開業の基礎知識

エステサロンの開業に必要なものは?資金や届出、サロンの成功ポイントを解説

監修 大柴 良史 社会保険労務士・CFP

エステサロンの開業に必要なものは? 資金や届出、サロンの成功ポイントを解説

エステサロンの開業にあたっては、開業資金や備品の準備、届出などが必要です。開業準備にかかる期間や届出の種類などを事前に確認し、漏れのないように対応します。

開業の手続きや準備に漏れがあると、開業そのものが遅れたり、事業開始後に設備や備品の不足が見つかり顧客満足度が下がったりといったことが起きかねません。

本記事では、エステサロンの開業までの流れや開業に必要な資金額の考え方、開業費用を抑える方法、開業を成功させるポイントなど、開業準備をスムーズに進めるためにおさえておくべき点を解説します。

開業に関する基礎知識を知りたい方は、別記事「開業とは?開業と起業との違いやメリット・デメリットを解説」をあわせてご覧ください。

目次

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エステサロンの開業準備には6ヶ月以上の期間がかかる

エステサロンの開業にあたって、事前準備として主にやるべきことと要する期間は以下のとおりです。

やるべきこと要する期間
①事業計画の策定・必要資金額の算定・資金調達方法の検討2〜3ヶ月
②融資の審査1ヶ月
③立地・物件・競合店調査、物件選定・契約3〜4ヶ月
④内装・外装設計、工事1〜2ヶ月
⑤設備・備品の準備2〜3ヶ月
⑥採用活動・スタッフ研修数ヶ月〜半年
⑦HPやビラなど集客用のツール作成2ヶ月
⑧各種届出書の作成・提出1ヶ月

エステサロンの規模や設備の内容など個々人によって異なりますが、開業準備の期間は少なくとも6ヶ月はかかると考えておきましょう。

ただし、自宅で開業するため物件の調査・選定の手間を省ける場合や、内装・外装工事が不要または簡単な工事内容で済む場合などは、比較的早く開業できることがあります。

一方で、たとえば平日は働いていて仕事が休みの土日にしか開業準備のための時間を取れない場合などは、開業前の準備期間としてより長い期間を想定しておく必要があります。

事業の見通しを立てるためにも、まずは事業計画を立ててスケジュール表を作成して、開業準備にかかるおよその期間を見積もってから対応を進めましょう。

エステサロンの開業に資格は必要?

エステサロンを開業するにあたって、資格は必要ありません。美容師や理容師のような国家資格が必要な職種とは異なり、エステティシャンに国家資格は不要です。そのため、法律上は未経験者でも開業が可能であり、スキルや経験年数に関係なく開業できます。

ただし、エステティシャンは知識や経験、技術が必要とされる職業です。そのため、エステティシャンになる場合は、美容専門学校やエステティックスクールで学んだり民間資格を取得したりして知識を身に付けてから開業することが一般的です。

エステティシャンに関する民間資格としては、「日本エステティック協会(AJESTHE)」や「日本エステティック業協会(AEA)」が認定する資格などがあります。これらの民間資格を取得すれば知識を習得できるだけでなく、有資格者が施術を行う店舗として店舗イメージの向上・顧客からの信頼獲得につながります。

なお、提供するメニューによっては美容師や理容師などの国家資格が必要になるものがあります。たとえば、まつ毛パーマでは美容師の免許が、顔の産毛のシェービングでは理容師の免許が必要です。必要な国家資格をを持っていない場合は、これらのメニューを提供することはできません。

エステサロンを開業する流れ

エステサロンの開業は、以下の流れで準備を進めます。

エステサロンを開業する流れ

  1. 事業計画を立てる
  2. 開業資金や運営資金の金額を計算して資金を準備する
  3. 開業する場所を決める
  4. 店舗づくりと設備・備品の準備を進める
  5. 必要な届出の種類を確認して提出する

1. 事業計画を立てる

どのような事業であっても、開業するときはまず事業計画を立てることが重要です。エステサロンも同様で、途中で事業の方向性が曖昧になって失敗することがないように、開業前に事業計画を策定して事業の内容や販売戦略を明確にしておきましょう。

