監修 安田亮 安田亮公認会計士・税理士事務所
個人番号は、マイナンバー制度に伴って発行された、国民一人ひとりに与えられる固有の番号です。
個人事業主が開業する際に提出する開業届には、個人番号(マイナンバー)の記載が推奨されています。
本記事では、開業届への個人番号の書き方や注意点、提出方法などを解説します。
目次
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開業届に個人番号(マイナンバー)は原則必要
開業届(個人事業の開業・廃業等届出書)には、個人番号(マイナンバー)の記入欄が設けられています。
開業届とは、個人事業主が事業の開始や廃業を税務署に届け出るための書類です。税務署は届出内容をもとに事業主の所得や税金の管理を行います。開業届への個人番号の記載により、税務署での各種照合がスムーズになり、税務管理が効率化できます。
出典:国税庁「A1-5 個人事業の開業届出・廃業届出等手続」
開業届に個人番号を書かなかったらどうなる?
開業届への個人番号の記載は推奨されていますが、記載がないからといって税務署に受理を拒否されることはなく、未記載による罰則もありません。
ただし、税務手続きや青色申告の申請などで、個人番号が必要となる場合があります。開業届の提出時に個人番号を記載しておくことで、後々の手続きがスムーズに進められます。
開業届の控えには個人番号は書かない
開業届の控えは提出の証明書としてのみ利用されるため、個人番号の記載は不要です。また、控えの紛失などで個人情報が漏えいするリスクがあるため、むしろ個人番号の記載は避けるべきでしょう。
控えを作成する際は、個人番号を記入する前にコピーを取るか、すでに記入済みのものをコピーした場合は該当箇所を黒塗りするなどの対応が必要です。
開業届で個人番号を記入する箇所
開業届で個人番号を記入する箇所は、下記の画像の赤枠部分です。
記載内容に誤りがあると、後々の税務手続きでトラブルが発生する可能性があります。誤った情報を記載しないよう、次に紹介する方法で正確な番号を確認し記載しましょう。
個人番号を確認する方法
開業届に個人番号を記載する際は、正確な記載が求められるため、番号を確認できる正式な書類が必要です。ここでは、個人番号を確認するための以下の3つの方法を紹介します。
通知カードを確認する
マイナンバーの通知カードは、個人番号(マイナンバー)を通知するために、2015年から2020年まで発行されていた紙製のカードです。
通知カードには、氏名・住所・生年月日・性別、そして12桁の個人番号が記載されています。
通知カードの新規発行や再発行は、2020年5月25日をもって終了しており、通知カードを持っていない方は「マイナンバーカード(個人番号カード)の発行」や「個人番号通知書」を利用する必要があります。
出典:総務省「通知カードについて」
住民票を取得する
マイナンバーを確認する方法のひとつに、住民票の写しを取得する方法があります。
住民票には通常、マイナンバーは記載されていません。しかし、発行申請時に「個人番号(マイナンバー)を記載する」を指定すると、マイナンバー付きの住民票を発行してもらえます。
発行には手数料が必要で、本人または委任を受けた人が申請できます。詳細は、住所地の役所ホームページを参考にしてください。
マイナンバーカードを発行する
マイナンバーカードは、個人番号を確認できるICチップ内蔵のプラスチック製カードです。表面には氏名・住所・生年月日・性別・顔写真が記載され、裏面に個人番号が記載されています。
出典:デジタル庁「マイナンバーカード これからの暮らしに、手放せない一枚!」
マイナンバーカードは、本人確認書類として利用できるほか、行政手続きや確定申告、マイナポータルへのログインなど、さまざまな用途に活用できます。
カードの発行方法については、別記事「マイナンバーカードは作るべき?メリットとデメリットについて解説」を参考にしてください。
開業届のほかに個人番号の記入が必要なもの
個人事業主として開業して事業運営をする際は、開業届以外にも「給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書」に個人番号の記入が求められます。
なお、「給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書」は、給与の支払者が国内で給与等の支払事務を行う事務所を新たに開設・移転、または廃止した際に、税務署に届け出るための書類です。
開業届の提出方法
開業届は、以下のいずれかの方法で、管轄の税務署に期限内(開業から1ヶ月以内)の提出が求められています。
届出書の提出方法
- 紙の届出書を直接税務署の窓口に提出するか郵送する
- e-Taxで届出書を作成してオンライン申請する
なお、開業届の提出に必要な書類は、「個人事業主の開業届の提出に必要なものとは?必要書類の出し方や注意点も解説」をご参考ください。
税務署に紙で提出する
開業届を税務署に紙で提出する方法は以下の2つです。
紙で提出する方法
- 直接持参
- 郵送
ひとつ目は、直接持参する方法です。管轄の税務署に開業届を持参し、窓口で提出します。
ふたつ目は、郵送する方法です。開業届とその控えを同封し、税務署へ郵送します。控えは受領印を押して送り返してもらうため、返信用封筒(切手貼付・住所記載済み)の同封が必要です。
また、提出する際には開業届以外に以下の確認書類を用意します。
申請に必要な書類
- マイナンバー確認書類:個人番号カード・通知カード、またはマイナンバーが記載された住民票の写しなど
- 本人確認書類:運転免許証・パスポートなどの身分証明書
なお、マイナンバーカードがあれば本人確認と個人番号の確認ができるため、それのみの提示で問題ありません。
e-Taxで申請する
開業届は、e-Taxを利用してオンラインで提出できます。オンラインなら24時間いつでも自宅やオフィスなどで手続きが可能なため、日中に時間が取れない人にも便利です。
e-Taxでの申請は、以下の流れで行います。
e-Taxでの申請の流れ
- e-Taxの利用申請をする
- e-Taxソフトで開業届を作成する
- 開業届を提出して控えを保存する
