開業の基礎知識

個人事業主も名刺は必要?作成するメリットや記載する情報に関して徹底解説

監修 北田 悠策 公認会計士・税理士

個人事業主も名刺は必要?作成するメリットや記載する情報に関して徹底解説

もし営業などで実際に取引先や顧客と接したり、交流会などで他の事業者と出会う場面があるなら、個人事業主・フリーランスであっても名刺はあったほうが良いかもしれません。名刺を渡さない場合に比べて、氏名や事業内容などを覚えてもらいやすいため、新たな仕事の獲得につながるでしょう。

本記事では、個人事業主における名刺作成のメリットや名刺に記載するべき情報、個人情報を記載することのリスクと対処策などについて詳しく解説します。

これから事業を開始する予定の人や、すでに開始している個人事業主・フリーランスは、ぜひ参考にしてください。

目次

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名刺の役割やビジネスで必要とされる理由

名刺とは、氏名・屋号など、ビジネスに関連した事項を記載した小型のカードです。実際に会った相手に渡すことで、氏名・屋号・事業内容などを知らせて覚えてもらうなどの役割があります。

現代の日本社会では、ビジネスの目的で初めて対面する相手と名刺を交換する習慣があります。そのため、会社経営者や会社員だけではなく、個人事業主・フリーランスも名刺を作成しておくことで、事業チャンスを逃さないでしょう。

個人事業主が名刺を作成・保有・交換するメリット

個人事業主・フリーランスは、名刺を初対面の相手と交換すれば、自社の事業を知ってもらうきっかけとなりビジネス活動を有利に展開できます。以下、名刺を作成・保有・交換するメリットを詳しく説明します。

名刺に記載した情報(氏名など)を覚えてもらえる

名刺には、氏名・屋号など、ビジネスに関する多種多様な情報が記載されます。名刺を受け取った相手は、名刺に記載されている情報をチェックし、一定期間覚えているでしょう。

名刺を渡さずに単に会っただけの場合、氏名などをすぐに忘れられてしまう可能性があります。「自分自身」を売り込む必要がある個人事業主・フリーランスだからこそ、氏名や人となりを相手に覚えてもらうために名刺は重要なツールです。

名刺に記載した情報が営業に役立つ

名刺に事業内容・店舗所在地・エリア・ウェブサイトのURLなどを記載しておけば、集客にも役立ちます。後日、名刺に記載されている内容を踏まえて、問い合わせや相談をしてくれるケースもあるでしょう。

高いスキルがあっても、存在を知ってもらわなければ仕事は獲得できません。交流会などに参加して積極的に名刺を交換し、認知してもらうことが大切です。

名刺を作成・保有することで社会的な信用を獲得できる

個人事業主・フリーランスは、個人であるために社会的な信用を得るまでに時間がかかります。弁護士・公認会計士・税理士・医師など、保有している資格によっては、名刺を交換し肩書を相手に伝えることで社会的な信用を得やすいでしょう。

また、カメラマンやイラストレーターなどの場合、実績や受賞歴を名刺に記載することも、信用を獲得しやすくなるという利点があります。

名刺を見て仕事を発注してくれる場合がある

名刺を渡しても、その相手と必ず契約に至るわけではありません。しかし、名刺を渡さない場合よりも、仕事を発注してくれる可能性が高まります。

どの事業者に発注するべきかを悩んでいる状況では、名刺を受け取ったことが発注先選びを左右するケースもあるでしょう。なるべく多くの相手に名刺を配り、氏名や事業内容などを覚えてもらうことが大切です。

個人事業主が名刺に記載するべき情報

名刺に記載する内容は、法的に定められているわけではなく、作成者の自由です。ただし、仕事の受注率を高めたいのであれば、以下の情報を記載しておくほうがよいで しょう。

個人事業主が名刺に記載するべき情報

  • 氏名・屋号など
  • 肩書き
  • 電話番号・メールアドレス・SNSアカウント
  • 事業内容・経歴・資格
  • 住所・営業エリアなど
  • ウェブサイトのURL

氏名・屋号など

氏名は、名刺の中央などに大きく記載してください。屋号がある場合は、氏名の近くに屋号も記載しましょう。

ライター・イラストレーター・モデルなど、ペンネームや芸名のみで活動している場合は、実名以外で記載することもご検討ください。

肩書き

ライター・イラストレーター・スポーツインストラクター・ピアノ講師など、肩書きも名刺に記載してください。法人化していない団体の代表を務めている場合は、「代表」と記載することも検討しましょう。

