監修 安田亮 安田亮公認会計士・税理士事務所
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不動産所得や事業所得などで損失が発生した場合は、赤字の金額分をほかの所得から差し引ける「損益通算」が適用できる場合があります。
損益通算とは、1年間に生じた利益から損失を差し引き、税金の負担を軽減できる制度です。損益通算は確定申告によって適用を受けられます。
所得が少ないなどの理由により確定申告の義務が生じない場合でも、損益通算で税負担が軽くなるケースもあるため理解を深めておきましょう。
本記事では、損益通算の対象となる所得や、損益通算できる具体的なケースを解説します。
確定申告の基本をすべて解説!確定申告が初めてでもわかりやすい図解入りの解説記事はこちら
目次
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損益通算とは?
損益通算とは、個人の所得を計算するうえで、1年間で生じた利益からほかの所得の損失分を差し引ける制度です。
たとえば、個人事業で獲得した利益は課税の対象です。
その時、不動産所得で損失が生じた場合は、損益通算により不動産所得の損失を事業所得の利益から差し引いて計算でき、結果として課税対象の所得が減ります。
また、1つの証券口座では株式の譲渡益が出ており、もう1つの証券口座では株式の譲渡損失が出ているような場合、2つの口座の利益と損失を相殺することができ、これも損益通算と呼びます。
具体的な例として、株式の譲渡益や配当など合計50万円の利益が生じた一方、譲渡損が15万円であった場合、損益通算(50万円−15万円)により35万円が課税対象になります。
損益通算できる所得
1年の損益が赤字となった場合に、ほかの所得と損益通算ができる所得は以下の通りです。
損益通算できる所得
- 不動産所得(土地・建物などの貸付けから生じる所得)
- 事業所得(農業・漁業・製造業・卸売業・小売業・サービス業などの事業から生じる所得)
- 譲渡所得(資産を譲渡して得た所得)
- 山林所得(伐採した山林の譲渡、立木のままの譲渡で生じる所得)
なお、生活に必要ない資産の貸付けなど、損失が発生した原因によっては損益通算が認められないケースも存在します。
上記で挙げた譲渡所得のうち、申告分離課税の株式や土地建物の譲渡損失は、原則としてほかの所得との損益通算ができません。先物取引による雑所得の損失も同様です。ただし、同一所得間での損益通算は可能です。
また、不動産の譲渡によって生じた損失は、自己居住用の住居であれば条件によっては損益通算できる場合があります。
損益通算できない所得
損益通算できない所得は次の通りです。
損益通算できない所得
- 利子所得
- 退職所得
- 配当所得
- 給与所得
- 一時所得
- 雑所得
なお、利子所得および退職所得は、所得金額の計算上は損失が生じません。
損益通算を受けられるケース
損益通算を受けられる主なケースを紹介します。
損益通算を受けられるケース
- 事業で赤字になった場合
- 株式投資で損失が生じた場合
- FX取引で損失が生じた場合
それぞれ詳しく解説します。
事業で赤字になった場合
事業所得で損失が生じた場合、給与所得など別の所得と損益通算が可能です。
ただし、株式の譲渡所得・先物取引にかかる雑所得などとの損益通算はできません。
青色申告で事業の損失申告を行うメリットは以下の通りです。
損失申告のメリット
- 繰越控除(3年間)
- 純損失の繰戻還付
純損失の繰戻還付とは、本年度の赤字を前年に繰り戻して、前年度の税金から還付を受ける制度です。
株式投資で損失が生じた場合
株式の取引で確定申告が必要になるのは、売却した際の譲渡益や配当金などの利益が発生した場合です。
税金を源泉徴収される特定口座で取引を行っている場合は、原則として確定申告は不要です。また、株取引で損失が出た場合も確定申告する義務はありません。
しかし、損失が発生した場合には、ほかの口座の株式・債券・投資信託などの譲渡所得との相殺が可能です。
確定申告で損益通算・繰越控除の適用を受けると、税金の負担が軽くなる場合もあります。
繰越控除とは、損益通算を適用しても控除しきれない損失を、翌年以後3年にわたって繰り越しが可能になる制度です。
株式の譲渡損益に関する詳細や計算方法を知りたい方は「株式投資の譲渡損益とは?確定申告の要否や損益通算・繰越控除について解説」をご覧ください。
FX取引で損失が生じた場合
FXとは、外国為替証拠金取引(Foreign Exchange)の略称です。
「円をドルに交換する」など外国為替(通貨)の売買を行い、購入時と売却時の差額によって利益や損失が生じる取引を指します。FXは証拠金を預け、少額の元手で大きな金額の取引が可能です。
FX取引で損失が発生した場合、ほかの口座のFX取引・取引所商品先物取引・取引所金融商品先物取引で発生した損益との通算ができます。また、株式の場合と同様に損失の繰越控除が可能です。
FXの確定申告方法を詳しく知りたい方は「FXで損失があっても確定申告は必要?確定申告する条件やメリットを解説」をご覧ください。
損益通算を受けるには確定申告が必須
損益通算制度の適用を受けるには、確定申告が必要です。
確定申告の方法は以下の通りです。
確定申告の方法
- 税務署などから入手できる確定申告書類を手書きで作成する
