記載項目

9. 売上(収入)金額の明細
10. 仕入金額の明細
11. 減価償却費の計算
12. 地代家賃の内訳
13. 利子割引料の内訳(金融機関を除く)
14. 本年中における特殊事項

収支内訳書2ページ目の記載項目

9〜10.売上(収入)金額の明細、仕入金額の明細

取引先ごとに金額が大きい順に記載します。書ききれない分は、上記以外の売上先(仕入先)へ合算した金額を記載します。

11.減価償却費の計算

減価償却の対象となる固定資産ごとに内容を記載します。耐用年数や償却率は固定資産ごとに異なります。


出典:国税庁「主な減価償却資産の耐用年数表」

12.地代家賃の内訳

経費の⑮に記載がある場合はその内訳について記載します。

13.利子割引料の内訳(金融機関を除く)

経費の⑯に記載がある場合、その内訳について記載します。

14.本年中における特殊事項

自然災害などの特殊事情がある場合にその内容を記載します。

2023年分からは雑所得も収支内訳書が必須になる

2023年(令和5年)分の確定申告から、雑所得も収支内訳書が必要になる場合があるため、収支内訳書に事業所得か雑所得か選ぶ項目が追加されました。該当する項目がある場合は忘れずチェックをつけましょう。


出典:国税庁「確定申告書等の様式・手引き等(令和 年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告分)」

まとめ

収支内訳書は白色申告を行うにあたり、所得税の計算が正しく行われているかを確認するための、大事な書類です。記入すべき項目が多いため、記載漏れによる修正や不備がないよう日頃から帳簿をしっかりとまとめ、国税庁の確定申告書作成コーナーなども活用しながら、確定申告を行いましょう。

はじめての確定申告や不安な人にはfreee会計の活用がおすすめです。freee会計を利用すれば、確定申告に必要な書類を自動で作成できます。

確定申告を簡単に終わらせる方法

確定申告には青色申告と白色申告の2種類があります。どちらを選択するにしても、期限までに正確な内容の書類を作成し申告しなければいけません。

確定申告書を作成する方法は手書きのほかにも、国税庁の「確定申告等作成コーナー」を利用するなどさまざまですが、会計知識がないと記入内容に悩む場面も出てくるでしょう。

そこでおすすめしたいのが、確定申告ソフト「freee会計」の活用です。

freee会計は、〇✕形式の質問で確定申告に必要な書類作成をやさしくサポートします。必要な計算は自動で行ってくれるため、計算ミスや入力ミスを軽減できます。
ここからは、freee会計を利用するメリットについて紹介します。

1.銀行口座やクレジットカードは同期して自動入力が可能!

1年分の経費の入力は時間がかかる作業のひとつです。freee会計に銀行口座やクレジットカードを同期すると、利用した内容が自動で入力されます。

また、freee会計は日付や金額だけでなく、勘定科目も予測して入力します。


freee会計 管理画面イメージ4

溜め込んだ経費も自動入力でカンタン!

2.現金取引の入力もカンタン!

freee会計は、現金での支払いも「いつ」「どこで」「何に使ったか」を家計簿感覚で入力できるので、毎日手軽に帳簿づけが可能です。自動的に複式簿記の形に変換してくれるため、初心者の方でも安心できます。


freee会計 管理画面の例1

さらに有料プランでは、チャットで確定申告について質問ができるようになります。オプションサービスに申し込めば、電話での質問も可能です。

freee会計の価格・プランについて確認したい方はこちらをご覧ください。

3.〇✕形式の質問に答えると、各種控除や所得税の金額を自動で算出できる!

各種保険やふるさと納税、住宅ローンなどを利用している場合は控除の対象となり、確定申告することで節税につながる場合があります。控除の種類によって控除額や計算方法、条件は異なるため、事前に調べなければなりません。

freee会計なら、質問に答えることで控除額を自動で算出できるので、自身で調べたり、計算したりする手間も省略できます。


freee会計 管理画面の例2

4.確定申告書を自動作成!

freee会計は取引内容や質問の回答をもとに確定申告書を自動で作成できます。自動作成​​した確定申告書に抜け漏れがないことを確認したら、税務署へ郵送もしくは電子申告などで提出して、納税をすれば確定申告は完了です。

また、freee会計はe-tax(電子申告)にも対応しています。e-taxからの申告は24時間可能で、税務署へ行く必要もありません。青色申告であれば控除額が10万円分上乗せされるので、節税効果がさらに高くなります。

e-tax(電子申告)を検討されている方はこちらをご覧ください。

freee会計 管理画面の例3

完成した確定申告書を提出・納税して確定申告が完了!

freee会計を使うとどれくらいお得?

freee会計には、会計初心者の方からも「本当に簡単に終わった!」というたくさんの声をいただいています。

税理士などの専門家に代行依頼をすると、確定申告書類の作成に5万円〜10万円程度かかってしまいます。freee会計なら月額980円(※年払いで契約した場合)から利用でき、自分でも簡単に確定申告書の作成・提出までを完了できます。

余裕をもって確定申告を迎えるためにも、ぜひfreee会計の利用をご検討ください。

よくある質問

収支内訳書とは?

帳簿をもとにその年の1月1日から12月31日までの売上や経費などの収入・支出をまとめた書類です。書き方についてはこちらをご覧ください。

収支内訳書の種類は?

収支内訳書は一般用・不動産所得用・農業所得用の3種類用意されています。それぞれの用途についてはこちらをご覧ください。

freee会計で電子申告をカンタンに!

freee会計は〇✕形式の質問で確定申告に必要な書類作成をやさしくサポート!口座とのデータ連携によって転記作業も不要になり、入力ミスも大幅に削減します。