監修 安田亮 安田亮公認会計士・税理士事務所
開業届は郵送での提出が可能です。郵送の際は、開業届以外の書類や返信用封筒などを忘れずに同封することが大切です。
本記事では、開業届を郵送で提出するときの必要書類や郵送先、封筒の書き方など、郵送による提出方法について詳しく解説します。なお、freee開業では開業届の作成から提出までをオンライン上で完結できます。無料で利用できるので、ご活用ください。
目次
開業届の提出方法は3種類
開業届の提出方法には以下の3種類があります。
開業届の提出方法
- 税務署の窓口に持参して提出する
- 税務署に郵送して提出する
- e-Taxを使ってオンラインで提出する
開業届の用紙は国税庁のサイトからダウンロードできます。税務署に持参・郵送する場合は、届出書の用紙に入力または手書きで記入し、住所地の税務署に持参・郵送して提出します。
税務署の開庁時間は平日の午前8時半から午後5時までです。税務署の窓口で提出する人は開庁時間内に持参する必要がありますが、時間外でも時間外収受箱に投函して提出できます。
e-Taxは国税電子申告・納税システムのことで、確定申告書や各種届出書の提出などをオンラインでできるシステムです。e-Taxを利用するためには最初に利用開始手続きが必要ですが、e-Taxで開業届を提出すれば、自宅にいながらパソコン画面上で手続きを終えられます。
出典:国税庁「A1-5 個人事業の開業届出・廃業届出等手続」
出典:国税庁「【税務署の開庁時間】」
開業届を郵送で提出するときのメリットは?郵送で提出するほうが良いケース
開業届を郵送で提出する主なメリットは以下の通りです。
開業届を郵送で提出するメリット
- 税務署に行く時間や手間がかからない
- 消印日が提出日になる
- e-Taxのような利用開始手続きは必要ない
税務署に持参して提出する場合は税務署に行く手間がかかり、特に税務署が自宅から遠くにある人は税務署に行くと時間がかかります。しかし、郵送提出であればそのような手間や時間はかかりません。
また、「提出期限である1ヶ月以内まで残り3日しかないが、仕事が忙しく3日以内に行く時間が取れない」といった場合も、郵送で提出しましょう。
郵送で提出すると消印日が提出日になるので、税務署に行けなくても消印日が提出期限内になるように郵便ポストに投函すれば、期限内に提出したことになります。
e-Taxによる提出と郵送提出を比較した場合、e-Taxでは利用開始時の手続きに手間がかかります。郵送だと封筒への記入や投函の手間はかかるものの、e-Taxのような事前の手続きは必要ありません。国税庁サイトから用紙をダウンロードして記入すれば開業届を提出できます。
出典:国税庁「A1-5 個人事業の開業届出・廃業届出等手続」
出典:国税庁「税務手続に関する書類の提出時期」
開業届を郵送で提出する方法
開業届は「信書」にあたるため、税務署に送付するときは「郵便物」(第一種郵便物)または「信書便物」として送付する必要があります。宅急便での発送はできません。
個人情報を含んだ重要な書類のため、郵送する際は配送状況の追跡や配達記録が残るレターパックや簡易書留等を利用しましょう。
出典:国税庁「申告書の税務署への送付」
必要書類
開業届を郵送で提出するときは以下のものを同封して送ります。
- 開業届
- 返信用封筒(提出事実を証明するリーフレットの返送を希望する場合)
- マイナンバーがわかるものと本人確認書類のコピー
※なお、2025年1月以降から申告書のほか、申請書・請求書・届出書等を含む、国税庁・国税局・税務署に提出(送付)される全ての控えに押なつを行わない方針となり、書面で提出する場合は正本のみの送付が求められます。
マイナンバーカードがあれば、その両面コピーでも問題ありません。
また、開業時には、開業届以外にも開業する事業内容や確定申告の種類などによって提出しなければならない書類があります。以下の書類の中で提出が必要なものがあれば、開業届と一緒に郵送して提出しましょう。
書類名 | 提出が必要なケース |
---|---|
青色申告承認申請書 | 確定申告を青色申告で行う場合 提出期限:開業日から2ヶ月以内 *1月1日〜1月15日の間に開業した場合は3月15日までに提出 |
