個人事業を始めると税務署へ開業届を提出する必要があります。開業届は事業を始めたことを税務署に知らせるほかにも、いろいろな役割があります。
開業届は事業を開始した証明になるため、屋号での銀行口座の開設やクレジットカード作成の際の審査が有利になる場合もあります。税制上の優遇措置を受けられる青色申告を選択するには開業届の提出は必須条件です。
開業届を提出する際に付けた屋号は、商号登記したり、商標登録したりできます。屋号を商号登記しておけば、信頼性が高まるのでブランド力のアップにつながります。商標登録は商品やサービスに屋号を使用することを法的に保護する手続きで、屋号の不正使用を防ぎ、ブランドを守ります。
この記事では個人事業主の開業の始め方や開業届および青色申告承認申請書の提出方法、屋号の商号登記や商標登録などについて詳しくご紹介します。
目次
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開業届を提出するのは「事業をしている人」
だれもが開業届を提出する必要があるわけではありません。開業届を提出するのは事業をしている人だけです。確定申告をする必要がある人でも事業をしていない人は、開業届を提出する必要はありません。例えばサラリーマンで医療費控除を受けるために確定申告する場合などは開業届を提出する必要はありません。
では事業とは何でしょうか。これには定義があります。事業とは「反復・継続・独立している仕事」のことです。
反復とは、その仕事を繰り返して行うことです。
継続とはその仕事をずっと行うことです。
独立とはどこかの組織の所属していないことです。
個人でお店を経営している場合は、商品を購入しそれをお客に販売します。この行為を繰り返し、継続して行います。また会社に所属していないので独立しています。そのため、お店の経営は反復・継続・独立の要件を満たす事業です。個人で使っている車を友人に売却した場合は、反復も継続もしないので事業にはなりません。
開業届の役割
開業届は大まかに言って以下の2つの役割があります。
<開業届の2つの役割>
- 税務署への通知
- 開業したという証明
個人事業主は法人のように登記を行う必要はありませんが、独立して事業を営んでいることを証明できないと銀行口座を開設しりクレジットカードの作成時に審査が不利になったりします。ここでは開業届の2つの役割について詳しく解説します。
1.税務署への通知
開業届の役割でまず挙げられるのが、税務署に開業したことを通知することです。法人の場合、定款という会社の定めを作り、法務局に何月何日に設立しましたという登記をします。そのため税務署は、法務局の登記簿などで会社を設立したことを知ることができます。しかし、個人事業主の場合は法務局への登記などは必要ありません。
「今日から開業するぞ!」と思い、仕事を始めたら開業です。そのため開業届を提出しなければ開業したことがわかりません。税務署からの重要なお知らせなども届かないので、開業するとできるだけ早く(提出期限は開業から1か月以内)開業届を提出しましょう。
2.開業したという証明
開業届は提出用と控え用の2部を税務署に提出します。控え用の開業届は受付印が押された状態で戻されます。税務署の受付印が押されているので、いわば公的な書類と見なされます。
屋号付き口座を開設するときや創業融資に申し込むとき、ハローワークの再就職手当などの申請をするときなど開業した証拠が必要な場合は、受付印の押された開業届の控えがその証明となります。
開業届作成の注意
開業届は開業後1か月以内に所轄の税務署に提出します。通常2部作成し、1部を提出用もう1部を控え用として提出します。税務署で控え用に受付印が押され、返却されます。
開業届を作成するときの主な注意点は以下のとおりです。
「個人事業の開業・廃業等届出書」11項目解説
①書類のタイトル
「個人事業の開業・廃業等届出書」…「開業」に○印をつけます。
②納税地
仕事場ではなく、個人事業主の住所を記載します。別の届け出を出すことで仕事場の住所にすることもできます。
③税務署
上記納税地に記載した住所の所轄税務署を記載します。
④提出日
書類の提出日を記載しますが、税務署に提出した際にもらう受付印に日付が入っているため記載しなくてもよいです。
⑤氏名
本名を記載します。ペンネームなどがある場合は屋号欄に記載します。
⑥個人番号
マイナンバーです。通知カードもしくは個人番号カードの番号を記載します。
⑦職業
書き方にきまりはありません。仕事内容がわかればよいので、迷ったら自分の言葉で記載してください。
⑧屋号
なければ省略可
⑨届出の区分
「開業」に○印をつけるだけです。他は記載しません。
⑩所得の種類
該当するものがあればチェックをつけます。
⑪開業日
開業した日を記載します。前述したとおり自分で決めてしまいます。
「事業所等を新増設、移転、廃止した場合」「廃業の事由が法人の設立に伴うものである場合」 は記載不要です。