また、融資の審査では一般的に事業計画書(創業計画書)の提出を求められるので、金融機関から融資を受ける予定の場合は事業計画書の作成が必要です。補助金の審査でも、申請時に事業計画書の提出が必要になる場合があります。

創業にあたって融資を受ける場合の事業計画書に盛り込むべき主な項目は、以下のとおりです。

創業時の事業計画書に盛り込むべき主な項目

  • 創業の動機
  • 経営者の略歴
  • 事業内容(ターゲット層や提供するサービスの内容)
  • 人員・体制
  • 販売戦略(集客方法)
  • 必要な資金額と資金調達方法
  • 財務計画(売上高・経費・利益など事業の見通し)

事業計画を立てるにあたっては、資金計画の策定も重要な項目のひとつです。

設備・備品の購入費用や内装・外装工事費用など、開業前にかかる費用の金額を確認するとともに、開業後の売上高や経費、利益の金額の見込額も確認して、事業として成り立つのか確認する必要があります。

【関連記事】
事業計画書とは?事業計画書を作成する目的や作り方について解説
個人事業主に事業計画書の作成は必要?作成のメリットや注意事項について解説

2. 開業資金や運営資金の金額を計算して資金を準備する

資金計画を立てたら、開業に必要な資金や開業後の運転資金を準備します。資金調達の方法の例として、以下が挙げられます。

資金調達の方法

  • 銀行など金融機関からの借入れ
  • 日本政策金融公庫からの借入れ
  • 補助金や助成金の活用

融資の審査にかかる期間は1週間〜1ヶ月以上と、金融機関や金融商品によって大きく異なります。開業に向けて事業計画を立てる際は期間に余裕を持たせておきましょう。

利用条件や融資限度額、申請時に必要な書類など、融資の概要は金融機関や日本政策金融公庫のサイトで確認できる場合があります。

たとえば、低金利な公的融資として挙げられる日本政策金融公庫による「新規開業資金」の利用上限などは以下のとおりです。

■日本政策金融公庫「新規開業資金」の概要

項目内容
対象者新たに事業を始める人、または事業開始後おおむね7年以内の人
資金の使途新たに事業を始めるため、または事業開始後に必要とする設備資金および運転資金
融資限度額7,200万円(うち運転資金4,800万円)
返済期間設備資金:20年以内
運転資金:10年以内
出典:日本政策金融公庫「新規開業資金の概要」

融資者の状況によっては基準利率よりも低い特別利率が適用されたり、一定の目標を達成したりした際には、年利率が引き下げられることがあります。

自治体などが実施している補助金・助成金制度は、原則返済不要である点がメリットです。ただし、申請期間が決まっている場合や補助金・助成金が支給されるまで時間がかかる場合があるので、制度の内容は自治体のサイトなどで事前に確認するようにしてください。



出典:日本政策金融公庫「新規開業資金の概要」

【関連記事】
開業資金と融資の基礎知識!どうすれば融資されやすい?

3. 開業する場所を決める

店舗を構える場所は、集客や売上に大きな影響を与える重要な要素です。開業場所の選定では、賃料や集客のしやすさ、自身がターゲットとして設定した層が多く行き交う地域かどうかなどを考慮して物件を探すようにしましょう。

エステサロンの開業で失敗しないために、いくつか開業候補地を定め、エリアや物件の調査を行うといいでしょう。

エステサロンの開業では、物件を借りて開業するほか、自宅で開業するケースもあります。それぞれのメリット・デメリットは以下のとおりです。

自宅開業のメリット・デメリット

  • メリット
    賃料がかからず初期費用を抑えられる・通勤に時間がかからない・営業時間を自由に決めることができる・家事や育児、介護と両立しやすい
  • デメリット
    自宅の改装に時間や費用がかかる場合がある・自宅がある地域によっては集客に向かない場合がある・仕事とプライベートの境界が曖昧になりやすい

