個人で事業を行う場合、配偶者や子供など家族がその事業を手伝っている方も少なくないのではないでしょうか。
実は、ある一定の条件をクリアすると家族への給与を経費として計上することができます。
今回の記事では、確定申告と家族への給料について詳しくご紹介します。
目次
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所得税の基本の考え方
家族へ支払う給料が経費になるかどうかは、所得税の基本の考え方によります。
「その事業において家族は1つ」というのが所得税の基本的な考え方です。家族のお金も基本1つです。そのため、家族へ支払う給料は事業の経費にも、給料を受け取った家族の収入にもなりません。
このような所得税の基本的の考え方は、実は給料だけでなく他のことにも当てはまる考え方です。家族で事業を行う場合は覚えておいた方が良いでしょう。例えば、配偶者名義になっている土地・建物でお店を始め、配偶者に家賃を支払った場合、この家賃は事業の経費にも、配偶者の収入にもなりません。
※お金を支払ってはいけないというものではありません。その支払ったお金は経費にならないということです。
家族への給与を経費にするには?
上記で所得税の基本的な考え方について説明しましたが、個人事業の場合は家族で夜遅くまで働くときなども多くあるでしょう。そんな家族に支払った給料が経費にならないのは、納得いかないという声も実際多くあります。
実は家族に支払った給料を経費にする方法があります。それが「青色申告」です。そこでまず「青色申告」と「白色申告」の違いについて見ていきましょう。
①青色申告とは
日本の確定申告は納税者が自分で利益や税金の金額を計算し、申告・納税する制度です。しかし、正しい利益や税金の金額を計算するためには、普段から日々の取引について正確な帳簿付けをしておく必要があります。
「普段から正確な帳簿付けをしている人を優遇しますよ」というのが青色申告です。青色申告はその帳簿の正確性などにより、さらに10万円控除と65万円控除の2つに分かれます。
②青色申告と白色申告の違い
青色申告と白色申告を簡単にまとめると以下のとおりです。
白色申告 | 青色申告 | |
所得 | すべての所得 | 不動産所得・事業所得・山林所得 (山林所得は10万円控除のみ) |
事前の届け出 | 不要 | 必要 |
記帳方法 | 単式簿記 | 複式簿記(10万円控除は単式簿記) |
帳簿の保存義務 | あり | あり |
青色申告の特典 | なし | あり |
(1)対応する所得
青色申告ができる所得は不動産所得・事業所得・山林所得(10万円控除のみ)と決まっています。白色申告はすべての所得が対象です。
(2)事前の届け出
青色申告をするためには事前の届け出が必要です。白色申告は届け出が必要ないため手間はかかりません。
※青色申告をするためには、事前に「開業届」と「青色申告承認申請書」を作成する必要があります。
(3)記帳方法
白色申告と青色申告10万円控除は単式簿記という簡単な記帳方法で処理できます。それに対し、青色申告65万円控除は複式簿記という少し複雑な記帳方法が必要です。
(4)保存義務
白色申告も青色申告も保存義務があります。白色申告の場合、昔は一定の所得がある場合のみ保存義務がありましたが、平成26年1月からすべての白色申告者に対して記帳義務及び記録保存義務が適用されました。
(5)特典
白色申告に特典はありませんが、青色申告にはさまざまな特典があります。この特典の1つに「家族に支払った給料を経費にできる」というものがあります。この特典を「青色事業専従者給与」といいます。
青色申告の特典
「青色事業専従者給与」については後で詳しく述べます。それ以外の特典について、簡単に見ておきましょう。
①青色申告特別控除
青色申告の特典で、最も有名なのが10万円または65万円の青色申告特別控除です。
税金が10万円または65万円控除されるのではなく、その前段階である「所得金額」を求めるときに控除されるというものです。
「所得金額」とは売上などの収益から仕入などの費用をひいた「もうけ」で、ここからさらに青色申告特別控除を差し引きます。つまり所得金額=収益-費用-青色申告特別控除額となります。
②損失の繰り越し
確定申告は1年間と期間を区切って行うので、そこで赤字が出ても基本的には翌年に繰り越すことができません。ただし、青色申告をしている場合は赤字の金額を3年間繰り越すことができます。赤字を繰り越すことで、翌年以降出た黒字をその赤字と相殺することができます。
※この制度を適用するためには、毎年連続して確定申告をする必要があります。
青色申告の特典にはそのほかにも、1つあたり30万円未満のものを購入年度の経費にすることができる「少額減価償却資産の特例」や、「貸倒引当金の繰り入れ」などがあります。
家族への給与を経費にできる!青色事業専従者給与とは
先ほど述べた「青色事業専従者給与」について、くわしく見ていきましょう。