※開業届にはマイナンバー(個人番号)の記載が必要です。税務署提出時に本人確認書類の提示を求められる場合があります。個人番号カードを持っている場合はそのカードを、通知カードしか持っていない場合は免許証やパスポートも一緒に持参してください。
開業届の作成を自分ですると思ったより手間がかかったり、記載する内容について悩んだりすることがあります。そんなとき便利なのが「開業freee」です。
開業届とは別にある「屋号の登録方法」
個人事業の屋号は法務局で商号登記を行うこともできます。屋号を商号登記しておくと、第三者が屋号を勝手に使用した場合、会社法または不正競争防止法に基づいて損害賠償または差止請求が可能です。銀行口座を開設したり、銀行融資を受けたりしやすくなります。
特許庁に屋号を商標登録しておけば、屋号が商標権の保護の対象となり、商品のブランド力を確保できるというメリットがあります。屋号の商号登記と商標登録のポイントをご紹介します。
屋号の商号登録とは
屋号の商号登記とは個人事業主の屋号を登記し、屋号や個人事業主の情報を公に公開することです。
<屋号の商号登記の手続き>
- 申請先:法務局
- 申請書:商号登記申請書
- 対象となる課税:登録免許税
- 持参する物:個人の実印と印鑑証明書、印鑑届出書(あれば屋号印)
商号登記には、個人の実印と印鑑証明書、印鑑届出書(あれば屋号印)、商号登記申請書、登録免許税が必要です。商号登記をする際はインターネットまたは法務局の商号調査端末で登記しようとする屋号が重複していないか確認しましょう。
商号登記すると第三者に対する対抗要件が発生するので、重複していた場合、最悪こちらが損害賠償ないし差止請求を受ける可能性があるからです。商号登記をしておけば、将来法人化したときも引き続き使用できます。
屋号の商標登録とは
屋号の商標登録とは、特許庁に屋号を登録して、屋号の使用を法的に保護する手続きのことです。
<屋号の商標登録の手続き>
- 申請先:特許庁
- 申請書:商標登録願
- 対象となる課税:特許印紙
商標登録を行っておくと、他社が商品やサービスについて登録した屋号を勝手に使用した際、屋号の使用差止や損害賠償を請求できます。屋号の商標登録には商標登録願と特許印紙が必要です。ただし屋号が重複していないか調べたり、どのような商品・サービスに対して使うのか区分しなければならなかったりするので、弁理士または特許事務所に相談することをおすすめします。
屋号の商号登記と商標登録については関連記事も参考にしてください。
【関連記事】
屋号の登録に関する基礎知識
freee開業なら、税務署に行かずに開業届をかんたんに作成
個人事業を始める際には「開業届」を、青色申告をする際にはさらに「青色申告承認申請書」を提出する必要があります。 記入項目はそれほど多くはありませんが、どうやって記入したらいいのかわからないという方も多いと思います。
そこでおすすめなのが「freee開業」です。ステップに沿って簡単な質問に答えていくだけで、必要な届出をすぐに完成することができます。
freee開業で作成可能な5つの届出
1. 個人事業の開業・廃業等届出書
開業届のことです。
2. 所得税の青色申告承認申請書
青色申告承認申請書は事業開始日から2ヶ月以内、もしくは1月1日から3月15日までに提出する必要があります。期限を過ぎた場合、青色申告できるのは翌年からになるため注意が必要です。
3. 給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書
家族や従業員に給与を支払うための申請書です。
4. 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書
原則毎月支払う源泉所得税を年2回にまとめて納付するための手続です。毎月支払うのは手間ですので、ぜひ提出しましょう。
5. 青色事業専従者給与に関する届出・変更届出書
青色申告をする場合に、家族に支払う給与を経費にするための手続です。青色申告をして家族に給与を支払う場合は必ず提出しましょう。
freee開業の使い方を徹底解説
freee開業を使った開業届の書き方は、準備→作成→提出の3ステップに沿って必要事項を記入していくだけです。
Step1:準備編
準備編では事業の基本情報を入力します。迷いやすい職業欄も多彩な選択肢のなかから選ぶだけ。
事業の開始年月日、想定月収、仕事をする場所を記入します。
想定月収を記入すると青色申告、白色申告のどちらが、いくらお得かも自動で計算されます。
Step2:作成編
次に、作成編です。
申請者の情報を入力します。
名前、住所、電話番号、生年月日を記入しましょう。
給与を支払う人がいる場合は、上記のように入力をします。
今回は準備編で「家族」を選択しましたので、妻を例に記入を行いました。
さらに、見込み納税金額のシミュレーションも可能。