店舗開業のメリット・デメリット

  • メリット
    集客に適した立地を選んで開業できる・希望にあった内装にしやすい
  • デメリット
    物件探しに手間がかかる・賃料や敷金、保証金がかかる・内装工事に費用がかかる

自宅の場合は賃料がかからない点がメリットである反面、閑静な住宅街などで人通りが少ない場合は集客に苦労する可能性がある点がデメリットです。一方、店舗を借りる場合は賃料がかかる点がデメリットですが、駅近や商業施設の近くであれば人通りが多くて集客しやすい物件だといえます。

4. 店舗づくりと設備・備品の準備を進める

エステサロンを運営するためには、ベッドや机、椅子などの家具、タオルや化粧品、シーツ、スリッパなどの備品を調達しなければなりません。必要な設備が整っているかどうかは、顧客満足度にも影響します。必要なものを事前にリストアップし、漏れのないように調達をしましょう。

家具のほか、美顔器などのエステサロンで使用する機器を用意する場合、中古品を購入し対応することもできます。開業時の費用を抑えたい場合は、中古品の購入やリース契約にしてもよいでしょう。

5. 必要な届出の種類を確認して提出する

一般的に、エステサロンの開業では保健所への届出は必要ありません。ただし、以下の場合には保健所への届出が必要です。

保健所への届出が必要になるケース

  • 理容師・美容師など国家資格が必要とされる施術を行う場合
  • 首から上の施術を行う場合

たとえば、理容師・美容師としてヘアカットや顔剃りを行う場合や、首から上の施術としてまつ毛パーマやまつ毛エクステなどの施術を行う場合、保健所への届出が必要になります。

保健所に届出をするときの手続きの流れは以下のとおりです。

保健所への届出の流れ

  1. 店舗がある市区町村の保健所に相談し、提出が必要な書類を確認する
  2. 開業届や従業員名簿、平面図など必要書類を用意・提出する
  3. 保健所による検査を受ける

また、個人で事業を開始するのであれば、税務署に開業届の提出が必要です。

労働者を雇う場合は、必要に応じて税務署や労働基準監督署・公共職業安定所・年金事務所へ届出を行います。主な届出の種類や提出期限は以下のとおりです。

■税務関係の届出

書類対象提出期限提出先
個人事業の開業・廃業等届出書
(開業届)
事業を開始した場合事業開始日から1ヶ月以内税務署
青色申告承認申請書青色申告で確定申告する場合青色申告書による申告をしようとする年の3月15日まで
※事業開始日がその年の1月16日以後の場合は事業開始日から2ヶ月以内
青色事業専従者給与に関する届出書青色専従者給与を経費として計上する場合経費として計上する年の3月15日まで
※その年の1月16日以降に開業した場合や新たに事業専従者を有することとなった場合はその日から2ヶ月以内
給与支払事務所等の開設届出書給与等の支払事務を取り扱う事務所等を開設した場合事務所等の開設の日から1ヶ月以内
源泉所得税の納期の特例及び納期限の特例に関する届出書給与の支給対象が常時10人未満である源泉徴収義務者で、納期の特例制度の適用を受けて年2回の納付にする場合特になし
※原則として提出した日の翌月に支払う給与等から適用される
事業開始等申告書事業を開始した場合自治体によって異なる都道府県の税事務所
出典:国税庁「個人事業の開業届出・廃業届出等手続」
出典:国税庁「所得税の青色申告承認申請手続」
出典:国税庁「青色事業専従者給与に関する届出手続」
出典:国税庁「給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出」
出典:国税庁「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請」