e-Taxでの申請の詳細は国税庁の「e-Taxホームページ」もご参照ください。
e-Taxの利用申請をする
e-Taxを利用するには利用者識別番号(16桁)が必要です。取得方法は、Webでの申請や税務署での対面発行など7通りあります。
利用申請の詳細は、「e-Taxの使用に必要な利用者識別番号とは?取得方法について解説」を参考にしてください。
e-Taxソフトで開業届を作成する
e-Taxソフトをe-Taxホームページの「e-Taxソフトについて」でダウンロードし、パソコンにインストールします。
e-Taxソフトを起動したら、「申請・届出」メニューから「個人事業の開業・廃業等届出書」を選択し、必要事項を入力しましょう。
開業届を提出して控えを保存する
開業届を作成したら電子署名を付与し、e-Taxを通じて送信します。マイナンバーカード方式を利用する場合、別途本人確認書類の提示や添付は不要です。
開業届の提出後、e-Taxソフトのメッセージボックスに「受付通知」が届きます。
この通知を電子データとして保存し、必要に応じて印刷して保管してください。また、e-Taxのマイページからも提出内容や受付情報を確認でき、同じように控えとして利用できます。
まとめ
開業届は、個人番号(マイナンバー)を記載しなくても税務署に受理され、ペナルティはありません。ただし、記載しておけば確定申告などの手続きがスムーズに進みます。記載する際はマイナンバーカードなどを確認して間違いがないようにしてください。
一方、控えに個人番号は必要ないため、個人情報の漏えい防止のためにも空欄か黒塗りで保管しましょう。
開業届の提出方法は、紙での提出とe-Taxによるオンライン申請があります。とくにe-Taxは時間的コストや印刷の手間が減るため便利な方法です。
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個人事業を始める際には「開業届」を、青色申告をする際にはさらに「青色申告承認申請書」を提出する必要があります。 記入項目はそれほど多くはありませんが、どうやって記入したらいいのかわからないという方も多いと思います。
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freee開業で作成可能な5つの届出
1. 個人事業の開業・廃業等届出書
開業届のことです。
2. 所得税の青色申告承認申請書
青色申告承認申請書は事業開始日から2ヶ月以内、もしくは1月1日から3月15日までに提出する必要があります。期限を過ぎた場合、青色申告できるのは翌年からになるため注意が必要です。
3. 給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書
家族や従業員に給与を支払うための申請書です。
4. 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書
原則毎月支払う源泉所得税を年2回にまとめて納付するための手続です。毎月支払うのは手間ですので、ぜひ提出しましょう。
5. 青色事業専従者給与に関する届出・変更届出書
青色申告をする場合に、家族に支払う給与を経費にするための手続です。青色申告をして家族に給与を支払う場合は必ず提出しましょう。
freee開業の使い方を徹底解説
freee開業を使った開業届の書き方は、準備→作成→提出の3ステップに沿って必要事項を記入していくだけです。
Step1:準備編
準備編では事業の基本情報を入力します。迷いやすい職業欄も多彩な選択肢のなかから選ぶだけ。
事業の開始年月日、想定月収、仕事をする場所を記入します。
想定月収を記入すると青色申告、白色申告のどちらが、いくらお得かも自動で計算されます。
Step2:作成編
次に、作成編です。
申請者の情報を入力します。
名前、住所、電話番号、生年月日を記入しましょう。
給与を支払う人がいる場合は、上記のように入力をします。
今回は準備編で「家族」を選択しましたので、妻を例に記入を行いました。
さらに、見込み納税金額のシミュレーションも可能。
※なお、売上の3割を経費とした場合の見込み額を表示しています。経費額やその他の控除によって実際の納税額は変化します。
今回は、青色申告65万円控除が一番おすすめの結果となりました。
Step3:提出編
最後のステップでは、開業に必要な書類をすべてプリントアウトし、税務署に提出します。
入力した住所をもとに、提出候補の地区がプルダウンで出てきます。地区を選ぶと、提出先の税務署が表示されますので、そちらに開業届けを提出しましょう。
届け出に関する説明とそれぞれの控えを含め、11枚のPDFが出来上がりました。印刷し、必要箇所に押印とマイナンバー(個人番号)の記載をしましょう。
郵送で提出したい方のために、宛先も1ページ目に記載されています。切り取って封筒に貼りつければ完了です。
いかがでしょう。
事業をスタートする際や、青色申告にしたい場合、切り替えたい場合など、届出の作成は意外と煩雑なものです。
しかし、freee開業を活用すれば、無料ですぐに届け出の作成が完了。
また、確定申告書の作成もfreee会計を使えば、ステップに沿ってすぐに完了します。
freee開業とfreee会計を使って、効率良く届出を作成しましょう。
よくある質問
開業届に個人番号は書かなくてもいい?
開業届に個人番号を記載しなくても、基本的に税務署には受理されます。ただし、手続きの効率化のためには記載することが望ましいです。
開業届の個人番号について詳しく知りたい方は、「開業届に個人番号(マイナンバー)は必要」をご覧ください。
個人番号はどうやって確認する?
個人番号は、マイナンバーカードや通知カード、またはマイナンバーが記載された住民票の写しで確認できます。通知カードは新規発行や再発行が廃止されており、住民票や個人番号通知書の取得がもっとも簡単な確認方法です。
個人番号の確認方法を詳しく知りたい方は、「個人番号を確認する方法」をご覧ください。
監修 安田 亮(やすだ りょう)
1987年香川県生まれ、2008年公認会計士試験合格。大手監査法人に勤務し、その後、東証一部上場企業に転職。連結決算・連結納税・税務調査対応などを経験し、2018年に神戸市中央区で独立開業。