- 国税庁のウェブサイト「確定申告書等作成コーナー」から作成する
- 税理士など専門家に依頼する
- 確定申告ソフトウェアで作成する
一般的に、確定申告ソフトウェアは簿記などの知識がない人でも使いやすく、初心者に適しています。
まとめ
損益通算とは、不動産所得・事業所得・譲渡所得・山林所得で損失が生じた場合、黒字と赤字を相殺できる制度です。確定申告の義務がない場合でも、赤字であれば損失申告を行って損益通算や繰越控除の適用を受けられ、税金の負担を減らせます。
損益通算ができる所得に損失が生じた際はぜひ確定申告を行いましょう。
確定申告をかんたんに終わらせる方法
確定申告の期間は1ヶ月です。それまでに正確な内容の書類を作成し、申告・納税しなければいけません。
ほかにも、青色申告の場合に受けられる特別控除で、最大65万円を適用するためにはe-Taxの利用が必須条件であり、はじめての人には難しい場面が増えることが予想されます。
そこでおすすめしたいのが、確定申告ソフト「freee会計」の活用です。
freee会計は、〇✕形式の質問で確定申告に必要な書類作成をやさしくサポートします。また、所得額や控除額の計算は自動で行ってくれるため、計算・入力ミスの削減できるでしょう。
ここからは、freee会計を利用するメリットについて紹介します。
1.銀行口座やクレジットカードは同期して自動入力が可能!
確定申告を行うためには、1年間のお金にまつわる取引を正しく記帳しなければなりません。自身で1つずつ手作業で記録していくには手間がかかります。
freee会計では、銀行口座やクレジットカードの同期が可能で、利用した内容が自動で入力されていきます。
日付や金額を自動入力するだけでなく、勘定科目も予測して入力してくれるため、日々の記帳がほぼ自動化でき、工数削減につながります。
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2.現金取引の入力もカンタン!
会計ソフトでも現金取引の場合は自身で入力し、登録しなければなりません。
freee会計は、現金での支払いも「いつ」「どこで」「何に使ったか」を家計簿感覚で入力できるので、毎日手軽に帳簿付けが可能です。
自動的に複式簿記の形に変換してくれるため、会計処理の経験がない人でも正確に記帳ができます。
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さらに有料プランでは、チャットで確定申告について質問ができるようになるので、わからないことがあったらすぐに相談できます。また、オプションサービスには電話相談もあるので、直接相談できるのもメリットの1つです。
freee会計の価格・プランについてはこちらをご覧ください。
3.〇✕形式の質問に答えるだけで各種控除や所得税の金額を自動で算出できる!
各種保険やふるさと納税、住宅ローンなどを利用している場合は控除の対象となり、確定申告することで節税につながる場合があります。控除の種類によって控除額や計算方法、条件は異なるため、事前に調べなければなりません。
freee会計なら、質問に答えることで控除額を自動で算出できるので、自身で調べたり、計算したりする手間も省略できます。
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4.確定申告書を自動作成!
freee会計は取引内容や質問の回答をもとに確定申告書を自動で作成できます。自動作成した確定申告書に抜け漏れがないことを確認したら、税務署へ郵送もしくは電子申告などで提出して、納税をすれば確定申告は完了です。
また、freee会計はe-Tax(電子申告)にも対応しています。e-Taxからの申告は24時間可能で、税務署へ行く必要もありません。青色申告であれば控除額が10万円分上乗せされるので、節税効果がさらに高くなります。
e-Tax(電子申告)を検討されている方はこちらをご覧ください。
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freee会計を使うとどれくらいお得?
freee会計には、会計初心者の方からも「本当に簡単に終わった!」というたくさんの声をいただいています。
税理士などの専門家に代行依頼をすると、確定申告書類の作成に5万円〜10万円程度かかってしまいます。freee会計なら月額980円(※年払いで契約した場合)から利用でき、自分でも簡単に確定申告書の作成・提出までを完了できます。
余裕をもって確定申告を迎えるためにも、ぜひfreee会計の利用をご検討ください。
よくある質問
損益通算とは?
対象となる所得区分の1年間で生じた損失を、ほかの利益と差し引いて相殺する制度です。
損益通算を詳しく知りたい方は、「損益通算とは?」をご覧ください。
損益通算できる所得とは?
損益通算の対象となる所得は、不動産所得・事業所得・譲渡所得・山林所得の4つです。
損益通算できる所得を詳しく知りたい方は、「損益通算できる所得」をご覧ください。
監修 安田 亮(やすだ りょう)
1987年香川県生まれ、2008年公認会計士試験合格。大手監査法人に勤務し、その後、東証一部上場企業に転職。連結決算・連結納税・税務調査対応などを経験し、2018年に神戸市中央区で独立開業。
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