■社会保険関係の届出

書類対象提出期限提出先
労働保険保険関係成立届労働者を雇用して労働保険の適用対象となる場合保険関係が成立した日の翌日から10日以内労働基準監督署
労働保険概算保険料申告書保険関係が成立した日の翌日から50日以内
雇用保険適用事業所設置届労働者を雇用して雇用保険の適用対象となる場合設置の日の翌日から10日以内公共職業安定所
雇用保険被保険者資格取得届当該事実があった日の翌月10日
健康保険・厚生年金保険新規適用届出法人事業の場合は強制加入、個人事業の場合は従業員5人以上で強制加入
※サービス業の一部や農業、漁業等は任意加入
当該事実の発生から5日以内年金事務所
健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届健康保険・厚生年金保険の被保険者となる従業員を雇用する場合
健康保険被扶養者(異動)届被保険者となった者に被扶養者がいる場合や被扶養者の追加等があった場合
健康保険被保険者資格取得届事業主が国民健康保険に加入する場合異動の事実があった日から14日以内市区町村役場
国民年金被保険者資格取得届事業主が国民年金に加入する場合当該事実があった日の翌日から14日以内
出典:厚生労働省「労働保険の成立手続」
出典:日本年金機構「新規適用の手続き」
出典:日本年金機構「従業員を採用したとき」
出典:日本年金機構「従業員(健康保険・厚生年金保険の被保険者)が家族を被扶養者にするとき、被扶養者に異動があったときの手続き」


個人で事業を開始する際に必要な届出や手続きの詳細は、別記事「個人事業主として開業するには何が必要? 独立・起業時の手続きの流れや注意点を解説」をご覧ください。

エステサロンの開業で必要な資金はいくら?

エステサロンの開業にあたっては、開業資金と当面の運転資金の準備が必要です。運転資金は人件費や消耗品代、賃料などが毎月いくらかかるかをもとに算出します。

開業資金については、自宅で開業する場合と賃貸物件で開業する場合で目安額が変わります。自宅で開業する場合は30万円から数百万円、物件を借りる場合は500万円以上かかることもあります。

以下では、開業で必要な資金の内訳を解説します。

自宅で開業する場合

自宅で開業する場合、賃料はかからず、保証金や敷金なども不要です。備品代や消耗品代などはかかるものの30万円前後の開業資金で開業できる場合もあります。ただし、機器や備品の準備に費用がかかり、開業にあわせて自宅の内装の変更や改築が必要な場合は費用がかかります。

美顔器など、エステサロンの運営で必要になる機器の中には数十万円から数百万円する機器もあり、さらに備品の購入費用や通信機器代、広告宣伝費も必要です。

自宅で開業する場合にかかる主な費用

  • 内装工事費用:10万円~数百万円
  • 消耗品・備品購入代:数万円
  • エステ機器の購入代:数十万円~数百万円

物件を借りて開業する場合

賃貸物件を借りて開業する場合、一般的に保証金や敷金がかかります。家賃が月20万円、保証金が10ヶ月分であれば保証金だけで200万円かかる計算です。

内装工事を行う場合、工事にかかる費用はスケルトン物件なのか居抜き物件なのか、どのような内装にするのかによって異なり、内装工事費用が200万円前後で済む場合もあれば500万円以上かかる場合もあります。

さらに備品の購入費用や通信機器代、広告宣伝費も必要です。

物件を借りて開業する場合にかかる主な費用

  • 内装工事費用:数百万円
  • 家賃・保証金・敷金:賃料や賃貸契約の内容によって異なる
  • 消耗品・備品購入代:数万円
  • エステ機器の購入代:数十万円~数百万円

エステサロンの開業費用を抑える方法

エステサロンを開業する際に工夫をすれば開業費用を抑えることができ、より少ない資金で開業できる場合があります。

以下では、開業費用を抑える方法をいくつか紹介します。

中古品購入やリース契約で備品・設備関連費用を抑える

設備・備品関連の一部を中古品でまかなえられれば、新品を購入する場合よりも費用を安く抑えられます。

また、機器を購入するのではなくリース会社から借りるリース契約によって機器を準備する方法もあります。リース契約は支払いを分割できるため、機器を購入して代金を一括で支払う場合と比較すると開業時の費用負担を抑えることができます。

高額の機器を購入する前にまずはリース契約で導入し、使用感や顧客の評価を踏まえたうえで購入をすることで、ムダな支出を抑えることにもつながります。

補助金・助成金を活用する

国や、自治体によっては開業者向けのさまざまな補助金・助成金を用意していることがあります。利用できそうな補助金・助成金がないか、開業する地域の自治体サイトなどで確認してみましょう。