弁護士・公認会計士・税理士・医師・建築士などの場合、資格名を肩書きとして記載することも可能です。

電話番号・メールアドレス・SNSアカウント

名刺には、渡した相手が連絡できるように、電話番号も記載してください。プライベート用の電話番号を不特定多数に知られたくない場合は、別途、ビジネス用に電話番号を取得しその番号を記載しましょう。

なお、音声通話ではスムーズに理解できない複雑な問い合わせ内容がある場合、メールやSNSのダイレクトメッセージで送信する人もいます。そのため、電話番号だけではなく、メールアドレスや各種SNSのアカウントも連絡先として記載しておけば、チャンスを逃しません。

事業内容・経歴・資格

どのような事業を営んでいるのかを簡潔に記載しましょう。詳細な内容を相手に知ってもらいたい場合は、表面に簡潔に記載したうえで、裏面に詳しく記載する方法もご検討ください。

なお、現在の事業内容だけでなく、これまでの経歴などを踏まえて発注するべきかどうかを判断する人もいます。そのため、経歴や保有資格も記載し、受賞歴がある場合はその旨も記載しておきましょう。

住所・営業エリアなど

店舗を構えて事業を営んでいる場合は、店舗の所在地を記載してください。店舗がない場合(貸会議室などで営業している場合)は、自宅住所を記載しましょう。自宅の住所を不特定多数に知られたくない人は、詳細な場所ではなく大まかな営業エリアを記載する方法でも構いません。

インターネット上でのみ営業している場合は、自宅住所を記載する必要はありません。その場合は、ウェブサイトのURLを記載しましょう。

ウェブサイトのURL

インターネット上で営業している場合は、必ずウェブサイトのURLを記載しておきましょう。店舗を構えて営業している場合でも、可能であればウェブサイトを構築したうえでURLを記載するべきです。訪れるかどうかを悩んでいる人が、ウェブサイトを閲覧して訪問する意志を固めるケースがあります。

なお、無料のウェブサイト構築サービスではなく、有料サービスを利用して、自店舗のイメージに合致する独自ドメインを取得することもおすすめです。独自ドメインは、検索エンジンから信頼性が高いと認識されるため、SEO効果の向上が期待できます。

名刺のサイズ・デザイン

名刺のサイズは、普通型4号(55mm×91mm)が一般的です。デザインに関しては、白い紙に黒い文字で氏名などが記載される場合が多いものの、白以外の紙や黒以外の文字が使用される場合もあります。

事業内容のイメージに合ったカラーや文字を使用し、見やすく相手の印象に残るデザインを心がけましょう。訪問美容師など、介護・福祉に関連した仕事をしている人は、点字を入れた名刺を使用する場合があります。

名刺に自宅住所を掲載するリスクやデメリット

事業を営む以上、取引先に住所を伝えることが必要な場合もあるでしょう。しかし、個人事業主・フリーランスで働く場合、事務所として自宅の住所を記載することで、不特定多数の方に住んでいる場所を知られてしまうリスクもあります。

インターネット上でのみ営業している場合や、貸会議室などで営業している場合は、住所を印刷せず、必要な場合にのみ手書きする方法も検討しましょう。

名刺を作成する方法

名刺は、自力で作成することも可能です。ただし、作成枚数が多い場合や、デザインを工夫したい場合は、印刷会社やデザイナーに依頼する方法も検討しましょう。

印刷会社に依頼する

作成する枚数が多い場合は、印刷会社に名刺の印刷を依頼しましょう。印刷会社によっては、単に印刷するだけではなく、名刺のデザイン(紙や文字の色・配置など)も考案してくれることがあります。

紙の種類や料金・納品スピードなどを比較し、予算も踏まえてご自身に適した印刷会社を選びましょう。

デザイナーに依頼する

デザインにこだわりたい場合は、デザイナーに依頼することもご検討ください。

事業内容によって、ふさわしいデザインは異なります。芸人・ファッションモデルなど、芸能関係の仕事をしている場合は、斬新なデザインでもよいでしょう。しかし、弁護士などの場合は、奇抜なデザインではなく、受け取った人が安心・信頼できるデザインにしてもらうことをおすすめします。