青色事業専従者給与に関する届出書 | 従業員である家族に支払った給与を経費に算入する場合 提出期限:給与を必要経費に算入しようとする年の3月15日まで *1月16日以降に開業した場合や青色事業専従者が働き始めた場合には、その日から2ヶ月以内 |
給与支払事務所等の開設届出 | 開業する事業が新しく社員やアルバイトを雇った場合 提出期限:従業員を雇う事務所を開設した日から1ヶ月以内 *開業届の「給与等の支払の状況」欄を記載している場合は提出不要 |
源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書 | 源泉徴収した所得税の納付を年2回にまとめる特例を受ける場合 *従業員が9人以下の事業者のみ対象 |
出典:国税庁「A1-11 青色事業専従者給与に関する届出手続」
出典:国税庁「A2-7 給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出」
出典:国税庁「A2-8 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請」
提出期限
開業届は事業を開始してから1ヶ月以内に提出することが求められています。開業届を提出しなかったり、提出が遅れたりしても罰則などは特にありませんが、できるだけ早く提出しましょう。
郵送先
開業届の郵送先は、事業所を管轄する税務署です。所轄の税務署は国税庁のサイトで検索するか、ご自身で「地名 税務署」などのキーワードを使って検索して調べましょう。
封筒の書き方
封筒の表面には送付先の住所とあて名を記入します。送付先の住所は、管轄の税務署の住所を国税庁のサイトで確認して記入し、「〇〇税務署 御中」と記入しましょう。
封筒内に何が入っているのかわからないと、税務署はどの部署が扱うべきものなのか判断できず困るので、あて名の脇に「個人事業の開業・廃業等届出書 在中」などと記入します。
万が一郵送先住所の記載間違いなどで返送された場合に備え、封筒の裏面には差出人の住所や氏名を記入してください。
開業届の控えをもらい忘れたら?提出後に控えを取得する方法
屋号の届出をするときなど、開業届の控えの提出が必要になる場合があります。
開業届を提出した後でも、「保有個人情報開示請求書」を出して開業届の開示請求をすれば控えの再発行が可能です。
「保有個人情報開示請求書」の用紙は国税庁のサイトからダウンロードできます。開示請求手数料は、税務署の窓口または郵送で手続きする場合は300円です。開示請求書に300円の収入印紙を貼って納付します。
税務署の窓口で請求する場合は本人確認書類を提示し、郵送で請求する場合は本人確認書類の写しと併せて住民票の写しの提出も必要です。住民票の写しは、開示請求日前30日以内に作成されたもので、個人番号が記載されていないものに限ります。
開示・不開示の決定は原則として30日以内に行われて通知されます。
出典:国税庁「開示請求等の手続」
まとめ
開業届は郵送で提出することができます。提出先は事業所の地域を管轄している税務署です。郵送先を間違えないように、事前に国税庁のサイトで確認しておきましょう。
開業届は郵送以外にもオンラインや税務署の窓口に直接出向いて提出する方法があります。オンラインだと税務署へ出向く必要がなく、24時間いつでも申請が可能です。
freee開業を活用すれば、開業届や一緒に提出する書類をオンライン上で作成から提出までを完結できます。無料で利用でき、スマホからでも手続きが可能なので、参考にしてください。
よくある質問
開業届を郵送で提出する方法のメリットは?
開業届を郵送で提出すれば、税務署に行く手間や時間がかからない点がメリットです。
開業届を郵送で提出する方法のメリットについて、詳しくは「開業届を郵送で提出するときのメリットは?郵送で提出するほうが良いケース」をご覧ください。
開業届を郵送するときの必要書類は?
開業届を郵送で提出するときには、記入済の開業届に本人確認書類の写しを添付して郵送します。
開業届を郵送するときの必要書類について、詳しくは「必要書類」をご覧ください。
監修 安田 亮(やすだ りょう)
1987年香川県生まれ、2008年公認会計士試験合格。大手監査法人に勤務し、その後、東証一部上場企業に転職。連結決算・連結納税・税務調査対応などを経験し、2018年に神戸市中央区で独立開業。