たとえば、東京都中小企業振興公社の「創業助成金」の場合、東京都内で創業を予定している人や創業後5年未満の中小企業者等のうち一定の要件を満たす人が利用できます。

助成限度額は上限額が400万円、下限額が100万円で、助成率は助成対象と認められる経費の3分の2以内です。助成対象経費には、賃借料や広告費、器具備品購入費、産業財産権出願・導入費、専門家指導費、従業員人件費、委託費(市場調査・分析費)が含まれます。


出典:東京都産業労働局 東京都産業NET「創業助成金(東京都中小企業振興公社)」

エステサロンの開業を成功させるポイント

エステサロンの開業を成功させるためには、事業計画やブランディングを正しく行う必要があります。以下では、エステサロンの開業を成功させるための主なポイントを紹介します。

事業で成功するためにはビジネスプランを考えておくのが重要です。ビジネスプランについて知りたい方は、別記事「ビジネスプランの書き方ガイド!事業計画書との違いや活用場面も紹介」をご確認ください。

無理なく成長できる事業計画を立てる

事業計画は、実現可能性を考慮した無理のない計画か確認しながら立てる必要があります。

目標の売上が到達不可能な金額ではないか、見込みの集客数や売上に対して採用人数は適切か、投資の額に対する売上目標は適切かなどの点に注意しながら、計画を立てるようにしましょう。

無理のある事業計画だと、開業資金の融資を受けたくても金融機関の融資審査に落ちる可能性や、事業が途中で失敗する可能性も高くなります。

事業計画は一度立てたら終わりではなく、四半期に1回など必要に応じて見直しながら、状況に応じて修正を加えていくものです。目標を大きく下回っている場合には下方修正を、目標を大きく超える売上が上がっている場合には上方修正をしながら、適切な目標を定めるようにしましょう。

競合店舗と差別化ができるブランディングを

エステサロンを開業するうえでは、競合店舗と差別化を図り、自店舗の強みを打ち出していくことも重要なポイントのひとつです。

ブランディングは以下の方法などで実践できます。

ブランディングを行う方法

  • 競合分析をして自店舗の強みを見つける
  • コンセプトやターゲットを明確にする
  • ターゲットに合わせた容・手法で集客施策を実施する

競合分析をして自店舗の強みを見つける

開業するエリアにすでに同業他店が存在する場合、差別化を図ることが必要です。既存の店舗と同じサービスを提供するだけでは、ターゲットは自店を選んでくれない可能性があります。

ターゲットの来訪・再訪を促すためには、自店ならではの強みや魅力を持たなければいけません。競合調査を行ってそれぞれの特徴を分析することで、競合店舗と自店舗の強み・弱みを把握できるようになります。

コンセプトやターゲットを明確にする

競合調査を行った結果、自店舗ではどのようなサービスを提供すると集客や売上向上につながるのかを確認できたら、自社の強みを打ち出せるコンセプトを設定しましょう。

たとえば、高い技術をアピールしたいのであれば「○○受賞経歴を持つオーナープロデュース」など、自らの経歴をHPや広告の内容に盛り込むことが考えられます。特別感を重視したいのであれば、「1日○組限定の完全予約制サロン」など、限定感を打ち出してもよいでしょう。

また、エステサロンの開業ではターゲット層を明確にすることも重要です。性別や年齢、年収、独身か既婚か、どのような層をターゲットにするかでそのターゲット層が求めるニーズの内容が変わり、顧客ニーズへの対応方法や提供するサービスの内容が変わります。

ターゲット層を決めた後、アンケートやヒアリングなどを行えば、より具体的な人物像をイメージ・把握できます。ペルソナを設定することで自店舗がサービスを提供する顧客像がより明確になり、適したサービス内容や価格帯、集客に使うべきツールや媒体なども見えてきます。