ご自身で作成(印刷)する

プリンターがあれば、名刺作成用のソフトウェアを活用して、自宅で名刺を作成(印刷)できます。単に白い紙に黒い文字で氏名などを記載するのではなく、インターネット上でデザインのテンプレートを探して利用することも可能です。

ご自身で作成すれば欲しい分だけ印刷できるので、コストも抑えられたり、 名刺内容に変更が生じても、自分で手軽に変えられたりするでしょう。

まとめ

個人事業主・フリーランスであっても、事業を営むのであれば名刺を作成しておくメリットはあるでしょう。交流会などに参加して名刺を交換すれば、仕事の獲得につながります。

名刺には、氏名・屋号・保有資格・受賞歴・事業内容などを記載してください。事業の内容に適したデザインの名刺を作成し、社会的信用を得て売上増を実現しましょう。

なお、自宅の住所を名刺に掲載することにはリスクもあります。インターネット上でのみ営業している人は、住所を印刷せずに、必要な場合にのみ手書きすることも選択肢のひとつです。

事業を営むのであれば、名刺を用意することに加えて、経理処理を実施することも忘れてはいけません。日々の経理処理を効率化するために、freee開業のクラウド会計ソフトウェアを利用することもご検討ください。

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3. 給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書
家族や従業員に給与を支払うための申請書です。

4. 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書
原則毎月支払う源泉所得税を年2回にまとめて納付するための手続です。毎月支払うのは手間ですので、ぜひ提出しましょう。

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Step1:準備編

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準備編では事業の基本情報を入力します。迷いやすい職業欄も多彩な選択肢のなかから選ぶだけ。


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事業の開始年月日、想定月収、仕事をする場所を記入します。
想定月収を記入すると青色申告、白色申告のどちらが、いくらお得かも自動で計算されます。

Step2:作成編

次に、作成編です。


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申請者の情報を入力します。
名前、住所、電話番号、生年月日を記入しましょう。


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給与を支払う人がいる場合は、上記のように入力をします。
今回は準備編で「家族」を選択しましたので、妻を例に記入を行いました。


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さらに、見込み納税金額のシミュレーションも可能。
※なお、売上の3割を経費とした場合の見込み額を表示しています。経費額やその他の控除によって実際の納税額は変化します。

今回は、青色申告65万円控除が一番おすすめの結果となりました。

Step3:提出編

最後のステップでは、開業に必要な書類をすべてプリントアウトし、税務署に提出します。


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入力した住所をもとに、提出候補の地区がプルダウンで出てきます。地区を選ぶと、提出先の税務署が表示されますので、そちらに開業届けを提出しましょう。


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届け出に関する説明とそれぞれの控えを含め、11枚のPDFが出来上がりました。印刷し、必要箇所に押印とマイナンバー(個人番号)の記載をしましょう。

郵送で提出したい方のために、宛先も1ページ目に記載されています。切り取って封筒に貼りつければ完了です。

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よくある質問

個人事業主でも名刺は必要?

日本のビジネス慣習では、初対面の相手と名刺交換することが一般的です。事業を営むのであれば、個人事業主・フリーランスであっても名刺を作成しておきましょう。

ビジネスシーンで名刺が必要とされることに関して詳しく知りたい場合は、「名刺の役割やビジネスで必要とされる理由」をご覧ください。

名刺を交換するメリットとは?

単に会っただけでは、氏名や事業内容を覚えてもらえなかったり、すぐに忘れられたりする可能性があります。しかし、名刺を交換すれば、氏名や事業内容などを覚えてもらいやすく、仕事の受注につながる確率が高まるでしょう。

名刺を交換するメリットを詳しく知りたい場合は、「個人事業主が名刺を作成・保有・交換するメリット」をご覧ください。

監修 北田 悠策(きただ ゆうさく)

神戸大学経営学部卒業。2015年より有限責任監査法人トーマツ大阪事務所にて、製造業を中心に10数社の会社法監査及び金融商品取引法監査に従事する傍ら、スタートアップ向けの財務アドバイザリー業務に従事。その後、上場準備会社にて経理責任者として決算を推進。大企業からスタートアップまで様々なフェーズの企業に携わってきた経験を活かし、株式会社ARDOR/ARDOR税理士事務所を創業。

北田 悠策

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