※なお、売上の3割を経費とした場合の見込み額を表示しています。経費額やその他の控除によって実際の納税額は変化します。
今回は、青色申告65万円控除が一番おすすめの結果となりました。
Step3:提出編
最後のステップでは、開業に必要な書類をすべてプリントアウトし、税務署に提出します。
入力した住所をもとに、提出候補の地区がプルダウンで出てきます。地区を選ぶと、提出先の税務署が表示されますので、そちらに開業届けを提出しましょう。
届け出に関する説明とそれぞれの控えを含め、11枚のPDFが出来上がりました。印刷し、必要箇所に押印とマイナンバー(個人番号)の記載をしましょう。
郵送で提出したい方のために、宛先も1ページ目に記載されています。切り取って封筒に貼りつければ完了です。
いかがでしょう。
事業をスタートする際や、青色申告にしたい場合、切り替えたい場合など、届出の作成は意外と煩雑なものです。
しかし、freee開業を活用すれば、無料ですぐに届け出の作成が完了。
また、確定申告書の作成もfreee会計を使えば、ステップに沿ってすぐに完了します。
freee開業とfreee会計を使って、効率良く届出を作成しましょう。
開業届を提出期限までに出し忘れた時は?
開業届の提出期限は原則、開業後1か月以内です。では、この提出期限までに開業届を出し忘れてしまうとどうなるのでしょうか。もう提出できないのでしょうか。結論からいうと何か罰則があるということはありません。極論、開業届を提出せずに確定申告することも可能です。しかし、開業届を出していないと、前述したように開業した証明となる公的書類がありません。また、青色申告を希望する際には開業届が必要になります。
開業年度に青色申告をするためには、開業後2か月以内に青色申告承認申請書を税務署に提出する必要があります。原則、青色申告承認申請書は開業届と同時または、開業届を提出してからその後に提出します。青色申告承認申請書を提出期限後に提出した場合、開業年度の青色申告はできません。
開業後1か月以内に開業届を出し忘れた。しかし開業年度に青色申告を希望する場合は、遅くとも開業後2か月以内には青色申告承認申請書と一緒に開業届を提出しましょう。
開業届を出した後の節税のポイント
開業届や青色申告承認申請書を提出し、無事に事業をスタートした後に考えなくてはいけないのが、日々の経理の効率化と確定申告です。
確定申告を簡単に終わらせる方法
確定申告には青色申告と白色申告の2種類があります。どちらを選択するにしても、期限までに正確な内容の書類を作成し申告しなければいけません。
確定申告書を作成する方法は手書きのほかにも、国税庁の「確定申告等作成コーナー」を利用するなどさまざまですが、会計知識がないと記入内容に悩む場面も出てくるでしょう。
そこでおすすめしたいのが、確定申告ソフト「freee会計」の活用です。
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ここからは、freee会計を利用するメリットについて紹介します。
1.銀行口座やクレジットカードは同期して自動入力が可能!
1年分の経費の入力は時間がかかる作業のひとつです。freee会計に銀行口座やクレジットカードを同期すると、利用した内容が自動で入力されます。
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さらに有料プランでは、チャットで確定申告について質問ができるようになります。オプションサービスに申し込めば、電話での質問も可能です。
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3.〇✕形式の質問に答えると、各種控除や所得税の金額を自動で算出できる!
各種保険やふるさと納税、住宅ローンなどを利用している場合は控除の対象となり、確定申告することで節税につながる場合があります。控除の種類によって控除額や計算方法、条件は異なるため、事前に調べなければなりません。
freee会計なら、質問に答えることで控除額を自動で算出できるので、自身で調べたり、計算したりする手間も省略できます。
4.確定申告書を自動作成!
freee会計は取引内容や質問の回答をもとに確定申告書を自動で作成できます。自動作成した確定申告書に抜け漏れがないことを確認したら、税務署へ郵送もしくは電子申告などで提出して、納税をすれば確定申告は完了です。
また、freee会計はe-tax(電子申告)にも対応しています。e-taxからの申告は24時間可能で、税務署へ行く必要もありません。青色申告であれば控除額が10万円分上乗せされるので、節税効果がさらに高くなります。
e-tax(電子申告)を検討されている方はこちらをご覧ください。
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