ターゲットに合わせた内容・手法で集客施策を実施する

顧客を獲得して事業を軌道に乗せるためには、集客方法も重要です。集客方法にはSNSの活用やHPの開設、広告などさまざまな方法があります。

アンケートやヒアリング、ペルソナ設定によって見えてきた顧客像をもとに、ターゲットが利用していると想定されるSNSや広告媒体を用いて集客を図りましょう。

エステサロンにとって口コミはターゲットが利用の可否を決定する大きな判断要素となりえます。そのため、利用ユーザーに向けて口コミを書いてもらえるようなキャンペーンを行うことも集客につながる有効な方法のひとつといえるでしょう。

まとめ

エステサロンを開業するときには、事業計画を立ててターゲットにする顧客層を明確にすることが大切です。準備にあたっては、開業後に慌てたり困ったりすることがないように、備品や届出書類など開業に必要なものをあらかじめリストアップし、漏れがないよう対応しましょう。

開業に必要な資金の金額は、物件選びや開業時に用意する設備などによって大きく変わります。

開業後に失敗しないために、事業計画を立てる際に資金繰りについても確認して、補助金や助成金を活用するなど少しでも費用負担を抑える方法がないか確認しましょう。

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Step1:準備編

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準備編では事業の基本情報を入力します。迷いやすい職業欄も多彩な選択肢のなかから選ぶだけ。


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事業の開始年月日、想定月収、仕事をする場所を記入します。
想定月収を記入すると青色申告、白色申告のどちらが、いくらお得かも自動で計算されます。

Step2:作成編

次に、作成編です。


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申請者の情報を入力します。
名前、住所、電話番号、生年月日を記入しましょう。


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給与を支払う人がいる場合は、上記のように入力をします。
今回は準備編で「家族」を選択しましたので、妻を例に記入を行いました。


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さらに、見込み納税金額のシミュレーションも可能。
※なお、売上の3割を経費とした場合の見込み額を表示しています。経費額やその他の控除によって実際の納税額は変化します。

今回は、青色申告65万円控除が一番おすすめの結果となりました。

Step3:提出編

最後のステップでは、開業に必要な書類をすべてプリントアウトし、税務署に提出します。


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入力した住所をもとに、提出候補の地区がプルダウンで出てきます。地区を選ぶと、提出先の税務署が表示されますので、そちらに開業届けを提出しましょう。


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届け出に関する説明とそれぞれの控えを含め、11枚のPDFが出来上がりました。印刷し、必要箇所に押印とマイナンバー(個人番号)の記載をしましょう。

郵送で提出したい方のために、宛先も1ページ目に記載されています。切り取って封筒に貼りつければ完了です。

いかがでしょう。
事業をスタートする際や、青色申告にしたい場合、切り替えたい場合など、届出の作成は意外と煩雑なものです。

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よくある質問

エステサロンを開業するまでにかかる期間は?

エステサロンの開業に向けた準備期間として6ヶ月以上は見積もったほうがよいでしょう。物件の選定や機材の準備、各種届出の提出など、開業前にはさまざまな対応が必要になります。

詳しくは「エステサロンの開業準備には6ヶ月以上の期間がかかる」をご覧ください。

エステサロンの開業で必要な資金は?

エステサロンを開業するためには、開業に必要な資金と当面の運転資金を準備する必要があります。

自宅で開業する場合は、30万円程度で開業できる場合もありますが、賃貸物件を借りて開業する場合は、内装工事や保証金・敷金など数百万円の費用がかかる場合があります。

詳しくは「エステサロンの開業で必要な資金はいくら?」をご覧ください。

監修 大柴 良史(おおしば よしふみ) 社会保険労務士・CFP

1980年生まれ、東京都出身。IT大手・ベンチャー人事部での経験を活かし、2021年独立。年間1000件余りの労務コンサルティングを中心に、給与計算、就業規則作成、助成金申請等の通常業務からセミナー、記事監修まで幅広く対応。ITを活用した無駄がない先回りのコミュニケーションと、人事目線でのコーチングが得意。趣味はドライブと温泉。

監修者 大柴良史

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