開業の基礎知識

キッチンカーで移動販売を開業するメリットとは?必要な手順や資格も解説

監修 北田 悠策 公認会計士・税理士

キッチンカーで移動販売を開業するメリットとは?必要な手順や資格も解説

クレープや焼きそば、コーヒーなど、場所を選ばず自由に移動できるキッチンカーでの移動販売。新型コロナウイルスの影響でテイクアウト需要が高まり、店舗を借りる必要がなく初期費用を抑えられるため、人気の事業になっています。

本記事では、キッチンカーでの移動販売の開業を検討している方に向けて、開業するメリットや手順、必要な資格や費用などを解説します。

目次

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キッチンカーとは

キッチンカーとは、車内に厨房設備や調理器具を備え付けた車両です。フードトラックやケータリングトラックとも呼ばれています。

キッチンカーで販売される飲食物は、事業者によってさまざまです。たとえば、カレーライス・オムライス・たこ焼き・ドーナツ・クレープ・タピオカドリンクなどが挙げられます。

近年、キッチンカーのレンタルやリース、スマートフォンアプリによる出店場所のマッチングなどのサービスが登場しました。営業しやすい環境が整いつつあり、キッチンカーでの移動販売は増加傾向にあります。

キッチンカーで移動販売を開業するメリット

キッチンカーは、固定された店舗を持たずに営業します。ほかの業態と比べてどのようなメリットがあるのかを解説します。

メリット1:開業費用を削減できる

キッチンカーで移動販売する大きなメリットとして、通常の店舗型飲食店に比べて開業費用を大幅に削減できる点が挙げられます。

店舗型飲食店やカフェを開業するならば、テナント費用と設備費用をあわせて1,000万円近い初期投資が必要なケースもあるでしょう。それに比べて、キッチンカーでの移動販売は、テナント費用を抑えられ、300万円程度の資金からでも開業できます。

また、キッチンカーで販売している商品は、一般的にはテイクアウトや食べ歩きができるものです。そのため、食べ終わった食器を下げたりテーブルを拭いたり、食器を洗ったりする必要がなく、人件費を抑えられます。

さらに、求人の広告掲載費や人件費の負担が少なく、店舗型飲食店ほど固定費がかからない点もメリットです。

メリット2:店舗の場所を移動できる

飲食店は立地によって売上が大きく左右されるため、物件選びは慎重に行わなければなりません。

しかし、いくら慎重に選んでも失敗する可能性は考えられます。

その点、キッチンカーは販売場所を移動できるため、立地による失敗リスクは少なくなります。時間帯や季節によって人が集まる場所が異なるため、機動性の高さが強みといえます。

キッチンカーを開業する手順

キッチンカーでは、車内で飲食物を調理して販売するための資格や設備の準備が必要です。キッチンカーで開業するときの大まかな流れは以下の通りです。

キッチンカーを開業する手順

  • 事業計画やコンセプトを考える
  • 販売する商品を決める
  • 必要な資格や許可を取得する
  • 資金を調達する
  • キッチンカーと必要な設備を準備する
  • 開業する

キッチンカーに限らず、事業を開始するときには事業計画やコンセプトの考案が重要です。

キッチンカーの内装や種類、販売する商品を含め、どのような事業を行うか検討しましょう。事業計画やコンセプトを固めておくと、一貫したサービス提供や宣伝を行え、顧客へのアピールにつながります。

また、キッチンカーの開業では、資格や許可の取得、キッチンカーと設備の準備が必要です。

詳細は、次の章から詳しく解説します。

キッチンカーの開業に必要な資格や許可

キッチンカーの開業で一番大変なのは、許可や資格の取得です。

まず、その地域の保健所から営業許可を得る必要があります。許可がなければ、キッチンカーでの開業はできません。許可申請の際には、「食品衛生責任者」と移動販売に使用するキッチンカーの申請が必要です。

食品を取り扱う事業を営む場合は、施設またはその部門ごとに「食品衛生責任者」を1名以上配置しなければなりません。

食品衛生責任者の資格は、各都道府県の食品衛生協会が主催する「食品衛生責任者養成講習会」の受講によって取得できます。

なお、栄養士や調理師の資格を持っていれば、講習会を受けなくても食品衛生責任者の資格を取得できます。

食品衛生責任者は、営業許可を受ける施設ごとに1名以上、食品衛生責任者を置かなければなりません。

また、キッチンカーで食品を販売するためには、営業する地域を管轄する保健所が定めた基準を満たす必要があります。取り扱う商品によっても営業許可の種類は異なります。不明点があるときは、事前に営業する地域を管轄する保健所に相談しましょう。