青色申告をしている場合、「青色事業専従者給与に関する届出書」を税務署に提出することで、15才以上の家族に対する給料を経費にすることができます。
「青色事業専従者給与に関する届出書」には提出期限があるので注意しましょう。届出書の提出期限は事業開業の日から2か月以内、または青色事業専従者給与額を算入しようとする年の3月15日までです。平成30年から青色申告専従者給与を使いたいときは、平成30年3月15日までに届け出を出さなければなりません。また、青色事業専従者になることができる家族には以下の要件があります。
①青色申告者と生計を一にする配偶者、その他の親族であること
②その年の12月31日現在で年齢が15歳以上であること
③1年を通じて半年以上もっぱらその事業に専従していること
※「青色事業専従者給与に関する届出書」を提出したからといって、必ず給与を支払わなければならないということはありません。例えば配偶者の場合、専従者給与を出さずに配偶者控除を受けることも可能です。そのため、とりあえず「青色事業専従者給与に関する届出書」を提出し、利益などを考えながら専従者給与、配偶者控除の有利な方を選べば賢く節税できます。
まとめ
今回は「青色事業専従者給与」についてご紹介しました。青色事業専従者給与は青色申告の特典のひとつで、一定の家族への給料を経費にできるというものです。この特典を受けるためには、要件やあらかじめ届出書の提出などが必要です。この記事を参考に青色事業専従者給与の制度をかしこく利用しましょう。
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個人事業を始める際には「開業届」を、青色申告をする際にはさらに「青色申告承認申請書」を提出する必要があります。 記入項目はそれほど多くはありませんが、どうやって記入したらいいのかわからないという方も多いと思います。
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freee開業で作成可能な5つの届出
1. 個人事業の開業・廃業等届出書
開業届のことです。
2. 所得税の青色申告承認申請書
青色申告承認申請書は事業開始日から2ヶ月以内、もしくは1月1日から3月15日までに提出する必要があります。期限を過ぎた場合、青色申告できるのは翌年からになるため注意が必要です。
3. 給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書
家族や従業員に給与を支払うための申請書です。
4. 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書
原則毎月支払う源泉所得税を年2回にまとめて納付するための手続です。毎月支払うのは手間ですので、ぜひ提出しましょう。
5. 青色事業専従者給与に関する届出・変更届出書
青色申告をする場合に、家族に支払う給与を経費にするための手続です。青色申告をして家族に給与を支払う場合は必ず提出しましょう。
freee開業の使い方を徹底解説
freee開業を使った開業届の書き方は、準備→作成→提出の3ステップに沿って必要事項を記入していくだけです。
Step1:準備編
準備編では事業の基本情報を入力します。迷いやすい職業欄も多彩な選択肢のなかから選ぶだけ。
事業の開始年月日、想定月収、仕事をする場所を記入します。
想定月収を記入すると青色申告、白色申告のどちらが、いくらお得かも自動で計算されます。
Step2:作成編
次に、作成編です。
申請者の情報を入力します。
名前、住所、電話番号、生年月日を記入しましょう。
給与を支払う人がいる場合は、上記のように入力をします。
今回は準備編で「家族」を選択しましたので、妻を例に記入を行いました。
さらに、見込み納税金額のシミュレーションも可能。
※なお、売上の3割を経費とした場合の見込み額を表示しています。経費額やその他の控除によって実際の納税額は変化します。
今回は、青色申告65万円控除が一番おすすめの結果となりました。
Step3:提出編
最後のステップでは、開業に必要な書類をすべてプリントアウトし、税務署に提出します。
入力した住所をもとに、提出候補の地区がプルダウンで出てきます。地区を選ぶと、提出先の税務署が表示されますので、そちらに開業届けを提出しましょう。
届け出に関する説明とそれぞれの控えを含め、11枚のPDFが出来上がりました。印刷し、必要箇所に押印とマイナンバー(個人番号)の記載をしましょう。
郵送で提出したい方のために、宛先も1ページ目に記載されています。切り取って封筒に貼りつければ完了です。
いかがでしょう。
事業をスタートする際や、青色申告にしたい場合、切り替えたい場合など、届出の作成は意外と煩雑なものです。
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