管轄の保健所を調べる場合は、厚生労働省の「保健所管轄区域案内」を参照してください。

キッチンカーのメリットとして場所を移動できる点を述べましたが、地域ごとに管轄する保健所の営業許可が必要になるため、注意が必要です。

出典:一般社団法人東京と食品衛生協会「食品衛生責任者について」
出典:東京都福祉保健局「自動車での営業」
出典:さいたま市「自動車による食品関係営業許可について」

キッチンカーを出店する場所の手続きも必要

キッチンカーの出店場所には、イベント会場やオフィスビル、商業施設や公園などが挙げられます。営業する際は、出店場所の使用許可を取りましょう。

たとえば、公共施設の駐車場への出店には、施設を管轄する自治体の使用許可が必要です。道路上に出店したいときは、管轄する警察署からの使用許可を得なければなりません。

私有地への出店は、その土地の所有者の許可が必要です。無断で出店してしまうと法律によって罰せられる恐れがあるので、注意しましょう。

キッチンカーの開業に必要な費用は?

移動販売でもっとも重要なのは「キッチンカー」です。

車内で調理を行う場合は、車両を改造する必要があります。新車を購入して改造するには多くの初期費用がかかるので、改造済みの中古車を購入したり、レンタルしたりする方法がおすすめです。

クレープ・お好み焼き・ワッフルなど、取り扱う商品によってキッチンカーが変わってくるので、最適な車を選びましょう。

また、どんなトラブルに遭遇するかわからないので、必ず保険に加入しておきましょう。キッチンカーをレンタルする場合は、その車が保険に入っているかどうかをしっかりと確認する必要があります。

移動販売ではキッチンカーが事業の基盤となるため、車両の維持管理コストへの意識も大切です。加入した保険料のほか、車検費用や税金、燃料費などの費用を計算しておき、必要な資金を確保しましょう。

最後は会計(レジ)です。最初はすべて現金対応でもよいかもしれませんが、会計ソフトと連携できるようなシステムを導入すれば、確定申告時の経理が楽になるでしょう。

キッチンカーの開業時のプロモーション

キッチンカーの開業準備が整ったら、宣伝を行いましょう。キッチンカーでの移動販売は特定の店舗がないので、どこで販売を行うかの告知が重要です。

まずはホームページを開設

販売する商品の特徴や価格、主にどこで販売しているかなどを記載したホームページを作成しましょう。その際は「お問い合わせフォーム」の設置がおすすめです。

相手が何を求めているかがわかるほか、出店依頼が来る場合もあるでしょう。「お問い合わせフォーム」があれば、営業時間に関係なく、いつでもお問い合わせを受けられます。

また、ブログで記事を発信していけば、その記事が営業活動にもつながります。クーポンをホームページに掲載するのもよいでしょう。

SNSで発信

ホームページを作ったら、FacebookやX、InstagramなどのSNSからも情報を発信しましょう。

SNSは手軽に始められるうえに、新鮮な「生」の情報を発信できます。ただし、やりすぎると営業メールのように嫌われるケースもあるので、発信頻度や内容には気をつけましょう。

また、LINE公式アカウントを作成してお客様と友だちになると、クーポンを送る、お店の場所をお知らせするなども可能になるため、有効活用しましょう。

キッチンカーの開業に必要な届け出とは

最後に、営業許可のほかに必要な届け出を紹介します。個人事業主としてキッチンカーを開業するならば、所轄の税務署への「開業届」の提出が必要です。

個人事業主は、基本的に2月16日から3月15日までに確定申告をして納税します。

確定申告は、青色申告か白色申告のどちらかで行います。青色申告を選択すれば、最高65万円の控除を受けられる、配偶者や親族に支払った給与を経費にできるなど、大きな節税効果が見込めます。

青色申告をするためには、「青色申告承認申請書」の提出が必要です。1年目から青色申告で確定申告をする場合は、開業届とともに提出しておきましょう。

【関連記事】
青色申告承認申請書とは?書き方やいつまでに提出すべきか詳しく解説します

まとめ

キッチンカーは食品の調理設備を備えており、さまざまな場所での販売が可能です。店舗型飲食店と比較すると、キッチンカーは開業費用を抑えられるメリットがあります。

また、開業には営業許可や食品衛生責任者の資格取得が求められ、キッチンカーの準備や宣伝が必要です。場合によっては準備に一定の期間がかかるため、余裕を持ったスケジュールで準備を進めましょう。

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2. 所得税の青色申告承認申請書
青色申告承認申請書は事業開始日から2ヶ月以内、もしくは1月1日から3月15日までに提出する必要があります。期限を過ぎた場合、青色申告できるのは翌年からになるため注意が必要です。

3. 給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書
家族や従業員に給与を支払うための申請書です。

4. 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書
原則毎月支払う源泉所得税を年2回にまとめて納付するための手続です。毎月支払うのは手間ですので、ぜひ提出しましょう。

5. 青色事業専従者給与に関する届出・変更届出書
青色申告をする場合に、家族に支払う給与を経費にするための手続です。青色申告をして家族に給与を支払う場合は必ず提出しましょう。

freee開業の使い方を徹底解説

freee開業を使った開業届の書き方は、準備→作成→提出の3ステップに沿って必要事項を記入していくだけです。

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Step1:準備編

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準備編では事業の基本情報を入力します。迷いやすい職業欄も多彩な選択肢のなかから選ぶだけ。


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事業の開始年月日、想定月収、仕事をする場所を記入します。
想定月収を記入すると青色申告、白色申告のどちらが、いくらお得かも自動で計算されます。

Step2:作成編

次に、作成編です。


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申請者の情報を入力します。
名前、住所、電話番号、生年月日を記入しましょう。


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給与を支払う人がいる場合は、上記のように入力をします。
今回は準備編で「家族」を選択しましたので、妻を例に記入を行いました。


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さらに、見込み納税金額のシミュレーションも可能。
※なお、売上の3割を経費とした場合の見込み額を表示しています。経費額やその他の控除によって実際の納税額は変化します。

今回は、青色申告65万円控除が一番おすすめの結果となりました。

Step3:提出編

最後のステップでは、開業に必要な書類をすべてプリントアウトし、税務署に提出します。


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入力した住所をもとに、提出候補の地区がプルダウンで出てきます。地区を選ぶと、提出先の税務署が表示されますので、そちらに開業届けを提出しましょう。


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届け出に関する説明とそれぞれの控えを含め、11枚のPDFが出来上がりました。印刷し、必要箇所に押印とマイナンバー(個人番号)の記載をしましょう。

郵送で提出したい方のために、宛先も1ページ目に記載されています。切り取って封筒に貼りつければ完了です。

いかがでしょう。
事業をスタートする際や、青色申告にしたい場合、切り替えたい場合など、届出の作成は意外と煩雑なものです。

しかし、freee開業を活用すれば、無料ですぐに届け出の作成が完了。

また、確定申告書の作成もfreee会計を使えば、ステップに沿ってすぐに完了します。
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よくある質問

キッチンカーで開業するメリットは?

店舗型の業態と比較すると開業費用を抑えやすく、販売場所を柔軟に設定できるなどのメリットが挙げられます。

キッチンカーのメリットを詳しく知りたい方は「キッチンカーで移動販売を開業するメリット」をご覧ください。

キッチンカーで必要な宣伝とは?

キッチンカーは特定の店舗を持たないため、ホームページの開設やSNSの運用などでの情報発信が重要です。

キッチンカーでの宣伝を詳しく知りたい方は「キッチンカーの開業でのプロモーション」をご覧ください。

監修 北田 悠策(きただ ゆうさく)

神戸大学経営学部卒業。2015年より有限責任監査法人トーマツ大阪事務所にて、製造業を中心に10数社の会社法監査及び金融商品取引法監査に従事する傍ら、スタートアップ向けの財務アドバイザリー業務に従事。その後、上場準備会社にて経理責任者として決算を推進。大企業からスタートアップまで様々なフェーズの企業に携わってきた経験を活かし、株式会社ARDOR/ARDOR税理士事務所を創業。

北田 悠策

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